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ミカドアゲハ1
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高級和食店での食事の最中、倫太郎に柑愛用のハッキングサイトを依頼していた揚羽は……
数日後。
知り合いがドレスの通販サイトをしてるから、気に入ったものがあれば3割引で買えると斡旋して。
さっそく柑愛に、その偽サイトのリンクを送った。
そして仕事を終えると。
店を出てビル下に降りたところで、平日なのに久保井と出くわす。
「あれ、終わりっ?
もうそんな時間?」
「……そうですよ。
時間もわからないくらい、酔ってるんですか?」
久保井は酔った口調でフラフラしていた。
「そっ。
……介抱してくれる?」
とろんと妖艶な目で、甘えるように見つめられて……
思わず胸を掴まれそうになった揚羽は、慌てて視線を外しながら不満を浮かべた。
この前はシカトしたくせに。
「そうしてあげたいとこですが、柑愛ちゃんに怒られちゃうんで」
「じゃあ、柑愛ちゃん呼んでくれる?」
「もう帰りましたよ。
珍しいですね、そんなに飲むなんて」
久保井はいつも、薄い水割りを1・2杯しか飲まないようで……
キープしてるボトルもほとんど減っていなかった。
「うんなんか、遣り切れなくてさ……
唯一欲しいものが、絶対手に入らないだけじゃなく。
他のヤツに奪われてるって確信してさっ」
ふぅん……
差し当たり、絶好のターゲットがライバルに横取りされたってとこかしら?
ざまーみろね。
「それは残念ですね。
でも久保井さんならきっと、それを上回るものが手に入りますよ」
そう、それを上回る苦痛を与えてあげるわ。
「だったらいいけど……
揚羽ちゃんには、愛してるヤツがいる?」
「はい?」
なにそれ、今のまさか恋愛話っ?
だとしたら、あんたに愛を語って欲しくないんだけど。
久保井は揚羽をじっと見つめ……
揚羽は例のごとく、それから逃れた。
「いいえ、私は愛なんて信じてないので」
「……そっか。
うん、それがいいよ」
そう言うと久保井は、通りかかったタクシーを止めて。
「じゃあね揚羽ちゃん」と去って行った。
なにあの酔っ払い……
こっちはあんたのせいで、愛を信じられなくなったってのに。
腹立たしい気持ちでそのタクシー見送ると。
酒臭いサラリーマンが通りすぎて、ふと思う。
久保井からはアルコール臭が全くしなかったと。
どんだけ弱いの?
揚羽はそう馬鹿にして、自分もタクシーに乗り込んだ。
◇
「で、何調べればいんだ?」
その日、柑愛の携帯がハッキング出来たと連絡を受け。
揚羽は倫太郎の家を訪れていた。
「連絡先、開いて。
久保井仁希の名前があるはずなんだけど」
「えっ……
なんでそいつがっ」
「私のお得意様の連れで、柑愛の指名客なの」
「はあ!?聞いてねぇしっ」
「そりゃ、言ってないからね」
「あぁ、そっか……
つか、いつからだよ」
「いつからだっけ……
そう、遊園地デートの前くらい?」
「そんな前からっ?」と驚いた倫太郎は、何か思い当たった顔をした。
「もしかして、あのすげぇ酔っ払ってた時のヤな客って……」
「あぁ、それかもね」
揚羽はバツが悪く感じて、そう濁す。
「……ごめん」
何も出来なかった事を申し訳なく思う倫太郎。
「別に謝る事じゃないでしょ」
お互いプライベートな事は訊かない約束のため。
前にその男を調べてもらった時も、何も聞かれなかったが……
倫太郎は久保井との関係をどう思ってるのかと、内心気になる揚羽。
そうして、お手製だという検索ツールでさっそく調べてもらうと。
「誰これ……
久保井の女?ターゲット?」
携帯の契約者には、女の名前が出てきた。
「さぁな、一応検索かけてみるけど」
と、今度はその女を調べたものの。
住所や生年月日等、一般的な情報しか浮かび上がらず。
「時間かけて、もっと詳しく調べとく」
「頼むわね。
それにしても、見るたび思うんだけど。
倫太郎の手ってやたら大きいから、キーボード打ちにくそうよね」
「っせーな、あんま見んなよ」
「いいじゃない。
別に貶してるわけじゃないのよ?
むしろ、大きな手って男らしくてカッコいいし」
我慢しても、思わず顔が緩む倫太郎。
「ふぅん、それは素直に嬉しんだ?」
「はあっ!?
嬉しくねぇよバーカ。
バカじゃねぇの?」
揚羽はふふっと吹き出した。
「2度も言う事ないじゃない」
「っ……
あぁも帰れよっ、調べとくから」
「はいはい。
頼りにしてるわ、天才ハッカーさん」
倫太郎は浮かない顔で、ふぅと溜息を吐きこぼした。
そんな、とある日曜。
買い物から帰ってきた揚羽が、いつものように自宅マンション手前のダミーマンションでタクシーを降りると。
「聡子さんっ!」
聞き覚えのある声でその名を呼ばれ……
思わず息を飲んだ。
「鷹巨……
どうしてここに?」
危険を感じた揚羽は、すぐに盗聴器をオンにした。
鷹巨に教えていたのは、タクシー移動を挟んだもう一段階手前の偽装住居で。
ここを知っているはずがなかったからだ。
「……すみません。
どうしても、聡子さんに会いたくて……」
その頃、倫太郎はジムに行っていたが……
護衛や連絡に備えて、いつも片耳にワイヤレスイヤホンを付けているため。
盗聴器と連動させていたそれに、突然流れ込んできた異変を捉えて。
慌てて揚羽の元に向かった。
「そう……
でもどうやってここを突き止めたの?」
「それも、すみません。
実は、プレゼントの花束に盗聴器を仕込んでて……」
その話によると。
なかなか美人局が実行されない事を不審に思った毒女が、揚羽の手口を探るために仕掛けさせたようで……
それを揚羽は、タクシーでここまで運んでしまい。
その際、行き先にこのマンション名を告げたため、盗聴器を通じてバレてしまったというわけだった。
「……やってくれたわね」
鷹巨のキャラに油断して、まんまと謀られてた自分に。
片手で顔を覆って、溜め息を吐き出した。
「あ、でもっ、元カノにここの事は言ってません。
結局失敗した作戦だから……
すぐ捨てられたみたいだって、話してます」
どうかしらね。
捨てられた事を、少し悲しげに話していた鷹巨だったが……
一杯食わされた手前、すっかり不信感を持つ揚羽。
「それで?
なんの用で会いたかったの?」
毒女の示談金は、ちゃんと時間内に入金されていて。
ヤクザの方も、ツテがあるという倫太郎が……
二度と情報を漏らさないといった約束と、違約金等が記載された示談書でケリをつけてくれていて。
もうこの件は片付いたと思っていた揚羽だったが……
凝りもせず他の手段で復讐を企んでいるんじゃないかと、警戒する。
例えばまだ毒女と繋がっていて、その仕返しに刺されたりするんじゃないかとか……
2人のやり取りを聴きながら……
なにストレートに切り込んでんだよ!
俺が着くまで他の話で繋いどけよっ。
単刀直入に尋ねる揚羽に、焦る倫太郎。
そんな中、鷹巨はゆっくり語り出す。
「俺、あれから色々考えて……
あの日は、2人の本性を知ってショックだったし。
元カノの事も、すごく悲しかったけど……
でも思ったより早く立ち直れたんだ。
気持ちのぶつけ先が出来たってゆうか、気付けば聡子さんの事ばっか考えてて……
そしたら無性に会いたくなって。
会って目的を果たしたくなって。
連絡先は消えてたから、ここに来るしかなかったんだけど……」
「……つまり、何がしたいの?」
「つまり……」
思い詰めたような鷹巨が、その目をぐっと揚羽に突き刺した。
「聡子さんの事が好きなんだっ」
数日後。
知り合いがドレスの通販サイトをしてるから、気に入ったものがあれば3割引で買えると斡旋して。
さっそく柑愛に、その偽サイトのリンクを送った。
そして仕事を終えると。
店を出てビル下に降りたところで、平日なのに久保井と出くわす。
「あれ、終わりっ?
もうそんな時間?」
「……そうですよ。
時間もわからないくらい、酔ってるんですか?」
久保井は酔った口調でフラフラしていた。
「そっ。
……介抱してくれる?」
とろんと妖艶な目で、甘えるように見つめられて……
思わず胸を掴まれそうになった揚羽は、慌てて視線を外しながら不満を浮かべた。
この前はシカトしたくせに。
「そうしてあげたいとこですが、柑愛ちゃんに怒られちゃうんで」
「じゃあ、柑愛ちゃん呼んでくれる?」
「もう帰りましたよ。
珍しいですね、そんなに飲むなんて」
久保井はいつも、薄い水割りを1・2杯しか飲まないようで……
キープしてるボトルもほとんど減っていなかった。
「うんなんか、遣り切れなくてさ……
唯一欲しいものが、絶対手に入らないだけじゃなく。
他のヤツに奪われてるって確信してさっ」
ふぅん……
差し当たり、絶好のターゲットがライバルに横取りされたってとこかしら?
ざまーみろね。
「それは残念ですね。
でも久保井さんならきっと、それを上回るものが手に入りますよ」
そう、それを上回る苦痛を与えてあげるわ。
「だったらいいけど……
揚羽ちゃんには、愛してるヤツがいる?」
「はい?」
なにそれ、今のまさか恋愛話っ?
だとしたら、あんたに愛を語って欲しくないんだけど。
久保井は揚羽をじっと見つめ……
揚羽は例のごとく、それから逃れた。
「いいえ、私は愛なんて信じてないので」
「……そっか。
うん、それがいいよ」
そう言うと久保井は、通りかかったタクシーを止めて。
「じゃあね揚羽ちゃん」と去って行った。
なにあの酔っ払い……
こっちはあんたのせいで、愛を信じられなくなったってのに。
腹立たしい気持ちでそのタクシー見送ると。
酒臭いサラリーマンが通りすぎて、ふと思う。
久保井からはアルコール臭が全くしなかったと。
どんだけ弱いの?
揚羽はそう馬鹿にして、自分もタクシーに乗り込んだ。
◇
「で、何調べればいんだ?」
その日、柑愛の携帯がハッキング出来たと連絡を受け。
揚羽は倫太郎の家を訪れていた。
「連絡先、開いて。
久保井仁希の名前があるはずなんだけど」
「えっ……
なんでそいつがっ」
「私のお得意様の連れで、柑愛の指名客なの」
「はあ!?聞いてねぇしっ」
「そりゃ、言ってないからね」
「あぁ、そっか……
つか、いつからだよ」
「いつからだっけ……
そう、遊園地デートの前くらい?」
「そんな前からっ?」と驚いた倫太郎は、何か思い当たった顔をした。
「もしかして、あのすげぇ酔っ払ってた時のヤな客って……」
「あぁ、それかもね」
揚羽はバツが悪く感じて、そう濁す。
「……ごめん」
何も出来なかった事を申し訳なく思う倫太郎。
「別に謝る事じゃないでしょ」
お互いプライベートな事は訊かない約束のため。
前にその男を調べてもらった時も、何も聞かれなかったが……
倫太郎は久保井との関係をどう思ってるのかと、内心気になる揚羽。
そうして、お手製だという検索ツールでさっそく調べてもらうと。
「誰これ……
久保井の女?ターゲット?」
携帯の契約者には、女の名前が出てきた。
「さぁな、一応検索かけてみるけど」
と、今度はその女を調べたものの。
住所や生年月日等、一般的な情報しか浮かび上がらず。
「時間かけて、もっと詳しく調べとく」
「頼むわね。
それにしても、見るたび思うんだけど。
倫太郎の手ってやたら大きいから、キーボード打ちにくそうよね」
「っせーな、あんま見んなよ」
「いいじゃない。
別に貶してるわけじゃないのよ?
むしろ、大きな手って男らしくてカッコいいし」
我慢しても、思わず顔が緩む倫太郎。
「ふぅん、それは素直に嬉しんだ?」
「はあっ!?
嬉しくねぇよバーカ。
バカじゃねぇの?」
揚羽はふふっと吹き出した。
「2度も言う事ないじゃない」
「っ……
あぁも帰れよっ、調べとくから」
「はいはい。
頼りにしてるわ、天才ハッカーさん」
倫太郎は浮かない顔で、ふぅと溜息を吐きこぼした。
そんな、とある日曜。
買い物から帰ってきた揚羽が、いつものように自宅マンション手前のダミーマンションでタクシーを降りると。
「聡子さんっ!」
聞き覚えのある声でその名を呼ばれ……
思わず息を飲んだ。
「鷹巨……
どうしてここに?」
危険を感じた揚羽は、すぐに盗聴器をオンにした。
鷹巨に教えていたのは、タクシー移動を挟んだもう一段階手前の偽装住居で。
ここを知っているはずがなかったからだ。
「……すみません。
どうしても、聡子さんに会いたくて……」
その頃、倫太郎はジムに行っていたが……
護衛や連絡に備えて、いつも片耳にワイヤレスイヤホンを付けているため。
盗聴器と連動させていたそれに、突然流れ込んできた異変を捉えて。
慌てて揚羽の元に向かった。
「そう……
でもどうやってここを突き止めたの?」
「それも、すみません。
実は、プレゼントの花束に盗聴器を仕込んでて……」
その話によると。
なかなか美人局が実行されない事を不審に思った毒女が、揚羽の手口を探るために仕掛けさせたようで……
それを揚羽は、タクシーでここまで運んでしまい。
その際、行き先にこのマンション名を告げたため、盗聴器を通じてバレてしまったというわけだった。
「……やってくれたわね」
鷹巨のキャラに油断して、まんまと謀られてた自分に。
片手で顔を覆って、溜め息を吐き出した。
「あ、でもっ、元カノにここの事は言ってません。
結局失敗した作戦だから……
すぐ捨てられたみたいだって、話してます」
どうかしらね。
捨てられた事を、少し悲しげに話していた鷹巨だったが……
一杯食わされた手前、すっかり不信感を持つ揚羽。
「それで?
なんの用で会いたかったの?」
毒女の示談金は、ちゃんと時間内に入金されていて。
ヤクザの方も、ツテがあるという倫太郎が……
二度と情報を漏らさないといった約束と、違約金等が記載された示談書でケリをつけてくれていて。
もうこの件は片付いたと思っていた揚羽だったが……
凝りもせず他の手段で復讐を企んでいるんじゃないかと、警戒する。
例えばまだ毒女と繋がっていて、その仕返しに刺されたりするんじゃないかとか……
2人のやり取りを聴きながら……
なにストレートに切り込んでんだよ!
俺が着くまで他の話で繋いどけよっ。
単刀直入に尋ねる揚羽に、焦る倫太郎。
そんな中、鷹巨はゆっくり語り出す。
「俺、あれから色々考えて……
あの日は、2人の本性を知ってショックだったし。
元カノの事も、すごく悲しかったけど……
でも思ったより早く立ち直れたんだ。
気持ちのぶつけ先が出来たってゆうか、気付けば聡子さんの事ばっか考えてて……
そしたら無性に会いたくなって。
会って目的を果たしたくなって。
連絡先は消えてたから、ここに来るしかなかったんだけど……」
「……つまり、何がしたいの?」
「つまり……」
思い詰めたような鷹巨が、その目をぐっと揚羽に突き刺した。
「聡子さんの事が好きなんだっ」
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