ぬこ様と僕

荒谷創

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ゴブリンと僕

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「はっ、はっ、はっ、はっ…」
急げ、急げ。
「GyaGya!!」
追い付かれたら終わりだ。
幸い小鬼ゴブリンは、そんなに足が早くはない。
ただ、気配からして数は増えてる。
「助けてー!」
門が見えた所で、叫ぶ。
気付いて!
『………!』
よし、見張りの目がこっちに向いた!
って、事で方向を少しずらす。
門が閉じられる前に辿り着いたら駄目だからね。出来れば門から外れた壁側に誘導したい。
「…はぁ、はぁ…」
息が切れる…足がもつれる。
もうダメ…
辿り着いた壁に凭れ掛かって、追っ手の確認。うわ、十匹以上いる…
ゴブリン小鬼は身長百五十cm程で、人の形に似た全身草色の禍物だ。
やせ形だけど突き出した太鼓腹、だらりと垂らせば地面に付く程長い両腕、がに股で短足、足は扁平足で幅が広い為バタバタと音を立てて歩く。顔は顎が張っていて四角く、大きくギザギザに裂けた口があり、後は仮面の様なツルンとしたのっぺらぼうに、小さな角が二本。
今、迫ってきている奴らは、こん棒みたいな物を持っているけれど、上位の個体の中には剣と甲冑で武装していたり、杖を持って魔法を使う奴もいる。
さあ、ここからが正念場。
ゴブリン達を見る。見極める。
助けが来るまで、生き延びなくちゃ。

「ゴブリンの群れだ!誰か追われているぞ!!」
見張りの兵が声を上げる。
幸い、商隊が通る時間じゃない。閉めてしまうのに支障は無し。
「閉門!閉門!!」
ガラガラガラガラ…
緊急時の巻き取り装置で門が閉じられる。閂が掛けられ、反対側の門へ伝令が走った。
「間に合ったな」
「追われていたのは、何人だ!?」
「一人だ、いつもの坊主だった。西側に向かったぜ」
いつもの坊主。あの華奢な茸の坊主だ。
彼一人では嬲り殺しにあうだろう。どのみち、ゴブリンの群れは叩かないといけない。
「副長!行けます!」
「よし、出撃!」
守備を残して、出撃する。
坊主、生きてろよ!




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