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126話
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♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「おはようございますアルス様」
「んぁ……おはよ…」
「マスター。朝食の準備が出来たそうだ」
「お腹ペコペコー!早く行こう!」
時刻は朝8時。チカ達は身支度を済ませており、最後に起きたアルスは洗顔と軽く歯磨きをしてから部屋を移動する。
「おはようございます皆様方」
「おはようチカさん」
「おはよーチカ」
食事をする部屋にはミレーユとソニア、ニリキナとレインがもう既に座っていた。
「おはよ…」
「髪がボサボサよアルス?手櫛でといたら?」
「んぁ…」
レインに指摘され、両手でペッタリと手櫛をしながら椅子に座る。
「そういやレイン、ソニアと昨日話があったんだって?」
「ええ。私の頼み事についてね?」
「身分証とかか。んで、どーなったの?」
「んー…長くなるからそれは食事をしながらにするわ。アルスもまだ頭が働いてないみたいだし」
その言葉を聞いていたかの様に給仕達が各々の前に食事を置いていく。朝食のメニューはパンとサラダ、スープとデザートに肉のソテーだった。
「「「「「いただきます」」」」」
レインとチカ達は手を合わせて食事をする。アルス達にとっては当たり前の習慣だがミレーユ達には違った様だ。
「…なぁアルス。その食事の前に言う言葉は何なんだ?宗教的な何かか?」
「ん?……まぁ宗教的と言えば宗教的なのかも知れんが、これが当たり前って育ったからな」
「なんだそのややこしい言い方は…」
「ソニア達は食事前の祈りとかあるのか?」
食事を口に運びながらアルスはソニアへと尋ねる。
「いや。アタシ達は特に無い。だが、人によっては祈りがあるな」
「…宗教的に?」
「信仰によって、だな。ジュエリア王国には多種族が住んでいる。誰が何を信仰しようと自由だが、それを強制する事はしていない」
「まぁそれがあるべき姿だろうからな」
「まぁ金稼ぎなんかを目的とした信仰は見つけ次第潰すけどね」
「………それって問題にならねぇの?」
「? 何がだ?」
「何がって、信仰は自由なんだろ?」
「自由の中にも節度はある。完全な自由などは存在しない」
「…反感買ってそうだな」
「フフフッ……。アルス様、私達も証拠が無ければ動きませんの。民達からの一定の意見があった時、動いているんですよ」
「……結構潰した?」
「程々にな。まぁ、大抵金稼ぎをしているのは貴族派閥の末端だ。奴らの金銭の洗浄場になっている事があるからな」
「……どこの世界にも洗浄する奴らはいるんだなぁ」
世界は違えどやはり金に関しては同じなんだなとアルスは思う。とは言っても聞きかじった程度の知識なので、どんな仕組みなのかは理解していなかった。
「でも何でそんな話をしたんだっけ?」
「いや、ただ気になっただけだ」
「……あ、そう」
朝食を済ませた後、食後の茶を飲みながらアルス達はこの日の予定を話す。
「この後俺達はターコイズ様の屋敷に向かうよ。ミレーユ様の---
「ムッ!!!」
「………………………! ミレーユが言ってたダンジョンだけど、どーなってんの?」
「しばらくは私達も忙しいので詳しい事は決まっておりませんわ」
「んー……それって結構かかりそう?」
「不明ですが……何か用事でも?」
「昨日チカ達に聞いたんだけど、特にここでする事も無いんだわ。だったら一回サガンに帰ろうかなって」
「あっ!!そういやアルスさん!」
「ん?どしたのニリキナ?」
「そういや隊長がアルスさん達にお礼をしたいと言ってました。いつでも良いので連絡してくださいと」
「お礼??」
「ええ。……アレ?知らないんすか?」
「え?何が??」
「言ってなかったのかな??……えーと、オレから言って良いのか分からないすけど、アルスさんと一緒に来た老夫婦は隊長の両親なんすよ」
「………へっ!?」
「知らなかった感じっすね…。とにかく、今週は隊長は訓練所で指導をしてると思うんで暇な時にでも。それ以降はオレに声かけてください」
「わ、分かった…」
茶を飲み切るとミレーユ達に別れを告げてから俺達は外へと出る。向かうはターコイズ様の屋敷だ。
「ねぇねぇご主人様ぁー。正装した方がいいかなぁ??」
「んー………いつも通りでいいんじゃね?稽古付けに行くわけだし」
そんな話をしながらアルス達は徒歩で向かうのであった。
「おはようございますアルス様」
「んぁ……おはよ…」
「マスター。朝食の準備が出来たそうだ」
「お腹ペコペコー!早く行こう!」
時刻は朝8時。チカ達は身支度を済ませており、最後に起きたアルスは洗顔と軽く歯磨きをしてから部屋を移動する。
「おはようございます皆様方」
「おはようチカさん」
「おはよーチカ」
食事をする部屋にはミレーユとソニア、ニリキナとレインがもう既に座っていた。
「おはよ…」
「髪がボサボサよアルス?手櫛でといたら?」
「んぁ…」
レインに指摘され、両手でペッタリと手櫛をしながら椅子に座る。
「そういやレイン、ソニアと昨日話があったんだって?」
「ええ。私の頼み事についてね?」
「身分証とかか。んで、どーなったの?」
「んー…長くなるからそれは食事をしながらにするわ。アルスもまだ頭が働いてないみたいだし」
その言葉を聞いていたかの様に給仕達が各々の前に食事を置いていく。朝食のメニューはパンとサラダ、スープとデザートに肉のソテーだった。
「「「「「いただきます」」」」」
レインとチカ達は手を合わせて食事をする。アルス達にとっては当たり前の習慣だがミレーユ達には違った様だ。
「…なぁアルス。その食事の前に言う言葉は何なんだ?宗教的な何かか?」
「ん?……まぁ宗教的と言えば宗教的なのかも知れんが、これが当たり前って育ったからな」
「なんだそのややこしい言い方は…」
「ソニア達は食事前の祈りとかあるのか?」
食事を口に運びながらアルスはソニアへと尋ねる。
「いや。アタシ達は特に無い。だが、人によっては祈りがあるな」
「…宗教的に?」
「信仰によって、だな。ジュエリア王国には多種族が住んでいる。誰が何を信仰しようと自由だが、それを強制する事はしていない」
「まぁそれがあるべき姿だろうからな」
「まぁ金稼ぎなんかを目的とした信仰は見つけ次第潰すけどね」
「………それって問題にならねぇの?」
「? 何がだ?」
「何がって、信仰は自由なんだろ?」
「自由の中にも節度はある。完全な自由などは存在しない」
「…反感買ってそうだな」
「フフフッ……。アルス様、私達も証拠が無ければ動きませんの。民達からの一定の意見があった時、動いているんですよ」
「……結構潰した?」
「程々にな。まぁ、大抵金稼ぎをしているのは貴族派閥の末端だ。奴らの金銭の洗浄場になっている事があるからな」
「……どこの世界にも洗浄する奴らはいるんだなぁ」
世界は違えどやはり金に関しては同じなんだなとアルスは思う。とは言っても聞きかじった程度の知識なので、どんな仕組みなのかは理解していなかった。
「でも何でそんな話をしたんだっけ?」
「いや、ただ気になっただけだ」
「……あ、そう」
朝食を済ませた後、食後の茶を飲みながらアルス達はこの日の予定を話す。
「この後俺達はターコイズ様の屋敷に向かうよ。ミレーユ様の---
「ムッ!!!」
「………………………! ミレーユが言ってたダンジョンだけど、どーなってんの?」
「しばらくは私達も忙しいので詳しい事は決まっておりませんわ」
「んー……それって結構かかりそう?」
「不明ですが……何か用事でも?」
「昨日チカ達に聞いたんだけど、特にここでする事も無いんだわ。だったら一回サガンに帰ろうかなって」
「あっ!!そういやアルスさん!」
「ん?どしたのニリキナ?」
「そういや隊長がアルスさん達にお礼をしたいと言ってました。いつでも良いので連絡してくださいと」
「お礼??」
「ええ。……アレ?知らないんすか?」
「え?何が??」
「言ってなかったのかな??……えーと、オレから言って良いのか分からないすけど、アルスさんと一緒に来た老夫婦は隊長の両親なんすよ」
「………へっ!?」
「知らなかった感じっすね…。とにかく、今週は隊長は訓練所で指導をしてると思うんで暇な時にでも。それ以降はオレに声かけてください」
「わ、分かった…」
茶を飲み切るとミレーユ達に別れを告げてから俺達は外へと出る。向かうはターコイズ様の屋敷だ。
「ねぇねぇご主人様ぁー。正装した方がいいかなぁ??」
「んー………いつも通りでいいんじゃね?稽古付けに行くわけだし」
そんな話をしながらアルス達は徒歩で向かうのであった。
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