37 / 41
シロオビアゲハ2
しおりを挟む
「仁希さんは、アンタが出来るだけ危険な橋を渡んなくていいように……
俺を隠れ蓑にして、その天才ハッカーの力で守ってきたんだ。
もちろんボディガードも詐欺の片棒も、ずっと動向を見守ってたのも、全部仁希さんの指示だし。
俺はそれに従ってただけなんだ」
そう、初めはそうだった……
自分の女を守ってもらうためなのは、さる事ながら。
仁希が初めて自分を必要としてくれた存在だったため、必死に役目を果たそうとしていたのだ。
だけどいつしか……
同じく自分を必要として、頼ってくれて。
理解してくれて心配してくれて心を許してくれた望を、愛してしまったのだった。
「それから……
ようやく手筈が整った仁希さんは、アンタの指名客に近づいたんだ。
当然、店で再会したのは偶然じゃない」
確かに望も、偶然だと思えないふしはあった。
なぜなら2人が出会ったのは他県で、飲み屋も星の数ほどあるからだ。
とはいえ望自身が、身バレを防ぐために転々としていたため。
他の都道府県で会っても、そんなに不思議ではなく。
なにより、ずっとそんな日を待ち望んでいたため。
ついにこの日が、といった気持ちの方が強かったのだ。
*
*
*
「マジで聞いてねぇし」
仁希が店に来ていた事を望から聞かされて、怒る倫太郎。
「悪い悪い、サプライズしようかなって」
「ふざけんなよ、危うくアイツの前で口滑らすとこだったし」
ー「はあ!?聞いてねぇしっ」
「そりゃ、言ってないからね」ー
「いや、ちょっと滑らしてただろ。
頼むから、望の名前だけは口滑らすなよ?」
「わかってるって、アンタの切り札なんだろ?
つか滑らせたくねぇなら、なんで接触した事黙ってたんだよ」
「そりゃ、言ったらお前反対するだろ?」
いつしか2人は信頼しあう仲になっていて……
仁希は倫太郎に、過去の経緯を打ち明けていた。
「ったり前だろ。
アイツがどんだけショック受けてたと思ってんだよ」
「……知ってるよ」
再会した日の様子は、倫太郎の部屋の盗聴器で知っていて。
殺したいほど憎まれていた事に、当然だと思いながらも。
仁希もまた、酷くショックを受けていたのだ。
「だったらなんでまだ関わってんだよ。
組織にバレたらどーすんだよ。
一緒に生きるつもりがないなら、中途半端な事して傷つけんなよっ」
天才ハッカーの仁希は……
言うまでもなく、組織の重大な情報も管理していたため。
組織は仁希を絶対に手放すわけにはいかず、必死にその弱点を握ろうとしていたのだ。
「お前ってほんと……」
思わず仁希は苦笑う。
「そんなに望が大事か?」
「はっ?
別に、バディだから当然だろ」
「バディね……
お前は俺が買った俺のバディでもあるのに、すっかり望専用のバディになってるし」
仁希はある時から自分と倫太郎を、最強の頭脳と最強の強さで望を守る、最凶バディだと称していた。
「どこがだよ、オマエの指示通りやってんだろ」
「だったら、今から言う事もそうしてくれよ?
そろそろ俺の目的を話すから」
そう明かされた、罪の回収という目的とその計画は……
望の罪を全て奪って、詐欺の元締めを装い自分の罪にするといった内容で。
データや情報の改ざんをしたり、関係者を全員洗って……
望の事が漏れないように立ち回ったり、矛先が自分に向くように仕組んだり、場合によっては口封じも考えていた。
でもそれらを実行するには、組織に望の事がバレないよう裏工作する必要があったのだ。
というのも仁希は、発案当時も義父の元に身を置いていたため。
何度も他県に赴くなど、不審な行動を取れば……
逃亡の前科もある事から、厳重な監視が付けられる。
そこで元締めらしく、複数の女詐欺師を抱き込もうと考え。
携帯名義の女もその1人だったのだ。
そうして……
付き合った女詐欺師を食い物にして、味をしめたのを装い。
同様の手口で、全国の女詐欺師を付け狙い。
それで得た利益の一部を上納すると。
それを数年繰り返し……
組織の疑いが弱まったところで、ようやく望への計画に着手したのだった。
それでも不意打ちで監視が入るため、油断は出来ず。
柑愛を隠れ蓑としても利用したのだが……
勝負という回収方法に、不満をぶつける倫太郎。
「そんなやり方で回収するくらいなら、誤解といて足洗わせろよ!」
「たとえ足を洗っても!
手を汚してる罪までは洗えない。
情報は操作出来るし揉み消せるけど、被害者の憎しみは操作出来るもんじゃないし消せないんだ。
だから誰かが背負わなきゃいけないし、俺のせいだから俺が背負わなきゃいけないんだよっ」
「だからって!
そんな事したらもっとアイツを追い詰めんだろっ。
人に罪押し付けるくらいなら、自首した方がずっとマシだって思うに決まってる」
「じゃあお前は、自分のせいで望が犯罪者になったとしても。
罪を犯したのは望なんだから、不幸になっても自業自得だって思えるのか?」
そう言われて、何も言えなくなる倫太郎。
「お前に言われなくたって、望がそう思う事くらいわかってる。
だから、そう思わせずに奪うんだろ?
望が幸せになるためなら、俺はどんな罪にも手を染めるし。
いくらでも(望から)憎まれていいよ」
俺だってそうだけど……
その気持ちには共感しながらも。
「それであいつが幸せになんのかよ」
「あの女詐欺師(毒女)に言ってた言葉、聞いてただろ?」
ー「一生組織に飼い殺しされるよりマシよ?
お金なんてまた稼げばいいし、それで解決するならラッキーなんだから」ー
「少なくとも、俺と生き地獄に行くよりは幸せになれるよ」
確かに倫太郎も、望をそんな目に遭わせたくなかったし。
これ以上罪も重ねてほしくなかった。
「けどそれじゃ別の(裏切られた)ショックが……」
「だとしても、今の望にはお前がいる。
そのショックを慰めるのが、最後の指令だ」
「最後?」
その言葉が引っかかるも。
「罪さえ回収すれば、アイツの事はもういいのか?」
「……そうだな。
そしたら俺も肩の荷が下りるし、お前も自由だ」
「ふざけんなよっ。
アイツが幸せになるまで見守んなくていいのかよっ」
「残酷な事言うんだな」
もっともな指摘に、再び言葉を無くす倫太郎。
「そういう訳だから。
目的を達成したら、あとはお前の好きにすればいい。
俺は回収とその処理が終わったら、望ともお前とも一生関わらないから」
「一生って……
オマエまさかっ」
最後という言葉と合わさって、嫌な勘が働くが。
「もう行くよ。
今組織に怪しまれたら元も子もないし」
倫太郎の言葉を遮って、席を立つ仁希。
といっても、その理由は本当で。
組織の目を盗んで会っているため、長居は出来ないのだ。
「おい待てよっ」
「じゃあ頼んだぞ。
納得いかないからって、足だけは引っ張るなよ?」
*
*
*
「全部、勝負をふっかけるためで……」
柑愛を利用したのも、隠れ蓑のためだけじゃなく。
勝負に持ち込むためには、結婚詐欺を装う必要があったからで。
なかなか連絡先を教えなかったのは、柑愛を惚れさせるまでの時間稼ぎだったのだ。
さらにはその結婚詐欺を知らせるために……
田中の会社のシステムを狂わせて、来店を妨害し。
揚羽が柑愛の携帯をハッキングするよう仕向けたのだった。
「勝負をふっかけたのは、組織の目を欺くためでも、あったけど……
1番の狙いは、約束を取り付けるためだったんだ。
アンタの性格なら、足洗うしかなくなるだろって。
もうその前には洗ってたけど、2度と(詐欺師に)戻れなくなんだろ?
恨みっこなしなら、復讐も出来なくなるし。
勝負で負けたんなら、する気も失せんだろうし。
そんで全部奪ったのは、犯罪の痕跡を、微塵も残さないためで……
だから飲み屋の金は、約束に合わせて回収したけど、俺経由で返したんだ」
倫太郎は、そう真相を打ち明けたものの。
当然、仁希が罪を被った事までは言わなかった。
柑愛や田中の話もそうだが……
望が責任や負担を感じる内容や、仁希が批判される内容は、墓場まで持って行こうと決めたのだ。
俺を隠れ蓑にして、その天才ハッカーの力で守ってきたんだ。
もちろんボディガードも詐欺の片棒も、ずっと動向を見守ってたのも、全部仁希さんの指示だし。
俺はそれに従ってただけなんだ」
そう、初めはそうだった……
自分の女を守ってもらうためなのは、さる事ながら。
仁希が初めて自分を必要としてくれた存在だったため、必死に役目を果たそうとしていたのだ。
だけどいつしか……
同じく自分を必要として、頼ってくれて。
理解してくれて心配してくれて心を許してくれた望を、愛してしまったのだった。
「それから……
ようやく手筈が整った仁希さんは、アンタの指名客に近づいたんだ。
当然、店で再会したのは偶然じゃない」
確かに望も、偶然だと思えないふしはあった。
なぜなら2人が出会ったのは他県で、飲み屋も星の数ほどあるからだ。
とはいえ望自身が、身バレを防ぐために転々としていたため。
他の都道府県で会っても、そんなに不思議ではなく。
なにより、ずっとそんな日を待ち望んでいたため。
ついにこの日が、といった気持ちの方が強かったのだ。
*
*
*
「マジで聞いてねぇし」
仁希が店に来ていた事を望から聞かされて、怒る倫太郎。
「悪い悪い、サプライズしようかなって」
「ふざけんなよ、危うくアイツの前で口滑らすとこだったし」
ー「はあ!?聞いてねぇしっ」
「そりゃ、言ってないからね」ー
「いや、ちょっと滑らしてただろ。
頼むから、望の名前だけは口滑らすなよ?」
「わかってるって、アンタの切り札なんだろ?
つか滑らせたくねぇなら、なんで接触した事黙ってたんだよ」
「そりゃ、言ったらお前反対するだろ?」
いつしか2人は信頼しあう仲になっていて……
仁希は倫太郎に、過去の経緯を打ち明けていた。
「ったり前だろ。
アイツがどんだけショック受けてたと思ってんだよ」
「……知ってるよ」
再会した日の様子は、倫太郎の部屋の盗聴器で知っていて。
殺したいほど憎まれていた事に、当然だと思いながらも。
仁希もまた、酷くショックを受けていたのだ。
「だったらなんでまだ関わってんだよ。
組織にバレたらどーすんだよ。
一緒に生きるつもりがないなら、中途半端な事して傷つけんなよっ」
天才ハッカーの仁希は……
言うまでもなく、組織の重大な情報も管理していたため。
組織は仁希を絶対に手放すわけにはいかず、必死にその弱点を握ろうとしていたのだ。
「お前ってほんと……」
思わず仁希は苦笑う。
「そんなに望が大事か?」
「はっ?
別に、バディだから当然だろ」
「バディね……
お前は俺が買った俺のバディでもあるのに、すっかり望専用のバディになってるし」
仁希はある時から自分と倫太郎を、最強の頭脳と最強の強さで望を守る、最凶バディだと称していた。
「どこがだよ、オマエの指示通りやってんだろ」
「だったら、今から言う事もそうしてくれよ?
そろそろ俺の目的を話すから」
そう明かされた、罪の回収という目的とその計画は……
望の罪を全て奪って、詐欺の元締めを装い自分の罪にするといった内容で。
データや情報の改ざんをしたり、関係者を全員洗って……
望の事が漏れないように立ち回ったり、矛先が自分に向くように仕組んだり、場合によっては口封じも考えていた。
でもそれらを実行するには、組織に望の事がバレないよう裏工作する必要があったのだ。
というのも仁希は、発案当時も義父の元に身を置いていたため。
何度も他県に赴くなど、不審な行動を取れば……
逃亡の前科もある事から、厳重な監視が付けられる。
そこで元締めらしく、複数の女詐欺師を抱き込もうと考え。
携帯名義の女もその1人だったのだ。
そうして……
付き合った女詐欺師を食い物にして、味をしめたのを装い。
同様の手口で、全国の女詐欺師を付け狙い。
それで得た利益の一部を上納すると。
それを数年繰り返し……
組織の疑いが弱まったところで、ようやく望への計画に着手したのだった。
それでも不意打ちで監視が入るため、油断は出来ず。
柑愛を隠れ蓑としても利用したのだが……
勝負という回収方法に、不満をぶつける倫太郎。
「そんなやり方で回収するくらいなら、誤解といて足洗わせろよ!」
「たとえ足を洗っても!
手を汚してる罪までは洗えない。
情報は操作出来るし揉み消せるけど、被害者の憎しみは操作出来るもんじゃないし消せないんだ。
だから誰かが背負わなきゃいけないし、俺のせいだから俺が背負わなきゃいけないんだよっ」
「だからって!
そんな事したらもっとアイツを追い詰めんだろっ。
人に罪押し付けるくらいなら、自首した方がずっとマシだって思うに決まってる」
「じゃあお前は、自分のせいで望が犯罪者になったとしても。
罪を犯したのは望なんだから、不幸になっても自業自得だって思えるのか?」
そう言われて、何も言えなくなる倫太郎。
「お前に言われなくたって、望がそう思う事くらいわかってる。
だから、そう思わせずに奪うんだろ?
望が幸せになるためなら、俺はどんな罪にも手を染めるし。
いくらでも(望から)憎まれていいよ」
俺だってそうだけど……
その気持ちには共感しながらも。
「それであいつが幸せになんのかよ」
「あの女詐欺師(毒女)に言ってた言葉、聞いてただろ?」
ー「一生組織に飼い殺しされるよりマシよ?
お金なんてまた稼げばいいし、それで解決するならラッキーなんだから」ー
「少なくとも、俺と生き地獄に行くよりは幸せになれるよ」
確かに倫太郎も、望をそんな目に遭わせたくなかったし。
これ以上罪も重ねてほしくなかった。
「けどそれじゃ別の(裏切られた)ショックが……」
「だとしても、今の望にはお前がいる。
そのショックを慰めるのが、最後の指令だ」
「最後?」
その言葉が引っかかるも。
「罪さえ回収すれば、アイツの事はもういいのか?」
「……そうだな。
そしたら俺も肩の荷が下りるし、お前も自由だ」
「ふざけんなよっ。
アイツが幸せになるまで見守んなくていいのかよっ」
「残酷な事言うんだな」
もっともな指摘に、再び言葉を無くす倫太郎。
「そういう訳だから。
目的を達成したら、あとはお前の好きにすればいい。
俺は回収とその処理が終わったら、望ともお前とも一生関わらないから」
「一生って……
オマエまさかっ」
最後という言葉と合わさって、嫌な勘が働くが。
「もう行くよ。
今組織に怪しまれたら元も子もないし」
倫太郎の言葉を遮って、席を立つ仁希。
といっても、その理由は本当で。
組織の目を盗んで会っているため、長居は出来ないのだ。
「おい待てよっ」
「じゃあ頼んだぞ。
納得いかないからって、足だけは引っ張るなよ?」
*
*
*
「全部、勝負をふっかけるためで……」
柑愛を利用したのも、隠れ蓑のためだけじゃなく。
勝負に持ち込むためには、結婚詐欺を装う必要があったからで。
なかなか連絡先を教えなかったのは、柑愛を惚れさせるまでの時間稼ぎだったのだ。
さらにはその結婚詐欺を知らせるために……
田中の会社のシステムを狂わせて、来店を妨害し。
揚羽が柑愛の携帯をハッキングするよう仕向けたのだった。
「勝負をふっかけたのは、組織の目を欺くためでも、あったけど……
1番の狙いは、約束を取り付けるためだったんだ。
アンタの性格なら、足洗うしかなくなるだろって。
もうその前には洗ってたけど、2度と(詐欺師に)戻れなくなんだろ?
恨みっこなしなら、復讐も出来なくなるし。
勝負で負けたんなら、する気も失せんだろうし。
そんで全部奪ったのは、犯罪の痕跡を、微塵も残さないためで……
だから飲み屋の金は、約束に合わせて回収したけど、俺経由で返したんだ」
倫太郎は、そう真相を打ち明けたものの。
当然、仁希が罪を被った事までは言わなかった。
柑愛や田中の話もそうだが……
望が責任や負担を感じる内容や、仁希が批判される内容は、墓場まで持って行こうと決めたのだ。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
夫の不貞現場を目撃してしまいました
秋月乃衣
恋愛
伯爵夫人ミレーユは、夫との間に子供が授からないまま、閨を共にしなくなって一年。
何故か夫から閨を拒否されてしまっているが、理由が分からない。
そんな時に夜会中の庭園で、夫と未亡人のマデリーンが、情事に耽っている場面を目撃してしまう。
なろう様でも掲載しております。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
私が死ねば楽になれるのでしょう?~愛妻家の後悔~
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令嬢オリヴィアは伯爵令息ダーフィトと婚約中。
しかし結婚準備中オリヴィアは熱病に罹り冷酷にも婚約破棄されてしまう。
それを知った幼馴染の伯爵令息リカードがオリヴィアへの愛を伝えるが…
【 ⚠ 】
・前半は夫婦の闘病記です。合わない方は自衛のほどお願いいたします。
・架空の猛毒です。作中の症状は抗生物質の発明以前に猛威を奮った複数の症例を参考にしています。尚、R15はこの為です。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる