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122話 -王女達の企み 3-
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「ハァー………。一体どこから気付かれていたのか教えて欲しいものだわ」
頭をガシガシと掻く王女らしからぬ動きをした後、ミレーユは口を開く。
「……まず初めに、ソニア達は理解しているとは思うけど、ケットシーってのは伝説の種族なの」
「伝説?」
「ええ。妖精の猫と書いてケットシーと読むの。この種族は普通の繁殖行為では産まれない種族で、普通の獣人族から稀に産まれる存在なの」
「稀に?」
「ええ。それについては詳しい事は分かってないの。先祖返りとか、多種族の血が混じり合った結果だとか色々と言われているわ」
「お姉ちゃん…それは知ってるけど、何でレインちゃんがケットシーだと知ってたの?」
「私が知ったのはサガンの調査を命じてからよ?アルス様の動向を監視していたら、見知らぬ女性が出てきたって訳」
「………あー…なるへそ」
「ん?という事は、ミレーユ様が手配した間者もその事を知っているのでは?」
「それを知っているのはスモーキーだから大丈夫」
「スモーキーの兄貴ですか……。なら安心ですね」
「ニリキナ、そのスモーキーって人は大丈夫な人なのか?」
「安心出来る方ですよ。責任感もありますし、ミレーユ様直々の間者ですから」
「ふぅーん……」
「私も報告を受けた時は驚いたわ?…けれどソニア達も今見た様に、目の前で変化を見せられたら信じるでしょ?」
「……んまぁ、信じるしか無いよね」
「? それだけで信じるんですか?」
「ケットシーの唯一の特徴として変化があるの。私も詳しい事は知らないけれど、本によれば子供と大人、高齢と変わる事が出来るのよ」
「魔法とかで出来たりは?」
「そういった魔法は有るにはあるけど、見た目を誤魔化す程度なの。子供から大人になったりは出来ないの」
「……ミレーユ様。レインが言っていた面倒事とは何なのでしょう?」
「それはねチカさん。レインちゃんが伝説の存在だからよ?」
「狙われるということか?」
「その通りよナナさん。ケットシーが表に出たのは数百年も前の話。どれだけ稀少価値があるかは言わなくても分かるでしょう?」
「……つまり、レインがミレーユさん達に喋ったのは護衛をつけさせようと?」
「ううん、それは違うよアルス。私の事を喋った理由は知って貰いたかったから」
「もらいたかったから?……なんで?」
「……私はこれからアルス達と一緒に行動するのよ?ミレーユ様方も、アルスの身辺を調査するはず。その時にアレコレ聞かれるのは面倒だし、ある事の為に手伝って貰おうと思ってね」
「あることってなんだよ……」
「それはね?私の身分証を発行して欲しいのよ。簡単に言えば偽造ね」
「………訳分からん」
「ふむ………。つまり、レインが言いたいのは横槍が入らない様に偽造書を作れと言う事か?」
「そうなりますわソニア様。………まぁミレーユ様はお考えだったでしょうけど」
「そうなの?お姉ちゃん」
「……本当、ケットシーは凄いのね。その頭脳があれば国を起こせそうよ」
「それは遠慮しますわ。私にはアルス達が居ればいいので」
「うーーーーん………全然頭がついて行かない。誰か分かりやすくまとめてくれ」
「…ボクの考えだが、恐らくレインはミレーユ達に素性を明らかにする事で、ボク達とセットにしようと考えたと思う。ボク達は王国にとって必要な人材だがレインはそこまで必要では無い。しかし素性を明らかにした事で、ボク達と一緒に行動できる様に取り計らってくれと含ませたのだろう」
「……………つまり、一緒に居たいからバラしたって事?」
「簡単に言えば」
「……それってメリット無くね?」
「アルスは本当に馬鹿ね…。素性が分からない女がアルスの近くをウロチョロしてたら誰かが調べるでしょ?その時に偽造した物があれば簡単に身元が分かるじゃない?」
「おー…なるほどね?けど、その身元はどうすんだ?しっかりしたのを作るってのもボロが出たら不味いし、都合の良い身元なんてねぇだろ?」
ナナの説明で何となく理解した俺だったが、まず偽造を王女に持ち掛けるって発想がやべぇよな?普通ならそういった生業をしてる人達に頼み込むべきじゃねーのか??
そんな事を考えているとミレーユさんがお茶を啜ってから口を開いた。
「……レインちゃんが気にいるかどうかは分からないけど、手は打ってあるわ」
「え?マジすか?」
「話が前後しちゃうから、とりあえず順を追って説明するわね。それじゃ書類の2枚目を見て欲しいの」
ミレーユさんに促されるまま目の前に置かれている紙をめくる。そして、それに書かれていた内容を見て慌ててミレーユさんに目を向けるのであった。
頭をガシガシと掻く王女らしからぬ動きをした後、ミレーユは口を開く。
「……まず初めに、ソニア達は理解しているとは思うけど、ケットシーってのは伝説の種族なの」
「伝説?」
「ええ。妖精の猫と書いてケットシーと読むの。この種族は普通の繁殖行為では産まれない種族で、普通の獣人族から稀に産まれる存在なの」
「稀に?」
「ええ。それについては詳しい事は分かってないの。先祖返りとか、多種族の血が混じり合った結果だとか色々と言われているわ」
「お姉ちゃん…それは知ってるけど、何でレインちゃんがケットシーだと知ってたの?」
「私が知ったのはサガンの調査を命じてからよ?アルス様の動向を監視していたら、見知らぬ女性が出てきたって訳」
「………あー…なるへそ」
「ん?という事は、ミレーユ様が手配した間者もその事を知っているのでは?」
「それを知っているのはスモーキーだから大丈夫」
「スモーキーの兄貴ですか……。なら安心ですね」
「ニリキナ、そのスモーキーって人は大丈夫な人なのか?」
「安心出来る方ですよ。責任感もありますし、ミレーユ様直々の間者ですから」
「ふぅーん……」
「私も報告を受けた時は驚いたわ?…けれどソニア達も今見た様に、目の前で変化を見せられたら信じるでしょ?」
「……んまぁ、信じるしか無いよね」
「? それだけで信じるんですか?」
「ケットシーの唯一の特徴として変化があるの。私も詳しい事は知らないけれど、本によれば子供と大人、高齢と変わる事が出来るのよ」
「魔法とかで出来たりは?」
「そういった魔法は有るにはあるけど、見た目を誤魔化す程度なの。子供から大人になったりは出来ないの」
「……ミレーユ様。レインが言っていた面倒事とは何なのでしょう?」
「それはねチカさん。レインちゃんが伝説の存在だからよ?」
「狙われるということか?」
「その通りよナナさん。ケットシーが表に出たのは数百年も前の話。どれだけ稀少価値があるかは言わなくても分かるでしょう?」
「……つまり、レインがミレーユさん達に喋ったのは護衛をつけさせようと?」
「ううん、それは違うよアルス。私の事を喋った理由は知って貰いたかったから」
「もらいたかったから?……なんで?」
「……私はこれからアルス達と一緒に行動するのよ?ミレーユ様方も、アルスの身辺を調査するはず。その時にアレコレ聞かれるのは面倒だし、ある事の為に手伝って貰おうと思ってね」
「あることってなんだよ……」
「それはね?私の身分証を発行して欲しいのよ。簡単に言えば偽造ね」
「………訳分からん」
「ふむ………。つまり、レインが言いたいのは横槍が入らない様に偽造書を作れと言う事か?」
「そうなりますわソニア様。………まぁミレーユ様はお考えだったでしょうけど」
「そうなの?お姉ちゃん」
「……本当、ケットシーは凄いのね。その頭脳があれば国を起こせそうよ」
「それは遠慮しますわ。私にはアルス達が居ればいいので」
「うーーーーん………全然頭がついて行かない。誰か分かりやすくまとめてくれ」
「…ボクの考えだが、恐らくレインはミレーユ達に素性を明らかにする事で、ボク達とセットにしようと考えたと思う。ボク達は王国にとって必要な人材だがレインはそこまで必要では無い。しかし素性を明らかにした事で、ボク達と一緒に行動できる様に取り計らってくれと含ませたのだろう」
「……………つまり、一緒に居たいからバラしたって事?」
「簡単に言えば」
「……それってメリット無くね?」
「アルスは本当に馬鹿ね…。素性が分からない女がアルスの近くをウロチョロしてたら誰かが調べるでしょ?その時に偽造した物があれば簡単に身元が分かるじゃない?」
「おー…なるほどね?けど、その身元はどうすんだ?しっかりしたのを作るってのもボロが出たら不味いし、都合の良い身元なんてねぇだろ?」
ナナの説明で何となく理解した俺だったが、まず偽造を王女に持ち掛けるって発想がやべぇよな?普通ならそういった生業をしてる人達に頼み込むべきじゃねーのか??
そんな事を考えているとミレーユさんがお茶を啜ってから口を開いた。
「……レインちゃんが気にいるかどうかは分からないけど、手は打ってあるわ」
「え?マジすか?」
「話が前後しちゃうから、とりあえず順を追って説明するわね。それじゃ書類の2枚目を見て欲しいの」
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