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始まりと本と化物と
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本好きな私こと、大川瑠璃(中学三年生)は本屋に入り浸っていた。
「あっ!あのシリーズ新作出てる。でもこの新作も気になるしな…」
ただひたすら本と向き合い、ぶつぶつと何かをつぶやく様子を他の人の目にはどのように写っているのか心配しながらも、もんもんと、どちらの本を買うか悩んでいた。
悩むこと数十分。結局、悩みに悩んだ末、とあるシリーズの新刊を買うことにした。
どちらの本も買おうかと一瞬思ったが、1000円のお小遣いでやりくりしないといけないので、諦めるしかなかったけど…
鼻歌まじりにレジに並び、買った本を抱えて帰る姿を後ろから生温かい目で見られたような気がするが、気のせいであると思いたい。
気にしたところでどうしよもないので、悩んだもう一つの本に別れを告げ、本屋を後にした。
帰路につき、買った本に思いをはせていると、背後から女性の悲鳴が聞こえた。
普通ならここで、悲鳴をあげた人を心配するべきかもしれないが、私の頭には本のことしかなかったので、不機嫌になりながらも後ろを向いた。
「は?」
後ろを向くとそこには化物がいた。揶揄とかではなく、ガチのがいた。多分、ナマハゲとかそっち系の奴だ。
おどろいた時、少女のような可愛い悲鳴が出なかったのは、読者の方に対し申し訳ないと思うが、ここは現代東京。
異世界もの、小説のような魔物が、出てくるはずがない。勝手に変なやつがナマハゲの衣?みたいなやつ来てるだけだろと決めつけた私が、気にせず帰ろうとした。
しかし、世の中そんなに甘くはなかった。
にわかには信じられないし、自分でも信じたくないが、シュッと風を切る音が隣から聞こえてくる。
通り過ぎた車の音とは明らかに違うそれに、一瞬慄く。
しかし、それを無視する勇気は私には無かった。
おそるおそる隣を見ると、そこにはナマハゲもどきがいた。さっき、変質者かと思ってスルーしたあいつが。
何となく、そんな気はしていた。まさか当たるとは思っていなかったが。
冷静に働く頭とは裏腹に、私の手は冷や汗で濡れていた。まさか、化物のような見た目をしたナマハゲもどきが、身体能力まで化物だとは思っていなかった。
ちっちゃな少年少女ならば、まだ私でも何とかなるだろう。
しかしこちとら、ただのふつーの中学生。
どう考えても、かなう相手じゃあない。
あれ?詰んでないか?
詰んだことを確信した私は、どうかしていたのだろう。気づけば、ナマハゲもどきに話しかけていた。
「あの~、こっちは危害を加える気はないので、どっかにいってもらっても良いですかね~?動いてもらえないとちょっとこっちも何とかしないといけなくなるんですよ~」
自分でも口を動かしながらどこの警官だっとツッコミたくなったが、命を狙われている以上、どうすることもできない。
ナマハゲもどきは私の話を聞いてのか、少し固まった。
しかーし、5秒後には、私に向かって爪を振り下ろしていた。
最期は本を読んでいる時に迎えたかった。
解せぬ。
なんて思っていたのはちょっと前。
ナマハゲもどきが、固まっていた。
「あっ!あのシリーズ新作出てる。でもこの新作も気になるしな…」
ただひたすら本と向き合い、ぶつぶつと何かをつぶやく様子を他の人の目にはどのように写っているのか心配しながらも、もんもんと、どちらの本を買うか悩んでいた。
悩むこと数十分。結局、悩みに悩んだ末、とあるシリーズの新刊を買うことにした。
どちらの本も買おうかと一瞬思ったが、1000円のお小遣いでやりくりしないといけないので、諦めるしかなかったけど…
鼻歌まじりにレジに並び、買った本を抱えて帰る姿を後ろから生温かい目で見られたような気がするが、気のせいであると思いたい。
気にしたところでどうしよもないので、悩んだもう一つの本に別れを告げ、本屋を後にした。
帰路につき、買った本に思いをはせていると、背後から女性の悲鳴が聞こえた。
普通ならここで、悲鳴をあげた人を心配するべきかもしれないが、私の頭には本のことしかなかったので、不機嫌になりながらも後ろを向いた。
「は?」
後ろを向くとそこには化物がいた。揶揄とかではなく、ガチのがいた。多分、ナマハゲとかそっち系の奴だ。
おどろいた時、少女のような可愛い悲鳴が出なかったのは、読者の方に対し申し訳ないと思うが、ここは現代東京。
異世界もの、小説のような魔物が、出てくるはずがない。勝手に変なやつがナマハゲの衣?みたいなやつ来てるだけだろと決めつけた私が、気にせず帰ろうとした。
しかし、世の中そんなに甘くはなかった。
にわかには信じられないし、自分でも信じたくないが、シュッと風を切る音が隣から聞こえてくる。
通り過ぎた車の音とは明らかに違うそれに、一瞬慄く。
しかし、それを無視する勇気は私には無かった。
おそるおそる隣を見ると、そこにはナマハゲもどきがいた。さっき、変質者かと思ってスルーしたあいつが。
何となく、そんな気はしていた。まさか当たるとは思っていなかったが。
冷静に働く頭とは裏腹に、私の手は冷や汗で濡れていた。まさか、化物のような見た目をしたナマハゲもどきが、身体能力まで化物だとは思っていなかった。
ちっちゃな少年少女ならば、まだ私でも何とかなるだろう。
しかしこちとら、ただのふつーの中学生。
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あれ?詰んでないか?
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「あの~、こっちは危害を加える気はないので、どっかにいってもらっても良いですかね~?動いてもらえないとちょっとこっちも何とかしないといけなくなるんですよ~」
自分でも口を動かしながらどこの警官だっとツッコミたくなったが、命を狙われている以上、どうすることもできない。
ナマハゲもどきは私の話を聞いてのか、少し固まった。
しかーし、5秒後には、私に向かって爪を振り下ろしていた。
最期は本を読んでいる時に迎えたかった。
解せぬ。
なんて思っていたのはちょっと前。
ナマハゲもどきが、固まっていた。
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