8 / 123
月と太陽2
しおりを挟む 脳が揺さぶられるような感覚に、俺は意識を取り戻した。
息を吸おうとして口を開けると大量の水が入り込んできた。
崖の下は川だった。
水面に叩きつけられた俺は、気を失って流されてしまっていたようだ。
混乱していたせいで深海に沈んだような感覚でもがいていたが、簡単に足がつき、思いのほか浅いのだとわかる。水底に膝を突いて立つと、水面は俺の腰上ほどまでしかない程度だった。
深く咳き込み、呑んだ水を吐き出す。
薄闇。天井のひび割れのような隙間から微かに差し込む光のおかげで、自分の手の輪郭程度ならばようやく見える明るさだ。
ほとんど視界が眩んでいるも同然で、感じられるのは下半身が浸かった水の冷たさと、背後の方で勢いよく叩きつけている水音ばかりだった。
それともう一つ、仄かに香ってくる臭いが鼻についた。
鉄サビのようなくすんだ臭いだ。薄っすらだが確かに感じる。それがどこか懐かしく心地よさを覚えた。
「これ、温泉の臭いに似てるんだ」
幼少期から嗅いでいた旅館の温泉の臭いはよく覚えている。
先ほどから感じる微かな香りは、薄いけれども、確かに温泉のそれとよく似ていた。
足元の水をすくって鼻で嗅いでみる。
温泉の臭いがしているのはこの水だ。だが冷たいし独特のぬめりも無い。どこからどうみてもただの水のようだ。それが俺の足元に、まるで大きな池のように広がっていた。
やがて目が慣れ始めたのか周囲の状況がわかりだした。
背後を振り返れば、天井の大きな亀裂から滝のように噴き出ている大量の水。
それを受け止めるように足元で広がる大きな滝つぼ。
洞窟はドーム状になっていて、激しい水音を何度も何度も反響させていた。
間違いない。
ここはあの、夢の中で蛍の光を見たあの滝つぼの洞窟そのままだった。
ということは、ここに蛍がいるのだろうか。
周囲を見渡してみるが、洞窟の中にそれらしい場所はなかった。
隠れられる草葉の陰もない。流れる水は透明でわりと澄んでいるように見えたが、苔も生えていない岩肌ばかりで動植物が暮らすにはあまりにも不向きそうだった。
本当に蛍がいたのだろうか。今更ながらそんな疑問すら浮かんでくる。
この場所は確かにあったのに、蛍に関してはまったくの記憶違いだったとでもいうのだろうか。
もしかすると昔は本当にいて、しかし今はもう絶滅してしまったのかもしれない。だがそれを確かめる手段なんてない。
「貴方も見つけたのね、この場所を」
不意に声が聞こえ、俺は驚いて悲鳴を上げそうになるのを堪えた。
俺以外の誰かがいるなんて予想だにしなかった。
咄嗟に声がした方へ振り向くと、そこには見慣れた菖蒲模様の浴衣をまとって佇むアーシェの姿があった。
「なっ、なんでお前がここに」
俺の言葉に耳を貸す様子もなく、アーシェはなにか中空をぼうっと眺めるようにしてその場に立ち尽くしていた。その姿は薄闇の中にも映え、彼女の白い肌がくっきりと浮かぶ。
と、俺はそれどころではなかったことを思い出した。
「そうだ、マナ人形!」
川に落ちたせいですっかり見失ってしまった。
おそらく今も山中を走り回って周囲のマナを吸い続けているところなのだろう。
慌てて滝つぼの中から出る。
シエラと連絡を取ろうと思って、握り締めていたはずの携帯がないことに気づいた。流された時に失くしてしまったようだ。
最悪だ。
これではマナ人形の位置がまったくわからない。
シエラに頼って場所を特定してもらうこともできない。
「……終わった」
まさにそんな気分だった。
今から探しに行っても広大な裏山の中で見つけられるはずがない。
このまま野山が枯れ果てるまで逃げられ続け、大騒ぎになってしまうのだろう。
査察官の中條にも把握され、俺も男の子の代わりに責任を請け負っている。
俺だけの解雇ですめばまだいいが、これで両親や他の従業員たちまで路頭に迷わせてしまいかねない。そう考えると、途端にやるせなさがこみ上げてきて、涙まで浮かんできそうになった。
そうなれば俺のせいだ。
俺があそこでアルバイトなんてしなければ、中條が来ることもなく、笑顔溢れる旅館のままでいられたはずなのだ。
そんな理想の場所を、俺が、壊してしまう。
「また暗い顔をしているのね」
アーシェが俺を見て言った。
「そりゃあ暗くもなるさ」
事の次第をわかっていないアーシェに、俺はマナ人形の暴走のことをかいつまんで説明した。
俺が話し終えると、アーシェは何か臭いを嗅ぐように鼻を動かし始める。
「ほんとうね。こっちの世界では考えられないくらいマナが集積されてるものがあるわ」
「わかるのか?」
「はっきりとわかるわけじゃないわ。でも、臭い、みたいなものかしら。そういった気配が漂っているのはわかる」
「じゃあそれの場所がわかったりとかって……」
問いに、アーシェは少し渋るような表情をして押し黙ったが、すがる思いの俺の顔を見て嘆息を漏らすように呟いた。
「大体の場所くらいは、ってところかしら」
「本当か!」
俺は思わずアーシェへと詰め寄り、彼女の肩を掴んだ。
思いがけないチャンスを目の前に提示されて、身体が言うことをきかなかった。
アーシェが場所を把握できるというのならばこれほどに心強いものはない。
沈みかけていた気持ちが、垣間見えた光明に騒ぎ立つ。
「頼む。手伝ってくれ」
「イヤよ。面倒ごとは嫌い」
「そこをどうにか」
「私は自分のためになることしかしたくないの。貴方の用事に付き合って、私になんの得があるというの」
「それは……」
確かにあくまで部外者であるアーシェには関係のない話だ。断られても仕方がない。
「本当に頼む。このまま放っていたら、今度こそ俺のせいで旅館が大変なことになっちまう。今度こそ、ここにいられなくなる。俺だけじゃない。ふみかさんや父さんたち、他の人たちまで旅館を辞めさせられちまうかもしれないんだ」
俺は深く頭を下げて頼み込んだ。
「辞めさせられるってどういうこと?」
俺の言葉に、ずっと変化のなかったアーシェの眉がぴくりと動く。
「どうもこうもないよ。ちょっと旅館を仕切ってる上がここ最近の旅館でのトラブルを問題視してて。それで、トラブルが続くようなら従業員を入れ替えようって話があるんだ」
おそらくそんな事情を話したところで、簡単に折れてはくれないだろう。この前はシエラに根負けしていたが、アーシェも人一倍に我が強い。
しまいには土下座でもして懇願しようかと思っていたが、しかしアーシェから返ってきたのは予想だにしない言葉だった。
「……聞いてないわよ」
まるで独白のように彼女が呟く。そして不機嫌そうに眉をしかめると、
「私は聞いていないわよ!」と突然語気を強めて叫んだのだった。
唐突な彼女の荒い口調に俺はたじろいでしまう。
「な、なんだよいきなり」
「何も聞いていないって言っているの」
「そりゃあ、従業員でもない関係ないやつに言うわけないだろ」
俺がそう言っても、アーシェは納得していない風に表情を苛立たせていた。
「貴方もいなくなるの?」
「俺は真っ先に辞めさせられる候補だよ」
半ば諦めた風に苦笑を浮かべて俺が応えると、アーシェは荒々しく鼻を鳴らした。気のせいか、その表情はさっきよりも更に怒りの色を増しているように見える。
腕を組んでしばらく何かを思案している風に佇んだ後、
「気が変わったわ」と告げ、肩にかかる長い白髪を手で掻き払った。
「ほ、本当か」
「べ、別に貴方のためじゃないわよ」
「何のためでもいいよ。助かる」
俺は嬉しさのあまり、アーシェへと詰め寄って彼女の手を握った。
途端、アーシェが一瞬にしてイチゴのように赤く染まる。
「ち、ちょっと!」と彼女が俺を突き飛ばそうとした。
伸びてきた拳を、しかし俺は「あっぶねえ」と咄嗟にかわす。もう慣れたものだ。こんなもの、慣れたくはないが。
「さっさと行くわよ」
手を振り払ってそっぽを向いたアーシェは、気恥ずかしそうに声を上擦らせながら言うと、滝つぼの洞窟から続く川を辿った細い通路へと向かい始める。
俺は濡れた服を絞って水気を払い、彼女の姿を見失わないように急いで後を追った。
息を吸おうとして口を開けると大量の水が入り込んできた。
崖の下は川だった。
水面に叩きつけられた俺は、気を失って流されてしまっていたようだ。
混乱していたせいで深海に沈んだような感覚でもがいていたが、簡単に足がつき、思いのほか浅いのだとわかる。水底に膝を突いて立つと、水面は俺の腰上ほどまでしかない程度だった。
深く咳き込み、呑んだ水を吐き出す。
薄闇。天井のひび割れのような隙間から微かに差し込む光のおかげで、自分の手の輪郭程度ならばようやく見える明るさだ。
ほとんど視界が眩んでいるも同然で、感じられるのは下半身が浸かった水の冷たさと、背後の方で勢いよく叩きつけている水音ばかりだった。
それともう一つ、仄かに香ってくる臭いが鼻についた。
鉄サビのようなくすんだ臭いだ。薄っすらだが確かに感じる。それがどこか懐かしく心地よさを覚えた。
「これ、温泉の臭いに似てるんだ」
幼少期から嗅いでいた旅館の温泉の臭いはよく覚えている。
先ほどから感じる微かな香りは、薄いけれども、確かに温泉のそれとよく似ていた。
足元の水をすくって鼻で嗅いでみる。
温泉の臭いがしているのはこの水だ。だが冷たいし独特のぬめりも無い。どこからどうみてもただの水のようだ。それが俺の足元に、まるで大きな池のように広がっていた。
やがて目が慣れ始めたのか周囲の状況がわかりだした。
背後を振り返れば、天井の大きな亀裂から滝のように噴き出ている大量の水。
それを受け止めるように足元で広がる大きな滝つぼ。
洞窟はドーム状になっていて、激しい水音を何度も何度も反響させていた。
間違いない。
ここはあの、夢の中で蛍の光を見たあの滝つぼの洞窟そのままだった。
ということは、ここに蛍がいるのだろうか。
周囲を見渡してみるが、洞窟の中にそれらしい場所はなかった。
隠れられる草葉の陰もない。流れる水は透明でわりと澄んでいるように見えたが、苔も生えていない岩肌ばかりで動植物が暮らすにはあまりにも不向きそうだった。
本当に蛍がいたのだろうか。今更ながらそんな疑問すら浮かんでくる。
この場所は確かにあったのに、蛍に関してはまったくの記憶違いだったとでもいうのだろうか。
もしかすると昔は本当にいて、しかし今はもう絶滅してしまったのかもしれない。だがそれを確かめる手段なんてない。
「貴方も見つけたのね、この場所を」
不意に声が聞こえ、俺は驚いて悲鳴を上げそうになるのを堪えた。
俺以外の誰かがいるなんて予想だにしなかった。
咄嗟に声がした方へ振り向くと、そこには見慣れた菖蒲模様の浴衣をまとって佇むアーシェの姿があった。
「なっ、なんでお前がここに」
俺の言葉に耳を貸す様子もなく、アーシェはなにか中空をぼうっと眺めるようにしてその場に立ち尽くしていた。その姿は薄闇の中にも映え、彼女の白い肌がくっきりと浮かぶ。
と、俺はそれどころではなかったことを思い出した。
「そうだ、マナ人形!」
川に落ちたせいですっかり見失ってしまった。
おそらく今も山中を走り回って周囲のマナを吸い続けているところなのだろう。
慌てて滝つぼの中から出る。
シエラと連絡を取ろうと思って、握り締めていたはずの携帯がないことに気づいた。流された時に失くしてしまったようだ。
最悪だ。
これではマナ人形の位置がまったくわからない。
シエラに頼って場所を特定してもらうこともできない。
「……終わった」
まさにそんな気分だった。
今から探しに行っても広大な裏山の中で見つけられるはずがない。
このまま野山が枯れ果てるまで逃げられ続け、大騒ぎになってしまうのだろう。
査察官の中條にも把握され、俺も男の子の代わりに責任を請け負っている。
俺だけの解雇ですめばまだいいが、これで両親や他の従業員たちまで路頭に迷わせてしまいかねない。そう考えると、途端にやるせなさがこみ上げてきて、涙まで浮かんできそうになった。
そうなれば俺のせいだ。
俺があそこでアルバイトなんてしなければ、中條が来ることもなく、笑顔溢れる旅館のままでいられたはずなのだ。
そんな理想の場所を、俺が、壊してしまう。
「また暗い顔をしているのね」
アーシェが俺を見て言った。
「そりゃあ暗くもなるさ」
事の次第をわかっていないアーシェに、俺はマナ人形の暴走のことをかいつまんで説明した。
俺が話し終えると、アーシェは何か臭いを嗅ぐように鼻を動かし始める。
「ほんとうね。こっちの世界では考えられないくらいマナが集積されてるものがあるわ」
「わかるのか?」
「はっきりとわかるわけじゃないわ。でも、臭い、みたいなものかしら。そういった気配が漂っているのはわかる」
「じゃあそれの場所がわかったりとかって……」
問いに、アーシェは少し渋るような表情をして押し黙ったが、すがる思いの俺の顔を見て嘆息を漏らすように呟いた。
「大体の場所くらいは、ってところかしら」
「本当か!」
俺は思わずアーシェへと詰め寄り、彼女の肩を掴んだ。
思いがけないチャンスを目の前に提示されて、身体が言うことをきかなかった。
アーシェが場所を把握できるというのならばこれほどに心強いものはない。
沈みかけていた気持ちが、垣間見えた光明に騒ぎ立つ。
「頼む。手伝ってくれ」
「イヤよ。面倒ごとは嫌い」
「そこをどうにか」
「私は自分のためになることしかしたくないの。貴方の用事に付き合って、私になんの得があるというの」
「それは……」
確かにあくまで部外者であるアーシェには関係のない話だ。断られても仕方がない。
「本当に頼む。このまま放っていたら、今度こそ俺のせいで旅館が大変なことになっちまう。今度こそ、ここにいられなくなる。俺だけじゃない。ふみかさんや父さんたち、他の人たちまで旅館を辞めさせられちまうかもしれないんだ」
俺は深く頭を下げて頼み込んだ。
「辞めさせられるってどういうこと?」
俺の言葉に、ずっと変化のなかったアーシェの眉がぴくりと動く。
「どうもこうもないよ。ちょっと旅館を仕切ってる上がここ最近の旅館でのトラブルを問題視してて。それで、トラブルが続くようなら従業員を入れ替えようって話があるんだ」
おそらくそんな事情を話したところで、簡単に折れてはくれないだろう。この前はシエラに根負けしていたが、アーシェも人一倍に我が強い。
しまいには土下座でもして懇願しようかと思っていたが、しかしアーシェから返ってきたのは予想だにしない言葉だった。
「……聞いてないわよ」
まるで独白のように彼女が呟く。そして不機嫌そうに眉をしかめると、
「私は聞いていないわよ!」と突然語気を強めて叫んだのだった。
唐突な彼女の荒い口調に俺はたじろいでしまう。
「な、なんだよいきなり」
「何も聞いていないって言っているの」
「そりゃあ、従業員でもない関係ないやつに言うわけないだろ」
俺がそう言っても、アーシェは納得していない風に表情を苛立たせていた。
「貴方もいなくなるの?」
「俺は真っ先に辞めさせられる候補だよ」
半ば諦めた風に苦笑を浮かべて俺が応えると、アーシェは荒々しく鼻を鳴らした。気のせいか、その表情はさっきよりも更に怒りの色を増しているように見える。
腕を組んでしばらく何かを思案している風に佇んだ後、
「気が変わったわ」と告げ、肩にかかる長い白髪を手で掻き払った。
「ほ、本当か」
「べ、別に貴方のためじゃないわよ」
「何のためでもいいよ。助かる」
俺は嬉しさのあまり、アーシェへと詰め寄って彼女の手を握った。
途端、アーシェが一瞬にしてイチゴのように赤く染まる。
「ち、ちょっと!」と彼女が俺を突き飛ばそうとした。
伸びてきた拳を、しかし俺は「あっぶねえ」と咄嗟にかわす。もう慣れたものだ。こんなもの、慣れたくはないが。
「さっさと行くわよ」
手を振り払ってそっぽを向いたアーシェは、気恥ずかしそうに声を上擦らせながら言うと、滝つぼの洞窟から続く川を辿った細い通路へと向かい始める。
俺は濡れた服を絞って水気を払い、彼女の姿を見失わないように急いで後を追った。
20
お気に入りに追加
148
あなたにおすすめの小説
アメイジング・ナイト ―王女と騎士の35日―
碧井夢夏
ファンタジー
たったひとりの王位継承者として毎日見合いの日々を送る第一王女のレナは、人気小説で読んだ主人公に憧れ、モデルになった外国人騎士を護衛に雇うことを決める。
騎士は、黒い髪にグレーがかった瞳を持つ東洋人の血を引く能力者で、小説とは違い金の亡者だった。
主従関係、身分の差、特殊能力など、ファンタジー要素有。舞台は中世~近代ヨーロッパがモデルのオリジナル。話が進むにつれて恋愛濃度が上がります。
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
誰にも言えないあなたへ
天海月
恋愛
子爵令嬢のクリスティーナは心に決めた思い人がいたが、彼が平民だという理由で結ばれることを諦め、彼女の事を見初めたという騎士で伯爵のマリオンと婚姻を結ぶ。
マリオンは家格も高いうえに、優しく美しい男であったが、常に他人と一線を引き、妻であるクリスティーナにさえ、どこか壁があるようだった。
年齢が離れている彼にとって自分は子供にしか見えないのかもしれない、と落ち込む彼女だったが・・・マリオンには誰にも言えない秘密があって・・・。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
悪役令嬢の役割は終えました(別視点)
月椿
恋愛
この作品は「悪役令嬢の役割は終えました」のヴォルフ視点のお話になります。
本編を読んでない方にはネタバレになりますので、ご注意下さい。
母親が亡くなった日、ヴォルフは一人の騎士に保護された。
そこから、ヴォルフの日常は変わっていく。
これは保護してくれた人の背に憧れて騎士となったヴォルフと、悪役令嬢の役割を終えた彼女とのお話。
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる