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暗躍
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サーシャさんとのお茶会が終わり、俺は今宿の一室にいた。
「さて、姿を現すにしても顔を隠さないといけないよな」
そう言って俺は、手中に魔力の塊を作り目と鼻を覆うような仮面を形作っていった。
子供のころにした粘土遊びみたいで懐かしいな...あの頃に戻りたいなぁ...。
母さん、父さん、アイラ、ガイアス...くそっ、あの頃の俺に力があったら...
その時突然手ごたえがなくなるのを感じた。
あっ、いけね...つい力を入れすぎてしまった。あーもう!今は昔のことを考えるな!集中!
そしてしばらくすると、俺の仮面は完成した。
「うっしゃぁぁぁ!やっとできたぁぁぁ!」
完成した仮面は黒く染められており口と目だけが露出されていて、まるで黒鬼のような他を圧倒する仮面が出来上がった。
「うーん、ちょっと禍々しいかな...まあいいや。おっ、そろそろ時間か。」
今の時刻は午後九時、人も少なくなり町の喧騒もおさまってくる時間帯だ。
俺は黒の外套を身に着け、こっそり宿から出て人気のない場所に向かい、誰にも見られないように仮面をつけた。
「始めようか...」
俺は暗闇に紛れ空を駆けた
ーーーー-------------------------------------------
【王城】
「うむ、皆そろったようじゃの。では、会議を始めよう」
クラルト王の眼前には今回の議題における重要人物達が座っていた。
今回の議題というのは言うまでもなく、昼の光柱のことについてだ。
「何か手掛かりは掴めたのか?」
「申し訳ございません、未だそれらしき情報は入っていません...」
そう応えたのは宰相であるタチウスだ。ここにいる第5~9兵団団長からもたらされた情報にもそれらしいものは無かった。
「ふむ、そうか...今後も継続してくれ。暗部のほうはどうじゃった?」
「はっ、どうやらあの場には人が複数人いたそうです。そこに入っていったのを見たという人がいました」
「なに?して、どのような外見をしておったのじゃ?」
「はっきりとした外見は分かりませんでしたが、年は若いと思われます」
「そうか...」
(分かっているのはそれだけか...できればもう少し情報が欲しかったが...仕方あるまい)
クラルト王は落胆の表情を浮かべ、会議を終えようとした時だった。
「この城の警備は随分とザルだな。簡単に侵入出来たぞ。」
声のした方を見るとそこには、黒い仮面をした男が立っていた。
「貴様何者だ!?どうやってここまで来た?」
ここにいる全ての団長が武器を構え、仮面の男にそう言うと、男は不敵に笑う
「普通に来た、まぁ多少気配を消すのに気を配ったがな。そして俺が何者か、という質問だが...今お前たちが必死になって捜している者だ。」
「ふんっ、誰がそれを信じると...?貴様からは一般的な量の魔力しか感じられないんだよ、それであの規模の魔法がうてると思うか?」
そう言ってほかの団長に目で合図し、男を囲い込もうとする。
「あぁ、そういえばまだ元に戻してなかったな。これでどうだ?」
男が発言した次の瞬間、とてつもない量の魔力の奔流が部屋を覆いつくした。
「なっ...そんな...馬鹿な...」「こんなこと...」「ウソだろ...?」「あっ...あ...」
団長たちは膝をつき死を覚悟した者や気絶するものなど様々な反応を見せた。
「くっ...うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
そんな状況にも関わらず一人の団長が切りかかろうとしたが、それが届くことはなかった。
「やめんかぁ!!!」
王の雷が落ちたような重い声が部屋中に響き、団長の動きが止まった。
男が王の方を見るとそこには、王を守ろうとする宰相と腰が抜けている王女、そしてその近くに寄り添っている王妃がいた。
「そんなに警戒するな。俺は別に敵対しようなどと考えてはいない。むしろ、協力しあう関係でありたいと思っている。」
「協力だと...?どういうことだ?」
「俺は、この国の力になってやる、その代わりお前たちは俺の要求するものにその都度応えてくれればいい。」
「何を要求するつもりだ...?」
「心配するな、俺はそんなに欲深くない。出来ないことは要求しない。どうだ?この取引を受ける気はあるか?」
「ふむ...」
「待ってください!」
王が思慮に耽っているとタチウスが発言した。
「敵対する気がないなら、昼の魔法はどういうつもりですか!あれは、王都の安寧を乱そうという意図があると思われますが」
「そ、それは...。そう!犯罪現場を見かけたからな!その場で断罪したんだ」
「そ...そうですか...」
「分かった。貴様の要求をのもう。」
王が意を決した顔で男を見る。
「そうか、では取引は成立した、ということでいいんだな?」
「うむ」
「では、次回からはこれで俺を呼んでくれ。」
そう言って、男は通信用水晶を渡し、この場を去ろうとする。
「待ってくれ!名前を教えてくれ!」
「あぁ、そうだったな...えー、そうだなぁ...シヴァ、俺の名前はシヴァだ」
そう言い残し、男は姿を消した
「さて、姿を現すにしても顔を隠さないといけないよな」
そう言って俺は、手中に魔力の塊を作り目と鼻を覆うような仮面を形作っていった。
子供のころにした粘土遊びみたいで懐かしいな...あの頃に戻りたいなぁ...。
母さん、父さん、アイラ、ガイアス...くそっ、あの頃の俺に力があったら...
その時突然手ごたえがなくなるのを感じた。
あっ、いけね...つい力を入れすぎてしまった。あーもう!今は昔のことを考えるな!集中!
そしてしばらくすると、俺の仮面は完成した。
「うっしゃぁぁぁ!やっとできたぁぁぁ!」
完成した仮面は黒く染められており口と目だけが露出されていて、まるで黒鬼のような他を圧倒する仮面が出来上がった。
「うーん、ちょっと禍々しいかな...まあいいや。おっ、そろそろ時間か。」
今の時刻は午後九時、人も少なくなり町の喧騒もおさまってくる時間帯だ。
俺は黒の外套を身に着け、こっそり宿から出て人気のない場所に向かい、誰にも見られないように仮面をつけた。
「始めようか...」
俺は暗闇に紛れ空を駆けた
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【王城】
「うむ、皆そろったようじゃの。では、会議を始めよう」
クラルト王の眼前には今回の議題における重要人物達が座っていた。
今回の議題というのは言うまでもなく、昼の光柱のことについてだ。
「何か手掛かりは掴めたのか?」
「申し訳ございません、未だそれらしき情報は入っていません...」
そう応えたのは宰相であるタチウスだ。ここにいる第5~9兵団団長からもたらされた情報にもそれらしいものは無かった。
「ふむ、そうか...今後も継続してくれ。暗部のほうはどうじゃった?」
「はっ、どうやらあの場には人が複数人いたそうです。そこに入っていったのを見たという人がいました」
「なに?して、どのような外見をしておったのじゃ?」
「はっきりとした外見は分かりませんでしたが、年は若いと思われます」
「そうか...」
(分かっているのはそれだけか...できればもう少し情報が欲しかったが...仕方あるまい)
クラルト王は落胆の表情を浮かべ、会議を終えようとした時だった。
「この城の警備は随分とザルだな。簡単に侵入出来たぞ。」
声のした方を見るとそこには、黒い仮面をした男が立っていた。
「貴様何者だ!?どうやってここまで来た?」
ここにいる全ての団長が武器を構え、仮面の男にそう言うと、男は不敵に笑う
「普通に来た、まぁ多少気配を消すのに気を配ったがな。そして俺が何者か、という質問だが...今お前たちが必死になって捜している者だ。」
「ふんっ、誰がそれを信じると...?貴様からは一般的な量の魔力しか感じられないんだよ、それであの規模の魔法がうてると思うか?」
そう言ってほかの団長に目で合図し、男を囲い込もうとする。
「あぁ、そういえばまだ元に戻してなかったな。これでどうだ?」
男が発言した次の瞬間、とてつもない量の魔力の奔流が部屋を覆いつくした。
「なっ...そんな...馬鹿な...」「こんなこと...」「ウソだろ...?」「あっ...あ...」
団長たちは膝をつき死を覚悟した者や気絶するものなど様々な反応を見せた。
「くっ...うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
そんな状況にも関わらず一人の団長が切りかかろうとしたが、それが届くことはなかった。
「やめんかぁ!!!」
王の雷が落ちたような重い声が部屋中に響き、団長の動きが止まった。
男が王の方を見るとそこには、王を守ろうとする宰相と腰が抜けている王女、そしてその近くに寄り添っている王妃がいた。
「そんなに警戒するな。俺は別に敵対しようなどと考えてはいない。むしろ、協力しあう関係でありたいと思っている。」
「協力だと...?どういうことだ?」
「俺は、この国の力になってやる、その代わりお前たちは俺の要求するものにその都度応えてくれればいい。」
「何を要求するつもりだ...?」
「心配するな、俺はそんなに欲深くない。出来ないことは要求しない。どうだ?この取引を受ける気はあるか?」
「ふむ...」
「待ってください!」
王が思慮に耽っているとタチウスが発言した。
「敵対する気がないなら、昼の魔法はどういうつもりですか!あれは、王都の安寧を乱そうという意図があると思われますが」
「そ、それは...。そう!犯罪現場を見かけたからな!その場で断罪したんだ」
「そ...そうですか...」
「分かった。貴様の要求をのもう。」
王が意を決した顔で男を見る。
「そうか、では取引は成立した、ということでいいんだな?」
「うむ」
「では、次回からはこれで俺を呼んでくれ。」
そう言って、男は通信用水晶を渡し、この場を去ろうとする。
「待ってくれ!名前を教えてくれ!」
「あぁ、そうだったな...えー、そうだなぁ...シヴァ、俺の名前はシヴァだ」
そう言い残し、男は姿を消した
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