大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ

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33. ヤバい人妻

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「あの、一体、何ですか?」

 ヨナンは、エリザベスに質問する。

「私は、ただ、息子と娘が寝てるか確認しに来ただけよ?」

「あの、コナンとシスを連れてっていいですか?」

「駄目よ!」

「えっ?何で?」

「普通、子供を夜中に外に連れ出すなんて許されない事ですからね!」

「だけど、コナンとシスは、俺の弟と妹だし!」

「私は、アナタのお母さんよ! お母さんの言う事が聞けないのかしら?」

「そんな事言ったら、グラスホッパー領の公爵芋が売れないですよ!
 また、グラスホッパー領の財政が火のクルマになっていいんですか!」

「そうね! そしたら、コナンとシスをグラスホッパー商会で雇って頂戴!
 そうね。1日1人、1万マーブルでいいわよ!」

「それは別にいいですけど……」

「それと、もう1つ条件があるわ!」

「何ですか?」

「私も、グラスホッパー商会に雇いなさい!」

 エリザベスが、突然、訳の分からない事を言ってくる。

「えっ?何でですか?」

「アナタを見ていられないのよ。これから貴族との折衝も多くなると思うし、騙されちゃうかもしれないわ!
 今日の私との契約の時も、少し目が泳いでたしね」

『ご主人様、どうするんですか……』

 鑑定スキルが、心配して話し掛けてくる。

「いいですよ。僕も、これからカナワン伯爵や、イーグル辺境伯と折衝しなけゃいけないと思ってて、少しばかり心配してましたから……」

『ええーー! ご主人様ーー!本当にいいんですか!』

 鑑定スキルが、絶叫している。

「お前五月蝿いぞ! 俺がいいっていったらいいんだよ!
 俺みたいな13歳の子供が、イーグル辺境伯と折衝したって、いいようにされるのが目に見えてるじゃねーかよ!
 それに、エドソンじゃ、正直、貴族との化かしあいなんて、到底出来ねーと思うし!」

「あの……ヨナン君……」

 エリザベスが、ヨナンのデッカイ声の独り言を聞いてビックリしている。

「おい! 鑑定スキル、エリザベスにも話し掛けてやれよ!」

『いいんですか?ご主人様……エリザベスさんも信用して……』

「いいんだよ!エドソンが選んで結婚した女なんだから! エドソンが選んだ女を嫌いになれるかよ!」

『本当に、ご主人様はお人好しですね!
 分かりましたよ……』

 鑑定スキルは、エリザベスと念話のチャンネルを繋げる。

『エリザベスさん! 初めまして! 僕はご主人様のスキルの、鑑定スキルLv.3です! 以後、お見知り置きを!』

 鑑定スキルは、エリザベスに挨拶する。

「あら、本当に鑑定スキルちゃんと話せるのね! コナンとシスに聞いてはいたんだけど、本当だったなんて!」

 どうやら、コナンとシスは、鑑定スキルの事をエリザベスに話していたようだった。
 まあ、口止めしてた訳じゃないので、誰も責める事など出来ないのだけど。

「じゃあ、今回は、私もグラスホッパー商会の社員として、ヨナン君について行くわね!」

「ああ。勝手にしてくれよ!」

 ヨナンは、投げやりに返事をしたのだったが、しっかりと、キャンピングキッチントレーラーは改造して、エリザベスのベットも取り付けたのであった。

 ーーー

 早速、カナワン城塞都市に着くと、店の開店準備をして、石焼き芋を売り始める。

「エリザベス。石焼き芋の販売方法は、コナンと、シスと、鑑定スキルに聞いてくれ! 俺はもう限界だから、もう寝る!」

「ヨナン君! 了解よ! どんと大船に乗った気持ちで任しといて!」

 ヨナンは、全て丸投げして、そのまま眠りにつく。もう、一々、エリザベスの面倒など見ていられないのである。
 だって、散々引っ掻き回されて、急遽キャンピングキッチントレーラーの改造までして、疲れに疲れているのである。

 そして、

「ヨナン君、朝ですよ」

「う~ん。まだ眠いよ、お母さん……」

「あらあら、ヨナン君は、まだまだお子ちゃまですね。お母さんがギュッ!としてあげますよ」

 ヨナンは、何かフワフワなまんまるな2つの物体に顔を埋められる。

「ん? て! えぇぇぇぇーー!」

 ヨナンは、なんと、人妻であるエリザベスのたわわな胸に、顔を挟まれて眠っていた。

「アンタ! 一体、何してんだよ! アンタ、人妻だろ!」

 ヨナンは、飛び起きて、ネグリジェ姿のエリザベスに注意する。

「え? 私はヨナン君のお母さんだから、添い寝するのは当然でしょ?」

「そんな訳、あるかい! 俺は、エドソンにどう説明すればいいんだよ!」

「別に普通に話せばいいんじゃない?」

「言えるかよ!というか、コナンとシスに教育上良くないだろうがよ!」

「あら? これは教育よ? シスに、ヨナン君の落とし方を実践して教えてたのよ!」

「ね! シスちゃん!」

「うん。勉強になった。胸にお兄ちゃんの頭を擦り付ければいいんだね!」

「アホか! そんな性教育は、もっと大きくなってからやれよ!」

「あら? 貴族の結婚は以外と早いのよ! どこの家でも、シスちゃんぐらいの年齢になると始めるものよ」

「嘘つけ!」

 クッ! エリザベス……今まで、あまり関わり無かったが、ヤバイ女であるようだ……ある意味、アスカよりヤバイ女かもしれない……。

 と、ヨナンは、心底思ったのだった。
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