異世界に転移したら魔術師団長のペットになりました

ことり

文字の大きさ
上 下
54 / 60
二部【学園編】

ミッチのこと

しおりを挟む
学園に通い始めてから落ち着くまで、エッチはなし、と決めたはずなのに、どうして俺は初日からジュードに跨って腰を振っているのでしょうか。

「んんぅっ、あっ、あッ、はぁん…っ…」

自分で動くのは、最初はすぐにヘタれていたが、慣れてくれば快感をコントロールできるのがいい。されるばかりだと良すぎて辛い、と、ようやく気がついた。

「かわいい顔して。気持ちいいのか?」

「ん、うん、いい…ジュード、好き…あ、やっ、まだ、おっきくしないで…っ」

これだと、いたしている最中に会話ができる。けど俺のペースだとなかなかイかせてあげられないので、結局は逆転して、泣くか喘ぐかのどちらかになってしまう。

「このまま朝まで入ってんのも悪くないけどな…ほら、掴まれ」

上半身を起こしたジュードが俺をぎゅっと抱き締めて、自然に唇が重なった。対面座位で密着して背中を撫でられ、もっと触れて欲しくて腰が揺れる。

「あっ、もう…しばらくしない、はずだったのに…」

学園にいる間、魔力は極力見えないように抑えているけど、魔法を使う時には出てしまう。学園内に魔眼持ちがどれだけいるかわからないので、魔力が混ざった状態にならないようにして、少し様子を見る予定だった。

「俺のペットだって宣言したんだろ?なら見られたって構わねえよ。念のため虹にするのはなしだがな」

「あぁっ!あ、アッ、や、あんっ!ああぁっ」

後ろに押し倒され、激しく抽挿されると頭の中が白くなっていく。内側から灼かれるように熱くなって、「あつい」と泣きながらジュードの背にしがみついた。

最奥で放たれた紅蓮の魔力が身体中を駆け巡って、陽だまりのような光に変わって俺たちを包む。

温かさと快楽の余韻に浸りながら、俺はジュードの腕の中で目を閉じた。




翌朝登校すると、ミッチに変な顔をされた。「なんか昨日と違う?」と言うので、魔力が見えるのか問えば、そういうわけじゃないらしい。

今朝は魔力が混じった状態だと説明すると、片手で額を覆って「あー、それでこれか」と何かごにょごにょ言っていた。
魔眼じゃなくても、魔法に長けていれば何か変化を感じ取れるってことなのかな。

「ミッチ、魔眼持ってる生徒ってどのくらいいるかわかる?」

「1年は各クラス、1人か、いても2人くらいじゃないかな。隠してても教授側は把握してるはず。魔法科に進んでる2~3年の中でも、10人いるかいないかだと思うけど、調べる?」

ミッチの声が弾んでいて、ほんとに情報集めが好きなんだなと口元が緩む。魔術師団ではいつもバレていたから気にする事はないかもしれないけど、ミッチが調べたそうなのでお願いすることにした。
ついでにジュードとセスが1日交替でうちに泊まることになったのも、学園内の護衛であるミッチには伝えておく。

「女子が聞いたら喜びそうだな…」

ミッチはますます頭を抱えてしまった。俺の保護者が過保護でごめん。

「そうだ、ミッチのおうちは交易商だよね。ジュードや風雷公がどこかで会ってるかもって。お名前聞いていい?」

「ふわっ?!おま、殿下に俺の話したのっ?!うわなにそれやっべぇ!」

「そりゃ学園の話するよ?何かやばいことしたの?」

「ちげーよ!恐れ多くて光栄ってかうれしいってか複雑なんだよ!!!」

赤くなりながらじたばたするミッチを見て、ジュードの人気を再確認してしまった。

「ぽっと出の俺が敵視されるわけか…」

「俺は殿下らしいと思うけどな。変なしがらみや思惑も全部無視して、自分で拾ってきた出自不明のソーヤをかわいがる、ってとこが、なんか痛快だろ。殿下は国内じゃ子孫残さない、って事になってるけど、他国からは婿にって欲しがられてるからさ。あ、ちなみに副団長も、国内外で相当の人気だぞ?」

「うわぁ…」

チートだ、とは思っていたけど、情報通の一般国民目線で恋人たちの評価を聞けば、俺の顔は青ざめるばかりだった。これはよほどがんばって勉強しないとな、と思う。
ジュードもセスも世間が俺を認めなかろうが気にしないだろうけど、2人にふさわしくありたいと願ってしまうのは別問題だ。
せめて迷惑かけないようにしよう。

「ミッチのおうち…」

「あ、ああ、そうだった。家名はないよ。父は交易商のオスニエル、母はミルドレッド。国家間交易の許可を持ってて、いまは…どこらへんにいるんだったかな…。いや、うちの親父が風雷公やジュード殿下と会った事あるわけ…あるのか?」

悩み始めたミッチを眺めつつ、ご両親のお名前を心にメモした。ご両親は交易の旅に出ていて、王都に家がないミッチは寮住まいらしい。

王都に家やセカンドハウスがある1年生はほとんど通いだが、専門課程の2年、3年生になると、利便性を取って入寮する生徒も多いとか。
騎士科は朝早くから鍛錬したり、魔法科は夜遅くまで実験したりするから、学園敷地内に住んだ方が都合がいいみたい。

「寮ってなんか楽しそうだね」

「遊びに来てもいいけど…乱れてるぞ?性的に」

「…そう、なん、だ…」

やはりこの世界では、俺の常識は通用しない。
わかっていたはずなのに、つい遠い目をしてしまった…。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

すずらん通り商店街の日常 〜悠介と柊一郎〜

ドラマチカ
BL
恋愛に疲れ果てた自称社畜でイケメンの犬飼柊一郎が、ある時ふと見つけた「すずらん通り商店街」の一角にある犬山古書店。そこに住む綺麗で賢い黒猫と、その家族である一見すると儚げ美形店主、犬山悠介。 恋に臆病な犬山悠介と、初めて恋をした犬飼柊一郎の物語。 ※猫と話せる店主等、特殊設定あり

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

処理中です...