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溺愛カクテル3
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うそ……
もういいって、フラれたって事?
いや、当然だよね。
いくら誤解でも、悠世くんにこんな惨めな思いさせて。
あんな辛そうな顔させてっ……
ぶわっと涙が溢れ出す。
何やってんのあたしっ……
もう傷付けたくなかったのに。
頑張るって決めたのに。
呑気に甘えてないで、さっさと付き合ってるって公表してれば、こんな事にはならなかったのに!
むしろ、さっきカミングアウトすればすむ話だったのにっ。
きっと言い分を聞こうともしてくれなかったのは……
いくら思い付かなかったからって、あんな場面でもカミングアウトしなかったあたしに。
恥ずかしいにもほどがあるだろって、愛想つかしたのかもしれないし。
今まで言えなかったのも、今言わないのも。
翔くんに未練があるからだろって、あたしが信じられなくなったのかもしれないし。
見たものや聞いた事から……
翔くんに乗り換えたんだと判断して、言い訳なんか聞きたくないって思ったのかもしれない。
なんにしても、どれだけショックだっただろう!
ごめんね悠世くん……
もう謝っても謝りきれないよっ。
「粋、あいつの事……」
後ろから翔くんが、切なげに声かける。
その続きが何かわかったあたしは、大きくコクンと頷いた。
「ごめん翔くん……
あたし、悠世くんが好きなの。
もう悠世くん以外、考えられないのっ……」
今さら口にしたって遅いけど。
それを1番に伝える相手が違うけど。
もう恥ずかしいとか逃げてらんないし、ちゃんと言わずにはいられなかった。
「やっぱそーだよな……
ごめん、わかってて邪魔した。
そしたら俺にもチャンスあるかなって。
けど、粋の事そんな泣かせるとか思わなくて……
ほんとにごめん」
「ううん、翔くんのせいじゃない。
あたしが自分でダメにしたんだよ」
ほんの数時間前の、あの幸せそうな笑顔も幸せも……
また自分で壊してしまった。
「……そーゆう、人を責めないとこも優しいとこも、ほんとにすげぇ好きだった。
俺、粋が吹っ切れるまでいくらでも待つけど……
どーしてもダメ?」
「……ごめん。
あたしはそんないい人間じゃないし。
翔くんとはこれからも、いい仕事仲間でいたい」
「……わかった。
てゆうしかないよな。
いい仕事仲間でいる自信ないけど……
邪魔したお詫びに、頑張ってみるよ」
「……ありがとう、翔くん」
こんなあたしを好きになってくれて。
勝手な要望に応えようとしてくれて。
そして……
そんなふうに、諦めない姿勢を教えてくれてありがとう。
そうだよ、フラれたからってなに?
だからって諦められるわけがない。
また傷付けちゃうのは嫌だけど。
それでも何度だって、今度こそ傷付けないように頑張りたい。
なにより、まずはちゃんと謝りたい。
だけど携帯を失くしてるぽいし、さすがに今日は遅い時間すぎるから。
いつどう謝ろうかと、頭を悩ませながらチャリ置場に向かってると。
そこを目前にした、ひと気のない脇道に入ったところで……
「浮気者」
その言葉と同時に、本日2度目のバックハグをくらう。
思わずビクッと、心臓が飛び出すんじゃないかってくらい恐怖したものの。
その声はよく知ってる大好きな……
「悠せっ」
振り向いた途端、頬に手を添えられて唇が塞がれた。
そしてグイと侵すように入って来た舌に、瞬時に身体が溶かされる。
だけど外だからか、すぐに解放されて。
「……なんで、いるのっ?」
あたしフラれたんじゃなかったのっ?
少し息を切らしながら、切なげに見つめる悠世くんに……
涙ぐみながら問いかける。
「や、今日終わるの遅かっただろ?
いつもんとこで車停めて待ってたら、近くの飲み屋に怒られてさっ。
急いで駐車場に停めに行ってたんだけど、ちょうど粋が帰ってたから走って追っかけてきたんだ」
「えっ、今日迎えに来るなんて一言もっ……」
「うん、疲れてたから仮眠取って起きれるか自信なかったし。
そんな状態じゃ、心配して断われると思ったから言わなかったんだけど。
起きたのギリギリだったから、慌てて携帯持って来るの忘れてさ」
「え、失くしたんじゃなかったのっ?」
「うん、取りに帰ってすれ違ったら困るから、そのまま待ってたんだけど。
なかなか来なかったから心配で、失くしたって口実で様子見に行ったんだ。
それなら携帯がないって事も間接的に伝えられると思ったし」
「なるほど……」
って。
あまりにいつも通りな悠世くんに流されたけど、そうじゃなくて!
「それよりっ、さっきはごめんなさい!」
「や、別にっ……
浮気者って言ったのは、妬きもちで言っただけだしっ」
「いやそれ以前にっ、怒ってないの?」
「なんで?
告られたんだろうけど、ちゃんと断ったんだろ?」
「うん、そーだけど……
なにも疑ってないの?」
「まぁあんな場面見た瞬間は、こんな時間まで2人で残って何してんだよって思ったけど……
でも今度こそ、粋の気持ちを信じ抜くって約束しただろ?」
そう言われて、ぎゅっと胸が締め付けられる。
「もう、フラれたのかと思ったよっ……」
「はっ?
いや振るわけないだろっ。
誰にも渡さないし、絶対手離す気ないって言ったよな?」
うっわ嬉し!
嬉しすぎるけどっ……
「だって、もういーからって怒ってたじゃんっ」
「あぁ、あれは……
もう無理しなくていーからって言いたかったんだけど、エレベーター閉まるから短縮してしまって」
「いや、無理しなくていいってどーゆう……」
「だから、俺との事バレるの恥ずかしいだろ?
無理して弁解しなくてもわかってるから、って意味だったんだけど」
その瞬間、ぶわっと涙が溢れ出す。
あたしはまた悠世くんを傷付けたのに。
あんな惨めな思いをさせたのにっ。
悠世くんは、カミングアウトしなかったあたしに愛想つかすどころか。
言い分も聞かずに足早に帰ったのは、あたしに恥ずかしい思いをさせないためで……
「ごめん……
我慢させてばっかで、ほんとにごめんっ。
あたしがもっと早く話してれば、そんな思いさせずに済んだのにっ……」
「なんでだよっ。
俺が全部受け止めたいだけなんだから、甘えとけばいんだって。
それに俺も、いきなり抱きついて怖がらせたと思うし。
これでおあいこな?」
「もおっ、なんでそんなに優しいのっ?」
「別に優しくないって。
内心嫉妬だらけだし。
あいつには、俺の女に触ってんなよってめちゃくちゃブチ切れてるし」
俺の女!
うわーうわあ、それヤバいっ。
てゆうかブチ切れてたのっ?
「そ、そーなんだっ……
あの時は冷静そうだったのに」
「当たり前だろ?
粋の大事な仕事仲間にキレる訳にはいかないし。
粋の仕事ぶり見てたら、あの店が大好きなのが伝わってくるし。
だから俺も、その大好きな場所を大事にしたいんだ」
この人はどこまで……
どこまであたしの事ばっかなんだろう!
自分はどんなに傷付いても、惨めでも辛くても……
どこまで大事にしてくれるんだろうっ。
「ううっ……」
どうしょうもなく想いが溢れて、涙が後から後から溢れ出す。
だけどもう涙じゃ間に合わなくて。
膨らみすぎた気持ちは爆発しそうで。
恥ずかしさなんか吹き飛ばすくらい膨大で……
もう口から飛び出さずにはいられない。
そんなあたしを、ぎゅっと抱きしめてくれた悠世くんに……
あたしもぎゅううと抱きついた。
「好き……
悠世くんが大好きっ。
もう好きすぎて限界だよっ!」
ずっと伝えられなかったその言葉を、涙ながらにぶつけると。
悠世くんは一瞬固まって……
すぐに痛いくらい、その腕に締め付けられる。
「ヤバい俺、死にそうなくらい胸が痛いっ……
なんだよその破壊力」
いやあたしの身体も破壊されそうっ。
だけどハッとした様子で「ごめんっ」と腕を解かれて。
覗き込んできた吸い込まれそうな目にパチリと捕まる。
ドキッとして、好きの告白が今さら恥ずかしくなったあたしは思わず俯く。
うわ顔熱っ。
絶対真っ赤だ、暗くても恥ずかしい!
するとそれを隠すように、今度は優しく抱き包まれて……
「ん、俺も限界……
粋、愛してる」
愛しくてたまらなそうに、その顔があたしの頭に擦り付けられる。
愛っ!?
いやいやいやいや、ええっ!?
うそなにそれ、どーしよう!!
もう身悶えするほど、感激で愛しすぎて……
あたしたちは寒空の下。
お互いの想いを噛み締めるように、しばらくぎゅうっと抱き合ってた。
もういいって、フラれたって事?
いや、当然だよね。
いくら誤解でも、悠世くんにこんな惨めな思いさせて。
あんな辛そうな顔させてっ……
ぶわっと涙が溢れ出す。
何やってんのあたしっ……
もう傷付けたくなかったのに。
頑張るって決めたのに。
呑気に甘えてないで、さっさと付き合ってるって公表してれば、こんな事にはならなかったのに!
むしろ、さっきカミングアウトすればすむ話だったのにっ。
きっと言い分を聞こうともしてくれなかったのは……
いくら思い付かなかったからって、あんな場面でもカミングアウトしなかったあたしに。
恥ずかしいにもほどがあるだろって、愛想つかしたのかもしれないし。
今まで言えなかったのも、今言わないのも。
翔くんに未練があるからだろって、あたしが信じられなくなったのかもしれないし。
見たものや聞いた事から……
翔くんに乗り換えたんだと判断して、言い訳なんか聞きたくないって思ったのかもしれない。
なんにしても、どれだけショックだっただろう!
ごめんね悠世くん……
もう謝っても謝りきれないよっ。
「粋、あいつの事……」
後ろから翔くんが、切なげに声かける。
その続きが何かわかったあたしは、大きくコクンと頷いた。
「ごめん翔くん……
あたし、悠世くんが好きなの。
もう悠世くん以外、考えられないのっ……」
今さら口にしたって遅いけど。
それを1番に伝える相手が違うけど。
もう恥ずかしいとか逃げてらんないし、ちゃんと言わずにはいられなかった。
「やっぱそーだよな……
ごめん、わかってて邪魔した。
そしたら俺にもチャンスあるかなって。
けど、粋の事そんな泣かせるとか思わなくて……
ほんとにごめん」
「ううん、翔くんのせいじゃない。
あたしが自分でダメにしたんだよ」
ほんの数時間前の、あの幸せそうな笑顔も幸せも……
また自分で壊してしまった。
「……そーゆう、人を責めないとこも優しいとこも、ほんとにすげぇ好きだった。
俺、粋が吹っ切れるまでいくらでも待つけど……
どーしてもダメ?」
「……ごめん。
あたしはそんないい人間じゃないし。
翔くんとはこれからも、いい仕事仲間でいたい」
「……わかった。
てゆうしかないよな。
いい仕事仲間でいる自信ないけど……
邪魔したお詫びに、頑張ってみるよ」
「……ありがとう、翔くん」
こんなあたしを好きになってくれて。
勝手な要望に応えようとしてくれて。
そして……
そんなふうに、諦めない姿勢を教えてくれてありがとう。
そうだよ、フラれたからってなに?
だからって諦められるわけがない。
また傷付けちゃうのは嫌だけど。
それでも何度だって、今度こそ傷付けないように頑張りたい。
なにより、まずはちゃんと謝りたい。
だけど携帯を失くしてるぽいし、さすがに今日は遅い時間すぎるから。
いつどう謝ろうかと、頭を悩ませながらチャリ置場に向かってると。
そこを目前にした、ひと気のない脇道に入ったところで……
「浮気者」
その言葉と同時に、本日2度目のバックハグをくらう。
思わずビクッと、心臓が飛び出すんじゃないかってくらい恐怖したものの。
その声はよく知ってる大好きな……
「悠せっ」
振り向いた途端、頬に手を添えられて唇が塞がれた。
そしてグイと侵すように入って来た舌に、瞬時に身体が溶かされる。
だけど外だからか、すぐに解放されて。
「……なんで、いるのっ?」
あたしフラれたんじゃなかったのっ?
少し息を切らしながら、切なげに見つめる悠世くんに……
涙ぐみながら問いかける。
「や、今日終わるの遅かっただろ?
いつもんとこで車停めて待ってたら、近くの飲み屋に怒られてさっ。
急いで駐車場に停めに行ってたんだけど、ちょうど粋が帰ってたから走って追っかけてきたんだ」
「えっ、今日迎えに来るなんて一言もっ……」
「うん、疲れてたから仮眠取って起きれるか自信なかったし。
そんな状態じゃ、心配して断われると思ったから言わなかったんだけど。
起きたのギリギリだったから、慌てて携帯持って来るの忘れてさ」
「え、失くしたんじゃなかったのっ?」
「うん、取りに帰ってすれ違ったら困るから、そのまま待ってたんだけど。
なかなか来なかったから心配で、失くしたって口実で様子見に行ったんだ。
それなら携帯がないって事も間接的に伝えられると思ったし」
「なるほど……」
って。
あまりにいつも通りな悠世くんに流されたけど、そうじゃなくて!
「それよりっ、さっきはごめんなさい!」
「や、別にっ……
浮気者って言ったのは、妬きもちで言っただけだしっ」
「いやそれ以前にっ、怒ってないの?」
「なんで?
告られたんだろうけど、ちゃんと断ったんだろ?」
「うん、そーだけど……
なにも疑ってないの?」
「まぁあんな場面見た瞬間は、こんな時間まで2人で残って何してんだよって思ったけど……
でも今度こそ、粋の気持ちを信じ抜くって約束しただろ?」
そう言われて、ぎゅっと胸が締め付けられる。
「もう、フラれたのかと思ったよっ……」
「はっ?
いや振るわけないだろっ。
誰にも渡さないし、絶対手離す気ないって言ったよな?」
うっわ嬉し!
嬉しすぎるけどっ……
「だって、もういーからって怒ってたじゃんっ」
「あぁ、あれは……
もう無理しなくていーからって言いたかったんだけど、エレベーター閉まるから短縮してしまって」
「いや、無理しなくていいってどーゆう……」
「だから、俺との事バレるの恥ずかしいだろ?
無理して弁解しなくてもわかってるから、って意味だったんだけど」
その瞬間、ぶわっと涙が溢れ出す。
あたしはまた悠世くんを傷付けたのに。
あんな惨めな思いをさせたのにっ。
悠世くんは、カミングアウトしなかったあたしに愛想つかすどころか。
言い分も聞かずに足早に帰ったのは、あたしに恥ずかしい思いをさせないためで……
「ごめん……
我慢させてばっかで、ほんとにごめんっ。
あたしがもっと早く話してれば、そんな思いさせずに済んだのにっ……」
「なんでだよっ。
俺が全部受け止めたいだけなんだから、甘えとけばいんだって。
それに俺も、いきなり抱きついて怖がらせたと思うし。
これでおあいこな?」
「もおっ、なんでそんなに優しいのっ?」
「別に優しくないって。
内心嫉妬だらけだし。
あいつには、俺の女に触ってんなよってめちゃくちゃブチ切れてるし」
俺の女!
うわーうわあ、それヤバいっ。
てゆうかブチ切れてたのっ?
「そ、そーなんだっ……
あの時は冷静そうだったのに」
「当たり前だろ?
粋の大事な仕事仲間にキレる訳にはいかないし。
粋の仕事ぶり見てたら、あの店が大好きなのが伝わってくるし。
だから俺も、その大好きな場所を大事にしたいんだ」
この人はどこまで……
どこまであたしの事ばっかなんだろう!
自分はどんなに傷付いても、惨めでも辛くても……
どこまで大事にしてくれるんだろうっ。
「ううっ……」
どうしょうもなく想いが溢れて、涙が後から後から溢れ出す。
だけどもう涙じゃ間に合わなくて。
膨らみすぎた気持ちは爆発しそうで。
恥ずかしさなんか吹き飛ばすくらい膨大で……
もう口から飛び出さずにはいられない。
そんなあたしを、ぎゅっと抱きしめてくれた悠世くんに……
あたしもぎゅううと抱きついた。
「好き……
悠世くんが大好きっ。
もう好きすぎて限界だよっ!」
ずっと伝えられなかったその言葉を、涙ながらにぶつけると。
悠世くんは一瞬固まって……
すぐに痛いくらい、その腕に締め付けられる。
「ヤバい俺、死にそうなくらい胸が痛いっ……
なんだよその破壊力」
いやあたしの身体も破壊されそうっ。
だけどハッとした様子で「ごめんっ」と腕を解かれて。
覗き込んできた吸い込まれそうな目にパチリと捕まる。
ドキッとして、好きの告白が今さら恥ずかしくなったあたしは思わず俯く。
うわ顔熱っ。
絶対真っ赤だ、暗くても恥ずかしい!
するとそれを隠すように、今度は優しく抱き包まれて……
「ん、俺も限界……
粋、愛してる」
愛しくてたまらなそうに、その顔があたしの頭に擦り付けられる。
愛っ!?
いやいやいやいや、ええっ!?
うそなにそれ、どーしよう!!
もう身悶えするほど、感激で愛しすぎて……
あたしたちは寒空の下。
お互いの想いを噛み締めるように、しばらくぎゅうっと抱き合ってた。
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