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トロイの木馬3
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販促も微力ながら功を奏して、先週いい数字をあげれたあたしは……
今週も頑張ろうと意気込んで、月曜日を迎えると。
「あれ、白濱さん!
どーしたんですかっ?今日打ち合わせじゃないですよねっ?」
思わぬ人の来店で心が躍る。
「はい。松本さんが寂しいって言ってたんで、顔出そうと思って」
「マジっすかっ!」
それで来てくれたんだっ?
うそ嬉しい~!
「てゆうのは冗談で。
次のアポまで時間があるんで、その間に腹ごしらえしとこーと思って」
冗談かよ!
あたしの感動を返せっ。
てゆうかそんな冗談言うんだ……
「はは、ご利用ありがとうございまーす」
「いえ、自炊しないんでどうせいつも外食だし。
クライアントさんのお店を利用すれば仕事に活かせるし、恩も売れるし一石二鳥かなって」
そっちが本音かい!出たな黒濱っ。
「なのでこれからもちょくちょく寄らせてもらいます」
まぁそれはそれで嬉しいかも。
「はいっ、うちはいつでも大歓迎ですっ」
それから白濱さんは、3日に1度くらいのペースで来てくれるようになった。
そして10日ほど過ぎた頃。
その日も黒濱めが恩を売りに来ていると……
またしても、懲りないお方がお出ましになりました。
うわ~、今日は店長もマイマイも休みなのにどーしよう!
しかも逃げられないようにか、ちゃっかり白濱さんの隣に座ったとゆう。
なかなかの策士め~。
あぁも恥ずかしいけど……
翔くんがいるからほんと恥ずかしいけどっ……
いつまでも逃げてばかりじゃいられない。
「い、いらっしゃい京太くんっ」
「あ、Coronaで。
あと粋……
この前は責めるような事言って、ごめん」
いやそれよりも、ここでそんな話されるの自体嫌なんだけどっ。
「でも俺、どーしても粋の事諦められないんだ!」
だからそーゆー話をやめっ……
って、諦められない!?
いや忘れられないとは言ってたけど……
賀来さんの「未練アリアリ?」にはっきりイエスを出さなかったし、マイマイの誘導に流されただけだと思ってた。
でも諦められないだと、復縁したいと言ってるようなもんで……
え、これガチなヤツ!?
不意のガチ告白もどきに、ボワっと顔が熱くなる。
うわ、くっそ恥ずかしい……
ヤバい、死ぬほど恥ずかしいっ……
俯きながら、Coronaを「どーぞ」と差し出すと。
「粋、グレープフルーツ絞ってくれる?
もう1本しかないから」
いいタイミングで翔くんから作業要請。
「う、うんっ」
すぐにカウンター奥の作業場に避難した。
てゆうか助けてくれたのっ?
だとしたら嬉しすぎるっ。
って、逃げちゃダメじゃん!
ガチ告白もどきをスルーしてどーすんのっ。
あたしってほんと、どんだけ京太くんに失礼なんだろ……
グレープフルーツをジューサーにかけながら、チラリとその人を覗くと。
え、白濱さんとなに話してんのっ?
すっごい気になるんですけど……
とりあえず、ジュースを1本仕上げると。
あれ、3本になった……
ってことはやっぱり翔くんの助け船だったんだ!
うわ、翔くん大好きありがとうっ。
そんなクールダウンのおかげで、覚悟を決めて再び京太くんのところに戻ると。
「なぁ粋っ、今でもYOSAKOI見に行ってるのかっ?」
話飛んだなぁ!
さっきの返事はもういーのっ?
「当たり前じゃん。元気の源だし」
質問に答えながらも。
もしかして白濱さんがなにか言ってくれたのかな?今度京太くんがいない時に聞いてみよ、となにげにそっちを見たら……
驚き顔の白濱さんとバチっと目が合う。
「え、どしたんですかっ?」
「……や、YOSAKOI好きなんですか?」
「はい。
え、もしかして白濱さんも好きなんですかっ?」
「いえ別に」
なんやねーん!
じゃあなんの驚きだったわけっ?
「ただ、来月のYOSAKOI祭りのガイドブック制作に、僕も携わってるんで」
「そーなんですかっ!?
え、すごい白濱さんっ。
なんかいろいろ教えてください!」
「いや別にすごくないし、特に教える事もないですし。
それ以前に……
YOSAKOIってダサくないですか?」
なっにぃ~!
なんて事ゆーんだこの黒濱めっ。
「いやぜんっぜんダサくないですねー。
むしろ、超~絶カッコいいですけどっ。
パンフレット制作に関わってるくせに、YOSAKOIの良さも見つけられなかったんですかっ?」
なんて怒りをぶつける一方で……
それを昔の自分にも向けていた。
あの時もちゃんとそう言えたら、初恋のショウくんを傷付けずに済んだのに……
「……熱いですね、松本さん」
ダメだ、この男あたしの怒りなんかものともしてないっ。
「はは、白濱さんがクールすぎるんだと思います」
「それより粋。その来月のYOSAKOI祭り、一緒に行かないか?」
そこで話を戻してきた京太くん。
一緒にぃ?
なるほど、それでこの話題を振ってきたわけか。
変に気を持たせたくないから断りたいけど、懲りない京太くんは断っても来そうだし……
「ごめん、来月のは用事で行けなくて。
他のに行こうかなって」
「他のっていつ?」
「それはクイズです。
どれに行くか当たったら一緒に行くって事で」
「まじかっ」
といって実は他のが、日時や開催地的にいけないから、当たりはないとゆう黒っ子粋ちゃん。
すると白濱さんから悲しいお知らせ。
「すいません、次の打ち合わせがあるんで帰ります」
そうだ今日もそーだった!
白濱さんの助けまでなくて、この後大丈夫なんだろーか……
「じゃあまた明日待ってますね~」
「明日?
なんかありましたっけ?」
「いえ、早く会いたいなーって」
早く京太くんとなに話したか聞きたいっ。
途端、白濱さんはまた驚き顔を見せて……
片手で顔を覆って深いため息をつく。
え、もしかして変な意味に受け取ったんじゃ……
いや受け取るわ!
会いたいじゃ意図伝わんないだろーし、なに言っちゃってんのあたしっ。
「いえあのっ……
今回は貪欲に攻めてみました~」
「ここキャバクラですか?」
「いえ、すいません……」
うう、相変わらず手厳しいな。
そして呆れ顔の白濱さんを見送ると。
「粋」「粋」
前と横からステレオ呼び掛け。
そんでとっさに顔を向け合うその2人。
えーと、本来は当然お客様を優先するとこだけど……
ごめん京太くんっ。
「なに?翔くん」
と好きな人を優先すると。
「会いたいはマズいと思う」
なんと、耳打ちでダメ出しを喰らう。
うわあ!なにこれっ……
鼓膜溶けるからっ。
今週も頑張ろうと意気込んで、月曜日を迎えると。
「あれ、白濱さん!
どーしたんですかっ?今日打ち合わせじゃないですよねっ?」
思わぬ人の来店で心が躍る。
「はい。松本さんが寂しいって言ってたんで、顔出そうと思って」
「マジっすかっ!」
それで来てくれたんだっ?
うそ嬉しい~!
「てゆうのは冗談で。
次のアポまで時間があるんで、その間に腹ごしらえしとこーと思って」
冗談かよ!
あたしの感動を返せっ。
てゆうかそんな冗談言うんだ……
「はは、ご利用ありがとうございまーす」
「いえ、自炊しないんでどうせいつも外食だし。
クライアントさんのお店を利用すれば仕事に活かせるし、恩も売れるし一石二鳥かなって」
そっちが本音かい!出たな黒濱っ。
「なのでこれからもちょくちょく寄らせてもらいます」
まぁそれはそれで嬉しいかも。
「はいっ、うちはいつでも大歓迎ですっ」
それから白濱さんは、3日に1度くらいのペースで来てくれるようになった。
そして10日ほど過ぎた頃。
その日も黒濱めが恩を売りに来ていると……
またしても、懲りないお方がお出ましになりました。
うわ~、今日は店長もマイマイも休みなのにどーしよう!
しかも逃げられないようにか、ちゃっかり白濱さんの隣に座ったとゆう。
なかなかの策士め~。
あぁも恥ずかしいけど……
翔くんがいるからほんと恥ずかしいけどっ……
いつまでも逃げてばかりじゃいられない。
「い、いらっしゃい京太くんっ」
「あ、Coronaで。
あと粋……
この前は責めるような事言って、ごめん」
いやそれよりも、ここでそんな話されるの自体嫌なんだけどっ。
「でも俺、どーしても粋の事諦められないんだ!」
だからそーゆー話をやめっ……
って、諦められない!?
いや忘れられないとは言ってたけど……
賀来さんの「未練アリアリ?」にはっきりイエスを出さなかったし、マイマイの誘導に流されただけだと思ってた。
でも諦められないだと、復縁したいと言ってるようなもんで……
え、これガチなヤツ!?
不意のガチ告白もどきに、ボワっと顔が熱くなる。
うわ、くっそ恥ずかしい……
ヤバい、死ぬほど恥ずかしいっ……
俯きながら、Coronaを「どーぞ」と差し出すと。
「粋、グレープフルーツ絞ってくれる?
もう1本しかないから」
いいタイミングで翔くんから作業要請。
「う、うんっ」
すぐにカウンター奥の作業場に避難した。
てゆうか助けてくれたのっ?
だとしたら嬉しすぎるっ。
って、逃げちゃダメじゃん!
ガチ告白もどきをスルーしてどーすんのっ。
あたしってほんと、どんだけ京太くんに失礼なんだろ……
グレープフルーツをジューサーにかけながら、チラリとその人を覗くと。
え、白濱さんとなに話してんのっ?
すっごい気になるんですけど……
とりあえず、ジュースを1本仕上げると。
あれ、3本になった……
ってことはやっぱり翔くんの助け船だったんだ!
うわ、翔くん大好きありがとうっ。
そんなクールダウンのおかげで、覚悟を決めて再び京太くんのところに戻ると。
「なぁ粋っ、今でもYOSAKOI見に行ってるのかっ?」
話飛んだなぁ!
さっきの返事はもういーのっ?
「当たり前じゃん。元気の源だし」
質問に答えながらも。
もしかして白濱さんがなにか言ってくれたのかな?今度京太くんがいない時に聞いてみよ、となにげにそっちを見たら……
驚き顔の白濱さんとバチっと目が合う。
「え、どしたんですかっ?」
「……や、YOSAKOI好きなんですか?」
「はい。
え、もしかして白濱さんも好きなんですかっ?」
「いえ別に」
なんやねーん!
じゃあなんの驚きだったわけっ?
「ただ、来月のYOSAKOI祭りのガイドブック制作に、僕も携わってるんで」
「そーなんですかっ!?
え、すごい白濱さんっ。
なんかいろいろ教えてください!」
「いや別にすごくないし、特に教える事もないですし。
それ以前に……
YOSAKOIってダサくないですか?」
なっにぃ~!
なんて事ゆーんだこの黒濱めっ。
「いやぜんっぜんダサくないですねー。
むしろ、超~絶カッコいいですけどっ。
パンフレット制作に関わってるくせに、YOSAKOIの良さも見つけられなかったんですかっ?」
なんて怒りをぶつける一方で……
それを昔の自分にも向けていた。
あの時もちゃんとそう言えたら、初恋のショウくんを傷付けずに済んだのに……
「……熱いですね、松本さん」
ダメだ、この男あたしの怒りなんかものともしてないっ。
「はは、白濱さんがクールすぎるんだと思います」
「それより粋。その来月のYOSAKOI祭り、一緒に行かないか?」
そこで話を戻してきた京太くん。
一緒にぃ?
なるほど、それでこの話題を振ってきたわけか。
変に気を持たせたくないから断りたいけど、懲りない京太くんは断っても来そうだし……
「ごめん、来月のは用事で行けなくて。
他のに行こうかなって」
「他のっていつ?」
「それはクイズです。
どれに行くか当たったら一緒に行くって事で」
「まじかっ」
といって実は他のが、日時や開催地的にいけないから、当たりはないとゆう黒っ子粋ちゃん。
すると白濱さんから悲しいお知らせ。
「すいません、次の打ち合わせがあるんで帰ります」
そうだ今日もそーだった!
白濱さんの助けまでなくて、この後大丈夫なんだろーか……
「じゃあまた明日待ってますね~」
「明日?
なんかありましたっけ?」
「いえ、早く会いたいなーって」
早く京太くんとなに話したか聞きたいっ。
途端、白濱さんはまた驚き顔を見せて……
片手で顔を覆って深いため息をつく。
え、もしかして変な意味に受け取ったんじゃ……
いや受け取るわ!
会いたいじゃ意図伝わんないだろーし、なに言っちゃってんのあたしっ。
「いえあのっ……
今回は貪欲に攻めてみました~」
「ここキャバクラですか?」
「いえ、すいません……」
うう、相変わらず手厳しいな。
そして呆れ顔の白濱さんを見送ると。
「粋」「粋」
前と横からステレオ呼び掛け。
そんでとっさに顔を向け合うその2人。
えーと、本来は当然お客様を優先するとこだけど……
ごめん京太くんっ。
「なに?翔くん」
と好きな人を優先すると。
「会いたいはマズいと思う」
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