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026話
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♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「ねぇねぇ、チカちゃん。その森ってあっちの方向だよね?」
「多分…。近くの人に聞いて見ましょう」
裏門に居る兵士にチカが『魔の森』の方向を確認する。
「ああ、そっちで間違いないよ。…チカさん達今から行くのかい?」
「はい。アルス様の病気に効くという薬草を取りに」
「チカさん達の実力は充分に知っているけど、あそこは危険だぜ?」
「大丈夫ですよ。先程、クリスさんから出現する魔物も聞きましたし」
「…ああ、診療所のクリス先生か。あの人も元冒険者だったな…。なら、大丈夫か」
「ええ。一応、警戒はして行きますけど、早めに帰って来るつもりです」
「…逞しいなぁ。俺もそんな風に言ってみたいぜ…。あ、そうそう。チカさん達は『帰還の呼子』は持ってるのかい?」
「『帰還の呼子』ですか?何でしょうそれ?」
「持ってないか。それなら渡しておくよ。これはな、吹けば森とかの入り口に戻ることが出来るアイテムなんだ。冒険者なんかがよくダンジョンに潜る時に使うんだ」
兵士は『帰還の呼子』と呼ばれる角笛をチカに渡す。
「これ…貰ってもいいんですか?」
「ああ、チカさん達にはお世話になってるからね。それに、その角笛は貰い物だから気にしなくていいよ」
「ありがとうございます!助かりますわ!」
「それじゃ、気をつけて行ってらっしゃい!危険だと思ったらすぐ戻るんだよ!」
「はい!それじゃ、行って来ますね!」
チカ達は魔法を唱え、恐るべき速度で森へと向かって行く。その光景を見ながら、別の兵士が角笛を渡した兵士に話しかける。
「おい…点数稼ぎズルいぞ」
「俺はチカさん達を心配したまでさ。点数とかそんな事は考えてないぜ?」
「よく言うよ…。あれ結構な値段するじゃねーか」
「……うん。ま、まぁ役に立てたみたいだし、少しは仲良くなったかな?」
「どうかなぁ?…多分、チカさんお前の名前覚えてねーぞ?」
「……まずは名前を覚えてもらう事にするよ」
そんな会話があったとはチカ達は知る由も無いのであった。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「とーちゃーく!!あっという間だったね!」
サガンからはかなり遠い距離にあるのだが、魔法のお陰でチカ達は魔の森へとあっという間に到着した。
「確か…この道を通ったはずよね?」
「この道を真っ直ぐ。でも、あの時はスケルトンなんかは出てこなかった」
前を見ると、4人組が広がって歩けるぐらいの幅の道がある。
「そうね…。けど、一応警戒はしておきましょうね」
チカは魔法を唱え、一度来た道を歩く。しばらく歩いて行くと、少し開けた場所に辿り着いた。
「さて、前はここで休憩を取ったのよね?」
「うん!ご主人様の寝顔可愛かったよねー!」
辺りを見渡すと、前回来た時とそう変わりない。だが、奥に目を向けると薄暗い闇が広がっていた。
「…それじゃ、先に進みましょうか。みんな、準備はいい?」
「バッチリ」
「オッケーだよ!」
今回はアルス、前衛が1枚足りないのでローリィを先頭に三角形の布陣を敷く。チカは回復役として、ナナは補助では無く純粋な魔法使いとして後方にいる。
先程まで広がった道が段々と細くなっていく。道が獣道の幅になった頃、周囲に反応があった。
「…チカちゃん、殺して来ていい?」
「個々で相手するのは面倒だわ。もう少し集まってから殺しましょ」
チカ達を見つめる視線が多くなる頃、先程まで狭かった道が急に広くなった。それが合図だったのかは分からないが、魔物達が強襲してきた。
「…『ホーリー・レイ』」
聖なる光の矢が魔物達へと突き刺さっていく。
「ああー……。ナナちゃん、すぐ倒さないでよ!」
「こっちの方が楽」
「あたしも殺したかったのにー!」
ナナの魔法が辺りを一掃した事で、反応が無くなった。順調に進んで行くと、神秘的に光る開けた場所へと着いた。
「わー!綺麗だねぇ!ここにマンドラゴラが生えているのかな?」
「ちょっと待ってね。『森祭司』に変えるわ」
チカがジョブチェンジをし、辺りを見回す。元々の種族、エルフの能力も有り探すのは簡単であった。
「…うーん。どうやらここでは無さそうね。でも、もう少し奥に行ったところに反応があるわ」
「…スケルトンっぽい反応もある」
「ナナちゃんは次手を出したらダメだからね!今度はあたしの番!」
ジョブを元に戻し、さらに奥へと足を進める。神秘的な光が、鈍く薄暗い色へと変化していく。
「…アレのようね。その前にお客さんが居るけど」
開けた場所に、人参のような葉が所々出ている。そして、その場所を囲むように魔物の反応がある。
「どうする?同時に対処するか?」
「うーん…。効率的にはそっちの方がいいと思うけど…」
「マンドラゴラ周辺に罠があったりしたら、面倒だもんね。先に殺しちゃおうよ」
「それもそうね。……なら、ローリィ。間違ってもこちら側に影響のあるスキルを使わない事!約束してね?」
「大丈夫!今回は打撃のみでいくから!……それじゃ、行ってくるね!!」
そこら辺を散歩にでも行くような気軽さで、ローリィは敵へと進んでいく。散歩とは言っても、速度は段違いではあるが。
「それじゃ、ローリィが終わるまで待ちましょうか」
「すぐ終わると思うけど」
ローリィの実力は充分に知っているチカ達は心配などしていない。むしろ、早く終わらせたいという気持ちの方が大きい。
周辺から骨が砕ける音が聞こえる。右から聞こえたと思うと、今度は左から聞こえてくる。小気味良いリズムを刻みながら、段々と奥の方へと音が進んでいく。
ピタリと音が止み、ガサガサと草木を掻き分ける音が聞こえたと思うと、満足げな表情をしたローリィがチカ達の元へと戻ってきた。
「ふぅー…。スッキリしたぁー!」
「お帰り」
「ちゃんと全部片付けた?」
「うん!近くにいるスケルトンはぜぇーんぶぶっ殺してきたよ!でも、ドロップはしなかったー」
「なら、マンドラゴラを採取しましょうか。ナナ、罠があるか調べてくれる?」
「任せて。…………」
じっくりとマンドラゴラが生えている周辺を魔力的に探す。罠などは一切見当たらなく、ただ生えているだけであった。
「大丈夫。罠などは無い」
「それじゃ、引っこ抜いてさっさと帰りましょう」
チカ達は人参のような葉の部分を掴むと無造作に引き抜く。引き抜いた瞬間に、おぞましい悲鳴が聞こえる。
「うるさいなー。これ叫ぶんだね!」
『マンドラゴラ』---。それはどんな病にも効くという特殊な薬効成分が含まれている植物。石化などにも効く為、乾燥させ粉末にした物を冒険者などは持ち歩く。
しかし、採取する際に気を付けなければいけない事がある。マンドラゴラから発せられる叫び--超音波は『衰弱』・『混乱』・『即死』などの効果を持つ。耐性を盤石にし、さらにはジョブLvも高くないと採取する事が出来ない。
また、採取には手順があり抜くと同時にヘタの部分を切断しなければならない。これをしなければ、超音波を素直に浴びてしまうという事だ。
「叫ぶ性質があるのかしら?…ま、気にしないで抜きましょう」
超音波を気にせずにチカ達は次々と引き抜いていく。
--そう。普通ならばその手法でしか採取出来ないのだ。しかし、チカ達は装備品のお陰で完全耐性を持っている。しかも、種族値としてもあり得ないほど高い為、マンドラゴラの超音波は全く効かない。
悲劇的な絶叫響く中、チカ達はその場所に生えていた全てのマンドラゴラを採取し終えた。丁寧に抜き終わった所の土を埋めた後、帰り支度をする。
「さてと…。採取が終わったのはこの袋に詰めていってね」
アルスから勝手に取ってきた収納袋にマンドラゴラを入れていく。その数は20ぐらいだろうか。全てが終わったのを確認した後、チカ達は帰ろうとする。
「…あら?またお客さんかしら?」
「おろろ?さっきより濃い臭いがするね!」
チカ達を取り囲むように錆びた剣を持ったスケルトンが出現していた。
「これがクリスさんが言っていた『スケルトンソルジャー』かしら?」
「ただ、剣持っているだけ。あまり強くなさそう」
「邪魔だなー。さっさと殺して帰ろうよ!」
チカ達にとっては全く脅威ではない。ただ、普通の冒険者にとっては囲まれた時点でアウトだ。元々スケルトンには『呪い』属性が付与されており、攻撃が掠るだけで浄化しない限り、命を蝕まれていく。その上、スケルトンソルジャーは剣を持っており、リーチが長くなっているので、厄介な事極まりない。
「そうね。アルス様が苦しんでるんですから早く帰りましょう」
ローリィに命令し、殲滅してもらう。スケルトンソルジャーは剣を振るう事なく、砕かれていく。
「ナナ、復活したりしたら面倒だから浄化しておいて」
「了解。--『聖なる光』」
神聖なる光がナナを中心に広がっていく。不浄なるモノに対して効果が大きい魔法である。
「わっ!粉々になってたのが、サラサラになっちゃった!」
辛うじて骨の原型をとどめていたが、ナナの魔法により塵となる。
「終わり。さっさと帰ろう」
「あ、そうだ。せっかくだから貰ったアイテム使いましょ」
兵士から貰った『帰還の呼子』を取り出すが、使い方が分からない。
「…これどうするのかしら?」
「んー……これって笛なのかな??」
「…笛っぽい。もしかしたら、楽器なのかも知れない」
「なら、『吟遊詩人』に変えて吹いてみるわ。…みんな近くに寄って」
チカの周りに集まったのを確認した後、思いっきり吹く。ブーッという音が鳴るとチカ達は緑色の光に包まれる。そのまま、チカ達は森の入口へと戻ったのであった。
「ねぇねぇ、チカちゃん。その森ってあっちの方向だよね?」
「多分…。近くの人に聞いて見ましょう」
裏門に居る兵士にチカが『魔の森』の方向を確認する。
「ああ、そっちで間違いないよ。…チカさん達今から行くのかい?」
「はい。アルス様の病気に効くという薬草を取りに」
「チカさん達の実力は充分に知っているけど、あそこは危険だぜ?」
「大丈夫ですよ。先程、クリスさんから出現する魔物も聞きましたし」
「…ああ、診療所のクリス先生か。あの人も元冒険者だったな…。なら、大丈夫か」
「ええ。一応、警戒はして行きますけど、早めに帰って来るつもりです」
「…逞しいなぁ。俺もそんな風に言ってみたいぜ…。あ、そうそう。チカさん達は『帰還の呼子』は持ってるのかい?」
「『帰還の呼子』ですか?何でしょうそれ?」
「持ってないか。それなら渡しておくよ。これはな、吹けば森とかの入り口に戻ることが出来るアイテムなんだ。冒険者なんかがよくダンジョンに潜る時に使うんだ」
兵士は『帰還の呼子』と呼ばれる角笛をチカに渡す。
「これ…貰ってもいいんですか?」
「ああ、チカさん達にはお世話になってるからね。それに、その角笛は貰い物だから気にしなくていいよ」
「ありがとうございます!助かりますわ!」
「それじゃ、気をつけて行ってらっしゃい!危険だと思ったらすぐ戻るんだよ!」
「はい!それじゃ、行って来ますね!」
チカ達は魔法を唱え、恐るべき速度で森へと向かって行く。その光景を見ながら、別の兵士が角笛を渡した兵士に話しかける。
「おい…点数稼ぎズルいぞ」
「俺はチカさん達を心配したまでさ。点数とかそんな事は考えてないぜ?」
「よく言うよ…。あれ結構な値段するじゃねーか」
「……うん。ま、まぁ役に立てたみたいだし、少しは仲良くなったかな?」
「どうかなぁ?…多分、チカさんお前の名前覚えてねーぞ?」
「……まずは名前を覚えてもらう事にするよ」
そんな会話があったとはチカ達は知る由も無いのであった。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「とーちゃーく!!あっという間だったね!」
サガンからはかなり遠い距離にあるのだが、魔法のお陰でチカ達は魔の森へとあっという間に到着した。
「確か…この道を通ったはずよね?」
「この道を真っ直ぐ。でも、あの時はスケルトンなんかは出てこなかった」
前を見ると、4人組が広がって歩けるぐらいの幅の道がある。
「そうね…。けど、一応警戒はしておきましょうね」
チカは魔法を唱え、一度来た道を歩く。しばらく歩いて行くと、少し開けた場所に辿り着いた。
「さて、前はここで休憩を取ったのよね?」
「うん!ご主人様の寝顔可愛かったよねー!」
辺りを見渡すと、前回来た時とそう変わりない。だが、奥に目を向けると薄暗い闇が広がっていた。
「…それじゃ、先に進みましょうか。みんな、準備はいい?」
「バッチリ」
「オッケーだよ!」
今回はアルス、前衛が1枚足りないのでローリィを先頭に三角形の布陣を敷く。チカは回復役として、ナナは補助では無く純粋な魔法使いとして後方にいる。
先程まで広がった道が段々と細くなっていく。道が獣道の幅になった頃、周囲に反応があった。
「…チカちゃん、殺して来ていい?」
「個々で相手するのは面倒だわ。もう少し集まってから殺しましょ」
チカ達を見つめる視線が多くなる頃、先程まで狭かった道が急に広くなった。それが合図だったのかは分からないが、魔物達が強襲してきた。
「…『ホーリー・レイ』」
聖なる光の矢が魔物達へと突き刺さっていく。
「ああー……。ナナちゃん、すぐ倒さないでよ!」
「こっちの方が楽」
「あたしも殺したかったのにー!」
ナナの魔法が辺りを一掃した事で、反応が無くなった。順調に進んで行くと、神秘的に光る開けた場所へと着いた。
「わー!綺麗だねぇ!ここにマンドラゴラが生えているのかな?」
「ちょっと待ってね。『森祭司』に変えるわ」
チカがジョブチェンジをし、辺りを見回す。元々の種族、エルフの能力も有り探すのは簡単であった。
「…うーん。どうやらここでは無さそうね。でも、もう少し奥に行ったところに反応があるわ」
「…スケルトンっぽい反応もある」
「ナナちゃんは次手を出したらダメだからね!今度はあたしの番!」
ジョブを元に戻し、さらに奥へと足を進める。神秘的な光が、鈍く薄暗い色へと変化していく。
「…アレのようね。その前にお客さんが居るけど」
開けた場所に、人参のような葉が所々出ている。そして、その場所を囲むように魔物の反応がある。
「どうする?同時に対処するか?」
「うーん…。効率的にはそっちの方がいいと思うけど…」
「マンドラゴラ周辺に罠があったりしたら、面倒だもんね。先に殺しちゃおうよ」
「それもそうね。……なら、ローリィ。間違ってもこちら側に影響のあるスキルを使わない事!約束してね?」
「大丈夫!今回は打撃のみでいくから!……それじゃ、行ってくるね!!」
そこら辺を散歩にでも行くような気軽さで、ローリィは敵へと進んでいく。散歩とは言っても、速度は段違いではあるが。
「それじゃ、ローリィが終わるまで待ちましょうか」
「すぐ終わると思うけど」
ローリィの実力は充分に知っているチカ達は心配などしていない。むしろ、早く終わらせたいという気持ちの方が大きい。
周辺から骨が砕ける音が聞こえる。右から聞こえたと思うと、今度は左から聞こえてくる。小気味良いリズムを刻みながら、段々と奥の方へと音が進んでいく。
ピタリと音が止み、ガサガサと草木を掻き分ける音が聞こえたと思うと、満足げな表情をしたローリィがチカ達の元へと戻ってきた。
「ふぅー…。スッキリしたぁー!」
「お帰り」
「ちゃんと全部片付けた?」
「うん!近くにいるスケルトンはぜぇーんぶぶっ殺してきたよ!でも、ドロップはしなかったー」
「なら、マンドラゴラを採取しましょうか。ナナ、罠があるか調べてくれる?」
「任せて。…………」
じっくりとマンドラゴラが生えている周辺を魔力的に探す。罠などは一切見当たらなく、ただ生えているだけであった。
「大丈夫。罠などは無い」
「それじゃ、引っこ抜いてさっさと帰りましょう」
チカ達は人参のような葉の部分を掴むと無造作に引き抜く。引き抜いた瞬間に、おぞましい悲鳴が聞こえる。
「うるさいなー。これ叫ぶんだね!」
『マンドラゴラ』---。それはどんな病にも効くという特殊な薬効成分が含まれている植物。石化などにも効く為、乾燥させ粉末にした物を冒険者などは持ち歩く。
しかし、採取する際に気を付けなければいけない事がある。マンドラゴラから発せられる叫び--超音波は『衰弱』・『混乱』・『即死』などの効果を持つ。耐性を盤石にし、さらにはジョブLvも高くないと採取する事が出来ない。
また、採取には手順があり抜くと同時にヘタの部分を切断しなければならない。これをしなければ、超音波を素直に浴びてしまうという事だ。
「叫ぶ性質があるのかしら?…ま、気にしないで抜きましょう」
超音波を気にせずにチカ達は次々と引き抜いていく。
--そう。普通ならばその手法でしか採取出来ないのだ。しかし、チカ達は装備品のお陰で完全耐性を持っている。しかも、種族値としてもあり得ないほど高い為、マンドラゴラの超音波は全く効かない。
悲劇的な絶叫響く中、チカ達はその場所に生えていた全てのマンドラゴラを採取し終えた。丁寧に抜き終わった所の土を埋めた後、帰り支度をする。
「さてと…。採取が終わったのはこの袋に詰めていってね」
アルスから勝手に取ってきた収納袋にマンドラゴラを入れていく。その数は20ぐらいだろうか。全てが終わったのを確認した後、チカ達は帰ろうとする。
「…あら?またお客さんかしら?」
「おろろ?さっきより濃い臭いがするね!」
チカ達を取り囲むように錆びた剣を持ったスケルトンが出現していた。
「これがクリスさんが言っていた『スケルトンソルジャー』かしら?」
「ただ、剣持っているだけ。あまり強くなさそう」
「邪魔だなー。さっさと殺して帰ろうよ!」
チカ達にとっては全く脅威ではない。ただ、普通の冒険者にとっては囲まれた時点でアウトだ。元々スケルトンには『呪い』属性が付与されており、攻撃が掠るだけで浄化しない限り、命を蝕まれていく。その上、スケルトンソルジャーは剣を持っており、リーチが長くなっているので、厄介な事極まりない。
「そうね。アルス様が苦しんでるんですから早く帰りましょう」
ローリィに命令し、殲滅してもらう。スケルトンソルジャーは剣を振るう事なく、砕かれていく。
「ナナ、復活したりしたら面倒だから浄化しておいて」
「了解。--『聖なる光』」
神聖なる光がナナを中心に広がっていく。不浄なるモノに対して効果が大きい魔法である。
「わっ!粉々になってたのが、サラサラになっちゃった!」
辛うじて骨の原型をとどめていたが、ナナの魔法により塵となる。
「終わり。さっさと帰ろう」
「あ、そうだ。せっかくだから貰ったアイテム使いましょ」
兵士から貰った『帰還の呼子』を取り出すが、使い方が分からない。
「…これどうするのかしら?」
「んー……これって笛なのかな??」
「…笛っぽい。もしかしたら、楽器なのかも知れない」
「なら、『吟遊詩人』に変えて吹いてみるわ。…みんな近くに寄って」
チカの周りに集まったのを確認した後、思いっきり吹く。ブーッという音が鳴るとチカ達は緑色の光に包まれる。そのまま、チカ達は森の入口へと戻ったのであった。
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