放置ゲー廃課金者、転生する!

にがよもぎ

文字の大きさ
上 下
135 / 135

133話

しおりを挟む
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢

---翌日。午後にまた稽古に来るとだけ伝えて俺達は王城へと帰った。王城に戻るとすぐ様ミレーユに報告し、午後にはターコイズ様の屋敷へと戻る事を伝えた。俺の報告の際、チカ達も何やら報告をしていた。どうやら、モルガ様もチカ達へと色々と質問をしていたそうだ。その事を察したナナは正直な言葉を伝えたそうだ。

ミレーユも頷きながら聞いていたが、後半の内容はちょっと訳わからん内容だった。恋愛がどうのこうのと言っていたが、そんな事聞いてたの?年頃……なんかなぁ?

ミレーユ達と昼食を済ませた後、俺達はターコイズ様の屋敷へと戻る。チカ達は別について来なくていいと言ったのだが、ナナが魔法適性を調べたいと言ったので連れて行くことにした。

「先生!!お待ちしておりました!!」

屋敷の庭を通っているとベリル様が大声で俺を呼ぶ。その隣には白いテーブルと椅子、ビーチパラソルの様なものが置いてあった。

「アルス様。今日は見学しててもよろしいかしら?」

「構わないですよ」

「モルガ、今日はベリルの適性を調べようと思うのだが良いか?」

「ええ。構わないわ。ベリルの稽古はアルス様方にお任せしているから」

「そうか。チカ、頼みがある」

「はいはい。障壁を張っておけって事でしょ?…………はい。準備したわ」

「助かる。ローリィ、ちょっと手伝って」

「あたしが?何すればいいの?」

「マスターの言うことが正しいのならば、実演を見せた方が早い。魔法との戦い方は口で説明するより見せたほうが良い」

「じゃあ本気出して良いの?」

「ダメ。それだとここが焼け野原になる」

「…あ、そっかぁ。久々に出せると思ったんだけどなぁ」

ベリル様の意見は聞かずにナナがプランを話す。ベリル様は不安そうに俺をチラチラと見るので『どんな戦いかをするのかを見てみましょう』と伝えた。

「おーい。ナナ、お手本になる様にチカラはセーブしろよ?」

「分かっている。魔法も弱いのを選ぶつもり」

チカはモルガ様の隣に座り、何やら話し込んでいた。俺はベリル様に障壁を重ね掛けしナナ達の手合わせがよく見える様にちょっと目にも魔法をかけておいた。

「ベリル様、あまり近付かないようにしてくださいね。手を抜くとは言っても、ナナ達は強いので」

「はい!!」

「それじゃ短剣を渡しておくので、気になった動きがあれば真似をしてみてください」

「分かりました!」

「2人とも。ベリル様のお手本になる様にしてくれよ?それとローリィ、熱くなるなよ?」

「分かってるよー!大丈夫大丈夫!」

「ではまずは初級から」

そこそこ離れたローリィへとナナは魔法を放つ。

「アイスボール」

氷玉が恐るべきスピードでナナの手から放たれるとローリィはそれを拳で割る。

「……ローリィ。それだとお手本にならない。剣を使って貰わないと」

「ナナちゃんこそ今の魔法は魔力込めすぎ!!」

(……大丈夫かな?)

「込めすぎだったか?」

「うん!!あたしはちゃーんとボーナス切ってるよ?」

「……すまない。切るのを忘れていた」

「ちゃんとしてよねー!」

今度はゆっくりめの速度でアイスボールがローリィへと放たれる。それをローリィは剣の腹で弾く。

「凄い!!」

ベリル様は興奮した声を上げるとさっそく動きを真似ていた。

「ベリル。魔法を使う者と戦う時には気を付けないといけない事がある」

真似をしているベリル様にナナが話しかける。

「どんな事ですかナナ先生!」

「…良い響き。………まず魔法使用者と戦う時には魔法の種類を知っておかなければならない。今ボクが使った魔法は単体魔法だが、範囲系なのか単体系なのかを知らないと土俵に上がれない」

「はんいけい??」

「フレアなどが範囲系に含まれる。単体系であればローリィがした様に弾く事が出来るが、範囲系は弾く事はできない」

「アルス先生……どう言う事ですか?」

「ナナ、ちょっと手本見せて」

「分かった。……フレア」

ナナがローリィへと手を薙ぎ払うと炎がローリィへと走る。それをローリィは後退することによって直撃を避けた。

「今のが範囲系。見た通り分かると思うが範囲がある分、対処が面倒。でも、ローリィ程の腕前になると打ち消す事も出来る」

もう一度ナナの手からフレアが放たれると、ローリィは避ける事はせずに剣を振ってフレアを打ち消した。

「今のは技術がいるが消す事は可能。けれども、それ相応の実力が無いと無理」

「ねぇねぇ!あたしがコツを教えようか?」

「……説明出来るのか?」

「あたしだって出来るよ!!もぉー!ナナちゃんは失礼だなぁ!」

頬を膨らませたローリィはベリル様の前に立つと剣を横に振るう。すると風が生じて、ベリル様の髪が宙に舞う。

「これは筋力がいるんだけど、範囲系を打ち消すには最小限で良いんだよー!最小限ってのは、自分に当たりそうな部分だけって事!………分かるかな?」

「えと………全部消さなくて良いって事ですか?」

「うん!全部消そうとすると疲れちゃうし、隙も出来ちゃうからね。そこだけは気をつけて!」

ローリィの説明は分かり易かった。ちょっとだけ見直したのは内緒だ。

「今のが魔法の大まかな分類になる。細かく分類すると面倒なので、それはベリル自身で調べていくと良い」

「ナナちゃん、今度は何をするの?」

「今度は軽く戦う。ローリィはボクの魔法を避けるか打ち消すかして接近戦に。ボクはそれをさせない様に戦う」

「んー………ちょっとそれはまだ早いかも。ベリル様はまだ基礎の段階だぞ?」

「いや、見るだけでも勉強になると思う。説明はしなくていい」

「そうですかー…」

まぁナナの言う事も分かる。けど、イメージが先行してしまうと大変になると思うんだよねぇ…。それが理想となっちゃうからさ。

そんな心配をよそに、ベリル様はキラキラとした目でナナ達を見ていた。

(……んまぁ、見せるだけでもいいか)

流石にダメとは言えない。興味を持っちゃったのを否定するのは教育的にも良くないと思う。個人的な意見だけどね。

「じゃあローリィ。ボクは魔法しか使わないから、ローリィはスキルを使わないで」

「………えー?なんで?」

「縮地などを使われたら手本にならない」

「むー………じゃあわざわざ走らないといけないのかぁー…」

(なるほどね。ナナもちゃんと考えてるんだ。俺の心配は余計なお世話だったな)

「それじゃ始める。ベリル、ボクの魔法よりもローリィの動きをよく観察しておくと良い」

ナナの魔法が始まりの合図となり、ローリィとナナによるお手本が始まるのであった。
しおりを挟む
感想 22

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(22件)

ねこぱんち
2020.04.25 ねこぱんち

王都が嘔吐になっとります(´・ω・`)

2020.04.30 にがよもぎ

ご指摘ありがとうございます(*´∀`*)

修正しました(*´ω`*)

解除
ねこぱんち
2020.04.21 ねこぱんち

大人の会話=ピンクとは…若いねぇ…(´・ω・`)

2020.04.24 にがよもぎ

感想ありがとうございます!(*´∀`*)

ピ、ピンクって若いんですかね?(小声)
むしろ、死語だと思ってました……。

解除
mzk999
2020.02.22 mzk999

楽曲ネタもなのだけど
リピートは3回目で飽きがきて
4回目で解決しないと
見限る

2020.02.24 にがよもぎ

感想ありがとうございます!(*´∀`*)

…………どうか見限らないで下さい(小声)
次からはループはしませんから!。゚(゚´Д`゚)゚。
これで最後なんです。゚(゚´Д`゚)゚。

解除

あなたにおすすめの小説

異世界に転生したもののトカゲでしたが、進化の実を食べて魔王になりました。

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
異世界に転生したのだけれど手違いでトカゲになっていた!しかし、女神に与えられた進化の実を食べて竜人になりました。 エブリスタと小説家になろうにも掲載しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌
恋愛
コツコツとレベルを上げて、生産していくゲームが好きなしがない女子大生、田中雪は、その日、妹に頼まれて手に入れたゲームを片手に通り魔に刺される。 女神『はい、あなた、転生ね』 雪『へっ?』 これは、生産ゲームの世界に転生したかった雪が、別のゲーム世界に転生して、コツコツと生産するお話である。 雪『世界観が壊れる? 知ったこっちゃないわっ!』 無事に完結しました! 続編は『悪役令嬢の神様ライフ』です。 よければ、そちらもよろしくお願いしますm(_ _)m

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。