43 / 177
43. 熊の鉄槌
しおりを挟むヨナンは、すぐに、カナワン支店に早馬を飛ばすと、連絡を受けたエドソンとエリザベスとコナンとシスがその日中にグラスホッパー領に帰ってきた。
「なるほど、確かにトップバリュー商会の暗殺者ね」
エリザベスが、鑑定スキルLv.3の共有機能で、暗殺者の死体をチェックする。
「俺の事を暗殺対象の一人だって言ってたから、他にもエドソンやエリザベスやコナンやシスも暗殺対象だったと思う」
「畜生ーー!! 何でトップバリュー商会がウチを狙ってくるんだよ!」
事の成り行きを何も知らない、エドソンが憤っている。
「やはり、トップバリュー商会は真っ黒ね」
エリザベスが、腕を組み考え込んでいる。
「どうするんだ?コイツの死体を、トップバリュー商会に連れていって、文句の一つでも言ってやるか?」
「そんなのしらを切るに決まってるわよ。普通の鑑定スキル持ちじゃ、名前ぐらいしか分からないし、ヨナン君の鑑定スキルを使って、相手に分からせる事も出来るかもしれないけど、それは得策じゃないわ。
ヨナン君は、うちの切り札だから、絶対に能力は知られないようにした方が良いわね!」
「だな。そしたらコイツどうする?」
「トップバリュー領に捨てとけばいいんじゃない? そしたら、トップバリュー商会の暗部が勝手に見付けて片付けるのじゃない?」
「で?これからの対策は?この領地、完全にトップバリュー商会に狙われてるぜ!
何せ、隣の領地に、最大のライバル商会が突然現れたんだからな!」
「そうね……グラスホッパー領の防備をもっと万全にしないといけないわね……」
「私兵を雇うとか?」
ヨナンは、提案してみる。
というか、このままでは、おちおちグラスホッパー領で生産も出来ないし。
今回は、たまたま鑑定スキルが居たから暗殺者に気付けたが、ヨナンじゃなくて、コナンやシスだったら、暗殺者だと気付かずに殺されてたかもしないのだ。
「エドソン、昔の冒険者仲間を呼べないかしら?」
エリザベスが、エドソンに提案する。
「元熊の鉄槌の連中かよ?アイツら来てくれるか?」
「暇だったら来てくれるんじゃない?ここには、温泉スパも有るし、以外と大森林とかで、冒険とかも楽しめるんじゃないかしら?奥まで入っていったら、魔物とかも居るかもしれないし!」
「じゃあ、一度連絡取ってみるか!」
「あっ! それなら手紙と一緒に、このワインを1本入れておいて! 手伝ってくれるなら、このワインを幾らでも飲ましてやると付け加えてね!
そしたら、最低でも必ず1人は来てくれる筈だから!」
「おお!その酒かよ! 俺も昨日、ヨナンに飲ませて貰ったけど、めちゃくちゃ美味かったぜ!」
エドソンも、シャトー・ロードグラスホッパー1965を見て納得する。
「アナタ、これからはあまり飲んだくれてちゃダメよ!
これからは、グラスホッパー騎士爵家を立て直さないといけないんだから!
明日から、グラスホッパー騎士爵の私兵も募集するから、アナタは私兵の訓練をしっかりやる事!
そして、グラスホッパー領をしっかり守る事!
このグラスホッパー商会の生産拠点が、一番の要の場所なんですからね!」
ーーー
そんな感じで、グラスホッパー領の私兵の募集をかける。
その中には、当然のようにトップバリュー商会の間者も混じってたが、鑑定スキルが看破し、逃がさず、エドソンとエリザベスが、全員殺してしまった。
以外と、エドソンとエリザベスは容赦ない。
そして、そんな中、エドソンとエリザベスの冒険者時代の仲間だという、元S級冒険者パーティー『熊の鉄槌』のメンバーが、グラスホッパー領にやって来たのであった。
54
お気に入りに追加
3,044
あなたにおすすめの小説
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる