103 / 135
101話 -いざ、ジュエリア王国へ 10-
しおりを挟む
「うわぁーっ!!すっごいひろぉーい!」
「アルス様!早く入りましょう!」
「……………………うん」
「? どうしたの?入りたくないの?」
「………いや。そう言うんじゃ無くてさ……」
温泉に隣接してある脱衣所で小声で呟く。チカ達はそそくさと衣服を脱ぎ始め身体にはタオルを巻いている。
「…………」
その男なら誰でも羨ましがる光景を視界の端に入れつつも、俺は脱衣所入り口に立て掛けてある看板を再度見る。
『只今のお時間は清掃の為混浴』
運良く…いや、運悪くこの時間帯は混浴らしく、更に入浴者は俺達しか居なかった。脱衣所は100人ぐらいは余裕で着替えれそうな程広く、その規模からして温泉も広いと思う。俺も前世では温泉とか好きだったから楽しみにしていたんだが……混浴となれば話は変わる。
(……どうするべきか)
正直、考える必要は無い。何故ならば脱衣所から奥へと入れば桃源郷が広がっているからだ。男は俺一人で、あとは全員女性。しかもどれもこれもナイススタイルときたもんだ。『ここで引いたら男が廃る』と本能では理解しているが、理性は『やめとけ』と訴える。
(……………)
そう。正直な所、混浴というものを楽しみたいのは事実だ。しかし、それを本能が反応してしまうことに危惧しているのだ。
エロゲマスターな俺でさえも実際に見るのには羞恥が付き纏う。しかもそれがエロゲの世界の住人みたいな奴らなんだぜ?暴発してしまう可能性は否定出来ない。刺激が多方面から攻めてくるんだぜ?………やべ。想像しただけでテントが…。
看板周りで葛藤していると、俺の不審さにローリィが反応した。
「? ご主人様ぁー?何してるのー?」
「…………!?!?」
胸の半分からタオルを巻いたローリィが首を傾げながら近付いてきた。こぼれ落ちそうなたわわな果実が上下左右に揺れている。んなもん見せられたらバッキバキのガッチガチよ!!
「? お腹痛いの?」
「い、いや……大丈夫……」
「変なご主人様ぁー。あたし、先に入ってるねー?」
ローリィが踵を返すと、俺の本能はローリィの臀部を凝視する。見えそうで見えないタオルの境界線と、艶っぽい太ももがハッキリと見え、高速で脳に保存する。
「マスター、早く着替えて。ボク早く入りたい」
「さ、先に入ってくれ」
ナナとチカが俺を見ながら催促する。だが、その行為は今の俺にとっては過激な描写でしかない。ナナはローリィやチカとは違い、ナイスバディとは言えないが、逆にそれはアンバランスなエロさを感じる。チカはチカでナイスバディなのでタオル一枚剥ぎ取れば……という妄想に駆られる。
「……アルス。目がいやらしいんだけど?」
「そそそそんな事は無いぞ!」
いつの間にか俺の隣に居たレインがジト目で喋りかけてくる。焦りつつも否定しレインと目が合うと、本能と理性が意見を一致させる。
「………………」
俺の目がレインの目から鼻、口、首へと瞬時に降りて行き、肩、胸、タオル、太ももを滑らかに見下ろした。
「……変態」
「すいません…」
変態とか言われようが仕方ないだろ!だって手の届く距離に美女がタオル一枚で居るんだぜ?抗えるわけねぇよ!抗えたとしたらもうそれは男じゃねぇ!!
レインが最後だったらしく、温泉へと入っていくと静かな脱衣所となる。チカ達が着替えていた場所から離れた所、かつタオルなんかが取りやすい位置を陣取り脱衣を行う。スッポンポンになったあとタオルを腰に巻き、収縮するのを待ってから中へと入る。
「うぉー……………」
中は蒸気で見え辛くなっていたが、かなり広いのが声の反響でわかる。
「………あれ?席が無いな」
端の方へ移動するが、イメージしている席は存在しなかった。ここで当たり前の事を思い出した。
「あ、そっか……ここ異世界だわ」
温泉って言うとシャワーとか椅子とかがあるはずなんだけど、それは前世での当たり前であって、ここにはそんな物は存在しなかった。その代わり、入り口近くに腰ほどの高さの湯船みたいなのがあり、そこから掛け湯みたいな事をする。……これが正解なのかは分からないけどね。
「さぁーて………どんなのがあるのかな?」
手で湯を拭ってからしっかりとタオルを腰に巻き歩き始める。前世であれば、水風呂、サウナ、露天風、滝湯などがあったが、ここは異世界だ。俺の知らない湯船があることだろう。
少しワクワクしながら歩いていると、第一湯船を発見した。
「………噴水みたいだぁ」
大きめの円の中央に何やら石像が4つあり、その石像の手にある壺から湯が流れ出ていた。熱くないかを確認してから湯船へと入り、石像へと近付く。
「………ははぁー…なるほどなるほど。これは天使をモチーフにした石像かな?」
石像は女性の顔立ちをしており、背中からは羽が生えていた。伏し目がちながらも微笑んでおり、まるで宙を浮かんでいるような石像だ。
「熱ッ!!」
壺へと近付くとめちゃくちゃ熱かった。おそるおそる壺から流れている湯を触れてみると、どうやら流れ出ているのは源泉らしく、そのまま耳たぶを触った。
「あー……なるほど。段差になっている所に腰掛けるのか。んで、半身浴か全身を浸かるかを選ぶんだな」
湯船の外回りには段差があり、丁度腰掛けると腹まで浸かる事が出来た。ここは丸くなっている湯船なので湯に浸かりながらお喋りしたりするのだろう。
「…壺周辺はクソ熱いから少し離れた所に座るか」
足で丁度良い温度の場所を探しながらそこに腰を下ろす。俺は基本的に全身を浸かるタイプだ。半身浴も色々と良いと聞くが、肩まで浸からないと風呂に入った気がしないタイプなのだ。
「………んぁー………気持ちいい……」
浸かる前に腰巻きにしているタオルを畳み、頭に乗せる。温泉という響きと開放的な空間の所為か、おっさんくさい声色を出す。
「……効能とかねぇのかな?」
前世であれば何処かに看板があった。『リウマチに効く』とか『打身や捻挫に効く』とかの看板ね?……あれ、いつも思うんだけど、毎日入らないとダメだよね?一回じゃ効かないよね??しかもさー、何か飲んでも良いヤツとかあるじゃん?内臓にも効果あるみたいな感じだけど、アレって本当なんかな?
「ふふんふふふん……ふふんふふふ……」
『良い湯だな』と続くメロディを口ずさみながらゆったりと寛ぐ。誰も居ないので足を伸ばしても迷惑が掛からない。流石に泳ぐ事はしないが、したくなる衝動に駆られるのは誰でも一緒だろうな…。
「ちょっとローリィ!!お湯が目に入るじゃない!」
「あははーっ!ごめんねチカちゃん!」
反響した声が聞こえ、『ローリィも同じ気持ちだったんだな…』と頷く。チカ達がどこに居るのかは分からないが、バチャバチャと水の音が聞こえるので広い湯船に浸かっているのだろう。
「もうちょっとしたら他探すかなぁ…」
鼻まで浸かり、ブクブクと空気の泡を出しながらリラックスするのであった。
「アルス様!早く入りましょう!」
「……………………うん」
「? どうしたの?入りたくないの?」
「………いや。そう言うんじゃ無くてさ……」
温泉に隣接してある脱衣所で小声で呟く。チカ達はそそくさと衣服を脱ぎ始め身体にはタオルを巻いている。
「…………」
その男なら誰でも羨ましがる光景を視界の端に入れつつも、俺は脱衣所入り口に立て掛けてある看板を再度見る。
『只今のお時間は清掃の為混浴』
運良く…いや、運悪くこの時間帯は混浴らしく、更に入浴者は俺達しか居なかった。脱衣所は100人ぐらいは余裕で着替えれそうな程広く、その規模からして温泉も広いと思う。俺も前世では温泉とか好きだったから楽しみにしていたんだが……混浴となれば話は変わる。
(……どうするべきか)
正直、考える必要は無い。何故ならば脱衣所から奥へと入れば桃源郷が広がっているからだ。男は俺一人で、あとは全員女性。しかもどれもこれもナイススタイルときたもんだ。『ここで引いたら男が廃る』と本能では理解しているが、理性は『やめとけ』と訴える。
(……………)
そう。正直な所、混浴というものを楽しみたいのは事実だ。しかし、それを本能が反応してしまうことに危惧しているのだ。
エロゲマスターな俺でさえも実際に見るのには羞恥が付き纏う。しかもそれがエロゲの世界の住人みたいな奴らなんだぜ?暴発してしまう可能性は否定出来ない。刺激が多方面から攻めてくるんだぜ?………やべ。想像しただけでテントが…。
看板周りで葛藤していると、俺の不審さにローリィが反応した。
「? ご主人様ぁー?何してるのー?」
「…………!?!?」
胸の半分からタオルを巻いたローリィが首を傾げながら近付いてきた。こぼれ落ちそうなたわわな果実が上下左右に揺れている。んなもん見せられたらバッキバキのガッチガチよ!!
「? お腹痛いの?」
「い、いや……大丈夫……」
「変なご主人様ぁー。あたし、先に入ってるねー?」
ローリィが踵を返すと、俺の本能はローリィの臀部を凝視する。見えそうで見えないタオルの境界線と、艶っぽい太ももがハッキリと見え、高速で脳に保存する。
「マスター、早く着替えて。ボク早く入りたい」
「さ、先に入ってくれ」
ナナとチカが俺を見ながら催促する。だが、その行為は今の俺にとっては過激な描写でしかない。ナナはローリィやチカとは違い、ナイスバディとは言えないが、逆にそれはアンバランスなエロさを感じる。チカはチカでナイスバディなのでタオル一枚剥ぎ取れば……という妄想に駆られる。
「……アルス。目がいやらしいんだけど?」
「そそそそんな事は無いぞ!」
いつの間にか俺の隣に居たレインがジト目で喋りかけてくる。焦りつつも否定しレインと目が合うと、本能と理性が意見を一致させる。
「………………」
俺の目がレインの目から鼻、口、首へと瞬時に降りて行き、肩、胸、タオル、太ももを滑らかに見下ろした。
「……変態」
「すいません…」
変態とか言われようが仕方ないだろ!だって手の届く距離に美女がタオル一枚で居るんだぜ?抗えるわけねぇよ!抗えたとしたらもうそれは男じゃねぇ!!
レインが最後だったらしく、温泉へと入っていくと静かな脱衣所となる。チカ達が着替えていた場所から離れた所、かつタオルなんかが取りやすい位置を陣取り脱衣を行う。スッポンポンになったあとタオルを腰に巻き、収縮するのを待ってから中へと入る。
「うぉー……………」
中は蒸気で見え辛くなっていたが、かなり広いのが声の反響でわかる。
「………あれ?席が無いな」
端の方へ移動するが、イメージしている席は存在しなかった。ここで当たり前の事を思い出した。
「あ、そっか……ここ異世界だわ」
温泉って言うとシャワーとか椅子とかがあるはずなんだけど、それは前世での当たり前であって、ここにはそんな物は存在しなかった。その代わり、入り口近くに腰ほどの高さの湯船みたいなのがあり、そこから掛け湯みたいな事をする。……これが正解なのかは分からないけどね。
「さぁーて………どんなのがあるのかな?」
手で湯を拭ってからしっかりとタオルを腰に巻き歩き始める。前世であれば、水風呂、サウナ、露天風、滝湯などがあったが、ここは異世界だ。俺の知らない湯船があることだろう。
少しワクワクしながら歩いていると、第一湯船を発見した。
「………噴水みたいだぁ」
大きめの円の中央に何やら石像が4つあり、その石像の手にある壺から湯が流れ出ていた。熱くないかを確認してから湯船へと入り、石像へと近付く。
「………ははぁー…なるほどなるほど。これは天使をモチーフにした石像かな?」
石像は女性の顔立ちをしており、背中からは羽が生えていた。伏し目がちながらも微笑んでおり、まるで宙を浮かんでいるような石像だ。
「熱ッ!!」
壺へと近付くとめちゃくちゃ熱かった。おそるおそる壺から流れている湯を触れてみると、どうやら流れ出ているのは源泉らしく、そのまま耳たぶを触った。
「あー……なるほど。段差になっている所に腰掛けるのか。んで、半身浴か全身を浸かるかを選ぶんだな」
湯船の外回りには段差があり、丁度腰掛けると腹まで浸かる事が出来た。ここは丸くなっている湯船なので湯に浸かりながらお喋りしたりするのだろう。
「…壺周辺はクソ熱いから少し離れた所に座るか」
足で丁度良い温度の場所を探しながらそこに腰を下ろす。俺は基本的に全身を浸かるタイプだ。半身浴も色々と良いと聞くが、肩まで浸からないと風呂に入った気がしないタイプなのだ。
「………んぁー………気持ちいい……」
浸かる前に腰巻きにしているタオルを畳み、頭に乗せる。温泉という響きと開放的な空間の所為か、おっさんくさい声色を出す。
「……効能とかねぇのかな?」
前世であれば何処かに看板があった。『リウマチに効く』とか『打身や捻挫に効く』とかの看板ね?……あれ、いつも思うんだけど、毎日入らないとダメだよね?一回じゃ効かないよね??しかもさー、何か飲んでも良いヤツとかあるじゃん?内臓にも効果あるみたいな感じだけど、アレって本当なんかな?
「ふふんふふふん……ふふんふふふ……」
『良い湯だな』と続くメロディを口ずさみながらゆったりと寛ぐ。誰も居ないので足を伸ばしても迷惑が掛からない。流石に泳ぐ事はしないが、したくなる衝動に駆られるのは誰でも一緒だろうな…。
「ちょっとローリィ!!お湯が目に入るじゃない!」
「あははーっ!ごめんねチカちゃん!」
反響した声が聞こえ、『ローリィも同じ気持ちだったんだな…』と頷く。チカ達がどこに居るのかは分からないが、バチャバチャと水の音が聞こえるので広い湯船に浸かっているのだろう。
「もうちょっとしたら他探すかなぁ…」
鼻まで浸かり、ブクブクと空気の泡を出しながらリラックスするのであった。
0
お気に入りに追加
1,356
あなたにおすすめの小説

異世界に転生したもののトカゲでしたが、進化の実を食べて魔王になりました。
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
異世界に転生したのだけれど手違いでトカゲになっていた!しかし、女神に与えられた進化の実を食べて竜人になりました。
エブリスタと小説家になろうにも掲載しています。


【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる