職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました

飼猫タマ

文字の大きさ
上 下
158 / 166

158. ベルゼブブ攻略レイド(10)

しおりを挟む
 
 ベルゼブブ城3階に上がると、そこはまた、別世界というか、部屋がたくさんある。
 というか、異界の悪魔達の部屋?

「敵、全く居ないな……」

「素通りできそうね」

 塩太郎の独り言に、シャンティーが答える。

「そんな訳ないからね!」

 突然、廊下の奥の方にある部屋の扉が開く。
 そこには、お子様悪魔フルーレティーが立っていた。

「そんな訳あるだろ!」

 塩太郎は、そのまま一直線に進み、フルーレティを斬り裂く。

 しかし、フルーレティは、瞬間移動でそれを躱す。

「チッ!瞬間移動、本当に厄介だぜ!」

「どんだけ早くても、瞬間移動には敵わないよ。諦めて帰ってくれると有難いんだけど」

 フルーレティは、離れた場所から塩太郎に言う。

「悪いな。お子様だとしても、お前を倒してベルゼブブをやっつけないといけないからな」

 塩太郎は再び、突進し、フルーレティに斬り掛かる。しかし、今度はフルーレティは、塩太郎の真横に瞬間移動し、そしてそのまま風魔法で、塩太郎を切り裂こうとしたのだが、その攻撃に反応し、塩太郎は大きな1歩で移動し、フルーレティの胴を叩き斬る。
 しかしながら、フルーレティは既に、瞬間移動してて、塩太郎の背後から再び、風魔法を放ったが、塩太郎もその動きに反応し、大きくジャンプして、そのまま上段からフルーレティの脳天を真っ二つにした筈なのだが、フルーレティは、今度は、相当離れた所に転移していた。

「何なんだよ! 一体! 殆どゼロ位置からの攻撃なのに、何で避けて、しかも攻撃してこれる訳!」

 お子様異界の悪魔フルーレティが、逆ギレして怒りだす。

「そんなの、お前が弱いからだろ?」

「何言っての! 僕はこの世界に来てる異界の悪魔では、序列30位に入ってる大物だよ!
 その僕の瞬間移動に着いてこれるって、そんなの本当の化物だよ!」

「ん? 普通、そんなの分かるだろ? 京都ではお前の殺気に反応して動く奴なんか、五万と居たぞ?」

 そう。幕末京都では一瞬の油断が死に繋がるのだ。
 だって、居合斬りとかって、殆ど一瞬だし。
 少しでも斬られてしまったら、血は流れるは目眩いはするわ、指でも斬られようものなら、痛くて刀を持てなくなるし、エリクサーがあるこの世界とは真剣さの度合いが違うのである。

 普通、指斬られたらくっつかないしね。

 なので、集中力に関しては、この世界の住人とは殆ど比較にならないほど、塩太郎は集中出来てしまう。
 しかも、塩太郎は、幕末最強の人斬り。集中力も半端ないし、突然、居合斬り攻撃でも避けてきた実績があるのだ。

 達人が、どんだけ気配を消したとしていても、塩太郎には、僅かな殺気や匂いで、体が勝手に反応してしまうのである。

 そして、フルーレティは気付いてないかもしれないが、フルーレティの体からフルーツのような甘ったるい匂いを発してるのである。
 塩太郎は、その匂いに敏感に反応して動いてるだけ。
 なので、フルーレティがいくら瞬間移動しても、塩太郎的には、なんて事ないのであった。
 ただ、匂いを避けて、そのまま攻撃するだけだからね。

 まあ、それが出来ちゃうのが、塩太郎が幕末伝説の人斬りと言われる所以なのだけど。

「糞っ! なら、これならどうだ!」

 フルーレティは、連続瞬間移動して、塩太郎に的を絞らせずに攻撃を繰り広げる。
 しかしながらも、匂いで反応してる塩太郎は、それを難なく躱す。

 そして、

 バキッ!

 塩太郎の蹴りが、フルーレティにヒットして、フルーレティが吹っ飛ばされる。

「ゲホッ! 何で……」

 フルーレティは、顔を歪め、塩太郎に尋ねる。

「何でって、何となくだな……」

 フルーレティは、何で、転移した瞬間に蹴りを入れられたか全く分からないようである。

 まあ、次に転移する場所がどこだなんて、普通分からないのだが、塩太郎には分かってしまったのだった。攻撃を躱しつつフルーレティを観察してたら、フルーレティが、次に転移する場所を見ている事に気付いたのだ。

 塩太郎は、ただフルーレティが見てた誰も居なかった場所を蹴っただけ。
 そこに、丁度良いタイミングでフルーレティが転移してきて、塩太郎の蹴りがヒットしたのである。
 もう、フルーレティ的には何が起こったか分からないだろう。
 まさか、そんな単純な方法で転移が破られたと思ってない訳だし。

「まさか……未来予知?」

 なんか、フルーレティが勝手に壮大な勘違いしてる。

「しかし、鑑定で確認しても、未来予知スキルなど持ってないし……まさか、本当に僕より格上で、ステータスを改ざんしてるのか?」

 ここまで来ると、フルーレティの疑心暗鬼は募るばかり。

 ただ、自分自身の目線のせいで、次に転移したい場所を見破られてるとは、全く思っていない。

「フフフフフ。バレてしまったか」

 塩太郎は、フルーレティに乗っかってみる事にする。ケンジと違って、わざわざ敵に種など明かさないのだ。
 それに、種がバレたら対処されて面倒臭いし。

「それなら、未来予知を越える速さで転移し続けるだけ!」

 フルーレティは、先程より尚早く転移を繰り返し、塩太郎に襲いかかる。
 だけれども、フルーレティの目線は、前より尚、集中して次に転移する場所を確認してるので、塩太郎的には益々、フルーレティの攻撃を避けやすくなってたりする。
 というか、普通に刀を一周振り回せば、普通にフルーレティを斬れるんじやないかと思えてきた。

 だって、フルーレティは、塩太郎の至近距離を1秒間に3回ぐらい転移してるのだ。
 最早、転移してる意味が無いんじゃないかというぐらいに。
 まあ、それを一々避けてる塩太郎も凄いのだけど。

 塩太郎は、試しに、円を描くように刀を振るってみる。

 ズザッ!ズザッ!ズサッ!

 転移を繰り返す、フルーレティに、3回続けて刀がヒットする。

「グフッ……」

 フルーレティは、膝を付き口から血を流している。

「未来予知が出来るなんて、反則だぞ……」

「転移の方が反則だろ?」

 塩太郎は、刀に付いた血糊を払いながら、ぶっきらぼうに言い放つ。
 だって、実際には未来予知なんて出来ないからね。

「……未来予知の方が……反則……だよ……」

 バタッ

 フルーレティは、完璧に勘違いしたまま死んでしまった。
 ただ、塩太郎が適当に振り回した刀に、自分の方から転移して勝手に斬られに行ったとは、全く思わずに。
 しかも、斬られとは気付かずに、3回も転移してたし……。

「悪魔って、アホが多いのかしらね?」

 シャンティーは、事の次第を見つつ感想を述べる。

「流石は、神シロ様が見込んだ男。未来予知まで出来るとは、感服致しました」

 アホなケンジは、本当に未来予知出来ると信じ込んでるようである。

「それ程でも」

 塩太郎も、わざわざ種明かしする義理もないので、そのままケンジにも乗っかる事にしたのでたあった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界の剣聖女子

みくもっち
ファンタジー
 (時代劇マニアということを除き)ごく普通の女子高生、羽鳴由佳は登校中、異世界に飛ばされる。  その世界に飛ばされた人間【願望者】は、現実世界での願望どうりの姿や能力を発揮させることができた。  ただし万能というわけではない。 心の奥で『こんなことあるわけない』という想いの力も同時に働くために、無限や無敵、不死身といったスキルは発動できない。  また、力を使いこなすにはその世界の住人に広く【認識】される必要がある。  異世界で他の【願望者】や魔物との戦いに巻き込まれながら由佳は剣をふるう。  時代劇の見よう見まね技と認識の力を駆使して。  バトル多め。ギャグあり、シリアスあり、パロディーもりだくさん。  テンポの早い、非テンプレ異世界ファンタジー! *素敵な表紙イラストは、朱シオさんからです。@akasiosio

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...