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悪いセンパイ
しおりを挟む─生まれつき、明るいアッシュヘーゼルの髪と目。白い肌、鍛えても薄い筋肉に骨っぽいカラダ─
『染めてません』とは言い飽きた。
『なんか色っぽいよね』、『なんか悪そう』とは聞き飽きた。
なんかって何だ。
意味が分からない。
生まれてこの方16年、外見のことで言い訳するのも弁解するのも飽き飽きして、俺は少々ひねくれた。
『いい色じゃんお前の髪。地毛?オレなんか金出して染めてんだぜ』
けどバイト先で出会ったセンパイは、カラリと笑って俺の髪をぐしゃぐしゃ撫でた。
『犬じゃねえです』と横を向いたけど、俺はほんとはうれしかった。
センパイは俺の不愛想な態度も気にせず、『お前かわいくねーな』とまた無邪気に笑った。
強面でガタイのいい先輩には、『悪い連中と付き合ってる』ってウワサが付きまとった。
外野なんかいつだって勝手なんだ。俺は全然気にしなかった。
センパイはかっこよくて、陽気で、周りの奴らはわかってねーな。バカだろ。
そう、思っていたのに──。
俺は今、センパイに『最近出回り始めた新しいクスリ』とやらを一服盛られ、人生最大のバックバージンの危機を迎えていた。
狭いワンルームで後から首をつかまれ、壁に強く押し付けられる。安い壁紙に頬がすれて痛い。
下肢の布はすべて剥かれて、着ているものはバイト用の白いYシャツだけ。
「センパ…ッ…もうやめてくださいっ、今なら笑い話にしますから…っ」
いや、もう笑い話にはならないかな。
媚薬を盛られ、前は張りつめ、尻の穴にはローションと指2本ぶちこまれている。
尻でよがるとか信じられなかったのに、クスリのせいなのか乱暴にかき混ぜられても、圧迫感とせりあがる熱しか感じない。
「何言ってんだ。笑い話なんかにされたらオレが可哀そうだろう。ヤローのケツいじってシラフでおっ勃ててんだからな」
「う、あ、あっ!や…!」
獰猛な、暗い笑みと目が合った瞬間、悪寒に似た何かが背中を駆けた。強烈な射精感がこみ上げる。
俺はMか、Mなのか。
気を逸らさないと前が弾けそうで、目の前の壁に必死で爪を立てた。
「後遺症も常習性もないクスリだから安心しろ。効果が切れる前にケツはたっぷり仕込んでやるけどな」
「えーヤダー、クスリダメぜ…ぃっつぅ…!」
ふざけた口調を返すと髪をつかまれ、無理に後ろを向かされた。
痛みで射精感が少し遠のく。
ほっとした矢先、センパイのとんでもないナマのアレが視界に入り、俺は青ざめた。
「や、むりっ!それシャレになんないから!絶対入んないから!!」
もがいて喚く俺をなんなく押さえつけて、センパイがぐっと顔を近づけてくる。
ドスのきいたかすれ声がささやいた。
「お前のすかしたツラ、ずっとめちゃくちゃに泣かしたかった」
「──…ッ!イヤ、だっ」
尻の狭間に熱いものが押し当てられる。
俺は絶望に固く目を閉じた。
その瞬間、瞼の向こうで白い光がはじけた──。
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