大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ

文字の大きさ
上 下
104 / 177

104. アレクサンダー・カララム君

しおりを挟む
 
「それでは、編入生のアレクサンダー・カララム、挨拶しろ!」

 担任のグロリア先生は、例えこの国の王様相手でも全くブレない。
 生徒に対しては、教師として誰に対しても毅然とした態度で接するようだ。

 でもって、今は、新学期初めてのホームルーム。

 編入生のカララム王アレクサンダー・カララム君は、尊大な態度で自己紹介を始める。

「ウム。ワシが、カララム王国第15代目国王アレクサンダー・カララムじゃ!
 例え、ワシの方が地位が上でも、学園ではアレクサンダー君と呼んで欲しい。それがカララム王国学園のルールであるのでな!
 学園では、地位も生まれも何も関係ない。ただ、実力だけが全て! 強い者こそ威張っていいのじゃ!」

 なんか、学園のルールを履き違えてるアレクサンダー君が、ドヤ顔で自己紹介する。

 因みに、これがカララム王、アレクサンダー君のステータス。

 名前: アレクサンダー・カララム
 職業: カララム王(お休み中)
 称号: 若返り王 暴れん坊将軍
 スキル: 剣術Lv.2、木魔法Lv.2、火魔法Lv.2、鑑定Lv.1
 ユニークスキル: 身体強化Lv.2、魅了Lv.1 
 力: 1500
 HP: 1200
 MP: 1000
 器用: 100

 アレクサンダー君。何気に強い。
 残念スキルの鑑定Lv.1と、まさかのユニークスキルに魅了Lv.1まで持っている。
 この魅了スキルで、髭面の大男のホエール侯爵を籠絡して、学生になったのだろう。

 じゃなければ、昨日、あんなにすんなりと、アレクサンダー君のカララム王国学園の編入は決まらなかった筈だし、中々、アレクサンダー君も、アスカ同様に腹黒そうだ。

 まあ、アスカ程の魅了の力はなさそうだが、王様として人心掌握にとても便利なスキルには違いない。

 でもって、アレクサンダー君は、俺の従兄妹のカトリーヌ・グリズリーや、俺の騎士9人以外の女生徒にモテモテ。

 そりゃあ、現王様が、いきなりクラスメイトになったのだ。結婚すれば確実に王妃になれる。第何王妃か分からんけど。歳も若返ってるし、同じ時間を生きる事が出来るのだ。
 これは、女子達にとっては超絶優良物件。

「良き良き。才女はワシの王妃にしてやるからな。良く勉強に励むのじゃぞ」

 カララム王アレクサンダー君は、どこまでもぞんざい。
 魅了スキルまで持ってるので、女子達は、もうメロメロだ。

「アレクサンダー君! 私勉強頑張る!」
「アレクサンダー君、いつでも私を抱いてね。毎日、新品の下着を履いて準備しておくから」

 ヤバい。ヤバ過ぎる。アレクサンダー君。
 魅了スキルを使ってるのは分かってるのだけど、下手に王様だから、注意もできない。
 というか、ユニークスキルだから、本人は意識しないで使ってるのかもしれないのだけど。

「そしたら、今から保険室でしけこむとするか!」

 アレクサンダー君……まさか、学園の保険室でお股が濡れるプレイをするつもりか……。
 やはり、現役王様はやる事が一々ヤバイ。
 不良学生も真っ青な、暴れん坊将軍ぶりである。

「アレクサンダー様。学園の風紀が乱れるので、保険室で子作りするのはお止めになって下さい!」

 生徒を代表して、真面目なカトリーヌが注意する。
 まあ、公爵令嬢のカトリーヌが注意できなければ、このクラスで、アレクサンダー君に注意できる者なんかいないんだけどね。

「ハッハッハッハッ! そうじゃったな!
 ここは、大奥じゃなくて、学園だったわい!
 いつもの癖で、学園でも仕事の子作りする所じゃったわい!
 仕事熱心な癖は、中々抜けんものだな!」

 アレクサンダー君は、子作りを仕事と言い切った。
 なるほど、王様の仕事は跡取りを作る事なので納得できる。
 俺も、なんか王様になりたくなってきた。

『ご主人様が、自重しなくて本気になったら、王様にも魔王にも簡単になれると思いますが?』

 鑑定スキルが、俺の心を勝手に呼んで、念話で話し掛けてくる。

「何でお前、俺の心を読んでるんだよ!」

 ヨナンは口を押さえ、鑑定スキルに文句を言う。

『そりゃあ、僕はご主人様のスキルですから、ご主人様の心も普通に読めますよ。基本、ご主人様が少しでも考えた事は、僕になんでも筒抜けですから』

「嘘?」

『嘘じゃないですよ。ご主人様が、あの子のお尻キュッとしてるな。とか心の中で考えてる事とか、全部筒抜けですからね!』

「俺にプライバシーは無いのかよ!」

『そんなもん、僕とご主人様の中じゃ要らない物でしょ?』

「確かに、朝のオシッコの色や、ウ○コでお前に健康チェックされてる時点で、俺にプライバシーなど無かった……」

『ですよねー!』

 とか、鑑定スキルとワチャワチャと念話で話してると、突然、アレクサンダー君が、ヨナンに話し掛けてきた。

「我が友、ヨナンよ! 一緒に学食食べに行こうではないか!」

「我が友?学食?」

「お前は、ワシの友達じゃろ? ドラゴンの血をワシに分け与えてくれたのも、ワシと親しくなりたかった訳では無かったのか?」

 確かに、王様にご機嫌取る為にレッドドラゴンの血を分け与えたのだが、別に王様と友達になろうと思ってた訳ではない。

 というか、カララム王と、何を話したら良いか分かんないし……。
 しかしながら、ここで学食を行くのを断ってしまったら、不敬罪で死刑にされてしまうかもしれない。

「じゃあ、学食行きます?」

「おお! そしたら、早速、貧乏人の生徒が行く食堂の方を行ってみよう!
 前の学生時代は、お付の取り巻きが五月蝿くて、貴族の専用の学食でしか飯を食べれなかったからな!」

 なんか、アレクサンダー君は、学園生活のやり直しを、楽しんでるようだ。
 確かに、アレクサンダー君の取り巻きは、誰も編入してきてないし、前の学園生活より、はっちゃける気満々であるようだ。
しおりを挟む
感想 191

あなたにおすすめの小説

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

異世界をスキルブックと共に生きていく

大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...