ざまぁ?的な物語?かも?

荒谷創

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とある小悪魔の場合

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大体さぁ、天界に未練たらたらって段階で負けてんだよなぁ……
聞いてる?
ねえ、聞いてるよね?
よし。聞いてろ。
これでもさぁ、頑張ってる訳よ。
こちとら、種別小悪魔な訳でさ?
正直、大した能力も無いって、判るじゃん?
そりゃあね、普通の人間と比べたら、あたしだって負けたりしないけどさ?
人間なんて首もいだら死ぬ生き物だかんね。たまに魔力持ってても、こっちに通用する様なモンじゃ無いしさぁ。
けどさ?
だけどさ?
勇者とか、聖女とかってのは別格じゃんね?
実際、小悪魔より全然強い魔人とか上級悪魔さまとか、ばんばん討伐されてさぁ。
そんな化けモン相手に、タマ取ってこいって言われてもさぁ……
出来る事と、出来ない事ってある訳よ。
ぶっちゃけ、テメェ自分行け逝けって感じ。
わかってくれっかなぁ?
無茶ぶりすんな、パワハラかっての。
今日は嫌な予感してたんだ~
まだ日が暮れる前に目が覚めるしさぁ。買い置きの酒は切れてるし、燻製肉はネズミに食われて無くなってるし。仕方ないから新鮮な水汲んで飲んだし、健全に獲物を捕らえて喰わなきゃなんなくて。
でも、まさかさぁ、72魔王さまの側近さまに見つかって、勇者討伐してこいって言われるとは思わないじゃん?
あんたなら、どうしたよ。
ムリっす!出来ませ~ん♪ 
って、言える!?
ねえ、言えちゃう!?
あたしゃ、言えなかった訳よ。
当たり前だよね?命惜しいもん。それこそ魔王さまの中には、9つの命があったり、そもそも死ななかったりする方が居るけどさ。
言ったよね?あたしは、小悪魔だって。
しかも天界生まれでも無いのよ。
あたしは、月女神アルトレーメさまの赤い光を浴びた酌婦が産み落としただけの、極々ありふれた魔物で地上生まれ地獄のハズレ育ちの半端もんだっての。
そもそもさぁ、人間界なんか放っときゃいいじゃん。手に入れたって、そんなに意味あんのかっての!?
天界への復讐の足掛かり?
へーそー、そりゃー大変だねー
あたしに関係なくない!?
ちょっと、聞いてんの?
もう飲めない?
いやいや、まだ宵の口も良いとこじゃん。
この後、ちゃ~んと相手してやるから、もう少しあたしの話しを聞きなよ。ね?
うんとサービスしてやっからさ。
とりあえず、命の水追加~
ほらほら、のめのめ
旨いっしょ!
なんせ、あたしのお気に入りだかんね。人間界でも、この店位しか出してない酒なんよ。
この喉がカ~~~っと熱く焼けるのが、たまんねぇんだよね~♪
あ、どこまで話したっけ?
え~~~~と、ま、最初から話すよ。
逃げんなよぉ。ほ~ら、おっぱいだぞ~♪
スケベな奴は好きだよ♪
なんせ、アルトレーメさまは狂気と性愛の女神さまだかんね♪
よ~~し!
アルトレーメさまに、乾ぱ~い!
あたしの死亡通告に、乾ぱ~い!
魔王さま側近に、災いあれ~~!!
のめのめ~~
死ぬまでのめ~~
死んでものめ~~~~
きゃははははははははは!!

いやぁ、アンタ良かったよ♪
酒もアッチも最高に良かったし、あんがとね~
最期に楽しい酒盛り出来たし、アフターもさぁ、あたしが死ぬんじゃなけりゃ、もっとゆっくり楽しみたかったよ♪
行かなきゃ良いって?
アンタ、優しいねぇ。
でも、ムリ。
あたしらに取って、格上の命令ってのはさ、絶対なんよ。
今回みたいに期限切られてなくっても命令されたら実行しなきゃ、めっちゃ苦しいし、最悪死んじゃうのね。
しかも格上も格上。
魔王さまの側近さまと、あたしじゃ、もうね、話にすらならない訳よ。
引き伸ばすのも、限界。
未練になるからさ、じゃね。






すぐ、帰ってこい?
でも、あたし命令が……
え?その命令出した上級悪魔さまが、魔王さまのお手討ちに?
ざま……いえ、何でも無いです。
すぐ帰りま~す。



あ、アンタ!
会いたかったよ♪
なんだか知らないけど、命、助かっちゃってさ♪
ね、のもうよ。そんで、ヤろう?
今度はゆっくり、しっぽりとさ♪
え?
ここじゃなくて、アンタん家で?
良いけど、あの酒は……
沢山買ってある?ただで良い?
本当まじ
いくいく、何処にでも行っちゃう!
よ~~~し!
楽しむぞ~~~~~♪

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