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俺のハニーは嗜虐趣味のM
しおりを挟む俺はよく誘拐される。
事業を成功させた金持ち貴族の息子であり、犯罪都市ともささやかれる治安の悪い街の支店を任されている身であり、なおかつすこぶる美人の従者を連れ、隙だらけで街やその周辺を徘徊しているから、かな。
とにかくこうして後ろ手に縛られて、ひとり汚い物置小屋のようなところに監禁されるのは日常茶飯事である。
「おとなしくしてな、坊ちゃん。金さえもらえりゃ手荒なことはしねえよ」
いかにも荒くれものです、という風貌の男が、施錠された扉越しに話しかけてくる。
古い石造りの壁、饐えたにおい。廃棄された砦、のような場所だろうか。
答えずに様子をうかがっていると、男は勝手に話を続ける。
「まあもう一人の綺麗な坊やは、今頃天国と地獄を見てるだろうけどな…順番が待ち遠しいぜ」
下種な笑い声にため息をつく。
その綺麗な坊やは、俺の従者であり、恋人でもある。
まああいつなら元気だろうけど、とひとりごちて、俺はごろりと寝返りを打った。
数時間ほど過ぎただろうか。
「ギャッ」
扉の向こうから聞こえた悲鳴に目を覚ました。
うとうとしていた自分に気づき、我ながら慣れたもんだと苦笑する。
「ご主人様がお待ちです」
荒くれもの、その2、みたいな男が扉を開けた。
さっきのヤツよりは多少、知的だろうか。
それにしても、ご主人様、ね。
「案内してくれ」
縄を切られ、黙って踵を返した男について歩く。
扉の外では、荒くれものその1が心臓を一突きされて息絶えていた。
「殺したのか」
「ライバルは少ないほうが」
しれっと答えた男に、俺は笑いをこらえなけらばならなかった。
今度は一体なにをやらかしたんだ、マイハニー。
「ああああふぅうう!ご主人様、もうゆるしてぇええ!」
汚いダミ声が廊下まで響いてきて、俺は頭痛を覚えた。
目に飛び込んできたのは、目隠しをされ、腕を縛られた全裸の、筋骨隆々でひげも胸毛もモジャっとした男が、ムチでしばかれながら泣いて許しを請う光景だった。
「さっさとその汚ないお尻に、自分でディルドを入れて見せて?上手にできたら、ご褒美があるかもしれないよ」
シャツ1枚のあられもない恰好で妖艶にほほ笑んだ俺のハニーが、ムチの先でひげだらけの顎を撫でる。
「ぁああぁ…」と頬を染めてため息をついたモジャ男が、背後の椅子に設置してある男性器の張り型に、オットセイのような声を上げながら腰を落としていく。
「フフ、これがご・ほ・う・び」
「@kぽいうytれえwqw!!」
褒美と称して乳首の周りにはえていた毛を数本勢いよく抜かれ、モジャ男は言葉にならない叫び声とともに射精した。
俺を案内してきた男がそれを見て、きゅん、と内股になる。
「ノア」
やれやれ、と嘆息しながら声をかけると、俺のかわいいノアはニヤリと笑って振り向いた。
俺を案内してきた「その2」に、強烈な流し目をくれている。
「ごくろうさま」
「はい、ご主人様」
その2が答えるや否やムチが跳んで、下肢の布を引き裂いた。
「もう溢してるの?体は大きいのに、こらえ性がないんだね」
「は、はいっ、申し訳ありま…おひぃっ」
ひゅん、とムチが鳴るたび、その2はどんどん内股になり、とうとう床に這いつくばった。
「いい格好。そのまま這いずって、ディルドで遊んでる変態さんに跨っておいで」
のろのろと這っていくその2を見下ろして、ノアは大層楽しそうである。
俺はまったく、楽しくないが。
「ノーア、おいで」
もう一度、甘ったるい声で呼ぶと、ノアはムチを放り出して駆けてきた。
抱きしめて、何もつけてない尻を撫で、はざまに指を差し込むと、ノアは小さく喘いでしがみついてくる。
「今日は、何もさせていないみたいだね?」
「……っ、ばか…」
ノアの蕾はしっかりと閉じ、さらりと乾いている。
「でも、確かめないと安心できないな」
俺はノアを抱えて、モジャ男とその2が絡み合う椅子とは対面にある、壁際のソファに腰を下ろした。
座った瞬間多少のほこりが舞うのに、眉を顰める。
ノアを足の間に座らせ、片足を俺の太腿にかけて固定した。
「あ…あっ、ニコ…っ」
「ノア…ケガをしていないか、見ているだけだよ?そんな声を出して、どうしたの?」
「ん…いじわ、るっ」
優しい声で耳にささやきを吹き込みながら、蕾の周りをくるくると撫でる。
気が付けば、小さく喘ぎながらもどかしく腰を回すノアを、モジャ男とその2が凝視していた。
二人の目には、ノアへの欲望の色が宿っている。
「………結界」
俺は得意の、というかこれしかできない結界魔法を使った。
部屋の半分のところに透明で分厚い壁を作る。
これしかできないだけあって、いろいろと追及しまくった俺の結界技術はなかなかのものがある。
「やだ、ニコ、や…」
「なにが?ノア、見られるの好きでしょ?」
ちがう、と首を振っても、そんなに昂っていたらバレバレだ。
「ノアのココは、誰と、何回悪いことしても、可愛いピンク色で小さく閉じてるから…信用ならないんだよね」
「やぁんっ、ニコ、ニコとしかしてなぃ」
刺激を待って震えていた蕾の真ん中を押してやると、ノアがちょっと泣いた。
でも頬を紅潮させて見上げてくる目が、もっといじめて欲しそうにしている。
「じゃあよく見せてもらおうかな。もっと足広げて、手はこっち…そう、いいこだね、ノア」
大きく広げた足をそれぞれ自分で持たせ、固く立ち上がり滴をこぼす屹立も、その下で物欲しそうにひくつく蕾も、すべてさらけ出させる。
と、バン、と音がして、全裸の男たちが透明な結界に張り付いた。二人とも食い入るように、彼らの「ご主人様」だったノアの痴態を見つめている。
「ニコぉ…見られてる……」
「うん?見られながらイキたいの?」
「ちが……あ、ぁんっ、や…!」
シャツの上から乳首を揉むと、焦らされているノアは面白いくらい身もだえた。
布越しに刺激を続けながら、釦をひとつ、ふたつ、と外す。
乳首が見えそうで見えないところで止めて、シャツの中に手を入れた。
「ノアの乳首もね…どんなに弄っても、ちっちゃくてかわいいんだよね……見たい?」
結界の向こうに視線を向けると、彼らは自らの棒を扱きながらうんうん頷いている。
まったく見たくもない姿ではあるが、ノアのエッチな体が悦ぶので放置しよう。
さらに釦をはずし、小さくとがったピンクの突起を見せびらかしてから、両方同時にきつくひねり上げた。
「ひゃう!あん!あっ、やだ、そんな急にしちゃ、や!」
ノアの鋭い悲鳴を聞きながら耳たぶに歯を立て、両の乳首を捏ねまわす。
それだけでイキそうなくらい、ノアの屹立は涙のような滴を次々と溢れさせていた。
「ノア…?乳首しか触ってないのに、イッちゃうの?」
「やだぁっ、イ…かないっ!ンッ、ゃ、いやぁっ、あぁッ!!」
ちゅぷ、と音を立てて耳に舌を差し込むと、それをきっかけにしてノアは爆ぜた。
「ニコのばかぁ…えっち……」と泣きながらぐずぐず言っているが、いまだに自分の足をちゃんと抱えて秘所をさらしている。けなげだなあ。もっといじめたくなっちゃうなあ。
「ノア、欲しいの?こんなところで…?」
前から溢した液体で濡れている蕾に指をあてがうと、ひくひくと脈動して呑み込まれていく。
その様を笑いながら教えると、「もぉっ」と拗ねたような声を出したノアが勢いよく振り返った。
「欲しいよっ!ニコの……っ!」
ノアが真っ赤になって、涙をぽろぽろとこぼす。
さっきまでムチ片手に屈強な男たちをしばいていたとは到底思えない。
「そのかわいいお尻に、俺のを自分で入れて見せてごらん?」
ノアがモジャ男に言っていたセリフをもじって告げると、透明な壁の向こうで白濁汁が飛び散った。
人間の欲望って、汚いなあ。床が白い水たまりでいっぱいだ。
「でも、ノアはきれいだよ…どんなことをしてても、ね」
「あぁ……ニコ、支えて…あっ、あ、こわい…っ」
少しずつ俺の欲望が、まだ慣らしていないノアの中に包まれていく。
泣いている顔が見たくて、腹を片手で支えながら振り向かせ、キスをした。
「ン…っ、ふぅ…っん…」
舌を絡めて吸うと、ノアの中がきゅっと締まる。
そして揉むように蠕動する。
いつもより濡らしていないせいか、その動きが鮮明に伝わってきた。
「は…っ、ノア…すごくいいよ…痛くない?」
「ぅん、ん……もっと、深く、きて…?」
もうできない、と震える声で泣かれて、たまらず強く突き上げた。
中で俺の先走りが出て、動かすたびに滑らかになっていく。
「あっ、あっ、いぃ…っ、ニコの、ん…っ、すごい…どくどくしてっ…」
俺の突き上げに合わせて、ノアが腰を振り出した。
こうなるともう、俺の絶頂はノア任せだ。
中で揉まれ、絞られて、ノアに合わせて持っていかれる。
どんなに泣かせてみても、実際は俺の従者でも、ノアは俺にとっての「ご主人様」だった。
「アッ…ぁあん、あっ、イッちゃう…ニコ、はぁ…ん…ゃぁあ!」
「……っく、ノア、出すよ」
「あんっ、あぁああっ、ニコ…ぉっ!」
ノアの中に放った俺は、すでに羨ましそうにしている二対の視線など、気にならなくなっていた。
洗浄の魔法って、本当に便利だ。
俺は荒くれものたちが用意した馬の背を撫でる、きれいさっぱりとした出で立ちのノアに近づいた。
「ノア、帰ろうか」
「うん……みんな殺しちゃったの?」
俺の手を借りて馬に跨りながらノアが聞いてくる。「あたりまえでしょ」と答えると、「うーん」と唸った。
だってライバルは少ないほうがいいし。ね?
「犯罪者が減るんだからいいじゃない」
「そうだけど…けっこう可愛げがあったのに…」
俺は絶句した。
あいつらの、どこに、かわいげが?
毎度のことながら、ノアのはかなげな容姿とあの調教っぷりが結びつかない。
けれど聞いてもノアは「相手の望むことをするだけだよ。今日の子たちは、支配されたい子羊さん」と、俺には謎なことを言うばかり。
「そして俺は、ニコに支配されたいの。お願いね?ご主人様」
無邪気な笑顔で振り向かれて、なんかもうどうでもよくなった。
俺にとってもノアがご主人様だけど、それは言わないでおくか。
「馬の上でどこまでできるか試そうか」
「もー、ニコのえっち!」
楽しそうに笑う俺たちを乗せて、馬が悲し気に一声『ヒヒーン』と鳴いた。
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