95 / 135
093話 -いざ、ジュエリア王国へ 2-
しおりを挟む
カッポカッポとゼロ達の足音を鳴らしながら砂漠をゆっくりと歩いて行く。
「ねぇ、アルス。なんで急がないの?」
大きくなったレインが背中越しに質問してくる。
「ん?ゆっくり行くのも良いかなーって思ってさ」
「王都でゆっくりすれば良いじゃない」
「それも良いんだけど……旅をしたくなってね。…それに早く着き過ぎると向こうもバタバタするだろ?」
「そんなの気にしなくても良いんじゃない?」
「ドタバタさせるのも悪いかなーって思ってるんだよ。……でも、王都までの道のりには色んな街があるんだぜ?そこの食べ歩きとかもしようかなーって…」
「ふぅーん?私食べ歩きにはそこまで興味無いんだよね」
「チカ達はポーロさんの護衛の時の事、覚えてる?」
横一列となっているチカ達へと話を振る。
「ええ。覚えてます」
「草団子を食べた時の話」
「あれ美味しかったよねー!」
どうやらナナとローリィは食べ物で覚えている様だ。
「そうそう。もう一回食べたいから寄ろうと思って」
「賛成賛成ー!!」
「それって美味しいの?」
「ふふふっ……食べてからのお楽しみよ?レイン」
まぁ正直な事を言うと、『ゆっくりしたい』と思ったからだ。トラブルと言ってしまうと失礼かもだが、ここ最近ゆっくり出来なかったからね。ミレーユ達の事もあったし、ダンジョンの事も………あ。しまった!ラティにダンジョンの事を報告すんの忘れてた!
(…………ま、いっか)
どーせ発見されないだろうし、帰ってきてからで良いや。まずは旅をゆっくりとしよう。…言わば『命の洗濯』ってやつだ。
砂漠を無防備で歩き進めるが魔物達は一切寄ってこない。まぁチカ達が掛けた魔法もあるんだけど、ゼロの大きさに逃げてってるんだよね。ゼロもゼロで目がいいのか、すぐに威嚇するし………。ゼロって魔物から見ても脅威な存在なのかな?
「アルス。飲み物ちょうだい」
「俺の右ポケットに入ってるよ」
背後からゴソゴソとレインが飲み物を漁る。
「チカお姉ちゃん達も要るー?」
「果実水はあるかしら?」
「ボクも」
「あたしは要らなーい!」
「………あったあった」
レインが目当ての物を取り出し、馬上からチカとナナへ投げ渡す。
「それにしても…………なぁーんも無いね」
ゴクゴクと喉を鳴らしながらレインが喋り掛けてくる。
「…まぁ砂漠ってそんなもんだろ?オアシスとは反対方向にあるし」
「だから水が貴重なんだね。………あれ?でも孤児院では結構水使ってるよね?」
「あー……あれは俺が持っている道具を使ってるんだよ。『真実の水』っつー、ずっと溢れる水だ」
「ええっ!?そうなの!?」
「そうだぞ?……まぁそんな事言っちまうと怪しまれるから毎朝オアシスに汲み取りに行ってるって嘘ついてるけど」
「……確かに怪しまれるね。けど、その水を格安で売ればいいんじゃない?収入になるでしょ?」
「それだとオアシスに水を取りに行く商人の仕事が減るだろ?ただでさえ今はサガンは貧しいんだ。余計に貧乏になっちまうよ」
「…意外に考えてるのね」
「ボロは出まくりだけどね。……ま、オアシスから水が引ける様になれば解決するとは思う」
「…水路を作るってこと?」
「ああ。……けど言葉にするのは簡単だけど難しいと思う」
「それは辺境伯の仕事でしょ?」
「まぁそうなんだが……」
王都に向かうにあたって『真実の水』は回収している。それと業者にちゃんと水を運んでもらう様に手配しているので大丈夫だとは思う。…けど、正直不便なんだよね、水がないってのは。まぁそれは辺境伯のラティが考えてやる事だと思う。
「アルス様、町が見えてきました」
「早いな」
舗装された道を歩いていると遠目に町が見えて来た。丁度小腹も空いてきたので、久しぶりの草団子を食べにゼロ達を走らせるのであった。
「ねぇ、アルス。なんで急がないの?」
大きくなったレインが背中越しに質問してくる。
「ん?ゆっくり行くのも良いかなーって思ってさ」
「王都でゆっくりすれば良いじゃない」
「それも良いんだけど……旅をしたくなってね。…それに早く着き過ぎると向こうもバタバタするだろ?」
「そんなの気にしなくても良いんじゃない?」
「ドタバタさせるのも悪いかなーって思ってるんだよ。……でも、王都までの道のりには色んな街があるんだぜ?そこの食べ歩きとかもしようかなーって…」
「ふぅーん?私食べ歩きにはそこまで興味無いんだよね」
「チカ達はポーロさんの護衛の時の事、覚えてる?」
横一列となっているチカ達へと話を振る。
「ええ。覚えてます」
「草団子を食べた時の話」
「あれ美味しかったよねー!」
どうやらナナとローリィは食べ物で覚えている様だ。
「そうそう。もう一回食べたいから寄ろうと思って」
「賛成賛成ー!!」
「それって美味しいの?」
「ふふふっ……食べてからのお楽しみよ?レイン」
まぁ正直な事を言うと、『ゆっくりしたい』と思ったからだ。トラブルと言ってしまうと失礼かもだが、ここ最近ゆっくり出来なかったからね。ミレーユ達の事もあったし、ダンジョンの事も………あ。しまった!ラティにダンジョンの事を報告すんの忘れてた!
(…………ま、いっか)
どーせ発見されないだろうし、帰ってきてからで良いや。まずは旅をゆっくりとしよう。…言わば『命の洗濯』ってやつだ。
砂漠を無防備で歩き進めるが魔物達は一切寄ってこない。まぁチカ達が掛けた魔法もあるんだけど、ゼロの大きさに逃げてってるんだよね。ゼロもゼロで目がいいのか、すぐに威嚇するし………。ゼロって魔物から見ても脅威な存在なのかな?
「アルス。飲み物ちょうだい」
「俺の右ポケットに入ってるよ」
背後からゴソゴソとレインが飲み物を漁る。
「チカお姉ちゃん達も要るー?」
「果実水はあるかしら?」
「ボクも」
「あたしは要らなーい!」
「………あったあった」
レインが目当ての物を取り出し、馬上からチカとナナへ投げ渡す。
「それにしても…………なぁーんも無いね」
ゴクゴクと喉を鳴らしながらレインが喋り掛けてくる。
「…まぁ砂漠ってそんなもんだろ?オアシスとは反対方向にあるし」
「だから水が貴重なんだね。………あれ?でも孤児院では結構水使ってるよね?」
「あー……あれは俺が持っている道具を使ってるんだよ。『真実の水』っつー、ずっと溢れる水だ」
「ええっ!?そうなの!?」
「そうだぞ?……まぁそんな事言っちまうと怪しまれるから毎朝オアシスに汲み取りに行ってるって嘘ついてるけど」
「……確かに怪しまれるね。けど、その水を格安で売ればいいんじゃない?収入になるでしょ?」
「それだとオアシスに水を取りに行く商人の仕事が減るだろ?ただでさえ今はサガンは貧しいんだ。余計に貧乏になっちまうよ」
「…意外に考えてるのね」
「ボロは出まくりだけどね。……ま、オアシスから水が引ける様になれば解決するとは思う」
「…水路を作るってこと?」
「ああ。……けど言葉にするのは簡単だけど難しいと思う」
「それは辺境伯の仕事でしょ?」
「まぁそうなんだが……」
王都に向かうにあたって『真実の水』は回収している。それと業者にちゃんと水を運んでもらう様に手配しているので大丈夫だとは思う。…けど、正直不便なんだよね、水がないってのは。まぁそれは辺境伯のラティが考えてやる事だと思う。
「アルス様、町が見えてきました」
「早いな」
舗装された道を歩いていると遠目に町が見えて来た。丁度小腹も空いてきたので、久しぶりの草団子を食べにゼロ達を走らせるのであった。
0
お気に入りに追加
1,356
あなたにおすすめの小説
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされ、生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれてしまった、ベテランオッサン冒険者のお話。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。

学年揃って異世界召喚?執行猶予30年貰っても良いですか?
ばふぉりん
ファンタジー
とある卒業式当日の中学生達。それぞれの教室でワイワイ騒いでると突然床が光だし・・・これはまさか!?
そして壇上に綺麗な女性が現れて「これからみなさんには同じスキルをひとつだけ持って、異世界に行ってもらいます。拒否はできません。ただし、一つだけ願いを叶えましょう」と、若干頓珍漢な事を言い、前から順番にクラスメイトの願いを叶えたり却下したりと、ドンドン光に変えていき、遂に僕の番になったので、こう言ってみた。
「30年待ってもらえませんか?」と・・・
→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→
初めて文章を書くので、色々教えていただければ幸いです!
また、メンタルは絹豆腐並みに柔らかいので、やさしくしてください。
更新はランダムで、別にプロットとかも無いので、その日その場で書いて更新するとおもうのであ、生暖かく見守ってください。


ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる