復讐を誓った少年たち

テル

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第八話

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ジャグラインの森へ行くには広大な森を抜けたその先にある砂漠を越えなければならない。
砂漠には水分はほとんどないため、魔物はほとんど存在しない。

………しないのだが、グレイ達が見ている景色はそんな常識を覆すようなありえないものだった。

「……えっと、これはどういうことなんですかね?みなさん」
「知らないわよ、そんなこと」

森を抜けたグレイ達の前にあるのは、本来ないはずの水があった。それもオアシスとはとても呼べる規模のものじゃなく、かといって湖とはかけ離れたものだ。

まるで天変地異が如く荒れ狂う湖が砂漠に点々と存在し、燃えないはずの砂が灼熱の炎に飲み込まれるように燃えていた。

「まさかあの森の魔物が縄張りを広げているのか…?」
「その可能性は高いだろうね。そもそもあのレベルの魔物が今まであんな小さな森にとどまっていたのが不思議でならない。放っておいたらこいつらが人族を滅ぼしてしまうかもしれないな?」

人をからかうように片眉を上げ、口元をにやけさせながらグレイを見上げるルーク。
だがそれは侮蔑や嘲笑の類ではなく、意志の強さを確認するものであることはすぐに理解した。

「ふっ、馬鹿を言え…人族を滅ぼすのは俺たちだ。あそこにいる無法者どもに誰が頂点にふさわしいか分からせてやる。そして阿鼻叫喚の地獄絵図をこの世界に作り出してやるよ。せいぜい命があるこの時を楽しむがいいさ」

「その通り!まあ頂点に立つのは俺だけどなぁ!」
「ちょっとサタン!今グレイがかっこいい所見せてるんだから邪魔しないでよ!……あ、べ、別にグレイがかっこいいって訳じゃないわよ!?勘違いしないでよ!?」
「あ?さっきかっこいいって言ったばっかじゃねぇか。何言ってんだ、アリス?お前馬鹿か?」
「うるさい!あんたにだけは言われたくないわよ!」
「あんだと!?」

二人が盛り上がっている中、グレイは一人無表情で立ちすくんでいた。

「お、おい…グレイ、あまり気にすんなよ」
「ふふ、まだまだグレイは可愛いですね~」
「ノアもかっこいいと思ったよ!
「俺、もう二度とあんなこと言わない…」

「はぁ…」

こんな時でもこんなやり取りが取れることに呆れてため息をつくアイギス。
だが、こんな時だからこそいつも通りの光景が自分を安心させてくれる。
しかし安心してばかりではいけない。これからは特に緊張感を持って行動しないといけない。

「おい、そろそろ行くぞ。――皆、気を引き締めていくぞ!」
「「「おう!!!」」」


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