ぬこ様と僕

荒谷創

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ドロップ品と僕

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「さあ、白耳茸探さなきゃ」
使役印が浮かんで大人しくなった野犬を連れて、社から退去する。
禍物は禍気の塊なので、社には相応しくないからね。とっとと離れないと。
ああ、でもその前に一応、もう一鉄貨を。
「お騒がせしました。また詣ります」
『うにゃ~ん……ゴロゴロ…』
今なんかいつもと違った様な…
気のせいか。さ、行こう。
白耳茸、あると良いなぁ…

白耳茸を集めながら森を進む。街から見て反対側に降りたので、ぐるっと山の裾野を回る形だ。
ついでに山菜も採る。あく抜きして、僕が食べる為にね。
途中、持ってきたパンを齧る。
安い、固い、酸っぱいと三拍子揃っている金の無い奴御用達。
僕は好きだけどね。ちょっと水分が必要だけど、悪くないと思う。
そうこうする内に、連れていた野犬の動きがピタリと止まった。
「カカ…カカ…カカカ…」
小さく歯を鳴らすと、くたりと崩れ落ちて煙の様に消えていく。
禍気に還ったんだ。
そして、後には小さいけれど鋭い牙が一個、コロンと落ちている。
ドロップ禍気変換報償品だ。
テイマーにあってサモナーに無い、たった一つの事がコレ。
テイマーがテイム従属した禍物は、周囲から禍気を吸収しなくなる。
既に己を形作っている禍気を消費して活動するしか無くなる訳で、つまり禍気残量が、存在するのに必要な量を下回ると消滅する訳だ。
そしてそれは『倒した』と同義であるらしい。だから、剣や魔法で討伐した時と同じ様にドロップ品を獲得出来る。
野犬の牙は低レベルの魔法触媒になるから、冒険者ギルドで買い取りして貰えるし、一個で一銀貨になる。
ホクホク
うっかり指を切らない様に気を付けて、布で巻く。

大体七日分の宿代、ゲット~♪ 
山菜も採れたし、白耳茸もそこそこ。
今日は良い日だなあ♪
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