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首飾りと僕
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白耳塊を下処理して、崩れない様に保存ボックスにしまうと、僕は再び参道を登り始めた。
「……すごい」
登りきった僕の目の前には、青い絨毯が出来上がっていた。ちょっと前にはただの広場だったそこは、こんこんと溢れた清水に揺れる青水芹で、埋め尽くされている。
凄い。
ゆらゆらと揺れる中から、とびきり青くて長いものを摘み取る。質の良いそれらは、社の前の泉から伸びているから間違え様がない。
この質と、量ならギルドでの買い取り額も期待出来る。
「……ありがたいなぁ。ぬこ様のおかげなのかな?」
カラカラカラカラ……
『うにゃ~ん』
夢の中でぬこ様と約束したしね。こうしてご利益もいただいたし、せめて少しでもお返ししなきゃね。
それに、今日はもう一つやりたい事があるんだ……
『お前、禍物の核を持ってるにゃ?』
「核?」
ぬこ様は綺麗な首飾りを外して見せてくれる。
そこには12個の水晶と、大きな紅玉が填められていた。
「あ、この水晶…」
あのデカチビのゴブリンから出たドロップ品だ。
『この水晶が核にゃ』
首飾りを着けながら、ぬこ様は僕を覗き込んでくる。
『知らないにゃ?』
「はい。ギルドでも持ち込まれた事は無いって言われました」
『昔は珍しいけど、みんな知ってるモノだったにゃ。さもにゃーが幅をきかせる様になった弊害にゃ』
「ぬこ様、お約束通りに参りました」
朽ちた社じゃなく、溢れる泉の中央…夢の中でぬこ様が居た小さな社の方に二礼二柏手一礼する。
『うにゃ~ん』
どこからか聞こえたぬこ様の鳴き声と共に、泉の中央付近から何かが浮かび上がると、僕の足元にまで滑るようにやってくる。
「これ、ぬこ様の首飾り……?」
中央の石は透明で、水晶の所は何も嵌まっていないけど間違いない。
…ウニャーン…
「いま、ぬこ様の声が聞こえたような……また、参りますね」
さ、青水芹が劣化する前に下処理して帰ろうっと!
「……すごい」
登りきった僕の目の前には、青い絨毯が出来上がっていた。ちょっと前にはただの広場だったそこは、こんこんと溢れた清水に揺れる青水芹で、埋め尽くされている。
凄い。
ゆらゆらと揺れる中から、とびきり青くて長いものを摘み取る。質の良いそれらは、社の前の泉から伸びているから間違え様がない。
この質と、量ならギルドでの買い取り額も期待出来る。
「……ありがたいなぁ。ぬこ様のおかげなのかな?」
カラカラカラカラ……
『うにゃ~ん』
夢の中でぬこ様と約束したしね。こうしてご利益もいただいたし、せめて少しでもお返ししなきゃね。
それに、今日はもう一つやりたい事があるんだ……
『お前、禍物の核を持ってるにゃ?』
「核?」
ぬこ様は綺麗な首飾りを外して見せてくれる。
そこには12個の水晶と、大きな紅玉が填められていた。
「あ、この水晶…」
あのデカチビのゴブリンから出たドロップ品だ。
『この水晶が核にゃ』
首飾りを着けながら、ぬこ様は僕を覗き込んでくる。
『知らないにゃ?』
「はい。ギルドでも持ち込まれた事は無いって言われました」
『昔は珍しいけど、みんな知ってるモノだったにゃ。さもにゃーが幅をきかせる様になった弊害にゃ』
「ぬこ様、お約束通りに参りました」
朽ちた社じゃなく、溢れる泉の中央…夢の中でぬこ様が居た小さな社の方に二礼二柏手一礼する。
『うにゃ~ん』
どこからか聞こえたぬこ様の鳴き声と共に、泉の中央付近から何かが浮かび上がると、僕の足元にまで滑るようにやってくる。
「これ、ぬこ様の首飾り……?」
中央の石は透明で、水晶の所は何も嵌まっていないけど間違いない。
…ウニャーン…
「いま、ぬこ様の声が聞こえたような……また、参りますね」
さ、青水芹が劣化する前に下処理して帰ろうっと!
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