放置ゲー廃課金者、転生する!

にがよもぎ

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081話 -六道ダンジョン 3-

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「……やっぱパーティ戦だとサクサク進むなぁ」

俺達がダンジョンに来てから数時間が経過した。前回はソニアを気遣いながらだったので休息をこまめに取っていた。しかし、今回はチカ達が居るしソニアとは比べ物にならんくらい強いので思った以上にサクサクと進んだ。降りた階数を考えると、今は8階ぐらいかな?敵も前回同様強くなっている様だが、4人だと差が全く感じられない。RPGで良くある手法だが、色違いの魔物が出てもレベル差があれば全く怖くないよね。ただ適正レベルだとちょっと苦戦って感じだろうけど。

「ご主人様ぁー。あたしもう飽きたぁー……」

「………今日はここら辺で野営でもするか?」

雑魚狩りに飽きたローリィが面倒くさそうに言う。チカ達は何も発さなかったが、ローリィと同じ事を思っている様だった。

「さんせぇー!!あたしお腹ペコペコー!」

ローリィは嬉々とした表情でダンジョンの岩を砕き、野営のスペースを確保する。

「……しかしみょうですね」

「妙って?」

アイテムリストを開きながらチカの言葉に反応する。

「私達が潜った事のあるダンジョンでは、頻繁に魔物達と会う事は無かったですよね?」

「………確かに言われればそうだけど、狩場なんじゃねーか?」

「……狩場はダンジョン1回にあるかないかぐらいでしたよ?」

「そうだっけ?………確かにそう言われると結構狩場に出くわしているよな…」

ソニアと潜った時にはここまで魔物達と遭遇する事は無かった。というより、開けた場所には必ずと言って良いほど魔物の群れが居た。……ゲームで例えるなら開けた場所にはモンスターハウスが必ずあると言う頻度だった。

「マスター。前に来た時もこんな感じだったのか?」

「いや、狩場には遭遇はしてないな。通路で出くわすって感じだった」

「……もしかしたら私達の知っているダンジョンと違うのかもしれませんね」

「………それもあるかもな。けど………前と似た様な造りなんだよなぁ」

「王都にあるダンジョンもこの様な仕様なのかも知れません。……一応警戒だけは絶やさない様に進みましょう」

テントを準備し食事を始める。その間、チカ達と喋りながら色々と考えていた。

(ダンジョンの仕様といい、ドロップといいちょっと『Destiny』と似ている所があるよな……。俺はボスのアスラの事は知ってたけど、ソニアは知らないようだったし………あ、そうだ!)

ダンジョンに潜る際に重要なことを忘れていた。『Destiny』の時もだが、どんなRPGでもマッピングと出現モンスターは調査が必要だ。王都のダンジョンを潜る際には事前に調べていた方が良いと思う。そして、このダンジョンが日の光を浴びるかどうかは分からないけど、一応何かに書き留めていた方がいいな。

そう思った俺はリストを表示させスワイプする。目的の物は確か一番下にあったはず………あ、あったあった!

「? アルス様、何をしているのですか?」

「ちょっと紙を探しててね…」

アイテムリストから『ただの紙切れ』という道具を取り出す。これは本当に使い道の無い道具で、放置する時には拾わないように制限するぐらいの無駄な物だった。一応、この紙切れにもランクがあるんだけど、売っても二束三文にしかならないので、アイテムリストを埋めるのが好きな人ならばやる価値はあるだろう。

「紙?…何か書くんですか?」

「ちょいとこのダンジョンの記録をね……。もしかしたら俺達みたいにこのダンジョンを潜る冒険者もいるかも知れないしね」

「…なるほど。後に続く者達の為に残すということ」

「そこまで難しい言い方じゃねーけど……ま、そんな感じだね」

『Destiny』をプレイしていた時はマッピングなどは不必要であった。それはネットなどがあった為、すぐに調べる事が出来たからだ。しかし、昔のゲームではそれは出来なかった。攻略サイトなんぞは無く、むしろ攻略本を購入するぐらいだった。ダンジョンなんかもメモ用紙が無ければ新聞に挟まってる折り込みチラシを切ってメモを自作していた。それに今はセーブが簡単だけど、昔は復活の呪文とかがあった。

アレは正直言ってトラウマだ。全部を打ち込んで『復活の呪文がちがいます』とか出た時には動きが止まる。そして『れ』と『ね』、『め』と『ぬ』を注意しながら再び打ち直したもんだ。……それで復活できなかった時は泣いたけど。

とまぁ唐突な自分語りはやめにしておいて、マッピングと敵の情報を持ち帰るのは必要だ。調べるのが無駄になる事はない。

「ご主人様ぁー。まだ寝ないのー??」

「んー??もうちっと書いてからだね…」

「早く寝ようよぉー!……あ、もちろんご主人様はあたしの横ね!」

「抜け駆けは許さない」

「なら私はもう片方ね」

「……二人の意見は分かった。ならボクはマスターの胸元で寝る事にする」

チカ達の楽しそうな雰囲気を遠目に見ながら紙切れに記入していくのであった。
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