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086話 -六道ダンジョン 8-
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「グギョ?!」
その変化は突如現れた。道化師達を貪っていた餓鬼達が突如苦しみ始めたからだった。
餓鬼達は喉を抑えると足をバタバタと動かす。そして道化師達の近くにいた餓鬼から紫色の吐瀉物を吐き出すと、事切れたかの様に地面へと倒れ込んでいく。その現象は次々に現れ、地面へと伏せた餓鬼を共喰いする餓鬼にも症状は移る。
「ケケケケケケッ!」
最後の一人となった道化師が高笑いをしながら絶命する。死肉を貪る餓鬼達も周りがどうなっているのかは理解していない様で、とりあえず腹を満たすという感情だけで動いていた。そして、嘔吐をするという症状が最後の餓鬼へと移ると俺達とアスラ以外は全滅してしまった。
「な、何が起きたんだ?」
あまりにも予想だにしない展開に言葉を失う。だが、餓鬼達が居なくなったのはこちらにとって好都合だ。チカ達もそう感じたのか追撃をしようとするが、その前にまた変化が現れる。
「な、なんだぁ!?」
餓鬼達の死骸がモゾモゾと動き始める。そして、道化師が居た場所へと死骸が一気に集まるとグチャグチャとした音が響き渡る。そしてその音が小さくなるにつれ、ヒト型の様なモノへと変わる。やがて大きな型へと変わると、黒い物体に色が入り、そこにはでぶっちょな道化師が万歳の様な格好で現れた。
「…………ハイッ!!如何でしたかな?私の世紀の大魔術、『パンデミック』はご堪能頂けたでしょうか?面白かったと思うお客様は拍手を、面白くなかったというお客様は、叱咤激励の意味も込めて盛大な拍手をお願いしまぁーす!!」
「「「「「………………」」」」」
「……おや?拍手の音が聞こえないということはつまらなかった……ということでしょうか?それは残念です………」
でぶっちょな道化師は悲しそうな声を発するが、誰一人道化師へと話しかける者は居なかった。
「………アルス様。アレは一体……?」
「…俺にも分からん」
「アレは敵なのか味方なのか?」
「分からん…」
「…ご主人様、どっち攻撃すれば良いの?」
ローリィもこちらへと戻り、俺に指示を仰いでくる。『俺が召喚した道化師だから味方のはず』、『だが、こんな効果は知らない』などの様々な考えが脳裏を過ぎる。
「……『六道・地獄』」
その隙にアスラが道化師へと攻撃をする。技の名の通り、地獄から出てきた様な赤褐色の炎が道化師へと襲い掛かる。
「ホホホホホッ!とんだ魔術ですねぇ!!」
道化師は抵抗の素振りも見せず、そのまま炎を喰らう。だが、その炎の中から未だに笑い声は聞こえていた。
「オホホッ!これは非常ぉーに熱い!熱いですねぇ!!これだと私の丸焼きが出来るぐらいですよ!………ただ、ちょっとだけ足りないですねぇ?」
『パンッ』と空気を入れた袋を割った様な炸裂音が響くと炎は搔き消える。そして炎の中からは綺麗な状態の道化師が妙なダンスをしていた。
「さぁーてさて……………私に攻撃するということは大きいアナタは私の敵ということですね?ならば然るべき対応をしなければなりませんなぁ?」
でぶっちょな道化師は君の悪い声色でアスラへと語りかけると、その見た目とは裏腹な凄まじい速度で距離を詰めた。そして、殴り掛かると思いきやでっぷりとした体型を活かして、距離を詰めた速度のままアスラへと体当たりをかます。
「グォッ!!」
「オーッホッホッホ!!」
思った以上に威力があったのかアスラは地面へと倒れ込む。そのまま道化師は馬乗りになるとアスラの腹の上で何度も跳躍をする。
「さぁ我が主人よ!!今こそ攻撃のチャンスですよ!」
道化師がそう言うと一番最初に反応したのはチカ達であった。
「『天使の涙』」
「『四獣拳爪』」
「『コア・ブレイク』」
「ホホホホホッ!!『パントマイム』!」
チカ達の凄まじい攻撃が道化師とアスラへと襲い掛かる。
「グアアアアアアアアアアアアアッ!!」
アスラの断末魔が響き渡り、チカ達の攻撃によりフロアは暴風と振動、そして様々な光に包まれる。ゆれなどで生き埋めになるかと思うほどの光景に、俺は腕で目を隠し、それらを耐えるのであった。
その変化は突如現れた。道化師達を貪っていた餓鬼達が突如苦しみ始めたからだった。
餓鬼達は喉を抑えると足をバタバタと動かす。そして道化師達の近くにいた餓鬼から紫色の吐瀉物を吐き出すと、事切れたかの様に地面へと倒れ込んでいく。その現象は次々に現れ、地面へと伏せた餓鬼を共喰いする餓鬼にも症状は移る。
「ケケケケケケッ!」
最後の一人となった道化師が高笑いをしながら絶命する。死肉を貪る餓鬼達も周りがどうなっているのかは理解していない様で、とりあえず腹を満たすという感情だけで動いていた。そして、嘔吐をするという症状が最後の餓鬼へと移ると俺達とアスラ以外は全滅してしまった。
「な、何が起きたんだ?」
あまりにも予想だにしない展開に言葉を失う。だが、餓鬼達が居なくなったのはこちらにとって好都合だ。チカ達もそう感じたのか追撃をしようとするが、その前にまた変化が現れる。
「な、なんだぁ!?」
餓鬼達の死骸がモゾモゾと動き始める。そして、道化師が居た場所へと死骸が一気に集まるとグチャグチャとした音が響き渡る。そしてその音が小さくなるにつれ、ヒト型の様なモノへと変わる。やがて大きな型へと変わると、黒い物体に色が入り、そこにはでぶっちょな道化師が万歳の様な格好で現れた。
「…………ハイッ!!如何でしたかな?私の世紀の大魔術、『パンデミック』はご堪能頂けたでしょうか?面白かったと思うお客様は拍手を、面白くなかったというお客様は、叱咤激励の意味も込めて盛大な拍手をお願いしまぁーす!!」
「「「「「………………」」」」」
「……おや?拍手の音が聞こえないということはつまらなかった……ということでしょうか?それは残念です………」
でぶっちょな道化師は悲しそうな声を発するが、誰一人道化師へと話しかける者は居なかった。
「………アルス様。アレは一体……?」
「…俺にも分からん」
「アレは敵なのか味方なのか?」
「分からん…」
「…ご主人様、どっち攻撃すれば良いの?」
ローリィもこちらへと戻り、俺に指示を仰いでくる。『俺が召喚した道化師だから味方のはず』、『だが、こんな効果は知らない』などの様々な考えが脳裏を過ぎる。
「……『六道・地獄』」
その隙にアスラが道化師へと攻撃をする。技の名の通り、地獄から出てきた様な赤褐色の炎が道化師へと襲い掛かる。
「ホホホホホッ!とんだ魔術ですねぇ!!」
道化師は抵抗の素振りも見せず、そのまま炎を喰らう。だが、その炎の中から未だに笑い声は聞こえていた。
「オホホッ!これは非常ぉーに熱い!熱いですねぇ!!これだと私の丸焼きが出来るぐらいですよ!………ただ、ちょっとだけ足りないですねぇ?」
『パンッ』と空気を入れた袋を割った様な炸裂音が響くと炎は搔き消える。そして炎の中からは綺麗な状態の道化師が妙なダンスをしていた。
「さぁーてさて……………私に攻撃するということは大きいアナタは私の敵ということですね?ならば然るべき対応をしなければなりませんなぁ?」
でぶっちょな道化師は君の悪い声色でアスラへと語りかけると、その見た目とは裏腹な凄まじい速度で距離を詰めた。そして、殴り掛かると思いきやでっぷりとした体型を活かして、距離を詰めた速度のままアスラへと体当たりをかます。
「グォッ!!」
「オーッホッホッホ!!」
思った以上に威力があったのかアスラは地面へと倒れ込む。そのまま道化師は馬乗りになるとアスラの腹の上で何度も跳躍をする。
「さぁ我が主人よ!!今こそ攻撃のチャンスですよ!」
道化師がそう言うと一番最初に反応したのはチカ達であった。
「『天使の涙』」
「『四獣拳爪』」
「『コア・ブレイク』」
「ホホホホホッ!!『パントマイム』!」
チカ達の凄まじい攻撃が道化師とアスラへと襲い掛かる。
「グアアアアアアアアアアアアアッ!!」
アスラの断末魔が響き渡り、チカ達の攻撃によりフロアは暴風と振動、そして様々な光に包まれる。ゆれなどで生き埋めになるかと思うほどの光景に、俺は腕で目を隠し、それらを耐えるのであった。
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