81 / 135
079話 -六道ダンジョン 1-
しおりを挟む
♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「……………マジかよ」
視力が戻り、光も収まると同時に俺は周囲を確認する。石壁に苔が所々生えており、カビが生えているような臭いが充満していた。
「……やっぱり魔核が原因だったのか---って?!」
何やら胸元でモゾモゾ動く感覚がしたので目を動かしてみると、チカ達が俺の腕と胴体を各々握っていた。
「な、なんで?!」
俺の戸惑った声にチカ達はすぐさま反応し、俺の顔を見上げる。
「「「居なくなると思ったから!」」」
「………あぁ。そうか…」
どうやらチカ達は俺とソニアがダンジョンに潜ったのを信じていたようだ。あの時の時間軸は違ったが、俺が一人でダンジョンに行かせないと判断したようだった。
「…つーか、またコレを潜らなきゃいけないのか…」
チカ達から離れると、『歓迎します!』と言わんばかりにポッカリと開いている入り口を見る。
「まぁ……今回はチカ達が居るから余裕ではあるな」
前回はソニアと俺の二人だったが、戦力差が違いすぎる。しかもあの時はソニアを守りながらだったし、ハンデを抱えていたようなもんだった。
「……私達が潜ったことのあるダンジョンとは大違いですね…」
「うん…。でも魔物の臭いはするね」
「注意はしておくべき。マスターがあれほどダメージを受けていたという事は、ボク達もダメージを受けるという事」
「完全武装しておきましょう。ジョブも戻しておかなきゃね」
チカ達は話し合い、すぐさまセット装備へと交換する。道中はそこまで怖くはないが、またアスラと戦うとなれば面倒臭いのは確実だ。俺も最強装備へと交換し準備を整える。
「あのさぁ………思ったんだけど、脱出の魔法は使えないの?」
『さて行きますか!』という気持ちになった時、ローリィがナナへと尋ねる。その言葉を聞いて俺は『あっ!!』と驚いた。
「…………………………………………ダメ。今試してみたが、ウンともスンとも言わない」
「…って事は高難易度ダンジョン?前に潜った時も出来なかったよね?」
「あの時は魔法が封じられていたから。確か魔法制限のダンジョンだった」
「じゃあこのダンジョンもそうなのかもね!…潜る前に試した方が良いんじゃない?」
「…それもそうね。私達二人が魔法を使えなかったら手間になるし」
そういうとチカは壁に向かって手をかざし魔法を唱える。
「フレアバースト」
チカの手から火球が飛び出し石壁に着弾する。着弾すると同時に熱気が押し寄せ、カビの臭いと共に俺の鼻腔へと入ってくる。
「…魔法は唱えられるみたいね。ナナは?」
「チカのを見れただけで大丈夫。その魔法はボクも使えるから」
「そう。なら道中で確かめながら進みましょう。出来れば今治癒魔法を使いたいけど、皆HPは満タンだからね」
「じゃあ隊列はいつも通り??」
「それはアルス様がお決めになる事よ?」
「え?俺?……んー、いつも通りでいいと思う。あ、道中の敵はそこまで強くなかったぞ」
「じゃあ、あたしが一番前だね!早くクリアしちゃおう!!」
(……あれ?何か言い忘れてる気が…)
意気揚々と進むローリィを見ながら何か重要な事を忘れている気がする。何だったっかなー??
「…………ま、いっか。その内思い出すだろ」
「ご主人様ぁー!早く早くー!」
「あ、すまんすまん!」
何かが頭の片隅に引っかかっていたが、チカ達を先に行かせるのは流石に不味いので、慌てて入り口へと向かうのであった。
「……………マジかよ」
視力が戻り、光も収まると同時に俺は周囲を確認する。石壁に苔が所々生えており、カビが生えているような臭いが充満していた。
「……やっぱり魔核が原因だったのか---って?!」
何やら胸元でモゾモゾ動く感覚がしたので目を動かしてみると、チカ達が俺の腕と胴体を各々握っていた。
「な、なんで?!」
俺の戸惑った声にチカ達はすぐさま反応し、俺の顔を見上げる。
「「「居なくなると思ったから!」」」
「………あぁ。そうか…」
どうやらチカ達は俺とソニアがダンジョンに潜ったのを信じていたようだ。あの時の時間軸は違ったが、俺が一人でダンジョンに行かせないと判断したようだった。
「…つーか、またコレを潜らなきゃいけないのか…」
チカ達から離れると、『歓迎します!』と言わんばかりにポッカリと開いている入り口を見る。
「まぁ……今回はチカ達が居るから余裕ではあるな」
前回はソニアと俺の二人だったが、戦力差が違いすぎる。しかもあの時はソニアを守りながらだったし、ハンデを抱えていたようなもんだった。
「……私達が潜ったことのあるダンジョンとは大違いですね…」
「うん…。でも魔物の臭いはするね」
「注意はしておくべき。マスターがあれほどダメージを受けていたという事は、ボク達もダメージを受けるという事」
「完全武装しておきましょう。ジョブも戻しておかなきゃね」
チカ達は話し合い、すぐさまセット装備へと交換する。道中はそこまで怖くはないが、またアスラと戦うとなれば面倒臭いのは確実だ。俺も最強装備へと交換し準備を整える。
「あのさぁ………思ったんだけど、脱出の魔法は使えないの?」
『さて行きますか!』という気持ちになった時、ローリィがナナへと尋ねる。その言葉を聞いて俺は『あっ!!』と驚いた。
「…………………………………………ダメ。今試してみたが、ウンともスンとも言わない」
「…って事は高難易度ダンジョン?前に潜った時も出来なかったよね?」
「あの時は魔法が封じられていたから。確か魔法制限のダンジョンだった」
「じゃあこのダンジョンもそうなのかもね!…潜る前に試した方が良いんじゃない?」
「…それもそうね。私達二人が魔法を使えなかったら手間になるし」
そういうとチカは壁に向かって手をかざし魔法を唱える。
「フレアバースト」
チカの手から火球が飛び出し石壁に着弾する。着弾すると同時に熱気が押し寄せ、カビの臭いと共に俺の鼻腔へと入ってくる。
「…魔法は唱えられるみたいね。ナナは?」
「チカのを見れただけで大丈夫。その魔法はボクも使えるから」
「そう。なら道中で確かめながら進みましょう。出来れば今治癒魔法を使いたいけど、皆HPは満タンだからね」
「じゃあ隊列はいつも通り??」
「それはアルス様がお決めになる事よ?」
「え?俺?……んー、いつも通りでいいと思う。あ、道中の敵はそこまで強くなかったぞ」
「じゃあ、あたしが一番前だね!早くクリアしちゃおう!!」
(……あれ?何か言い忘れてる気が…)
意気揚々と進むローリィを見ながら何か重要な事を忘れている気がする。何だったっかなー??
「…………ま、いっか。その内思い出すだろ」
「ご主人様ぁー!早く早くー!」
「あ、すまんすまん!」
何かが頭の片隅に引っかかっていたが、チカ達を先に行かせるのは流石に不味いので、慌てて入り口へと向かうのであった。
0
お気に入りに追加
1,356
あなたにおすすめの小説

異世界に転生したもののトカゲでしたが、進化の実を食べて魔王になりました。
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
異世界に転生したのだけれど手違いでトカゲになっていた!しかし、女神に与えられた進化の実を食べて竜人になりました。
エブリスタと小説家になろうにも掲載しています。


【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる