放置ゲー廃課金者、転生する!

にがよもぎ

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079話 -六道ダンジョン 1-

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♢♦︎♢♦︎♢♦︎

「……………マジかよ」

視力が戻り、光も収まると同時に俺は周囲を確認する。石壁に苔が所々生えており、カビが生えているような臭いが充満していた。

「……やっぱり魔核が原因だったのか---って?!」

何やら胸元でモゾモゾ動く感覚がしたので目を動かしてみると、チカ達が俺の腕と胴体を各々握っていた。

「な、なんで?!」

俺の戸惑った声にチカ達はすぐさま反応し、俺の顔を見上げる。

「「「居なくなると思ったから!」」」

「………あぁ。そうか…」

どうやらチカ達は俺とソニアがダンジョンに潜ったのを信じていたようだ。あの時の時間軸は違ったが、俺がでダンジョンに行かせないと判断したようだった。

「…つーか、またコレを潜らなきゃいけないのか…」

チカ達から離れると、『歓迎します!』と言わんばかりにポッカリと開いている入り口を見る。

「まぁ……今回はチカ達が居るから余裕ではあるな」

前回はソニアと俺の二人だったが、戦力差が違いすぎる。しかもあの時はソニアを守りながらだったし、ハンデを抱えていたようなもんだった。

「……私達が潜ったことのあるダンジョンとは大違いですね…」

「うん…。でも魔物の臭いはするね」

「注意はしておくべき。マスターがあれほどダメージを受けていたという事は、ボク達もダメージを受けるという事」

「完全武装しておきましょう。ジョブも戻しておかなきゃね」

チカ達は話し合い、すぐさまセット装備へと交換する。道中はそこまで怖くはないが、またアスラと戦うとなれば面倒臭いのは確実だ。俺も最強装備へと交換し準備を整える。

「あのさぁ………思ったんだけど、脱出の魔法は使えないの?」

『さて行きますか!』という気持ちになった時、ローリィがナナへと尋ねる。その言葉を聞いて俺は『あっ!!』と驚いた。

「…………………………………………ダメ。今試してみたが、ウンともスンとも言わない」

「…って事は高難易度ダンジョン?前に潜った時も出来なかったよね?」

「あの時は魔法が封じられていたから。確か魔法制限のダンジョンだった」

「じゃあこのダンジョンもそうなのかもね!…潜る前に試した方が良いんじゃない?」

「…それもそうね。私達二人が魔法を使えなかったら手間になるし」

そういうとチカは壁に向かって手をかざし魔法を唱える。

「フレアバースト」

チカの手から火球が飛び出し石壁に着弾する。着弾すると同時に熱気が押し寄せ、カビの臭いと共に俺の鼻腔へと入ってくる。

「…魔法は唱えられるみたいね。ナナは?」

「チカのを見れただけで大丈夫。その魔法はボクも使えるから」

「そう。なら道中で確かめながら進みましょう。出来れば今治癒魔法を使いたいけど、皆HPは満タンだからね」

「じゃあ隊列はいつも通り??」

「それはアルス様がお決めになる事よ?」

「え?俺?……んー、いつも通りでいいと思う。あ、道中の敵はそこまで強くなかったぞ」

「じゃあ、あたしが一番前だね!早くクリアしちゃおう!!」

(……あれ?何か言い忘れてる気が…)

意気揚々と進むローリィを見ながら何か重要な事を忘れている気がする。何だったっかなー??

「…………ま、いっか。その内思い出すだろ」

「ご主人様ぁー!早く早くー!」

「あ、すまんすまん!」

何かが頭の片隅に引っかかっていたが、チカ達を先に行かせるのは流石に不味いので、慌てて入り口へと向かうのであった。
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