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ジャックダニエルのトワイスアップ5
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どうしよう……
悠世くんは、あたしがあの時のディスり女だって気付いてるのかな?
結局フリースペースに向かうどころじゃなくなったあたしは、家に戻って今までの事を思い返す。
いや、気付いてたらあんなに仲良く出来るわけない!
じゃあそれを知ったらどうなるのかな……
どう思うかな?
しかもあたしはまた傷付けて……
もう完全に修復不可能じゃん!
クライアントとしては話してくれるだろうけど……
クライアント?
違う、悠世くんは気付いてる。
だから舞王との関係を隠して……
ー「地元のチームじゃないのにどんなきっかけで仲良くなったんですかっ?」
「えっ……
いやクライアントさんの1つなんで」ー
そう誤魔化したんだ。
だってよく考えたらいくら馬が合ったからって、他の市のクライアントさんとあんな仲良くなるわけないし。
そもそもK市に住んでたからって答えればすむ話なのに、それを隠して……
それに。
ー「筋金入りに思わせぶりな松本さんに言われたくねーしっ」ー
その発言が物語ってるし。
そんなあたしに人一倍壁を作ってるから、頑なに松本さん呼びなんだろう。
思えば最初の頃、あたしにだけ冷たい気がしてた。
あたしが京太くんと会いたくなかったように、きっと悠世くんも黒歴史のあたしと会いたくなかっただろう。
なのに一緒に仕事する事になって、どれだけ辛かっただろう。
にもかかわらず、あたしはほんとに呑気で……
トラウマを作った張本人のクセして。
ー「そーゆうのなんか重いし」
「ひどっ」ー
だなんて。
お前のせいだろって感じで、睨まれるのも当然だよね。
しかも翔くんの事とか京太くんの事とか……
あたしだけ一見普通に恋愛を重ねてる姿を見て、ムカついただろうし。
そんな相手から強引に距離を縮められて、ほんとは嫌だったんじゃ?
それでもあんなに仲良くしてくれて、ちゃんと相棒でいてくれて……
いつも助けてくれて、優しくて。
心配してくれたり、元気付けてくれたり、守ろうとしてくれたり、相談に乗ってくれたり……
もうっ、なんでそんなに優しいのっ?
それなのにあたしはまた傷付けて……
ー「僕も松本さんは、絶対無理なんで」ー
当然だよね。
あぁもう消えてしまいたい!
トラブルどころかトラウマメーカーにまでなってたあたしなんか、いなくなった方が平和だよっ。
ポロポロ涙が零れ落ちる。
ごめんね、悠世くん……
こんなあたしにはもう、好きでいる資格すらないよね。
だけど、気付けば会いたくて。
好きな気持ちは止められなくて。
このまま会わなかったら、そのうち忘れられるかもしれないのに。
うちがクライアントでいる間は、嫌でも顔を合わせなきゃいけなくて。
だからってどんな顔して会えばいいのっ?
奥のテーブル席のオーダーから、ため息と一緒に戻ってくると。
「お疲れ、なんか元気ないな?」
連絡もしてないのに、いきなりカウンターに悠世くんの姿!
「お、つかれっ……」
瞬時に胸を掴まれて、言葉に詰まる。
「つか、なんかあった?
目も腫れてる気がするけど……」
もうっ、だからなんでそんなに優しいのっ?
散々傷付けてトラウマ作ったあたしだよっ!?
じわりとまた涙が込み上げてくる。
「……うん、あった。
あのね悠世くん……」
ちゃんと面と向かって謝りたかったし、昨日はまだ連絡する勇気が持てなかったけど。
申し訳なさすぎて、もう謝らずにはいられない。
「あの時はひどい事言ってごめんなさいっ!」
「はっ?
いや別にっ……
俺の方こそ、売り言葉に買い言葉みたいになってごめん」
え、それってこの前の?
「いやそれもなんだけどっ、そーじゃなくて……
てゆうか悠世くんは謝らないでよっ。
この前も、でもそれ以上に……
10年前の事、ほんとにごめんっ」
「っ、なんでそれっ……
いつ気付いたんだよっ」
途端、そう狼狽える様子に。
やっぱり気付いてたんだ……
「昨日、出張で来た舞王の旗士さんと偶然会って……
話の流れで」
「っ、マジか」
片肘ついた手に顔を埋める悠世くん。
「でもガキん時の話だしっ、松本さんは悪くないし。
今はちゃんと、わかってるから」
「わかってる?」
いや逆にあたしが悪くない意味がわからない。
「うん……
相手につい合わせてしまっただけで、本心じゃなかったんだろ?」
その瞬間。
ぶわっと、不可抗力に涙が溢れ出して……
「っ、ごめんっ」
慌ててそれを厨房に連れ去った。
なんでっ?
確かに悠世くんには色々語ったけど、明確にそれを話したわけじゃなのに……
なんでわかってくれるのっ?
「え、粋っ?
どーしたんだよっ、なにがあったんだ!?」
泣きながら厨房に駆け込んできたあたしに、焦る翔くん。
「ごめっ、なんでもないのっ……
邪魔してごめんねっ」
なのに翔くんは作業を中断して、怒った様子でズカズカとホールに向かった。
「えっ、待って翔くんっ……
ほんとになんでもないからっ」
だけど、特に異変のない店内で……
戸惑ってる悠世くんを見て、ピンときたんだろう。
「粋の事泣かしたの、白濱さんすか?」
「わ~!違うの翔くんっ、あたしが悪いのっ」
「だからって泣かす事なくないすかっ?」
「だから違うのっ、あたしが勝手に泣いただけでっ」
とそこで、あたしの言葉を遮って。
「すいませんでした……
今日は帰ります」
苦しげにそう応えて、帰っていった悠世くん。
うわ~!どうしようっ。
「ごめん……
粋の事が心配で、つい頭にきて」
「ううん、心配してくれてありがとう。
でもほんとに大丈夫だから」
「ん、でも俺……
どんな些細な事でも、なんでも聞くよ?」
「っ……ありがとう。
その時はよろしくね?」
うわーん、こんなダメダメな人間なのにっ。
今度は翔くんの優しさに泣きそうだよ。
悠世くんは、あたしがあの時のディスり女だって気付いてるのかな?
結局フリースペースに向かうどころじゃなくなったあたしは、家に戻って今までの事を思い返す。
いや、気付いてたらあんなに仲良く出来るわけない!
じゃあそれを知ったらどうなるのかな……
どう思うかな?
しかもあたしはまた傷付けて……
もう完全に修復不可能じゃん!
クライアントとしては話してくれるだろうけど……
クライアント?
違う、悠世くんは気付いてる。
だから舞王との関係を隠して……
ー「地元のチームじゃないのにどんなきっかけで仲良くなったんですかっ?」
「えっ……
いやクライアントさんの1つなんで」ー
そう誤魔化したんだ。
だってよく考えたらいくら馬が合ったからって、他の市のクライアントさんとあんな仲良くなるわけないし。
そもそもK市に住んでたからって答えればすむ話なのに、それを隠して……
それに。
ー「筋金入りに思わせぶりな松本さんに言われたくねーしっ」ー
その発言が物語ってるし。
そんなあたしに人一倍壁を作ってるから、頑なに松本さん呼びなんだろう。
思えば最初の頃、あたしにだけ冷たい気がしてた。
あたしが京太くんと会いたくなかったように、きっと悠世くんも黒歴史のあたしと会いたくなかっただろう。
なのに一緒に仕事する事になって、どれだけ辛かっただろう。
にもかかわらず、あたしはほんとに呑気で……
トラウマを作った張本人のクセして。
ー「そーゆうのなんか重いし」
「ひどっ」ー
だなんて。
お前のせいだろって感じで、睨まれるのも当然だよね。
しかも翔くんの事とか京太くんの事とか……
あたしだけ一見普通に恋愛を重ねてる姿を見て、ムカついただろうし。
そんな相手から強引に距離を縮められて、ほんとは嫌だったんじゃ?
それでもあんなに仲良くしてくれて、ちゃんと相棒でいてくれて……
いつも助けてくれて、優しくて。
心配してくれたり、元気付けてくれたり、守ろうとしてくれたり、相談に乗ってくれたり……
もうっ、なんでそんなに優しいのっ?
それなのにあたしはまた傷付けて……
ー「僕も松本さんは、絶対無理なんで」ー
当然だよね。
あぁもう消えてしまいたい!
トラブルどころかトラウマメーカーにまでなってたあたしなんか、いなくなった方が平和だよっ。
ポロポロ涙が零れ落ちる。
ごめんね、悠世くん……
こんなあたしにはもう、好きでいる資格すらないよね。
だけど、気付けば会いたくて。
好きな気持ちは止められなくて。
このまま会わなかったら、そのうち忘れられるかもしれないのに。
うちがクライアントでいる間は、嫌でも顔を合わせなきゃいけなくて。
だからってどんな顔して会えばいいのっ?
奥のテーブル席のオーダーから、ため息と一緒に戻ってくると。
「お疲れ、なんか元気ないな?」
連絡もしてないのに、いきなりカウンターに悠世くんの姿!
「お、つかれっ……」
瞬時に胸を掴まれて、言葉に詰まる。
「つか、なんかあった?
目も腫れてる気がするけど……」
もうっ、だからなんでそんなに優しいのっ?
散々傷付けてトラウマ作ったあたしだよっ!?
じわりとまた涙が込み上げてくる。
「……うん、あった。
あのね悠世くん……」
ちゃんと面と向かって謝りたかったし、昨日はまだ連絡する勇気が持てなかったけど。
申し訳なさすぎて、もう謝らずにはいられない。
「あの時はひどい事言ってごめんなさいっ!」
「はっ?
いや別にっ……
俺の方こそ、売り言葉に買い言葉みたいになってごめん」
え、それってこの前の?
「いやそれもなんだけどっ、そーじゃなくて……
てゆうか悠世くんは謝らないでよっ。
この前も、でもそれ以上に……
10年前の事、ほんとにごめんっ」
「っ、なんでそれっ……
いつ気付いたんだよっ」
途端、そう狼狽える様子に。
やっぱり気付いてたんだ……
「昨日、出張で来た舞王の旗士さんと偶然会って……
話の流れで」
「っ、マジか」
片肘ついた手に顔を埋める悠世くん。
「でもガキん時の話だしっ、松本さんは悪くないし。
今はちゃんと、わかってるから」
「わかってる?」
いや逆にあたしが悪くない意味がわからない。
「うん……
相手につい合わせてしまっただけで、本心じゃなかったんだろ?」
その瞬間。
ぶわっと、不可抗力に涙が溢れ出して……
「っ、ごめんっ」
慌ててそれを厨房に連れ去った。
なんでっ?
確かに悠世くんには色々語ったけど、明確にそれを話したわけじゃなのに……
なんでわかってくれるのっ?
「え、粋っ?
どーしたんだよっ、なにがあったんだ!?」
泣きながら厨房に駆け込んできたあたしに、焦る翔くん。
「ごめっ、なんでもないのっ……
邪魔してごめんねっ」
なのに翔くんは作業を中断して、怒った様子でズカズカとホールに向かった。
「えっ、待って翔くんっ……
ほんとになんでもないからっ」
だけど、特に異変のない店内で……
戸惑ってる悠世くんを見て、ピンときたんだろう。
「粋の事泣かしたの、白濱さんすか?」
「わ~!違うの翔くんっ、あたしが悪いのっ」
「だからって泣かす事なくないすかっ?」
「だから違うのっ、あたしが勝手に泣いただけでっ」
とそこで、あたしの言葉を遮って。
「すいませんでした……
今日は帰ります」
苦しげにそう応えて、帰っていった悠世くん。
うわ~!どうしようっ。
「ごめん……
粋の事が心配で、つい頭にきて」
「ううん、心配してくれてありがとう。
でもほんとに大丈夫だから」
「ん、でも俺……
どんな些細な事でも、なんでも聞くよ?」
「っ……ありがとう。
その時はよろしくね?」
うわーん、こんなダメダメな人間なのにっ。
今度は翔くんの優しさに泣きそうだよ。
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