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083話 -六道ダンジョン 5-
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「それじゃ開けるけど……ちょっと離れててくれねぇか?」
「なんでぇー???」
「前回開けようとしたら落とし穴に落ちたんだよ」
「マスター。命綱はいるか?」
「大丈夫。警戒しておくから」
チカ達は俺から少し離れた所に移動する。前回の経験を生かして、武器を鉤爪に変えておく。落ちそうになっても鉤爪で生還率アップだ。
「……行くぞ?」
扉の鍵を握り慎重に下へと回す。すると扉が普通に開いた。
「……あれ?普通に開い---
『何だよ。警戒して損した』と思った直後に足元が急に無くなる。少し思ってたのと違い、油断していた俺は普通に落ちそうになる。……しかし。
「タイタン・ハンド!!」
ナナの声が聞こえると、俺は固い地面へと着地する。ナナが使用した魔法は『巨人の手』という物で、基本的には広範囲に渡って潰しにかかる魔法だ。しかし、ナナは器用にもその魔法を扱い、俺を落下から救ってくれた。
「た、助かったよ……」
「ご主人様油断しちゃったねー」
「コラ、ローリィ!」
「……まさか時間差で来るとはな。予想外だったよ」
ナナのタイタン・ハンドで連れ戻されると地面へと降り立つ。
「この罠を仕掛けた奴は性格が悪い」
「でもナナちゃん。他の罠はそこまでだよ?」
「蟲穴も人によっては地獄。永く苦しめるのは陰湿な奴がする事」
「…でも罠だからね。私達には平気でもソニアの様な一般人には効果があるわ」
「…俺も蟲だらけのは嫌だなぁ」
「それよりもマスター。扉の向こう側に行こう」
タイタン・ハンドを梯子の様にし扉を押す。しかしそこにあったのはただの空洞であった。
「………何もねぇな」
「宝箱もー??」
「ああ。本当に何にも無い」
「……落とし穴もない。ということはこの扉自体飾りだったという事」
「それでは階段で降りるのではなく落とし穴に落ちるのが正解という事でしょうか?」
「……かも知れねぇな」
「それじゃボクの魔法で落とし穴を降りよう」
再びタイタン・ハンドに乗り、ナナの操縦でゆっくりと降りていく。
「………土肌しか見えないね」
「通り抜けられそうなところも無いわね」
「…これって普通に落ちれば死ぬ深さだよね」
しばらくゆっくりと降りて行くと地面の様な残骸が見えた。しかし、そこには大きな穴が開いており真っ平な地面では無かった。そしてその地面がある所には部屋が顔を覗かせていた。
「ここが終着点かしら?」
「地面に穴が開いてるだなんて老朽化してるのかな??」
「ダンジョンに老朽化なんて無いだろ………いや?もしかしたら有るのかもな」
俺が知っているダンジョンとはあくまでもゲームの中だけだ。ゲームの中ではダンジョンはいつでも綺麗なままだし、宝箱やボス以外はクリアすれば元通りになる。しかし、現実にある洞穴や洞窟などは自然によって朽ち果てる物もある。小さい頃に山遊びをした時、秘密基地を作ったんだがそこに行った時大量のゲジゲジが発生していた。正直アレは本気で小便を漏らしそうになったよ。
「………ローリィ。この穴は老朽化でなった物では無い。何か大きくて固いものが衝突した形跡がある」
「なんでそんな事分かるの?」
「ヒビが放射状に広がってる。そのヒビを辿るとこの穴に繋がってる。老朽化であれば他の部分にも穴が空いているはず」
「なるほどぉー!ナナちゃん頭良い!」
「衝突…………………あ、それもしかしたら俺かも知れねぇ」
「? マスターがか?」
「ああ。確かソニアと一緒に落下したんだよ……。その時固い何かに当たったんだよな」
「……しかしそれだと2つほど穴が空いてないとおかしい。そしてマスターは大丈夫だとしてもソニアが無事なはずが無い」
「そん時はソニアを抱いて補助魔法かけたからな」
「「「?!!!」」」
「………………!? ち、違うぞ??あん時はそうしないとソニアが死ぬかと思ったからだぞ!?」
「……別にソニアにも魔法を掛ければ良かったのでは?」
「…………そりゃあ、後から言われればそうだけど……」
「ソニアを後で尋問しなきゃねー。役得過ぎるよ!」
「珍しくローリィに賛成。ソニアばかりズルイ」
ナナ達が何やら険悪な雰囲気を出していたが、あの時はしょうがないだろ?わざとじゃねーし、下心は一切無かったんだからさ。………つーか、役得ってなんだよ?
「……話を戻しましょう。この穴はアルス様が衝突した際に出来たものだとすると、このフロアは探索をしていないという事ですね?」
「あ、うん。……つーか、部屋があったの自体気付かんかった」
「ではまずは探索をしましょう。それが済んだら下に降りましょう」
チカがこの場を締め、俺達はこのフロアを探索するのであった。
「なんでぇー???」
「前回開けようとしたら落とし穴に落ちたんだよ」
「マスター。命綱はいるか?」
「大丈夫。警戒しておくから」
チカ達は俺から少し離れた所に移動する。前回の経験を生かして、武器を鉤爪に変えておく。落ちそうになっても鉤爪で生還率アップだ。
「……行くぞ?」
扉の鍵を握り慎重に下へと回す。すると扉が普通に開いた。
「……あれ?普通に開い---
『何だよ。警戒して損した』と思った直後に足元が急に無くなる。少し思ってたのと違い、油断していた俺は普通に落ちそうになる。……しかし。
「タイタン・ハンド!!」
ナナの声が聞こえると、俺は固い地面へと着地する。ナナが使用した魔法は『巨人の手』という物で、基本的には広範囲に渡って潰しにかかる魔法だ。しかし、ナナは器用にもその魔法を扱い、俺を落下から救ってくれた。
「た、助かったよ……」
「ご主人様油断しちゃったねー」
「コラ、ローリィ!」
「……まさか時間差で来るとはな。予想外だったよ」
ナナのタイタン・ハンドで連れ戻されると地面へと降り立つ。
「この罠を仕掛けた奴は性格が悪い」
「でもナナちゃん。他の罠はそこまでだよ?」
「蟲穴も人によっては地獄。永く苦しめるのは陰湿な奴がする事」
「…でも罠だからね。私達には平気でもソニアの様な一般人には効果があるわ」
「…俺も蟲だらけのは嫌だなぁ」
「それよりもマスター。扉の向こう側に行こう」
タイタン・ハンドを梯子の様にし扉を押す。しかしそこにあったのはただの空洞であった。
「………何もねぇな」
「宝箱もー??」
「ああ。本当に何にも無い」
「……落とし穴もない。ということはこの扉自体飾りだったという事」
「それでは階段で降りるのではなく落とし穴に落ちるのが正解という事でしょうか?」
「……かも知れねぇな」
「それじゃボクの魔法で落とし穴を降りよう」
再びタイタン・ハンドに乗り、ナナの操縦でゆっくりと降りていく。
「………土肌しか見えないね」
「通り抜けられそうなところも無いわね」
「…これって普通に落ちれば死ぬ深さだよね」
しばらくゆっくりと降りて行くと地面の様な残骸が見えた。しかし、そこには大きな穴が開いており真っ平な地面では無かった。そしてその地面がある所には部屋が顔を覗かせていた。
「ここが終着点かしら?」
「地面に穴が開いてるだなんて老朽化してるのかな??」
「ダンジョンに老朽化なんて無いだろ………いや?もしかしたら有るのかもな」
俺が知っているダンジョンとはあくまでもゲームの中だけだ。ゲームの中ではダンジョンはいつでも綺麗なままだし、宝箱やボス以外はクリアすれば元通りになる。しかし、現実にある洞穴や洞窟などは自然によって朽ち果てる物もある。小さい頃に山遊びをした時、秘密基地を作ったんだがそこに行った時大量のゲジゲジが発生していた。正直アレは本気で小便を漏らしそうになったよ。
「………ローリィ。この穴は老朽化でなった物では無い。何か大きくて固いものが衝突した形跡がある」
「なんでそんな事分かるの?」
「ヒビが放射状に広がってる。そのヒビを辿るとこの穴に繋がってる。老朽化であれば他の部分にも穴が空いているはず」
「なるほどぉー!ナナちゃん頭良い!」
「衝突…………………あ、それもしかしたら俺かも知れねぇ」
「? マスターがか?」
「ああ。確かソニアと一緒に落下したんだよ……。その時固い何かに当たったんだよな」
「……しかしそれだと2つほど穴が空いてないとおかしい。そしてマスターは大丈夫だとしてもソニアが無事なはずが無い」
「そん時はソニアを抱いて補助魔法かけたからな」
「「「?!!!」」」
「………………!? ち、違うぞ??あん時はそうしないとソニアが死ぬかと思ったからだぞ!?」
「……別にソニアにも魔法を掛ければ良かったのでは?」
「…………そりゃあ、後から言われればそうだけど……」
「ソニアを後で尋問しなきゃねー。役得過ぎるよ!」
「珍しくローリィに賛成。ソニアばかりズルイ」
ナナ達が何やら険悪な雰囲気を出していたが、あの時はしょうがないだろ?わざとじゃねーし、下心は一切無かったんだからさ。………つーか、役得ってなんだよ?
「……話を戻しましょう。この穴はアルス様が衝突した際に出来たものだとすると、このフロアは探索をしていないという事ですね?」
「あ、うん。……つーか、部屋があったの自体気付かんかった」
「ではまずは探索をしましょう。それが済んだら下に降りましょう」
チカがこの場を締め、俺達はこのフロアを探索するのであった。
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