職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました

飼猫タマ

文字の大きさ
上 下
162 / 166

162. ベルゼブブ攻略レイド(14)

しおりを挟む
 
「あの女、可愛い顔してえげつな過ぎる」

 塩太郎は、ハナから解放され着物を整える。
 ずっと、ハナの未成熟な胸が気になって、話も上の空で、しっかりと言葉を返す事が出来なかったのだ。
 少し、下の息子が半立ちになってしまってるし、戦いの最中だというのに恥ずかし過ぎる。

 まあ、京都の人斬りの中には、ナニを立たせながら人を斬る変態もたくさんいるから、戦闘中にナニが立つこと自体は、別におかしな事じゃないんだけど。

 ここで重要なのは、塩太郎が戦いに興奮してナニが立ったのではなく、ハナを意識してナニが立ってしまった事が重要なのだ。

『仲間の仇の薩摩の女に反応して、ナニが立ってしまうとは……』

 塩太郎は、物凄く猛省するのだった。

 ーーー

 塩太郎が猛省する間も、ベルゼブブとガブリエル達の戦いは続いている。

 アンさんが大盾でベルゼブブの攻撃を受止め、ケルベロスのペロが3つのアタマから神級魔法の連撃。そして、ガブリエルとブリトニーとメリルが代わり代わりに、聖剣でベルゼブブに斬りかかる。

「塩太郎君。ガブリエルさん達に加わるわよ!」

 いつの間にか塩太郎の横に立ってた、『鷹の爪』アムルー支部の副団長アナスタシアが、塩太郎に話し掛けてくる。

「あの中に入るのかよ……」

 塩太郎的に見て、ガブリエルとブリトニーとアンさんとペロとメリルの連携は、凄まじ過ぎるのだ。
 まあ、メリルはガブリエルの写し身だから、連携が完璧なのは分かるが、他の者達も、同じ『犬の尻尾』のメンバーなので、連携が半端ない。

「塩太郎君なら大丈夫よ。ほら、ハナちゃんも入って行ったし!」

「ハナも『犬の尻尾』の一員だろ?」

「だったら、ほら、知らない女のくノ一さんも入って行ったわよ?」

「あれは、バハオウとかいう『犬の尻尾』の隠れメンバーらしいぞ?」

「そうなの?だけど、本当に加わらなくていいの? シャンティーさんが、物凄く怒ってるみたいだけど?」

 アナスタシアの視線の先を見ると、遠い安全な場所からムネオに守られて、エリスと一緒に居るシャンティーが、なんか塩太郎に向けて怒鳴ってるのが見える。

「はぁ~分かったよ。行けばいいんだろ!」

 塩太郎は諦めて開き直る。腹黒妖精の命令は絶対なのだ。命の恩人だしね。

「じゃあ、行きましょうか! 私も、あの中に1人で入ってくの不安だったから、塩太郎君を待ってたのよ!」

「そうなんだ……」

 百戦錬磨で、多分、レイド参加者の中で一番歳上であろうアナスタシアでも物怖じする事があるのかと、塩太郎は心の中でビックリする。

「私でも、怖い事はあるわよ」

 アナスタシアは、まるで塩太郎の心の中を読んでたかのように、少しだけ弱音を吐く。

「でも、そのスライムソード、俺の村正より、よく斬れそうな気がするんだが……」

「フフフフフ。きっと気のせいよ」

 アナスタシアは含み笑いし、オリ姫ソードの性能を誤魔化した。

 ーーー

「塩太郎! 何やってんの! 早くベルゼブブをブッ殺せ!」

 シャンティーは、安全な場所から、必死に塩太郎にハッパをかけている。
 まあ、物凄く遠い場所から叫んでるので、塩太郎に聞こえる筈もないのだけど。

「シャンティーちゃん。塩太郎ちゃんは、ベルゼブブを倒せると思う?」

 エリスが、シャンティーに尋ねる。

「倒して貰わないと困るわよ!
 ベルゼブブを私達の代わりに倒して貰う為に、塩太郎を『犬の肉球』に引き入れたんだから!
 残念ながら、私やエリスの力では、遠くベルゼブブの力に及ばないわ。
 だけど、塩太郎は違う。あの子には、私達の想像をも越えるポテンシャルを持ってるのよ!」

「じゃな。塩太郎は、ワシらとは違う。エリクサーが存在するコチラの世界では、決して身に付ける事が出来ない、鋭く剣呑な雰囲気を身に付けておる。
 塩太郎が本気になり集中すると、誰もが畏怖し、犬も尻尾を丸めて震え上がる。ガブリエル姫とはまた違う強者じゃな!」

「あら?ムネオ。珍しく饒舌じゃない?しかも『犬の尻尾』と掛けてるの?」

 シャンティーが、ムネオをからかう。

「冗談はさておき、塩太郎は本当の天才ですよ。しかも、我等の知らな異世界で、常軌を逸した実践も重ねていたようですしな」

「そうね。塩太郎を初めて見た時から、もう完成されてたもんね!
 これで、この世界の闘気やレベルアップの概念を覚えたら、とんでもない化物になると直感したわ!」

 シャンティーは、当時の事を思い出したのか、興奮しながら話す。

「シャンティー様から見て、『犬の肉球』初代勇者様と、塩太郎、どっちが上だと思いますか?」

 ムネオが、シャンティーに質問する。

「う~ん。やっぱり勇者? だけど、塩太郎は、成長途上で、まだまだ延びると思う!」

「ですな。塩太郎は、まだまだ延びますな」

 塩太郎は、シャンティーとムネオが褒めてるのを知ってか知らずか、やっと重い腰をあげて、アナスタシアと共に戦線に加わるようだ。

「おっ! やっと行くようですよ!」

「遅いのよ! ベルゼブブなんか、チョチョイと、やっつけなさい!!
 そして、『犬の肉球』こそが、最強の冒険者パーティーだと、皆に知らしめるのよ!!」

 シャンティーは、安全な場所から偉そうに言う。
 まあ、塩太郎が居る戦場は遠すぎて、全くシャンティーの声など、塩太郎には聞こえてないんだけど。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

わたしゃ既に死んでいる

旬乃助
ファンタジー
…神?…女神?…口の悪い少女が立っていた… カン!カン!カン!カン!一斉に行き交う人と車…。 少しばかりのお惣菜を機械にかざし…小さい財布から小銭を探す… 「お金は此方に入れて下さいポイントカードは…」せきたてる言葉に身体が竦くむ。 街の喧騒から逃れる様に家路につく。そんな日々が続いている。 生をなして92年、何時お迎えが来ても良い様 身なりを整え床に就く…。 …   …     …『ニャー』 「う うーん?…眩しいわ!」…白銀の世界が何処までも続いていた… 主人公小梅と創造主マロンが繰り広げるハチャメチャ異世界ファンタジー ちょっぴり笑えてちょっぴり切ない チートな物語

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第1巻発売です!】 早ければ、電子書籍版は2/18から販売開始、紙書籍は2/19に店頭に並ぶことと思います。 皆様どうぞよろしくお願いいたします。 【10/23コミカライズ開始!】 『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました! 颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。 【第2巻が発売されました!】 今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。 イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです! 素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。 【ストーリー紹介】 幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。 そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。 養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。 だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。 『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。 貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。 『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。 『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。 どん底だった主人公が一発逆転する物語です。 ※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

異世界の剣聖女子

みくもっち
ファンタジー
 (時代劇マニアということを除き)ごく普通の女子高生、羽鳴由佳は登校中、異世界に飛ばされる。  その世界に飛ばされた人間【願望者】は、現実世界での願望どうりの姿や能力を発揮させることができた。  ただし万能というわけではない。 心の奥で『こんなことあるわけない』という想いの力も同時に働くために、無限や無敵、不死身といったスキルは発動できない。  また、力を使いこなすにはその世界の住人に広く【認識】される必要がある。  異世界で他の【願望者】や魔物との戦いに巻き込まれながら由佳は剣をふるう。  時代劇の見よう見まね技と認識の力を駆使して。  バトル多め。ギャグあり、シリアスあり、パロディーもりだくさん。  テンポの早い、非テンプレ異世界ファンタジー! *素敵な表紙イラストは、朱シオさんからです。@akasiosio

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...