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出会い2
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そんな中。
ラピズという名を、どこかで聞いた名だと思い……
そうだ!と。
ヴィオラの恋人ではないかと、疑いをかけていた男だと思い出したのだ。
シュトラント公爵から、2人は兄妹のような関係だと聞いていたサイフォスは……
公爵が嘘をついたのか、ヴィオラが公爵に隠していたのかは、分からなかったものの。
やはり恋人だったのかと、頭を抱えずにはいられなかった。
そしてふと、あんな顔だったか?と新たな疑問が浮上して。
ランド・スピアーズとは違う、ラピズの顔を思い返し……
その顔を目にした、ヴィオラと出会った日の事を思い返したのだった。
*
*
*
すべての国民に行き届く、手厚い政策を心掛けていたサイフォスは……
貧民にもしっかり目を向けようと、その裏事情まで把握するために、自ら視察を重ねていた。
とはいえ。
アンダーグラウンドで行われている事や悪事等が、容易く見つけられるはずもなく。
ましてや王族の前では、ありのままの状態が晒されるはずもなく。
そのため視察時は、モエの伝説魔法で子供の姿になっていた。
そう、大人の男性では警戒されて、真の現状を見極められない可能性があるからだ。
そしてその魔法を使える事が、モエが国宝魔術士と位置付けられた一番の理由だったのだ。
しかし。
自身の都合で他の命を犠牲にする術を嫌っているサイフォスは、例の如く代価でそれを行っており。
それがモエから、少しはご自愛くださいませと言われた所以であり。
それゆえウォルター卿には秘密にしていた。
そのため視察には、それ専用の護衛を忍ばせており。
姿を変えている事は、その者とモエしか知らない極秘情報だったのだ。
というのも。
上層部に知られれば、猛反対されるに違いなく。
さらには子供の姿の時に、反逆者から暗殺を企てられる可能性もあるからだ。
もちろん極秘状態も危険ではあったが……
だからこそ、王になったら出来ない事だと判断し。
言い出したら聞かない性質も手伝って、実行に至っていたのだった。
そうやって、その日も視察に赴くと……
その地域は祭りで賑わっており。
人々の活気に溢れた様子に、サイフォスは心を和ませていた。
するとその雑踏に紛れて、金品を盗んでいる男を見つけたため。
サイフォスは人混みと路地裏を潜り抜け、すぐさまその者の後を追ったのだった。
ところがかなりの距離を逃亡したその男に、ようやく追いつくと思った矢先。
角を曲がったところで、待ち伏せしていたその男に逆に捕まりそうになる。
瞬時に躱したものの。
辺りには、男の仲間らしき者がたむろっており……
すぐに囲まれてしまう。
ーーしまった!
サイフォスは己の軽率な行動を後悔する。
そう、護衛の者は子供の身体のサイフォスと違って、あの人混みをすぐに移動するのは困難だった。
しかも極秘任務のため、目立った追跡をするわけにもいかず、はぐれてしまったのだ。
「お前、何もんだ?」
逃亡していた男が、そう詰め寄る。
子供のくせに、足の速さが自慢の自分に追い付き。
尚且つ不意打ちで捕えようとするも、瞬時に躱されたからだ。
「……何者でもないさ。
ただ、悪事を見逃せないだけだ」
「ハッ!
身体能力に自信があるみてぇだか、ずいぶん命知らずなガキだな」
そう笑って、男はナイフを取り出した。
ーークソッ、子供の身体じゃなければ、こんな奴らどうって事ないのにっ……
男の構え方や、仲間の隙だらけな様子からそう判断するも。
事実その身体と忍ばせている短剣では、かなりの痛手を負うだろうと、焦るサイフォス。
ーー剣を携えてる奴は3人か……
そいつらが剣を抜く前に、どれだけヤれるかだな。
そう短剣に手をかけようとした時だった。
「あなたたち、そこで何をしているのっ!?」
貴族らしき令嬢が、息を切らして駆け込んできた。
そう、その令嬢こそがヴィオラだったのだ。
ラピズという名を、どこかで聞いた名だと思い……
そうだ!と。
ヴィオラの恋人ではないかと、疑いをかけていた男だと思い出したのだ。
シュトラント公爵から、2人は兄妹のような関係だと聞いていたサイフォスは……
公爵が嘘をついたのか、ヴィオラが公爵に隠していたのかは、分からなかったものの。
やはり恋人だったのかと、頭を抱えずにはいられなかった。
そしてふと、あんな顔だったか?と新たな疑問が浮上して。
ランド・スピアーズとは違う、ラピズの顔を思い返し……
その顔を目にした、ヴィオラと出会った日の事を思い返したのだった。
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すべての国民に行き届く、手厚い政策を心掛けていたサイフォスは……
貧民にもしっかり目を向けようと、その裏事情まで把握するために、自ら視察を重ねていた。
とはいえ。
アンダーグラウンドで行われている事や悪事等が、容易く見つけられるはずもなく。
ましてや王族の前では、ありのままの状態が晒されるはずもなく。
そのため視察時は、モエの伝説魔法で子供の姿になっていた。
そう、大人の男性では警戒されて、真の現状を見極められない可能性があるからだ。
そしてその魔法を使える事が、モエが国宝魔術士と位置付けられた一番の理由だったのだ。
しかし。
自身の都合で他の命を犠牲にする術を嫌っているサイフォスは、例の如く代価でそれを行っており。
それがモエから、少しはご自愛くださいませと言われた所以であり。
それゆえウォルター卿には秘密にしていた。
そのため視察には、それ専用の護衛を忍ばせており。
姿を変えている事は、その者とモエしか知らない極秘情報だったのだ。
というのも。
上層部に知られれば、猛反対されるに違いなく。
さらには子供の姿の時に、反逆者から暗殺を企てられる可能性もあるからだ。
もちろん極秘状態も危険ではあったが……
だからこそ、王になったら出来ない事だと判断し。
言い出したら聞かない性質も手伝って、実行に至っていたのだった。
そうやって、その日も視察に赴くと……
その地域は祭りで賑わっており。
人々の活気に溢れた様子に、サイフォスは心を和ませていた。
するとその雑踏に紛れて、金品を盗んでいる男を見つけたため。
サイフォスは人混みと路地裏を潜り抜け、すぐさまその者の後を追ったのだった。
ところがかなりの距離を逃亡したその男に、ようやく追いつくと思った矢先。
角を曲がったところで、待ち伏せしていたその男に逆に捕まりそうになる。
瞬時に躱したものの。
辺りには、男の仲間らしき者がたむろっており……
すぐに囲まれてしまう。
ーーしまった!
サイフォスは己の軽率な行動を後悔する。
そう、護衛の者は子供の身体のサイフォスと違って、あの人混みをすぐに移動するのは困難だった。
しかも極秘任務のため、目立った追跡をするわけにもいかず、はぐれてしまったのだ。
「お前、何もんだ?」
逃亡していた男が、そう詰め寄る。
子供のくせに、足の速さが自慢の自分に追い付き。
尚且つ不意打ちで捕えようとするも、瞬時に躱されたからだ。
「……何者でもないさ。
ただ、悪事を見逃せないだけだ」
「ハッ!
身体能力に自信があるみてぇだか、ずいぶん命知らずなガキだな」
そう笑って、男はナイフを取り出した。
ーークソッ、子供の身体じゃなければ、こんな奴らどうって事ないのにっ……
男の構え方や、仲間の隙だらけな様子からそう判断するも。
事実その身体と忍ばせている短剣では、かなりの痛手を負うだろうと、焦るサイフォス。
ーー剣を携えてる奴は3人か……
そいつらが剣を抜く前に、どれだけヤれるかだな。
そう短剣に手をかけようとした時だった。
「あなたたち、そこで何をしているのっ!?」
貴族らしき令嬢が、息を切らして駆け込んできた。
そう、その令嬢こそがヴィオラだったのだ。
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