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020話
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♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「……ふぅ、わかっていれば耐えれるもんだな」
依頼の財布を見つけた俺達は休憩を取った後、転移を使って帰ってきた。最初は乗り物酔いみたいな感じになったが、少し覚悟して転移すればそこまで酷い状態にはならなかった。
「…転移に慣れとく必要があるなぁ」
後日の課題として、頭に叩き込んでおく。歩くの嫌いじゃないけど、楽したいもんね。
「うぃーす、帰ってきたよー」
門番の仕事をしているフィン達に声をかける。
「…お、おう。お帰り?」
「も、もう帰ってきたんですか…?」
「ああ、無事に財布も見つかったし、少し休憩して帰ってきたよ」
「はっ!?まだ5時間しか経ってないんだぞ!?」
そんな言われてもね…。お前らと違ってサクサク歩けるからね。
「魔法使ったし、こんなもんだろ?」
「いや往復5時間て……」
「帰りは転移使ったから早いんだぞ?」
「転移か…。やっぱりアルスさんは使えたんだな…」
「やっぱりって?」
「転移は上級魔法に属する魔法ですよ。有名ですけど、サガンに使う人は居ませんからね」
ドーンの言葉に首を傾げていると、フィンが説明してくれた。詳しく聞くと、転移の魔法は貴族や高ランクの冒険者が扱えるらしい。転移の魔法を込めた魔道具も販売しているらしいが、かなり値段がする為、一市民では持てないとの事だった。
「へぇー…。でもさ、この街にその魔道具無かったら魔物の襲来とかあった時、増援頼めなくない?」
「増援依頼は王都に通信水晶で連絡してから、こっちに来ますよ。一方通行ではありますけどね」
「王都が襲われた時とかヤベーじゃん!大丈夫なのかぁ?」
「王都ですからね。高ランクの冒険者も沢山居ますし、兵士団も強いですからね。大抵の事なら大丈夫だと思いますよ」
王都の守りってそんなもんでいいのかねー?もっと厳重なイメージがあったんだけど…。ゲームとは違うってことかな?
「ふぅーん?そんなもんなんだな。…んじゃ、俺達はギルドに戻るからなー」
「ああ、そうだ。アルスさん、明後日の晩は暇かい?」
街の中に入ろうとした時、ドーンから声をかけられる。
「うーん…今のところは予定は無いな」
「んならよ、オレの家で飯食わねーか?嫁にアルスさん達の話をしたら連れてこいって言うからよー」
「それは嬉しいな!んじゃ、お呼ばれするわ!」
「んじゃ、明後日の夕方、……そうだな5時ごろにギルドの前で待っててくれ!」
「5時にギルド前な。りょーかい!」
ドーンと約束をした後、俺達は街の中へ入りギルドへと向かった。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
依頼品を提出した後、本人確認が済み次第、依頼完了となると伝えられた。明日には終わっているとの事だったので、俺達はギルドを出て露店通りへと向かった。
(そういや、打ち上げの飲み会してなかったな…。ささやかなヤツはしたけど、チカ達を労う意味も込めて盛大にしたいなぁ…)
時刻はまだ15時。個人的には飲み始めてもいいとは思うが、世間の目を気にしてしまう。ギルドで飲めば良いとは思うが、そんな気分では無い。『美食家』があるので、美味しいお酒と料理を楽しみたいのだ。
「ご主人様ぁー。お腹空いちゃった…」
露店の匂いに胃がくすぐられたのか、ローリィが食べ物をねだってくる。チカとナナも同じ状態なのか、キョロキョロと露店の品物へと目移りしている。
「それじゃ、軽く何か食べるか」
とりあえず、いつもの焼き鳥の店に向かい注文する。
「お?旦那、珍しいな。今日は依頼終わりかい?」
「ああ、さっき終わらしてきたばかりだよ。とりあえず8本くれ」
「あいよ!」
目の前でいい匂いをさせながら、肉が焼けていく。手際良く、満遍なく焼く様はまさに熟練の動きであった。
「……そんな見るもんじゃねーだろ?恥ずかしいんだが…」
俺だけが見ているのかと思ったら、チカ達も凝視していた。
「ここのはとても美味しい。ので、焼き加減を学んでる」
「アルス様に作って差し上げたいので、勉強中です!」
「うわー。すっごく美味しそうだなぁー」
「ふっ。焼き一筋20年!そうそう簡単に技を盗まれるかよっ!」
おっちゃん……。案外褒められ慣れてないのね。
少しハニカミながら、おっちゃんは焼いていく。美女が3人も見ているからか、仕草が一々煩い。
「おまちどうさん!出来立ての焼き鳥だよっ!」
頼んだ本数より3本多いが、きっとチカ達へのサービスなんだろう。焼いてる最中も色々と質問してたし、悪い気はしてないんだな。
ご丁寧に皿に乗ってきたので、近くの椅子に座って食べる。俺はおっちゃんにトックリで酒を貰い、つまみながら食べる。
「んーーーーーーっ!!旨いっ!!最高だわ!」
『美食家』のおかげで酒の味も分かるし、最高の気分だ。……防具の耐性で酔わないんだけどね。
「あ、そうだ。この街で夜に酒飲めるところ知らない?」
夕方に向け、仕込みをしているおっちゃんに話しかける。
「あー?酒場ってことかい?」
「んにゃ、酒だけ飲むところじゃなくて、旨い飯と酒が飲めるところ!」
「そうだなぁ……。露店通りでも飯と酒は食えるからな。…ほれ、真ん中の広場に丁度椅子出してるだろ?」
おっちゃんの指す方向を見てみると、確かに椅子と机を準備していた。
「へぇー、あそこで飲み食い出来んだな。注文とかはどうするんだ?頼みに行く感じ?」
「先に言ってくれれば、作り立てを持っていくぜ!酒は近くに酒屋があるから、そこの店員に頼めばいい」
…なるほど。夜には露店通りが1つの店になるって事か。
「いい事聞いたわ!んじゃ、今日はそれにしようっと!」
夜の場所が決まった事で、俺の悩みは解消した。やっぱこういうのは地元の人に聞いた方が良いもんな。
「お?それじゃ、ウチに注文しておくかい?」
「そうね!…おーい!!お前らー!ちょっとこっちきてー!」
チカ達を呼び寄せ、夜に飲み会する事を伝える。場所はおっちゃんに聞いた通りの説明をして、チカ達も納得してくれたので良かった。……変にオシャレなとことか言われなくて良かったわ。マジで。
「あ、そういやあそこって何時から使えるんだ?」
「大体18時頃だな。早めに言って場所予約していた方がいいぞ?」
「そうか。んなら、俺行ってくるわ!チカ達は何本食べたいか注文しておいて!」
そう言って俺は広場へと急いで向かう。準備をしている人に予約したいと伝えると、快く了承して貰った。今日は予約が無かったので、場所を広めに取って貰った。……あいつら沢山食べるし、テーブルは広めに取ってた方がいいな。
予約を終えた俺は、おっちゃんの所へと戻る。
「ただいま!予約してきたよ!」
「お帰りなさい。アルス様に行かせてしまって申し訳ありません…」
「いいって!そんな事は気にするなよ。たまには俺もちゃんと出来るって所を見せたいしね!」
「なんでぃ。やっぱりダメ亭主じゃねーか」
「ちげーよ!!チカ達の為なら俺は頑張れるの!」
「…愛されてんなぁ。よかったな、みんな」
チカ達は照れた表情を浮かべながら、揃って指をちょんちょんしている。
「それはとりあえず置いといて。…注文は終わった?」
「何を置くんだ?……あ、そうそう。旦那に確認したかったんだけどよ、チカちゃん達は焼き鳥50本って言ってるんだけど良いのか?」
ご、50!?マジかお前ら!?
「た、食べれんのか…?」
「余裕」
「他にも食べられますよっ!」
「やっぱり100本にしない??」
こいつら……目がマジだ。
「おっちゃん…とりあえず60本にしといてくれ。足りなかったらまた注文するよ…」
「お、おう…。60本な」
動揺しながらもおっちゃんは紙に記入していた。部位はお任せで頼んでおく。
「過剰在庫とか賞味期限が近いのがあったらそれ優先にして良いからね」
「ははは…。旦那は優しいなぁ…。それじゃ、ご厚意に甘えるとするぜ」
朗らかな笑みを浮かべ、おっちゃんは仕込みを開始する。
「それじゃ、他の店にも注文しにいこうか」
「「「はいっ!!!」」」
元気の良い声を聞きながら、チカ達の食べたい物を次々に注文していくのだった。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「それじゃ、依頼達成を祝して……かんぱーいっ!!」
「「「かんぱーいっ!!!」」」
夕方18時過ぎ、俺達は広場で宴会を開いていた。注文をしている最中にフィンとドーンに会ったので、誘ってみた。ついでに、嫁も連れて来いと言ったら満面の笑みで了承していた。仕事が終わってから来るとの事だったので、それまでは俺達で楽しんでおく。
そうそう、チカ達に『酔っ払うなよ』と釘を刺したら、『耐性あるので大丈夫です!」と元気の良い返事が返ってきた。しれっと魔法もかけてたみたいだし、本気具合が伝わる。
「んまぁーーーーーい!!!チカちゃんっ!この『焼きそば』とっても美味しいよっ!!」
「……………………。ローリィ、ボクの分頂戴」
「ああ……。このお酒も美味しいわっ」
大人数用の大きなテーブルにてんこ盛りの料理が並ぶ。料理を持ってくる人達も唖然とした表情で俺達を見ていた。
「しっかし、旨いなぁ!!『美食家』最高だわ!」
数々の料理と酒。味が分かるってだけで、気分も高揚する。
「アルス様っ!この『煮込み』も美味しいですよっ!」
「マスター。『焼きもろこし』は神がかってる」
「ねーねー!『餃子』もすっごく美味しいんだよ!」
…そうなんだよ。この世界での料理は普通に前居た世界と似てるんだ。…まぁ、魔物の肉を使ってるのが違う所だけど。
「さんきゅー。……おっ?どれも美味しいなっ!」
チカ達の勧める料理をつまみながら酒を飲む。美女に囲まれ、旨い飯に旨い酒。くはぁー、最高だわ!
チカ達はお喋りしながら、次々と平らげていく。酒も沢山飲んでるし、どこに食べ物がいっているのかが謎だ。
テーブルの上の料理が半分になる頃、何故かコンラッドが姿を現した。
「よっ!参加しに来たぞ!」
「……ふぅ、わかっていれば耐えれるもんだな」
依頼の財布を見つけた俺達は休憩を取った後、転移を使って帰ってきた。最初は乗り物酔いみたいな感じになったが、少し覚悟して転移すればそこまで酷い状態にはならなかった。
「…転移に慣れとく必要があるなぁ」
後日の課題として、頭に叩き込んでおく。歩くの嫌いじゃないけど、楽したいもんね。
「うぃーす、帰ってきたよー」
門番の仕事をしているフィン達に声をかける。
「…お、おう。お帰り?」
「も、もう帰ってきたんですか…?」
「ああ、無事に財布も見つかったし、少し休憩して帰ってきたよ」
「はっ!?まだ5時間しか経ってないんだぞ!?」
そんな言われてもね…。お前らと違ってサクサク歩けるからね。
「魔法使ったし、こんなもんだろ?」
「いや往復5時間て……」
「帰りは転移使ったから早いんだぞ?」
「転移か…。やっぱりアルスさんは使えたんだな…」
「やっぱりって?」
「転移は上級魔法に属する魔法ですよ。有名ですけど、サガンに使う人は居ませんからね」
ドーンの言葉に首を傾げていると、フィンが説明してくれた。詳しく聞くと、転移の魔法は貴族や高ランクの冒険者が扱えるらしい。転移の魔法を込めた魔道具も販売しているらしいが、かなり値段がする為、一市民では持てないとの事だった。
「へぇー…。でもさ、この街にその魔道具無かったら魔物の襲来とかあった時、増援頼めなくない?」
「増援依頼は王都に通信水晶で連絡してから、こっちに来ますよ。一方通行ではありますけどね」
「王都が襲われた時とかヤベーじゃん!大丈夫なのかぁ?」
「王都ですからね。高ランクの冒険者も沢山居ますし、兵士団も強いですからね。大抵の事なら大丈夫だと思いますよ」
王都の守りってそんなもんでいいのかねー?もっと厳重なイメージがあったんだけど…。ゲームとは違うってことかな?
「ふぅーん?そんなもんなんだな。…んじゃ、俺達はギルドに戻るからなー」
「ああ、そうだ。アルスさん、明後日の晩は暇かい?」
街の中に入ろうとした時、ドーンから声をかけられる。
「うーん…今のところは予定は無いな」
「んならよ、オレの家で飯食わねーか?嫁にアルスさん達の話をしたら連れてこいって言うからよー」
「それは嬉しいな!んじゃ、お呼ばれするわ!」
「んじゃ、明後日の夕方、……そうだな5時ごろにギルドの前で待っててくれ!」
「5時にギルド前な。りょーかい!」
ドーンと約束をした後、俺達は街の中へ入りギルドへと向かった。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
依頼品を提出した後、本人確認が済み次第、依頼完了となると伝えられた。明日には終わっているとの事だったので、俺達はギルドを出て露店通りへと向かった。
(そういや、打ち上げの飲み会してなかったな…。ささやかなヤツはしたけど、チカ達を労う意味も込めて盛大にしたいなぁ…)
時刻はまだ15時。個人的には飲み始めてもいいとは思うが、世間の目を気にしてしまう。ギルドで飲めば良いとは思うが、そんな気分では無い。『美食家』があるので、美味しいお酒と料理を楽しみたいのだ。
「ご主人様ぁー。お腹空いちゃった…」
露店の匂いに胃がくすぐられたのか、ローリィが食べ物をねだってくる。チカとナナも同じ状態なのか、キョロキョロと露店の品物へと目移りしている。
「それじゃ、軽く何か食べるか」
とりあえず、いつもの焼き鳥の店に向かい注文する。
「お?旦那、珍しいな。今日は依頼終わりかい?」
「ああ、さっき終わらしてきたばかりだよ。とりあえず8本くれ」
「あいよ!」
目の前でいい匂いをさせながら、肉が焼けていく。手際良く、満遍なく焼く様はまさに熟練の動きであった。
「……そんな見るもんじゃねーだろ?恥ずかしいんだが…」
俺だけが見ているのかと思ったら、チカ達も凝視していた。
「ここのはとても美味しい。ので、焼き加減を学んでる」
「アルス様に作って差し上げたいので、勉強中です!」
「うわー。すっごく美味しそうだなぁー」
「ふっ。焼き一筋20年!そうそう簡単に技を盗まれるかよっ!」
おっちゃん……。案外褒められ慣れてないのね。
少しハニカミながら、おっちゃんは焼いていく。美女が3人も見ているからか、仕草が一々煩い。
「おまちどうさん!出来立ての焼き鳥だよっ!」
頼んだ本数より3本多いが、きっとチカ達へのサービスなんだろう。焼いてる最中も色々と質問してたし、悪い気はしてないんだな。
ご丁寧に皿に乗ってきたので、近くの椅子に座って食べる。俺はおっちゃんにトックリで酒を貰い、つまみながら食べる。
「んーーーーーーっ!!旨いっ!!最高だわ!」
『美食家』のおかげで酒の味も分かるし、最高の気分だ。……防具の耐性で酔わないんだけどね。
「あ、そうだ。この街で夜に酒飲めるところ知らない?」
夕方に向け、仕込みをしているおっちゃんに話しかける。
「あー?酒場ってことかい?」
「んにゃ、酒だけ飲むところじゃなくて、旨い飯と酒が飲めるところ!」
「そうだなぁ……。露店通りでも飯と酒は食えるからな。…ほれ、真ん中の広場に丁度椅子出してるだろ?」
おっちゃんの指す方向を見てみると、確かに椅子と机を準備していた。
「へぇー、あそこで飲み食い出来んだな。注文とかはどうするんだ?頼みに行く感じ?」
「先に言ってくれれば、作り立てを持っていくぜ!酒は近くに酒屋があるから、そこの店員に頼めばいい」
…なるほど。夜には露店通りが1つの店になるって事か。
「いい事聞いたわ!んじゃ、今日はそれにしようっと!」
夜の場所が決まった事で、俺の悩みは解消した。やっぱこういうのは地元の人に聞いた方が良いもんな。
「お?それじゃ、ウチに注文しておくかい?」
「そうね!…おーい!!お前らー!ちょっとこっちきてー!」
チカ達を呼び寄せ、夜に飲み会する事を伝える。場所はおっちゃんに聞いた通りの説明をして、チカ達も納得してくれたので良かった。……変にオシャレなとことか言われなくて良かったわ。マジで。
「あ、そういやあそこって何時から使えるんだ?」
「大体18時頃だな。早めに言って場所予約していた方がいいぞ?」
「そうか。んなら、俺行ってくるわ!チカ達は何本食べたいか注文しておいて!」
そう言って俺は広場へと急いで向かう。準備をしている人に予約したいと伝えると、快く了承して貰った。今日は予約が無かったので、場所を広めに取って貰った。……あいつら沢山食べるし、テーブルは広めに取ってた方がいいな。
予約を終えた俺は、おっちゃんの所へと戻る。
「ただいま!予約してきたよ!」
「お帰りなさい。アルス様に行かせてしまって申し訳ありません…」
「いいって!そんな事は気にするなよ。たまには俺もちゃんと出来るって所を見せたいしね!」
「なんでぃ。やっぱりダメ亭主じゃねーか」
「ちげーよ!!チカ達の為なら俺は頑張れるの!」
「…愛されてんなぁ。よかったな、みんな」
チカ達は照れた表情を浮かべながら、揃って指をちょんちょんしている。
「それはとりあえず置いといて。…注文は終わった?」
「何を置くんだ?……あ、そうそう。旦那に確認したかったんだけどよ、チカちゃん達は焼き鳥50本って言ってるんだけど良いのか?」
ご、50!?マジかお前ら!?
「た、食べれんのか…?」
「余裕」
「他にも食べられますよっ!」
「やっぱり100本にしない??」
こいつら……目がマジだ。
「おっちゃん…とりあえず60本にしといてくれ。足りなかったらまた注文するよ…」
「お、おう…。60本な」
動揺しながらもおっちゃんは紙に記入していた。部位はお任せで頼んでおく。
「過剰在庫とか賞味期限が近いのがあったらそれ優先にして良いからね」
「ははは…。旦那は優しいなぁ…。それじゃ、ご厚意に甘えるとするぜ」
朗らかな笑みを浮かべ、おっちゃんは仕込みを開始する。
「それじゃ、他の店にも注文しにいこうか」
「「「はいっ!!!」」」
元気の良い声を聞きながら、チカ達の食べたい物を次々に注文していくのだった。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「それじゃ、依頼達成を祝して……かんぱーいっ!!」
「「「かんぱーいっ!!!」」」
夕方18時過ぎ、俺達は広場で宴会を開いていた。注文をしている最中にフィンとドーンに会ったので、誘ってみた。ついでに、嫁も連れて来いと言ったら満面の笑みで了承していた。仕事が終わってから来るとの事だったので、それまでは俺達で楽しんでおく。
そうそう、チカ達に『酔っ払うなよ』と釘を刺したら、『耐性あるので大丈夫です!」と元気の良い返事が返ってきた。しれっと魔法もかけてたみたいだし、本気具合が伝わる。
「んまぁーーーーーい!!!チカちゃんっ!この『焼きそば』とっても美味しいよっ!!」
「……………………。ローリィ、ボクの分頂戴」
「ああ……。このお酒も美味しいわっ」
大人数用の大きなテーブルにてんこ盛りの料理が並ぶ。料理を持ってくる人達も唖然とした表情で俺達を見ていた。
「しっかし、旨いなぁ!!『美食家』最高だわ!」
数々の料理と酒。味が分かるってだけで、気分も高揚する。
「アルス様っ!この『煮込み』も美味しいですよっ!」
「マスター。『焼きもろこし』は神がかってる」
「ねーねー!『餃子』もすっごく美味しいんだよ!」
…そうなんだよ。この世界での料理は普通に前居た世界と似てるんだ。…まぁ、魔物の肉を使ってるのが違う所だけど。
「さんきゅー。……おっ?どれも美味しいなっ!」
チカ達の勧める料理をつまみながら酒を飲む。美女に囲まれ、旨い飯に旨い酒。くはぁー、最高だわ!
チカ達はお喋りしながら、次々と平らげていく。酒も沢山飲んでるし、どこに食べ物がいっているのかが謎だ。
テーブルの上の料理が半分になる頃、何故かコンラッドが姿を現した。
「よっ!参加しに来たぞ!」
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