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邪魔するなら許さない4
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「なんかあたし、子供だねっ。
そんなふうに甘えたり、こんなふうによしよししてもらったり」
「よしよしは関係ないだろ~。
それに、親に甘えてたのは俺も同じだし」
「風人くんも?」
「そっ。
6人もいると、親は下の子の世話ばっかでさ~。
俺だって子供なのに、世話する側に回されて。
ちゃんとしないと怒られるし、なんでも我慢させられるし、俺の事はどうでもいいのかよって不満でさっ。
中3くらいから荒れ始めて、けっこう迷惑かけたんだよなぁ」
それであたしの気持ち、わかってくれたんだ……
「でも風人くんは、今はちゃんとしてるし、いいお兄ちゃんしてるじゃん。
それに比べてあたしは、全然お姉ちゃんらしくないし。
でももう逃げたくなくて、破天荒に生きようって決めたのに……
結局なんにも変われないし」
「そんなすぐには変わんないって!
逆に変わったら、今までの自分はなんだったんだーって話だろ?
今までがあって、これからに繋がるんだから。
ちゃんと今までの自分も認めて、大事にしてこっ?」
そう言われて。
胸が、どうしようもなく締めつけられる。
ダメなとこも全部、ありのままの自分を受け止められた気がして……
今までの分まで大事にしてもらえた気がして……
嬉しくて、愛しくてたまらなくて。
涙と好きな気持ちが、とめどなく溢れ出す。
「よしよし…
あ、俺の胸貸そうか?
そしたら周りから隠れるし、思い切り泣けるし、あったかいよ?
ほらおいでっ?」
「っ、言い方っ。
もぉほんと子供扱いなんだから」
その胸に飛び込んで行きたかったのに、つい吹き出してしまう。
「あ、笑った。
やっぱ月奈ちゃんの笑顔は最高だねっ」
「またそんな事ばっかり…
でも、聞いてくれてありがとう。
励ましてくれてありがとう。
なんかすごいね、風人くん。
あたしじゃそんなふうには考えられなかったよ」
「いや月奈ちゃんのおかげでそう考えられるようになったんだって!」
「あたしのおかげ?」
「そお!
まぁ俺は変わりたくない側で、そこに行き着いたんだけど……」
と、今度は風人くんが語り始める。
「俺さ、ほんとは電気工事士になって親父の後継ぐつもりだったんだ。
だから高校は電気科入って、やんちゃしててもそれだけは頑張ってたんだ」
そして玉城さんは普通科で、本来は接点がないところ。
親繋がりで仲良くなったのを機に。
お弁当を作ってくれたり、なにかと世話を焼いてくれてたらしい。
「けどそれが裏目に出て……
仮卒前に、他のガッコのヤツからケンカ吹っかけられてたらさ。
芽衣が俺を助けようとして飛び込んできて、派手に骨折させたんだよなぁ……」
「そうだったんだ……
でもそれ、風人くんのせいじゃなくない?」
「俺のせいだよ。
俺が守りきれなかったから。
それに、芽衣にも親にも心配かけてたのわかってて、いつまでもやんちゃしてたせいだし」
そう切なげに話す風人くんに。
なんだか2人の間に入り込めないような絆を感じて、胸が締めつけられる。
「だから自分の夢諦めんのも仕方ないと思ってた。
生き方変えなきゃいけないって。
でも、気持ちまでは変えらんなくて。
俺なにやってんだろーって、落ち込んでたんだ。
そんな時月奈ちゃんに出会って、あの破天荒ー!に励まされたってわけ」
「はあっ?
なんでそれにっ?」
「いや俺けっこう悩んでてさっ。
芽衣の事守れなかったのに、好条件で雇ってもらったわけだから。
辞めたら恩を仇で返すよなとか。
親父の仕事に響くかなとか、そしたら生活苦しくなるなとか。
けどあれ聞いたら、なんか悩んでるのがバカらしくなってさっ」
「それあたしがバカっぽかったって事っ?」
「違う違うっ、カッコよかったって事。
まさに大胆不敵だなって。
俺も色々恐れずに、やるだけやったら自分の道に突き進もう!って思えたんだ」
なるほど、そう受け取ったか……
破天荒は、大胆不敵とか豪快って意味で認識されてる事の方が多い。
「そっか、なら良かったけど……
一応言っとくと、破天荒って前人未到の境地を切り開く事だからね?」
「そーなんだっ?
まぁなんでもいいけど」
適当!
そう突っ込もうとした矢先。
「俺が今までの自分も大事にして、これからに繋げようって思えたのは、間違いなく月奈ちゃんのおかげだからさっ?
今度は俺が、何がなんでも月奈ちゃんの力になりたかったんだ」
「風人くん……
ありがとう、おかげで元気出た」
嬉しくて、自然に笑みがこぼれると。
「はいっ、いい笑顔いただきました~!
もうその笑顔見れるなら何でもするね。
あ、俺も一応言っとくけど。
俺はダメな月奈ちゃんでもどんな月奈ちゃんでも、ぜーんぶ受け止めるし。
めちゃくちゃ甘えさせるし、愛するよ?」
「……は?」
あまりにサラッと言われた、耳を疑う言葉に。
突然ポイっと投げれらた、胸を撃ち抜く言葉に。
思考が止まって、パチクリと固まる。
「うわ、ドン引きっ!?
いや絶対お買い得にするよっ?
とりあえず試してみっ?」
「試すって……
お買い得って……
お金取るんだっ?」
混乱の最中、風人くんの言葉を拾ってそう返す。
「月奈ちゃんならその笑顔でお釣りがくるねっ。
だからさっ?
これからは俺に、月奈ちゃんの事守らせてくんない?」
その瞬間、再び涙がこぼれ出す。
「うわごめんっ、泣かせるつもりじゃなかったんだけど……
なんかもう月奈ちゃんの事がほっとけなくて。
守りたくてたまんなくなってさ……
一方的にごめんっ」
「違うよっ、違う……」
ぶんぶんと首をふる。
「嬉しくて。
風人くんの事が好きだから、めちゃくちゃ嬉しくてっ……」
「……マジで?
え、マジでっ!?
ぅおっっしゃあああああ!!」
渾身のガッツポーズをする風人くん。
「もお、声が大きいっ。
恥ずかしいってば」
「いやも、月奈ちゃんの付き合えんのが幸せすぎて……
って、付き合うでOK!?
俺先走ってるっ?」
「ううんっ、OKに決まってるじゃん」
思わず吹き出しながらも。
あたしと付き合うくらいで幸せすぎるなんて、あたしの方が幸せすぎるよ。
そう思って、いっそう涙に襲われてた。
さらに、付き合ってからはもっともっと幸せで……
毎日が楽しくて、キラキラ輝いてて。
風人の寝顔を見てるだけで満たされて、愛しくてたまらなくなる。
「あれ……
ごめん、寝てた俺?」
「いいよ、寝顔眺めしてたし」
「そんで寝込み襲っちゃった感じ?」
「っ、襲ってないよっ」
「いーや襲ったね。
だってほっぺ湿ってるし、絶対キスしたねー」
「し、してないって、たぶんヨダレだよ」
「マジか!」
そんなふうにして、2人でバカ笑いしたり。
付き合った頃は本当に幸せで……
会えるだけで、話せるだけでよかったのに。
ほんとにそう思ってたのに。
どうして、それだけじゃ満たされなくなるんだろう。
「ねぇ、明日のデートなんだけどさっ」
「ごめん!デート無理んなった。
明日芽衣が行くとこあるみたいでさ、送り迎えしなきゃいけなくなって」
そう、付き合っても玉城さんの送り迎えは相変わらずで……
それだけじゃなく。
付き合ってる事も大学では秘密だった。
つまり、風人は玉城さんの彼氏っていう設定のまま。
それは玉城さんからのお願いで……
風人を庇って彼氏と言っただけなのに、みんなから嘘つきと非難されるのは辛い、といった理由と。
逆に、樋口さんが私の彼を奪ったって悪いイメージを持たれるかもしれない、といった助言で。
都合よく言いくるめられた気がしたけど……
風人がすんなりOKしたから仕方なかった。
「そう、なんだ……
いいよいいよっ、デートなんかいつでも出来るし。
なんって言うと思うっ?
ほんとは嫌!
だけど、仕方ないから行かせてあげるっ」
口を尖らせて了承すると、ぶはっと吹き出す風人。
「ヤバい俺、月奈のそーゆうとこめっちゃ好き!」
「はあっ?
そーゆうとこってどーゆうとこよ」
「だからそーゆう、気持ちをちゃんとぶつけてくれるとことか。
それでも行かせてくれる優しいとことか、拗ねて可愛いとことかっ」
「っ、そう言えば許されると思って!」
「思ってないって!
あーも、俺はこんなに好きなのに……」
と悩ましげに片手で顔を覆う。
「もおっ、演技派!」
「ひどっ」
そうは言っても、風人はいつも好きって伝え続けてくれたから。
あたしはそれが嬉しかったし、その気持ちを信じてた。
そんなふうに甘えたり、こんなふうによしよししてもらったり」
「よしよしは関係ないだろ~。
それに、親に甘えてたのは俺も同じだし」
「風人くんも?」
「そっ。
6人もいると、親は下の子の世話ばっかでさ~。
俺だって子供なのに、世話する側に回されて。
ちゃんとしないと怒られるし、なんでも我慢させられるし、俺の事はどうでもいいのかよって不満でさっ。
中3くらいから荒れ始めて、けっこう迷惑かけたんだよなぁ」
それであたしの気持ち、わかってくれたんだ……
「でも風人くんは、今はちゃんとしてるし、いいお兄ちゃんしてるじゃん。
それに比べてあたしは、全然お姉ちゃんらしくないし。
でももう逃げたくなくて、破天荒に生きようって決めたのに……
結局なんにも変われないし」
「そんなすぐには変わんないって!
逆に変わったら、今までの自分はなんだったんだーって話だろ?
今までがあって、これからに繋がるんだから。
ちゃんと今までの自分も認めて、大事にしてこっ?」
そう言われて。
胸が、どうしようもなく締めつけられる。
ダメなとこも全部、ありのままの自分を受け止められた気がして……
今までの分まで大事にしてもらえた気がして……
嬉しくて、愛しくてたまらなくて。
涙と好きな気持ちが、とめどなく溢れ出す。
「よしよし…
あ、俺の胸貸そうか?
そしたら周りから隠れるし、思い切り泣けるし、あったかいよ?
ほらおいでっ?」
「っ、言い方っ。
もぉほんと子供扱いなんだから」
その胸に飛び込んで行きたかったのに、つい吹き出してしまう。
「あ、笑った。
やっぱ月奈ちゃんの笑顔は最高だねっ」
「またそんな事ばっかり…
でも、聞いてくれてありがとう。
励ましてくれてありがとう。
なんかすごいね、風人くん。
あたしじゃそんなふうには考えられなかったよ」
「いや月奈ちゃんのおかげでそう考えられるようになったんだって!」
「あたしのおかげ?」
「そお!
まぁ俺は変わりたくない側で、そこに行き着いたんだけど……」
と、今度は風人くんが語り始める。
「俺さ、ほんとは電気工事士になって親父の後継ぐつもりだったんだ。
だから高校は電気科入って、やんちゃしててもそれだけは頑張ってたんだ」
そして玉城さんは普通科で、本来は接点がないところ。
親繋がりで仲良くなったのを機に。
お弁当を作ってくれたり、なにかと世話を焼いてくれてたらしい。
「けどそれが裏目に出て……
仮卒前に、他のガッコのヤツからケンカ吹っかけられてたらさ。
芽衣が俺を助けようとして飛び込んできて、派手に骨折させたんだよなぁ……」
「そうだったんだ……
でもそれ、風人くんのせいじゃなくない?」
「俺のせいだよ。
俺が守りきれなかったから。
それに、芽衣にも親にも心配かけてたのわかってて、いつまでもやんちゃしてたせいだし」
そう切なげに話す風人くんに。
なんだか2人の間に入り込めないような絆を感じて、胸が締めつけられる。
「だから自分の夢諦めんのも仕方ないと思ってた。
生き方変えなきゃいけないって。
でも、気持ちまでは変えらんなくて。
俺なにやってんだろーって、落ち込んでたんだ。
そんな時月奈ちゃんに出会って、あの破天荒ー!に励まされたってわけ」
「はあっ?
なんでそれにっ?」
「いや俺けっこう悩んでてさっ。
芽衣の事守れなかったのに、好条件で雇ってもらったわけだから。
辞めたら恩を仇で返すよなとか。
親父の仕事に響くかなとか、そしたら生活苦しくなるなとか。
けどあれ聞いたら、なんか悩んでるのがバカらしくなってさっ」
「それあたしがバカっぽかったって事っ?」
「違う違うっ、カッコよかったって事。
まさに大胆不敵だなって。
俺も色々恐れずに、やるだけやったら自分の道に突き進もう!って思えたんだ」
なるほど、そう受け取ったか……
破天荒は、大胆不敵とか豪快って意味で認識されてる事の方が多い。
「そっか、なら良かったけど……
一応言っとくと、破天荒って前人未到の境地を切り開く事だからね?」
「そーなんだっ?
まぁなんでもいいけど」
適当!
そう突っ込もうとした矢先。
「俺が今までの自分も大事にして、これからに繋げようって思えたのは、間違いなく月奈ちゃんのおかげだからさっ?
今度は俺が、何がなんでも月奈ちゃんの力になりたかったんだ」
「風人くん……
ありがとう、おかげで元気出た」
嬉しくて、自然に笑みがこぼれると。
「はいっ、いい笑顔いただきました~!
もうその笑顔見れるなら何でもするね。
あ、俺も一応言っとくけど。
俺はダメな月奈ちゃんでもどんな月奈ちゃんでも、ぜーんぶ受け止めるし。
めちゃくちゃ甘えさせるし、愛するよ?」
「……は?」
あまりにサラッと言われた、耳を疑う言葉に。
突然ポイっと投げれらた、胸を撃ち抜く言葉に。
思考が止まって、パチクリと固まる。
「うわ、ドン引きっ!?
いや絶対お買い得にするよっ?
とりあえず試してみっ?」
「試すって……
お買い得って……
お金取るんだっ?」
混乱の最中、風人くんの言葉を拾ってそう返す。
「月奈ちゃんならその笑顔でお釣りがくるねっ。
だからさっ?
これからは俺に、月奈ちゃんの事守らせてくんない?」
その瞬間、再び涙がこぼれ出す。
「うわごめんっ、泣かせるつもりじゃなかったんだけど……
なんかもう月奈ちゃんの事がほっとけなくて。
守りたくてたまんなくなってさ……
一方的にごめんっ」
「違うよっ、違う……」
ぶんぶんと首をふる。
「嬉しくて。
風人くんの事が好きだから、めちゃくちゃ嬉しくてっ……」
「……マジで?
え、マジでっ!?
ぅおっっしゃあああああ!!」
渾身のガッツポーズをする風人くん。
「もお、声が大きいっ。
恥ずかしいってば」
「いやも、月奈ちゃんの付き合えんのが幸せすぎて……
って、付き合うでOK!?
俺先走ってるっ?」
「ううんっ、OKに決まってるじゃん」
思わず吹き出しながらも。
あたしと付き合うくらいで幸せすぎるなんて、あたしの方が幸せすぎるよ。
そう思って、いっそう涙に襲われてた。
さらに、付き合ってからはもっともっと幸せで……
毎日が楽しくて、キラキラ輝いてて。
風人の寝顔を見てるだけで満たされて、愛しくてたまらなくなる。
「あれ……
ごめん、寝てた俺?」
「いいよ、寝顔眺めしてたし」
「そんで寝込み襲っちゃった感じ?」
「っ、襲ってないよっ」
「いーや襲ったね。
だってほっぺ湿ってるし、絶対キスしたねー」
「し、してないって、たぶんヨダレだよ」
「マジか!」
そんなふうにして、2人でバカ笑いしたり。
付き合った頃は本当に幸せで……
会えるだけで、話せるだけでよかったのに。
ほんとにそう思ってたのに。
どうして、それだけじゃ満たされなくなるんだろう。
「ねぇ、明日のデートなんだけどさっ」
「ごめん!デート無理んなった。
明日芽衣が行くとこあるみたいでさ、送り迎えしなきゃいけなくなって」
そう、付き合っても玉城さんの送り迎えは相変わらずで……
それだけじゃなく。
付き合ってる事も大学では秘密だった。
つまり、風人は玉城さんの彼氏っていう設定のまま。
それは玉城さんからのお願いで……
風人を庇って彼氏と言っただけなのに、みんなから嘘つきと非難されるのは辛い、といった理由と。
逆に、樋口さんが私の彼を奪ったって悪いイメージを持たれるかもしれない、といった助言で。
都合よく言いくるめられた気がしたけど……
風人がすんなりOKしたから仕方なかった。
「そう、なんだ……
いいよいいよっ、デートなんかいつでも出来るし。
なんって言うと思うっ?
ほんとは嫌!
だけど、仕方ないから行かせてあげるっ」
口を尖らせて了承すると、ぶはっと吹き出す風人。
「ヤバい俺、月奈のそーゆうとこめっちゃ好き!」
「はあっ?
そーゆうとこってどーゆうとこよ」
「だからそーゆう、気持ちをちゃんとぶつけてくれるとことか。
それでも行かせてくれる優しいとことか、拗ねて可愛いとことかっ」
「っ、そう言えば許されると思って!」
「思ってないって!
あーも、俺はこんなに好きなのに……」
と悩ましげに片手で顔を覆う。
「もおっ、演技派!」
「ひどっ」
そうは言っても、風人はいつも好きって伝え続けてくれたから。
あたしはそれが嬉しかったし、その気持ちを信じてた。
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