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088話 -六道ダンジョン 10-
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(まさかね……)
ステータス画面を開いた俺は空きの部分に『アスラの魔核』を嵌め込む。そして素早く特技欄を開くと、一番下に『アスラ』という文字が表示されていた。
「…………え?マジィ?」
「どーしたのご主人様ぁー?」
ローリィの問い掛けに答えず、まずは今疑問に思った事を整理する。
(『アスラの魔核』とあったが、前に加工した大蜘蛛の魔核にはそれらは書かれてなかったし、ダンジョン内で見つけたゴブリンなどの魔核にもこんな記述は無かった……)
顎に手を当てしばし考え込む。
(……可能性としてはアスラがボスだったからという事。それか、『召喚士』のジョブを使用したから。…あとは上手い理由が見当たらないが、その他の要因があるかも知れない。……ま、現状としてはこの2つのどちらかの可能性が高いな)
ある程度考えがまとまり、心配そうにこちらを見ているローリィ達へと説明する。
「このドロップ品なんだけど……どうやら『アスラ』を召喚出来る魔核らしい」
「魔核……。ではアルス様がオアシスで加工したモノも?」
「いや……アレにはそんな説明は書いてなかった」
「となると……アスラがボスだったからという可能性があるかもしれない」
「俺もナナと同じ考えだ。それか、『召喚士』のジョブを使ったから…という可能性もある」
「んー……じゃあご主人様はアスラを召喚出来るって事?」
「……多分。一応特技欄に表示されてたから出来るとは思う」
「……でもアルス様。私達は長い事一緒に旅をしていますが、こんな出来事は1度もありませんでしたよね?」
「そうなんだよ……」
「……検証を重ねるしか手段は無い」
「難しいのはあたしには無理だから、ナナちゃん達に任せる!」
「……アルス様。1度アスラを召喚してみては?出来るとは限らないですし…」
「それもそうだな……ちょっと待ってろ」
ジョブを変更し、広い場所を見てから『召喚・アスラ』と詠唱する。
「……あれ??」
しかし、アスラが出てくる事はなく何度繰り返しても同じであった。
「んー……どういう事だ?」
ジョブレベルはカンストしているので、召喚出来ない筈がない。だとすれば他に原因があるという事だ。特技欄の『アスラ』をタップし説明文を読む。
「………あぁー、なるほどねぇ…」
「何か分かりましたか?」
「あぁ。どうやら、このアスラはさっき習得した『修羅』のレベルを上げないと駄目みたいだ」
『修羅』のジョブステータスを開き、経験値などの性能を調べる。『修羅レベル10』でアスラを召喚可能らしいが、単独では意味が無いらしく、説明文には『修羅Lv10、召喚士Lv700以上』と書かれていた。つまり、アスラを召喚するには2つのジョブレベルを規定まで育ててないと出来ないということだ。
召喚士のレベルは大丈夫なので、あとは修羅のレベルを上げるだけなのだが…少々問題があった。
「…しっかし、経験値エグくないか?」
修羅Lv2になる迄の経験値が約3万。前世の感覚で例えると、課金アイテム無しで2週間程かかる。単純計算でLv10まで上げるとしたら140日も掛かるという事だ。…………いやいや、メリット少なくね?
と、思ったのだがよくよく調べてみると時間が掛かる分、ステータスの上昇具合がぶっ壊れだった。Lv2で永続効果のバフが習得出来て、Lv3では98%の確率での行動不能特技が習得できる。しかもこの特技は全体攻撃で、ほぼほぼはめ殺しが出来るという事だ。そして何より攻撃力に特化しており、Lv10でも今の俺の最強ジョブの総攻撃力を余裕で超える。………やっぱり文字通り『修羅』という事なのだろう。
チカ達も俺の呟きを聞いていたのか各々自分で確認していた。チカとナナは『前衛向きですね』という感じで興味無さそうであったが、ローリィは穴が開くほど集中していた。……これはローリィが次に言う台詞が想像出来るぞ。
「…………『修羅』に変更しよーっと!!」
(ですよねー)
まぁこちらとしても誰か一人Lvを上げて欲しいと思っていたし、ローリィも召喚士のジョブはカンストしているから実験は出来るだろう。その時は課金アイテムで『アスラ』を外してローリィに渡すかな。
ドロップ品を調べ終えると、それを待っていたかの様に突如大きな扉が後方に現れる。
「…よっし。とりあえずダンジョンクリアって所かな?」
「…拍子抜けでしたね。ボスぐらいは色々と出来るかと思ってましたが…」
「チカ。それよりもまずはソニアだ」
「……!! そうだよ!チカちゃん、ソニアには色々と聞かないといけない事があるじゃん!」
「ハッ!そうだったわ!!………アルス様、早く外へ出ましょう!」
「お、おぅ……いや、はい………」
チカ達はすこぉーしだけ目が据わっている様に見えたので敬語で従う。
扉へと向かい錠を捻ると扉はゆっくりと一人でに動き、真っ白な光景を見せる。フロアをグルリと見回してから真っ白な扉の向こう側へと足を進めるのであった。
ステータス画面を開いた俺は空きの部分に『アスラの魔核』を嵌め込む。そして素早く特技欄を開くと、一番下に『アスラ』という文字が表示されていた。
「…………え?マジィ?」
「どーしたのご主人様ぁー?」
ローリィの問い掛けに答えず、まずは今疑問に思った事を整理する。
(『アスラの魔核』とあったが、前に加工した大蜘蛛の魔核にはそれらは書かれてなかったし、ダンジョン内で見つけたゴブリンなどの魔核にもこんな記述は無かった……)
顎に手を当てしばし考え込む。
(……可能性としてはアスラがボスだったからという事。それか、『召喚士』のジョブを使用したから。…あとは上手い理由が見当たらないが、その他の要因があるかも知れない。……ま、現状としてはこの2つのどちらかの可能性が高いな)
ある程度考えがまとまり、心配そうにこちらを見ているローリィ達へと説明する。
「このドロップ品なんだけど……どうやら『アスラ』を召喚出来る魔核らしい」
「魔核……。ではアルス様がオアシスで加工したモノも?」
「いや……アレにはそんな説明は書いてなかった」
「となると……アスラがボスだったからという可能性があるかもしれない」
「俺もナナと同じ考えだ。それか、『召喚士』のジョブを使ったから…という可能性もある」
「んー……じゃあご主人様はアスラを召喚出来るって事?」
「……多分。一応特技欄に表示されてたから出来るとは思う」
「……でもアルス様。私達は長い事一緒に旅をしていますが、こんな出来事は1度もありませんでしたよね?」
「そうなんだよ……」
「……検証を重ねるしか手段は無い」
「難しいのはあたしには無理だから、ナナちゃん達に任せる!」
「……アルス様。1度アスラを召喚してみては?出来るとは限らないですし…」
「それもそうだな……ちょっと待ってろ」
ジョブを変更し、広い場所を見てから『召喚・アスラ』と詠唱する。
「……あれ??」
しかし、アスラが出てくる事はなく何度繰り返しても同じであった。
「んー……どういう事だ?」
ジョブレベルはカンストしているので、召喚出来ない筈がない。だとすれば他に原因があるという事だ。特技欄の『アスラ』をタップし説明文を読む。
「………あぁー、なるほどねぇ…」
「何か分かりましたか?」
「あぁ。どうやら、このアスラはさっき習得した『修羅』のレベルを上げないと駄目みたいだ」
『修羅』のジョブステータスを開き、経験値などの性能を調べる。『修羅レベル10』でアスラを召喚可能らしいが、単独では意味が無いらしく、説明文には『修羅Lv10、召喚士Lv700以上』と書かれていた。つまり、アスラを召喚するには2つのジョブレベルを規定まで育ててないと出来ないということだ。
召喚士のレベルは大丈夫なので、あとは修羅のレベルを上げるだけなのだが…少々問題があった。
「…しっかし、経験値エグくないか?」
修羅Lv2になる迄の経験値が約3万。前世の感覚で例えると、課金アイテム無しで2週間程かかる。単純計算でLv10まで上げるとしたら140日も掛かるという事だ。…………いやいや、メリット少なくね?
と、思ったのだがよくよく調べてみると時間が掛かる分、ステータスの上昇具合がぶっ壊れだった。Lv2で永続効果のバフが習得出来て、Lv3では98%の確率での行動不能特技が習得できる。しかもこの特技は全体攻撃で、ほぼほぼはめ殺しが出来るという事だ。そして何より攻撃力に特化しており、Lv10でも今の俺の最強ジョブの総攻撃力を余裕で超える。………やっぱり文字通り『修羅』という事なのだろう。
チカ達も俺の呟きを聞いていたのか各々自分で確認していた。チカとナナは『前衛向きですね』という感じで興味無さそうであったが、ローリィは穴が開くほど集中していた。……これはローリィが次に言う台詞が想像出来るぞ。
「…………『修羅』に変更しよーっと!!」
(ですよねー)
まぁこちらとしても誰か一人Lvを上げて欲しいと思っていたし、ローリィも召喚士のジョブはカンストしているから実験は出来るだろう。その時は課金アイテムで『アスラ』を外してローリィに渡すかな。
ドロップ品を調べ終えると、それを待っていたかの様に突如大きな扉が後方に現れる。
「…よっし。とりあえずダンジョンクリアって所かな?」
「…拍子抜けでしたね。ボスぐらいは色々と出来るかと思ってましたが…」
「チカ。それよりもまずはソニアだ」
「……!! そうだよ!チカちゃん、ソニアには色々と聞かないといけない事があるじゃん!」
「ハッ!そうだったわ!!………アルス様、早く外へ出ましょう!」
「お、おぅ……いや、はい………」
チカ達はすこぉーしだけ目が据わっている様に見えたので敬語で従う。
扉へと向かい錠を捻ると扉はゆっくりと一人でに動き、真っ白な光景を見せる。フロアをグルリと見回してから真っ白な扉の向こう側へと足を進めるのであった。
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