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162. ベルゼブブ攻略レイド(14)
しおりを挟む「あの女、可愛い顔してえげつな過ぎる」
塩太郎は、ハナから解放され着物を整える。
ずっと、ハナの未成熟な胸が気になって、話も上の空で、しっかりと言葉を返す事が出来なかったのだ。
少し、下の息子が半立ちになってしまってるし、戦いの最中だというのに恥ずかし過ぎる。
まあ、京都の人斬りの中には、ナニを立たせながら人を斬る変態もたくさんいるから、戦闘中にナニが立つこと自体は、別におかしな事じゃないんだけど。
ここで重要なのは、塩太郎が戦いに興奮してナニが立ったのではなく、ハナを意識してナニが立ってしまった事が重要なのだ。
『仲間の仇の薩摩の女に反応して、ナニが立ってしまうとは……』
塩太郎は、物凄く猛省するのだった。
ーーー
塩太郎が猛省する間も、ベルゼブブとガブリエル達の戦いは続いている。
アンさんが大盾でベルゼブブの攻撃を受止め、ケルベロスのペロが3つのアタマから神級魔法の連撃。そして、ガブリエルとブリトニーとメリルが代わり代わりに、聖剣でベルゼブブに斬りかかる。
「塩太郎君。ガブリエルさん達に加わるわよ!」
いつの間にか塩太郎の横に立ってた、『鷹の爪』アムルー支部の副団長アナスタシアが、塩太郎に話し掛けてくる。
「あの中に入るのかよ……」
塩太郎的に見て、ガブリエルとブリトニーとアンさんとペロとメリルの連携は、凄まじ過ぎるのだ。
まあ、メリルはガブリエルの写し身だから、連携が完璧なのは分かるが、他の者達も、同じ『犬の尻尾』のメンバーなので、連携が半端ない。
「塩太郎君なら大丈夫よ。ほら、ハナちゃんも入って行ったし!」
「ハナも『犬の尻尾』の一員だろ?」
「だったら、ほら、知らない女のくノ一さんも入って行ったわよ?」
「あれは、バハオウとかいう『犬の尻尾』の隠れメンバーらしいぞ?」
「そうなの?だけど、本当に加わらなくていいの? シャンティーさんが、物凄く怒ってるみたいだけど?」
アナスタシアの視線の先を見ると、遠い安全な場所からムネオに守られて、エリスと一緒に居るシャンティーが、なんか塩太郎に向けて怒鳴ってるのが見える。
「はぁ~分かったよ。行けばいいんだろ!」
塩太郎は諦めて開き直る。腹黒妖精の命令は絶対なのだ。命の恩人だしね。
「じゃあ、行きましょうか! 私も、あの中に1人で入ってくの不安だったから、塩太郎君を待ってたのよ!」
「そうなんだ……」
百戦錬磨で、多分、レイド参加者の中で一番歳上であろうアナスタシアでも物怖じする事があるのかと、塩太郎は心の中でビックリする。
「私でも、怖い事はあるわよ」
アナスタシアは、まるで塩太郎の心の中を読んでたかのように、少しだけ弱音を吐く。
「でも、そのスライムソード、俺の村正より、よく斬れそうな気がするんだが……」
「フフフフフ。きっと気のせいよ」
アナスタシアは含み笑いし、オリ姫ソードの性能を誤魔化した。
ーーー
「塩太郎! 何やってんの! 早くベルゼブブをブッ殺せ!」
シャンティーは、安全な場所から、必死に塩太郎にハッパをかけている。
まあ、物凄く遠い場所から叫んでるので、塩太郎に聞こえる筈もないのだけど。
「シャンティーちゃん。塩太郎ちゃんは、ベルゼブブを倒せると思う?」
エリスが、シャンティーに尋ねる。
「倒して貰わないと困るわよ!
ベルゼブブを私達の代わりに倒して貰う為に、塩太郎を『犬の肉球』に引き入れたんだから!
残念ながら、私やエリスの力では、遠くベルゼブブの力に及ばないわ。
だけど、塩太郎は違う。あの子には、私達の想像をも越えるポテンシャルを持ってるのよ!」
「じゃな。塩太郎は、ワシらとは違う。エリクサーが存在するコチラの世界では、決して身に付ける事が出来ない、鋭く剣呑な雰囲気を身に付けておる。
塩太郎が本気になり集中すると、誰もが畏怖し、犬も尻尾を丸めて震え上がる。ガブリエル姫とはまた違う強者じゃな!」
「あら?ムネオ。珍しく饒舌じゃない?しかも『犬の尻尾』と掛けてるの?」
シャンティーが、ムネオをからかう。
「冗談はさておき、塩太郎は本当の天才ですよ。しかも、我等の知らな異世界で、常軌を逸した実践も重ねていたようですしな」
「そうね。塩太郎を初めて見た時から、もう完成されてたもんね!
これで、この世界の闘気やレベルアップの概念を覚えたら、とんでもない化物になると直感したわ!」
シャンティーは、当時の事を思い出したのか、興奮しながら話す。
「シャンティー様から見て、『犬の肉球』初代勇者様と、塩太郎、どっちが上だと思いますか?」
ムネオが、シャンティーに質問する。
「う~ん。やっぱり勇者? だけど、塩太郎は、成長途上で、まだまだ延びると思う!」
「ですな。塩太郎は、まだまだ延びますな」
塩太郎は、シャンティーとムネオが褒めてるのを知ってか知らずか、やっと重い腰をあげて、アナスタシアと共に戦線に加わるようだ。
「おっ! やっと行くようですよ!」
「遅いのよ! ベルゼブブなんか、チョチョイと、やっつけなさい!!
そして、『犬の肉球』こそが、最強の冒険者パーティーだと、皆に知らしめるのよ!!」
シャンティーは、安全な場所から偉そうに言う。
まあ、塩太郎が居る戦場は遠すぎて、全くシャンティーの声など、塩太郎には聞こえてないんだけど。
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