放置ゲー廃課金者、転生する!

にがよもぎ

文字の大きさ
上 下
111 / 135

109話 -悪夢 1-

しおりを挟む
『間に合わせよ。お前の使命は全てを救う事だ』

何が何だかサッパリなまま頭を働かせていると不思議な声が聞こえた。

「……は?間に合わせよ??」

聞こえた言葉を口にすることにより、脳がしっかりと働いた。

「あ、さっきの声の所に行けって事??」

とりあえず訳は分からないが、さっきの意味はあの声の主を救えって事だよな?

「よしっ!!速度上ーー

途中まで発してから魔法が使えないことを思い出す。何故出来ないのかは分からないが、それは今考えるべきものではない。

「ぬおおおおおおおおおおっ!!!」

俺は前に見た場所へと全速力で駆け出す。魔法が使えないのは確かだが、能力値に変化は無かった。つまり、前世の俺では無く、能力お化けのということだ。前世であれば50mを8.5秒で走る速度はお分かりであろう。それもまだ高校生の時だ。転生前であればもっと時間は掛かるだろう。体力、速度共にパラメーターお化けと化している俺は砂漠を飛び跳ねるが如く爆走していた。

前回とは違いかなり赤く光った場所へと近付く事が出来た。あと5秒あれば…というタイミングで目の前が赤く染まった。近付いた事で現状が理解出来た。目の前の場所はらしきものであり、中に住まう人々の叫び声が響き渡っていた。

「あっ!!」

入り口に着いた瞬間、人が襲われているのが目に飛び込んできた。考える暇なく俺は腕を振り上げているヤツの前に飛び込むと蹴りを喰らわせる。

「大丈夫か!?」

倒れている人へ声を掛けると、その風貌に目を疑う。倒れ込んでいる人はであり、頭からはケモ耳が生えていた。

「まさか…ここはーーグッ!!」

ケモ耳と尻尾が確認出来た時点で俺はここが何なのかを理解する。しかし、それを口にする前に何かが俺にぶつかってきた。

「誰だ貴様!!」

「うるせぇ!!」

俺に当たったのはおそらく魔法ーー距離が少しあるのでそう考えたーーだと思う。だが生憎俺は魔法耐性バチバチだからね!衝撃はあるけど痛くないもん!!

『誰か…誰か助けて……』

「ああ!今すぐ助ける!!」

声が聞こえそれに返事を返し、俺は敵に渾身の一撃を喰らわせる。魔法が使えないなら拳しかないだろ!

「うらぁ!」

助ける為とは言え全力で殴り掛かると敵の頭は簡単に潰れた。手に言い難い感触がしたが、それはそれだ。

「もう大丈夫だ-----

敵を殺した後、俺は後ろを振り返る。しかし、そこには倒れ込んでいたヒトは消え去っていた。

「………は????」

『無駄だ。素直に死を受け入れろ』

理解出来ないでいると、再び声が聞こえた。俺は先ほどの死体に目を向けるが、その死体も消えていた。

「????????????」

『お母さんっ!!』

『来ちゃダメ!!』

「………え?救ったはず……だよね??」

動揺しているとまたもや声が届く。

『ーーンは逃げなさい!!早くっ!!』

「ッ!!!?違ったのか!?」

そういや声は3種類聞こえていた。ここで戦った時は2人……つまり、俺は救う相手を間違えた可能性がある。

『安心しろ。すぐに子供もあの世に送ってやる』

その声が聞こえる前に俺は村の中へと駆け出す。だが、村は至る所で火の手が上がっており、声の主を探す事は難しかった。

「『おかぁさーーーーーーーーーーーんっ!!!!』」

「ッ!?」

近くで大声が上がった。火の手など気にせずに俺は燃え上がる家屋へ直進し声の方向へと走り出す。そして、家屋を破壊しながらある程度進むと黒色の服を着たヒトっぽいヤツと、その足元に血を流して倒れているヒトが居た。

(ここか!?)

『---どうか、娘を』

辿り着くと共に新しく声が聞こえる。そして背後からその黒のヒトへと殴り掛かろうとした瞬間に世界が暗転するのであった。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

投擲魔導士 ~杖より投げる方が強い~

カタナヅキ
ファンタジー
魔物に襲われた時に助けてくれた祖父に憧れ、魔術師になろうと決意した主人公の「レノ」祖父は自分の孫には魔術師になってほしくないために反対したが、彼の熱意に負けて魔法の技術を授ける。しかし、魔術師になれたのにレノは自分の杖をもっていなかった。そこで彼は自分が得意とする「投石」の技術を生かして魔法を投げる。 「あれ?投げる方が杖で撃つよりも早いし、威力も大きい気がする」 魔法学園に入学した後も主人公は魔法を投げ続け、いつしか彼は「投擲魔術師」という渾名を名付けられた――

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

学年揃って異世界召喚?執行猶予30年貰っても良いですか?

ばふぉりん
ファンタジー
とある卒業式当日の中学生達。それぞれの教室でワイワイ騒いでると突然床が光だし・・・これはまさか!? そして壇上に綺麗な女性が現れて「これからみなさんには同じスキルをひとつだけ持って、異世界に行ってもらいます。拒否はできません。ただし、一つだけ願いを叶えましょう」と、若干頓珍漢な事を言い、前から順番にクラスメイトの願いを叶えたり却下したりと、ドンドン光に変えていき、遂に僕の番になったので、こう言ってみた。 「30年待ってもらえませんか?」と・・・ →→→→→→→→→→→→→→→→→→→→  初めて文章を書くので、色々教えていただければ幸いです!  また、メンタルは絹豆腐並みに柔らかいので、やさしくしてください。  更新はランダムで、別にプロットとかも無いので、その日その場で書いて更新するとおもうのであ、生暖かく見守ってください。

悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌
恋愛
コツコツとレベルを上げて、生産していくゲームが好きなしがない女子大生、田中雪は、その日、妹に頼まれて手に入れたゲームを片手に通り魔に刺される。 女神『はい、あなた、転生ね』 雪『へっ?』 これは、生産ゲームの世界に転生したかった雪が、別のゲーム世界に転生して、コツコツと生産するお話である。 雪『世界観が壊れる? 知ったこっちゃないわっ!』 無事に完結しました! 続編は『悪役令嬢の神様ライフ』です。 よければ、そちらもよろしくお願いしますm(_ _)m

処理中です...