7 / 41
ジャコウアゲハ2
しおりを挟む
「あれ、聡子さん?」
その呼び名と呼び声で。
涙と酔いが一気に引いて、まずいと焦る。
揚羽は夜の仕事といわんばかりのドレス姿で、聡子とは正反対の派手なメイクをしていたからだ。
どうしようと、頭を大急ぎで回転させながら……
ゆっくりと声の主に視線を向けた。
「鷹巨さんっ……
どうして、ここに?」
「僕は接待が長引いて、今お見送りしたとこです。
聡子さんは……
大丈夫ですか?」
泣いていたのを目にしてか、心配そうに問いかける。
「……はい。
実は、夜の仕事の友達に頼まれて、今日だけ手伝ってたんですが……
駄目ですね、私。
せっかくこんなに綺麗にしてもらったのに、何の役にも立てなくて……」
再びぼろっと涙を零した。
すると鷹巨は、揚羽の隣に腰を下ろして……
おもむろにそっと抱きしめた。
「泣いてください。
僕がこうやって隠しとくんで……
でも1つだけ。
僕はこんな素敵な人が隣にいたら、それだけで。
たとえ会話が弾まなくても、どんなミスがあったとしても。
来たよかったなぁって思います」
そう言って、揚羽の頭を優しく撫でた。
さすが詐欺師……
上手く懐に入り込んできた。
私の話が事実だったら、このフォローはさぞかし嬉しかっただろう。
そう思いながらも、今の揚羽には有り難い温もりだった。
嘘でいい、嘘がいい。
どうせ全てのものが、いつどうなるか分からない幻なんだから……
しかもこのまま甘えれば、こっちも懐に入るのに好都合だと。
揚羽はその胸を吐け口に利用して、ぎゅっと抱きついて泣き濡れた。
そんな2人を……
やっぱり心配で様子を見に来た倫太郎は、車から眺め。
何も出来ない自分に胸を痛めながら、悔しさにきつく拳を握りしめていた。
「あの、もう大丈夫です。
ありがとうございました。
おかげで胸のつかえが取れました」
「……なら、良かったです」
そこで揚羽は気になっていた事を切り出した。
「でも、よく私だと気付きましたね?
自分でも別人みたいだと思っていたのに」
パッと見で同一人物だと見極めるのは困難で、今まで見破られた事などなかったのだ。
「はい。営業の仕事がらか、相手の特徴を捉えるのが得意なんです」
「すごいですね。
それよりすみません、明日も早くからお仕事ですよね?
なのに私まで帰りを遅くしてしまって……」
「いえ僕は、少しでも聡子さんの役に立てたならそれだけで。
だだ、我儘を言わせてもらうなら……
今度、遊園地デートしてもらえませんか?」
「遊園地っ、ですか?」
何考えてんの?
多忙なはずなのに、そんな一日中使って……
表の顔で詐欺をするとは思えなかったが、するならするで回りくどい手口だと怪訝に思う。
何より、揚羽自身が手っ取り早く終わらせたかった。
だけど……
「はい、喜んで。
楽しみにしています」
嘘の優しさでも詐欺の手口でも、受け止めてもらった事で気持ちを切り替える事が出来たため。
付き合ってやるかと、誘いに乗る事にして。
そこで一気に距離を縮めようと謀ったのだった。
次の日。
揚羽は気持ちを新たに、久保井への復讐に乗り出した。
「柑愛ちゃん、昨日席に着いた久保井さんなんだけど。
連絡先とか聞いてる?」
「あぁ、田中専務のお連れさまの……
聞いてないです。
揚羽さんの指名席だったし」
「そっか……
実は私、久保井さんの事すっごくタイプなの。
でも田中専務の手前、連絡先とか聞けないじゃない?
だからね?
柑愛ちゃんが気に入ってる事にして、呼び出してもいい?」
そうすれば今後は柑愛も指名に出来ると交渉し、シングルマザーで少しでもお金が欲しい柑愛は快く了承した。
揚羽はすぐに田中専務に連絡を入れると、昨日のお礼とともにその旨を伝えて……
久保井の来店を待ち望んだ。
倫太郎とバディを組んでしばらく経った頃、当然その名は調べてもらったが……
その時は何の情報も得られなかった。
でもここで電話番号や何らかの情報が得られれば、そこから何か掴めるはずだと見込んで。
次こそは心を乱さないと、腹をくくったのだった。
そして日曜。
揚羽はさっそく、鷹巨と遊園地に来ていた。
「聡子さん、次あれ乗りませんっ?」
「えっ、あの落っこちるやつですか?
無理です無理です、死んじゃいますっ」
「大丈夫ですっ。
僕がこうやって、手を繋いどくんで」
それ何の解決にもならないから!
そう思いながらも。
見るからに怖そうなフリーフォールを前に。
繋がれた手を、思わずぎゅっとする揚羽。
「ふっ、可愛い聡子さん」
優しく笑う鷹巨。
「いえもう、ほんとに。
乗った事がないので、どうなるかわかりませんっ」
「絶叫系、苦手なんですか?」
「まぁ……」
というより、まだ身長的に乗れなかった子供時代にしか来た事がなかったため、単純に未知への恐怖だった。
「でも試しに乗ってみましょう!
意外にスカッとするかもしれないですよっ?」
揚羽はこの時ほど、詐欺を面倒だと思った事はなかった。
ところが……
「もうあのスカッと感たまりませんっ。
もう1回乗りませんかっ?」
「あははっ、いいですよ何度でも」
すっかり虜になってしまう。
そのあと行ったホラーハウスでは……
「うわあ!ビックリしたっ。
聡子さん、怖くないんですかっ?」
「はい私、ホラー系は平気なんです。
なので、今度は私が手を繋いであげますねっ?」
本当は怖がって親密度を深めようと謀っていたが……
鷹巨が思いのほか怖がっていたため、方向性を変えたのだった。
「なんか俺、情けなくないですかっ?」
俺……
怖さで素が出てるし。
「いえ、可愛いです」
「いやそれ嬉しくな、うわっ」
「あはっ、大丈夫ですよ~」
「それバカにしてませんっ?」
「してないです、素敵です」
事実、他が完璧すぎるため、ほっとする一面だと思っていた。
「絶対バカに、てうわあ!」
「ふふっ、もうすぐ出口なので頑張りましょうね~」
最初はこれも詐欺の手口で、演技かとも思っていたが……
鷹巨の手汗がほんとに怖いのを物語っていた。
「すみません、手ぇ気持ち悪いですよね。
すぐ洗いに行きましょう」
「全然平気ですよ?
座っててください、何か飲み物買って来ますね」
そうして揚羽は、2人分の飲み物を買って休憩場所に戻ると。
鷹巨がいるはずのテーブル席には、知らない家族連れが座っていた。
「聡子さん、こっちです!」
鷹巨は近くのアトラクション前にいて、揚羽に気付くとそう手をあげた。
「すいませんっ。
あの家族連れのお父さんが、僕より青ざめてる感じだったんで譲っちゃいました。
すいません、聡子さんまで立たせちゃう事になって……」
「ふふっ。
私は全然構いませんよ?」
揚羽は素で吹きだした。
お姫様扱いすべきターゲットに不便をかけてまで、なんの得にもならない男性を気遣うなんて……
そこはせめて「あの子供が」と嘘をついて、子供好きアピールからの結婚願望をほのめかす所じゃないの?
と、優しくて間抜けな結婚詐欺師を微笑ましく思ったのだ。
もっとも、表の顔で詐欺をするつもりならばの話だが……
とはいえ、詐欺でないなら何なのだろう?と怪訝に思う。
コーヒーかけられて一目惚れしたとも思えないし……
「それにしても、聡子さんがホラー系平気だとは意外でした」
「ふふ、子供の頃は怖かったんですけどね」
ホラーハウスで泣きじゃくって、父親に抱っこされて脱出したのを思い出す。
するとふいに、鷹巨から優しく頭を撫でられる。
「え……何ですか?」
「すみません。
なんだか一瞬、泣きそうな顔に見えて……」
相手の特徴を捉えるのが得意というだけあって、人の表情を逃さない男だ。
揚羽はきゅっと胸を掴まれながらも、油断ならないと気を引き締める。
「鷹巨さん、さっきから謝ってばっかりですね?
私なら大丈夫ですよ」
そうきっと、人は絶望を味わうと強くなるのだろう……
その呼び名と呼び声で。
涙と酔いが一気に引いて、まずいと焦る。
揚羽は夜の仕事といわんばかりのドレス姿で、聡子とは正反対の派手なメイクをしていたからだ。
どうしようと、頭を大急ぎで回転させながら……
ゆっくりと声の主に視線を向けた。
「鷹巨さんっ……
どうして、ここに?」
「僕は接待が長引いて、今お見送りしたとこです。
聡子さんは……
大丈夫ですか?」
泣いていたのを目にしてか、心配そうに問いかける。
「……はい。
実は、夜の仕事の友達に頼まれて、今日だけ手伝ってたんですが……
駄目ですね、私。
せっかくこんなに綺麗にしてもらったのに、何の役にも立てなくて……」
再びぼろっと涙を零した。
すると鷹巨は、揚羽の隣に腰を下ろして……
おもむろにそっと抱きしめた。
「泣いてください。
僕がこうやって隠しとくんで……
でも1つだけ。
僕はこんな素敵な人が隣にいたら、それだけで。
たとえ会話が弾まなくても、どんなミスがあったとしても。
来たよかったなぁって思います」
そう言って、揚羽の頭を優しく撫でた。
さすが詐欺師……
上手く懐に入り込んできた。
私の話が事実だったら、このフォローはさぞかし嬉しかっただろう。
そう思いながらも、今の揚羽には有り難い温もりだった。
嘘でいい、嘘がいい。
どうせ全てのものが、いつどうなるか分からない幻なんだから……
しかもこのまま甘えれば、こっちも懐に入るのに好都合だと。
揚羽はその胸を吐け口に利用して、ぎゅっと抱きついて泣き濡れた。
そんな2人を……
やっぱり心配で様子を見に来た倫太郎は、車から眺め。
何も出来ない自分に胸を痛めながら、悔しさにきつく拳を握りしめていた。
「あの、もう大丈夫です。
ありがとうございました。
おかげで胸のつかえが取れました」
「……なら、良かったです」
そこで揚羽は気になっていた事を切り出した。
「でも、よく私だと気付きましたね?
自分でも別人みたいだと思っていたのに」
パッと見で同一人物だと見極めるのは困難で、今まで見破られた事などなかったのだ。
「はい。営業の仕事がらか、相手の特徴を捉えるのが得意なんです」
「すごいですね。
それよりすみません、明日も早くからお仕事ですよね?
なのに私まで帰りを遅くしてしまって……」
「いえ僕は、少しでも聡子さんの役に立てたならそれだけで。
だだ、我儘を言わせてもらうなら……
今度、遊園地デートしてもらえませんか?」
「遊園地っ、ですか?」
何考えてんの?
多忙なはずなのに、そんな一日中使って……
表の顔で詐欺をするとは思えなかったが、するならするで回りくどい手口だと怪訝に思う。
何より、揚羽自身が手っ取り早く終わらせたかった。
だけど……
「はい、喜んで。
楽しみにしています」
嘘の優しさでも詐欺の手口でも、受け止めてもらった事で気持ちを切り替える事が出来たため。
付き合ってやるかと、誘いに乗る事にして。
そこで一気に距離を縮めようと謀ったのだった。
次の日。
揚羽は気持ちを新たに、久保井への復讐に乗り出した。
「柑愛ちゃん、昨日席に着いた久保井さんなんだけど。
連絡先とか聞いてる?」
「あぁ、田中専務のお連れさまの……
聞いてないです。
揚羽さんの指名席だったし」
「そっか……
実は私、久保井さんの事すっごくタイプなの。
でも田中専務の手前、連絡先とか聞けないじゃない?
だからね?
柑愛ちゃんが気に入ってる事にして、呼び出してもいい?」
そうすれば今後は柑愛も指名に出来ると交渉し、シングルマザーで少しでもお金が欲しい柑愛は快く了承した。
揚羽はすぐに田中専務に連絡を入れると、昨日のお礼とともにその旨を伝えて……
久保井の来店を待ち望んだ。
倫太郎とバディを組んでしばらく経った頃、当然その名は調べてもらったが……
その時は何の情報も得られなかった。
でもここで電話番号や何らかの情報が得られれば、そこから何か掴めるはずだと見込んで。
次こそは心を乱さないと、腹をくくったのだった。
そして日曜。
揚羽はさっそく、鷹巨と遊園地に来ていた。
「聡子さん、次あれ乗りませんっ?」
「えっ、あの落っこちるやつですか?
無理です無理です、死んじゃいますっ」
「大丈夫ですっ。
僕がこうやって、手を繋いどくんで」
それ何の解決にもならないから!
そう思いながらも。
見るからに怖そうなフリーフォールを前に。
繋がれた手を、思わずぎゅっとする揚羽。
「ふっ、可愛い聡子さん」
優しく笑う鷹巨。
「いえもう、ほんとに。
乗った事がないので、どうなるかわかりませんっ」
「絶叫系、苦手なんですか?」
「まぁ……」
というより、まだ身長的に乗れなかった子供時代にしか来た事がなかったため、単純に未知への恐怖だった。
「でも試しに乗ってみましょう!
意外にスカッとするかもしれないですよっ?」
揚羽はこの時ほど、詐欺を面倒だと思った事はなかった。
ところが……
「もうあのスカッと感たまりませんっ。
もう1回乗りませんかっ?」
「あははっ、いいですよ何度でも」
すっかり虜になってしまう。
そのあと行ったホラーハウスでは……
「うわあ!ビックリしたっ。
聡子さん、怖くないんですかっ?」
「はい私、ホラー系は平気なんです。
なので、今度は私が手を繋いであげますねっ?」
本当は怖がって親密度を深めようと謀っていたが……
鷹巨が思いのほか怖がっていたため、方向性を変えたのだった。
「なんか俺、情けなくないですかっ?」
俺……
怖さで素が出てるし。
「いえ、可愛いです」
「いやそれ嬉しくな、うわっ」
「あはっ、大丈夫ですよ~」
「それバカにしてませんっ?」
「してないです、素敵です」
事実、他が完璧すぎるため、ほっとする一面だと思っていた。
「絶対バカに、てうわあ!」
「ふふっ、もうすぐ出口なので頑張りましょうね~」
最初はこれも詐欺の手口で、演技かとも思っていたが……
鷹巨の手汗がほんとに怖いのを物語っていた。
「すみません、手ぇ気持ち悪いですよね。
すぐ洗いに行きましょう」
「全然平気ですよ?
座っててください、何か飲み物買って来ますね」
そうして揚羽は、2人分の飲み物を買って休憩場所に戻ると。
鷹巨がいるはずのテーブル席には、知らない家族連れが座っていた。
「聡子さん、こっちです!」
鷹巨は近くのアトラクション前にいて、揚羽に気付くとそう手をあげた。
「すいませんっ。
あの家族連れのお父さんが、僕より青ざめてる感じだったんで譲っちゃいました。
すいません、聡子さんまで立たせちゃう事になって……」
「ふふっ。
私は全然構いませんよ?」
揚羽は素で吹きだした。
お姫様扱いすべきターゲットに不便をかけてまで、なんの得にもならない男性を気遣うなんて……
そこはせめて「あの子供が」と嘘をついて、子供好きアピールからの結婚願望をほのめかす所じゃないの?
と、優しくて間抜けな結婚詐欺師を微笑ましく思ったのだ。
もっとも、表の顔で詐欺をするつもりならばの話だが……
とはいえ、詐欺でないなら何なのだろう?と怪訝に思う。
コーヒーかけられて一目惚れしたとも思えないし……
「それにしても、聡子さんがホラー系平気だとは意外でした」
「ふふ、子供の頃は怖かったんですけどね」
ホラーハウスで泣きじゃくって、父親に抱っこされて脱出したのを思い出す。
するとふいに、鷹巨から優しく頭を撫でられる。
「え……何ですか?」
「すみません。
なんだか一瞬、泣きそうな顔に見えて……」
相手の特徴を捉えるのが得意というだけあって、人の表情を逃さない男だ。
揚羽はきゅっと胸を掴まれながらも、油断ならないと気を引き締める。
「鷹巨さん、さっきから謝ってばっかりですね?
私なら大丈夫ですよ」
そうきっと、人は絶望を味わうと強くなるのだろう……
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
PetrichoR
鏡 みら
ミステリー
雨が降るたびに、きっとまた思い出す
君の好きなぺトリコール
▼あらすじ▼
しがない会社員の吉本弥一は彼女である花木奏美との幸せな生活を送っていたがプロポーズ当日
奏美は書き置きを置いて失踪してしまう
弥一は事態を受け入れられず探偵を雇い彼女を探すが……
3人の視点により繰り広げられる
恋愛サスペンス群像劇
このブラジャーは誰のもの?
本田 壱好
ミステリー
ある日、体育の授業で頭に怪我をし早退した本前 建音に不幸な事が起こる。
保健室にいて帰った通学鞄を、隣に住む幼馴染の日脚 色が持ってくる。その中から、見知らぬブラジャーとパンティが入っていて‥。
誰が、一体、なんの為に。
この物語は、モテナイ・冴えない・ごく平凡な男が、突然手に入った女性用下着の持ち主を探す、ミステリー作品である。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
強制憑依アプリを使ってみた。
本田 壱好
ミステリー
十八年間モテた試しが無かった俺こと童定春はある日、幼馴染の藍良舞に告白される。
校内一の人気を誇る藍良が俺に告白⁈
これは何かのドッキリか?突然のことに俺は返事が出来なかった。
不幸は続くと言うが、その日は不幸の始まりとなるキッカケが多くあったのだと今となっては思う。
その日の夜、小学生の頃の友人、鴨居常叶から当然連絡が掛かってきたのも、そのキッカケの一つだ。
話の内容は、強制憑依アプリという怪しげなアプリの話であり、それをインストールして欲しいと言われる。
頼まれたら断れない性格の俺は、送られてきたサイトに飛んで、その強制憑依アプリをインストールした。
まさかそれが、運命を大きく変える出来事に発展するなんて‥。当時の俺は、まだ知る由もなかった。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる