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164. レイドの報酬と勇者認定
しおりを挟むしっかりと体を休め、2日後、レイドの報酬を貰いにムササビ冒険者ギルド本部に行くと、レイドに参加した全ての冒険者達が、1階ギルドエントランスに集まっていた。
まあ、それなりに死者は出ていて、30人くらいは死んでいる。いつもは参加者の半数は死んでしまうらしいので、これは物凄い事であるらしい。
ハッキリ言うと、全てはエリスポーションの力であったりする。
同じエリクサーでも、ガブリエルのポーションは闇の魔力が強過ぎて、アスタロトの第9階位闇属性魔法ワールドカーズが、呪いと認識出来ずに全く効かないとか。
いつも、ワールドカーズの同士討ちのせいで負けてたらしいし。
それに対して、光属性の魔素で作られてるエリスポーションは、闇属性の魔法に対して浄化作用が物凄く発揮して、第9階位闇属性魔法ワールドカーズに滅茶苦茶効いたのだ。
早い段階から、ベルゼブブ攻略レイドに『犬の肉球』をメンバーに入れてれば、こんなに300年も苦労しなかったと思うけど、それは言わない事とする。
言ったら、たくさん居るゴトウ族の連中に殺されそうだし。
「それでは、今から、発表するぞ!」
ムササビ冒険者ギルド本部長のブリジアが、カウンターの上に立ち、発表を始める。
「まず、参加した冒険者パーティーの貢献順位を発表する!
第1位は、異界の悪魔殲滅数1位、それから悪魔王ベルゼブブと、サルガタナスを倒した『犬の尻尾』が、第1位じゃ!」
「ウォォォォォーーー! やっはり、『犬の尻尾』が1位かよ!
カブリエル姫様のメテオアタック、凄かったもんな!」
ブリジアの発表に、冒険者達が盛り上がる。
「貢献度第2位は、『犬の肉球』!
エリスポーションで、第9階位闇属性魔法ワールドカーズの攻略に成功。ベルゼブブ城一番乗り、上位悪魔フルーレティー討伐と、蝿退治と数々の功績を残した!」
「ウォォォォォーーー! 俺もエリスポーションで、助けて貰ったぞ!」
アスタロトのワールドカーズの餌食になって、エリスに救われた冒険者達が盛り上がる。
「そして、貢献度第3位は、『鷹の爪』!
特に、『鷹の爪』アムルー支部じゃ!
聖剣3振りを新たに戦線に加え、停滞してた戦いをその聖剣の威力で、覆す事に成功!
文句無しの第3位じゃな!」
「ウォォォォォーーー! アナスタシア様!格好良い!」「素敵ーー!!」
最早、誰もが『鷹の爪』の団長は、アナスタシアと思っているようだ。
実際、そのように振舞ってるし。
「第4位『カワウソの牙』! その他の冒険者パーティーより、まあまあの成績じゃ!」
「なんだそれ! 俺らは、ものすご~く頑張ったんだぞ!
俺らが、どんだけブリトニーの姐さんに切り刻まれたと思ってやがんだ!」
そう、ブリトニーの直の子分である『カワウソの牙』は、完全にブリトニーの盾として使われてたのである。
時には盾に、時には敵と一緒に斬られたりと、本当に可哀想だった。
でもって、レイドに参加した冒険者パーティーの順位発表が終わると、続けて、個人の成績発表が始まる。
勿論、断トツは、異界の悪魔を一番殺し、悪魔王ベルゼブブを倒したガブリエルが1位。
意外にも、2位は、アスタロトのワールドカーズで崩壊しかけた戦況を立て直したエリスが2位。
そして、もっと意外なのは、エリスを護衛しながら一緒になって、エリクサーを振り掛け続けたラインハルトが3位だったりする。
「エッ! 俺が第3位かよ! 何をくれるんだ!」
これには、3位を取ったラインハルト自身が一番驚いていた。
その後は順当。
4位がブリトニー、5位がペロ、6位がアンさん。そしてまさかの7位がケンジ。
ケンジが7位なのは、蝿を倒してベルゼブブを倒す糸口を見つける事ができたから。
それから8位がサルガタナスを倒した剣姫ハラダ・ハナで、塩太郎はやっとこさの9位。
意外と順位が低くて納得いかないが、10位だったシャンティーが褒めてくれたので、まあ、助っ人としての仕事は、しっかりと出来てたのだろう。
因みに、ムネオの成績は15位だった。
「それでは個人賞! もう、ステータスの称号では勇者を持ってるとは思うが、冒険者ギルドとして、剣姫ハラダ・ハナと、剣聖佐藤・塩太郎に勇者の称号を与える事とする!」
ここでまさかのハラダ・ハナと塩太郎に勇者認定。
話によると、冒険者ギルドにきちんと勇者認定されてる歴代勇者は、『犬の肉球』の初代勇者だけらしい。
この世界には普通に勇者の称号を持ってる奴はたくさん居るが、冒険者ギルドに勇者認定されたのは、『犬の肉球』の初代勇者と、ハナと、塩太郎だけという事らしい。
ガブリエルやブリトニーやアンさんも勇者じゃないかって?
実をいうとガブリエル達もステータス上、勇者の称号を持ってるらしいが、それを上回る大魔王やダンジョンマスターなどの称号まで持っており、流石に、大魔王の称号を持ってる者を、冒険者ギルドが勇者と認定できないとの事。
でもって、エクスカリバーの本来の持ち主であるアナスタシアも、勿論、勇者の称号を持ってるが、『鷹の爪』アムルー支部は、本来、この世界とは異なる冒険者団体に所属してるという事で、この世界の冒険者ギルドでは、アナスタシアに勇者認定を与える事は出来ないとか。
まあ、アナスタシア自身は全く気にしてなさそうだけど。
他の世界では、正真正銘の勇者らしいしね!
でもって、たくさんの報奨金が、それぞれの順位に応じて支払われて、シャンティーはウホウホ。
300年間も、レイドの報奨金がプールされていて、しかも、毎回失敗続きだった為、莫大な金額が冒険者ギルドに貯められていたらしい。
『犬の肉球』は、冒険者パーティー第2位で、なんと800億マーブルも支払わられてたりする。
塩太郎も個人9位で、15億マーブルも貰った。
因みに、2位のエリスは、300億マーブルだったらしい。
まあ、元々、エルフの王族でエリスポーションでも荒稼ぎしてるから、金なんか要らんだろうと思うが、それでもお金を貰うのは嬉しいらしくシャンティーと一緒に、踊って喜んでいた。
でもって、表彰式も終わると、大宴会。
冒険者ギルド1階エントランスと、広大過ぎる中庭にて、たくさんの料理と酒が出て、冒険者らしくどんちゃん騒ぎ。
勿論、冒険者ギルドに所属してる者なら、誰でも参加出来ちゃうので、恐ろしい状態になってしまっている。
だって、タダ酒、タダ料理なのだ。
冒険者ギルド本部の隣のウルフデパートの食堂から、料理人も派遣され、『ミノ一番』とか、超有名店の焼肉もバーベキュー形式で食べ放題。
まあ、『ウルフデパート』は、冒険者ギルド本部長のブリジアがGEOだし、『ミノ一番』は、実質『漆黒の森』のガブリエルが経営してるものだからやれる大盤振舞なんだけどね。
でもって、シャンティーやエリスとムネオ達と、飲んで食ってはベロベロになってると、ハラダ・ハナが、突然、塩太郎の前にやってきたのだった。
「ちょっと、いいですか? レイドで約束した一つ借りの件です」
塩太郎の酔いは、一気に冷めた。
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