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真相3
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*
*
「ヴィオラに恋人はいるのかと訊かれた時は、思わずいないと嘘をついてしまったゆえ。
どうなる事かと思ったが、いや本当に良かった!」
「っっ!
そんな経緯が……
それはさぞかし、生きた心地がしなかったでしょうっ……」
そう、王太子を騙して結婚に漕ぎ着けるなど、結婚詐欺も同然で……
犯した罪の大きさを知らしめるように、ラピズがそう嫌味をこぼすも。
結果的に上手く事が運んだため、シュトラント公爵は武勇伝のように続けた。
「しかもそれだけじゃないっ。
事前に調査もしていたようで、ラピズが恋人じゃないかと疑われたが……
娘は心優しい性質ゆえ、家臣でも対等に接しているのだと。
ラピズとは幼い頃からそうしていたため、兄妹のような関係だと。
生きた心地がしない心境下で、さらなる疑念を晴らしただけじゃなく、娘の売り込みまでやってのけたんだっ。
自力でここまで成り上がって来た、この精神力があってこそ!出来た事だろうっ」
意気揚々と語る公爵に。
ラピズは込み上げてくる怒りを必死に抑えながら、苦笑いを返した。
「まぁお前には悪い事をしたが、その分優遇してやるし。
お前も公爵家の騎士に昇格出来たわけだから。
その上その器量なら、さらなる良縁を掴めるだろう」
*
*
*
つまりサイフォスは……
ヴィオラの状況も考えず、一方的に求婚したわけではなく。
事前にちゃんと、交際相手がいないか調査を入れ。
それにより、ラピズが恋人ではないかと見当をつけたものの。
2人の関係は秘密にされていたため、シュトラント公爵に真相を尋ね。
その結果、正式に求婚したことになる。
ーー嘘でしょ……
じゃあ殿下は、微塵も悪くないじゃない!
なのに私は、あれほど非礼な態度をとって……
あんなに傷付けてっ……
胸が潰れそうになるヴィオラ。
その様子を見たラピズは、父親のした事に傷付いているのだと勘違いして。
話した事を後悔する。
「……ごめん。
やっぱり言わなきゃよかった」
「ううんっ。
こんな言いにくい事を、話してくれてありがとう……
でもね?
この真相を知ったからには、もう護衛騎士をしてもらうわけにはいかないわ」
「っ、どうして!」
「危険だからよっ!
王族に詐欺みたいな真似をするなんて、バレたら処刑は免れないわっ」
そう、騙したシュトラント公爵はもちろん。
結果的に結婚したヴィオラも、実行犯として同罪になってしまうのだ。
その点ラピズは、被害者のひとりでしかないが……
偽りの姿や素性で王族を欺いて、王宮に潜入し。
実行犯にあたる元恋人の側にいるとなれば、グルだと証明しているようなものだった。
そのためヴィオラは、罪のないラピズだけでも助けたかったのだ。
そしてもうひとつ。
これ以上サイフォスを傷付けたくなかったからだ。
ただでさえ、騙した上に散々傷付けてしまったというのに……
秘密裏に元恋人と一緒にいるなど、裏切ってるも同然だからだ。
「けどどうやってバレるって言うんだよっ」
ラピズがそう思うのはもっともで。
この真相を知っている3人が、自ら処刑されるような事を暴露するはずなどなかった。
「またお父様が、誰かに口を滑らせるかもしれないでしょう!?」
ヴィオラがそう思うのも当然で。
この真相を知って1番恨む相手に口を滑らせた事を考えると、その可能性は充分にあった。
「っ、だとしても……
俺は身を引いて失踪した事になってるから、結果的には問題ないだろっ」
「でももしラピズが、ランド・スピアーズだってバレたらどうするのっ?
恋人だと疑われてた状況で、伝説魔法を使ってまで一緒にいたら。
やっぱりそういう関係だって、立証してるようなものじゃないっ」
そう、やましい関係でなければ……
リモネのように、正式に迎え入れるはずなのだ。
「だから魔法でバレないって!」
「本当にっ?
そう言い切れる根拠があるのっ?」
「あるよっ。
ニケに……あ、この伝説魔法をかけてくれた魔術士に、教えてもらったんだ。
王宮には、全ての魔法を無効化させる部屋があるって。
けどその魔術士の魔法は、無効化されないらしくて。
実際それらしき部屋に通されけど、結果的にバレてないだろ?」
*
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「ヴィオラに恋人はいるのかと訊かれた時は、思わずいないと嘘をついてしまったゆえ。
どうなる事かと思ったが、いや本当に良かった!」
「っっ!
そんな経緯が……
それはさぞかし、生きた心地がしなかったでしょうっ……」
そう、王太子を騙して結婚に漕ぎ着けるなど、結婚詐欺も同然で……
犯した罪の大きさを知らしめるように、ラピズがそう嫌味をこぼすも。
結果的に上手く事が運んだため、シュトラント公爵は武勇伝のように続けた。
「しかもそれだけじゃないっ。
事前に調査もしていたようで、ラピズが恋人じゃないかと疑われたが……
娘は心優しい性質ゆえ、家臣でも対等に接しているのだと。
ラピズとは幼い頃からそうしていたため、兄妹のような関係だと。
生きた心地がしない心境下で、さらなる疑念を晴らしただけじゃなく、娘の売り込みまでやってのけたんだっ。
自力でここまで成り上がって来た、この精神力があってこそ!出来た事だろうっ」
意気揚々と語る公爵に。
ラピズは込み上げてくる怒りを必死に抑えながら、苦笑いを返した。
「まぁお前には悪い事をしたが、その分優遇してやるし。
お前も公爵家の騎士に昇格出来たわけだから。
その上その器量なら、さらなる良縁を掴めるだろう」
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つまりサイフォスは……
ヴィオラの状況も考えず、一方的に求婚したわけではなく。
事前にちゃんと、交際相手がいないか調査を入れ。
それにより、ラピズが恋人ではないかと見当をつけたものの。
2人の関係は秘密にされていたため、シュトラント公爵に真相を尋ね。
その結果、正式に求婚したことになる。
ーー嘘でしょ……
じゃあ殿下は、微塵も悪くないじゃない!
なのに私は、あれほど非礼な態度をとって……
あんなに傷付けてっ……
胸が潰れそうになるヴィオラ。
その様子を見たラピズは、父親のした事に傷付いているのだと勘違いして。
話した事を後悔する。
「……ごめん。
やっぱり言わなきゃよかった」
「ううんっ。
こんな言いにくい事を、話してくれてありがとう……
でもね?
この真相を知ったからには、もう護衛騎士をしてもらうわけにはいかないわ」
「っ、どうして!」
「危険だからよっ!
王族に詐欺みたいな真似をするなんて、バレたら処刑は免れないわっ」
そう、騙したシュトラント公爵はもちろん。
結果的に結婚したヴィオラも、実行犯として同罪になってしまうのだ。
その点ラピズは、被害者のひとりでしかないが……
偽りの姿や素性で王族を欺いて、王宮に潜入し。
実行犯にあたる元恋人の側にいるとなれば、グルだと証明しているようなものだった。
そのためヴィオラは、罪のないラピズだけでも助けたかったのだ。
そしてもうひとつ。
これ以上サイフォスを傷付けたくなかったからだ。
ただでさえ、騙した上に散々傷付けてしまったというのに……
秘密裏に元恋人と一緒にいるなど、裏切ってるも同然だからだ。
「けどどうやってバレるって言うんだよっ」
ラピズがそう思うのはもっともで。
この真相を知っている3人が、自ら処刑されるような事を暴露するはずなどなかった。
「またお父様が、誰かに口を滑らせるかもしれないでしょう!?」
ヴィオラがそう思うのも当然で。
この真相を知って1番恨む相手に口を滑らせた事を考えると、その可能性は充分にあった。
「っ、だとしても……
俺は身を引いて失踪した事になってるから、結果的には問題ないだろっ」
「でももしラピズが、ランド・スピアーズだってバレたらどうするのっ?
恋人だと疑われてた状況で、伝説魔法を使ってまで一緒にいたら。
やっぱりそういう関係だって、立証してるようなものじゃないっ」
そう、やましい関係でなければ……
リモネのように、正式に迎え入れるはずなのだ。
「だから魔法でバレないって!」
「本当にっ?
そう言い切れる根拠があるのっ?」
「あるよっ。
ニケに……あ、この伝説魔法をかけてくれた魔術士に、教えてもらったんだ。
王宮には、全ての魔法を無効化させる部屋があるって。
けどその魔術士の魔法は、無効化されないらしくて。
実際それらしき部屋に通されけど、結果的にバレてないだろ?」
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