放置ゲー廃課金者、転生する!

にがよもぎ

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093話 -いざ、ジュエリア王国へ 2-

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カッポカッポとゼロ達の足音を鳴らしながら砂漠をゆっくりと歩いて行く。

「ねぇ、アルス。なんで急がないの?」

大きくなったレインが背中越しに質問してくる。

「ん?ゆっくり行くのも良いかなーって思ってさ」

「王都でゆっくりすれば良いじゃない」

「それも良いんだけど……旅をしたくなってね。…それに早く着き過ぎると向こうもバタバタするだろ?」

「そんなの気にしなくても良いんじゃない?」

「ドタバタさせるのも悪いかなーって思ってるんだよ。……でも、王都までの道のりには色んな街があるんだぜ?そこの食べ歩きとかもしようかなーって…」

「ふぅーん?私食べ歩きにはそこまで興味無いんだよね」

「チカ達はポーロさんの護衛の時の事、覚えてる?」

横一列となっているチカ達へと話を振る。

「ええ。覚えてます」

「草団子を食べた時の話」

「あれ美味しかったよねー!」

どうやらナナとローリィは食べ物で覚えている様だ。

「そうそう。もう一回食べたいから寄ろうと思って」

「賛成賛成ー!!」

「それって美味しいの?」

「ふふふっ……食べてからのお楽しみよ?レイン」

まぁ正直な事を言うと、『ゆっくりしたい』と思ったからだ。トラブルと言ってしまうと失礼かもだが、ここ最近ゆっくり出来なかったからね。ミレーユ達の事もあったし、ダンジョンの事も………あ。しまった!ラティにダンジョンの事を報告すんの忘れてた!

(…………ま、いっか)

どーせ発見されないだろうし、帰ってきてからで良いや。まずは旅をゆっくりとしよう。…言わば『命の洗濯』ってやつだ。

砂漠を無防備で歩き進めるが魔物達は一切寄ってこない。まぁチカ達が掛けた魔法もあるんだけど、ゼロの大きさに逃げてってるんだよね。ゼロもゼロで目がいいのか、すぐに威嚇するし………。ゼロって魔物から見ても脅威な存在なのかな?

「アルス。飲み物ちょうだい」

「俺の右ポケットに入ってるよ」

背後からゴソゴソとレインが飲み物を漁る。

「チカお姉ちゃん達も要るー?」

「果実水はあるかしら?」
「ボクも」
「あたしは要らなーい!」

「………あったあった」

レインが目当ての物を取り出し、馬上からチカとナナへ投げ渡す。

「それにしても…………なぁーんも無いね」

ゴクゴクと喉を鳴らしながらレインが喋り掛けてくる。

「…まぁ砂漠ってそんなもんだろ?オアシスとは反対方向にあるし」

「だから水が貴重なんだね。………あれ?でも孤児院では結構水使ってるよね?」

「あー……あれは俺が持っている道具を使ってるんだよ。『真実の水トゥルー・ウォーター』っつー、ずっと溢れる水だ」

「ええっ!?そうなの!?」

「そうだぞ?……まぁそんな事言っちまうと怪しまれるから毎朝オアシスに汲み取りに行ってるって嘘ついてるけど」

「……確かに怪しまれるね。けど、その水を格安で売ればいいんじゃない?収入になるでしょ?」

「それだとオアシスに水を取りに行く商人の仕事が減るだろ?ただでさえ今はサガンは貧しいんだ。余計に貧乏になっちまうよ」

「…意外に考えてるのね」

「ボロは出まくりだけどね。……ま、オアシスから水が引ける様になれば解決するとは思う」

「…水路を作るってこと?」

「ああ。……けど言葉にするのは簡単だけど難しいと思う」

「それは辺境伯の仕事でしょ?」

「まぁそうなんだが……」

王都に向かうにあたって『真実の水』は回収している。それと業者にちゃんと水を運んでもらう様に手配しているので大丈夫だとは思う。…けど、正直不便なんだよね、水がないってのは。まぁそれは辺境伯のラティが考えてやる事だと思う。

「アルス様、町が見えてきました」

「早いな」

舗装された道を歩いていると遠目に町が見えて来た。丁度小腹も空いてきたので、久しぶりの草団子を食べにゼロ達を走らせるのであった。
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