職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました

飼猫タマ

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157. ベルゼブブ攻略レイド(9)

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「フフフフフ。異界の悪魔よ。私に恐れをなしているな」

 アホなケンジが、なんか悦に入っている。
 まあ、ケンジだけ全く攻撃されてないので、勘違いするのも当然かもしれないけど。

「誰が恐れをなしてるって!」

 パティムが、突然左目を閉じてるケンジの死角から斬り掛かったが、ケンジは普通に避ける。

「なっ?!」

「フッ。たわいも無い」

 ケンジは増長する。

「クッ! やはり警戒してた通りだったか」

 パティムが、勝手に納得してる。

「フフフフフ。私には見えてるのだよ。この左目にシッカリと、お前の動きがな」

 ケンジは閉じた左目を触りながら、ドヤ顔で答える。

「魔眼の類いか?」

「フフフフフ。ただ薄目開けてるだけだ」

 アホなケンジが、答えを明かしてしまう。

「何?アイツ……本当にアホなの……何で種明かししちゃうのよ!
 目が細すぎて、目開けてるかどうか、折角分からなかったのに、何で自分から話しちゃうのよ!」

 なんか、シャンティーがアホ過ぎるケンジに相当怒っている。

「クッ! 警戒し過ぎだか……」

 完璧に騙されてたパティムも、ちょっと反省してる。もしかしたらパティムもアホなのかもしれない。

「フフフフフ。騙されたな。しかし、私がこの左目をシッカリ見開いた時、私の前に立つ全ての敵は斬り裂かれるのだよ」

 ケンジは、勿体ぶって、薄目で見てた左目をカッ!と見開く。

 そして、その瞬間。神速で動き、ケンジの目の前にいたパティムを、スパンッ!と、真っ二つに斬り裂いた。

「なっ……」

 パティムは、惚けた顔をしたまま、バタリと倒れる。

「今宵の白蜘蛛ver.5も、良く斬れる」

 ケンジは、ウットリと白蜘蛛ver.5の刀身を見つめて、股間を膨らますのであった。

「何……アイツ……何者?」

 流石に、これはシャンティーもビビっている。ケンジは、ただのアホじゃないのだ。
 本気に強い。

「やるな……」

 塩太郎も、ケンジの実力に一目置く。
 多分、左目を瞑ってたのは作戦だったのだ。
 左目を閉じてる事によって、相手の攻撃を死角に限定させて、シッカリと敵の攻撃に対処し。しかも、その種明かしを簡単に明かして、相手を油断させる。
 そして、左目を開ける事を勿体ぶって宣言し、敵を左目に集中させたまま、神速の速さで敵をそのまま斬り裂いてしまったのだ。

「やりおる……」

 ムネオまで感心してる。

 だが、やはりみんな勘違いしてる。
 ケンジが左目を閉じてたのは、何度も言うが、ただ左目を閉じてるのが格好良いと思ってるだけで、薄目を開けてる種明かししたのは、話の流れでうっかり話してしまっただけ。
 しかも、たまたま左目を開けた時に、パティムが集中してケンジの左目を見ていた為に、有り得ないほど隙だらけだったので、思わず斬り裂いただけであったのだ。

 そもそもアホなケンジに、そんな高等な駆け引きなど出来ないのである。

「強いのは認めるけど、たまたまでしょ」

 ただ1人。シャンティーだけは、本当のケンジの実力が分かってたのであった。

 そして、異界の悪魔パティムを倒したそのままの勢いで、『犬の肉球』の面々プラス、メリルとケンジは2階へと上がる。

 そこには、パティムより格下と思われる異界の悪魔がウヨウヨと居た。

「チッ! 多過ぎる」

 塩太郎は、舌打ちを打つ。

「任せて」

 メリルが、無詠唱巨大魔法を放って、敵をぶっ飛ばす。
 そして、塩太郎とケンジもそれに合わして、倒れてる異界の悪魔にトドメを刺して行く。

 やはり、メリルも凄い。
 というか、魔法がえげつない。
 流石は、ガブリエルを元に作られたGデーモンだけの事はある。

 塩太郎、メリル、ケンジ3人のアタッカーにより、モブ異界の悪魔を次々に斬り裂いていく。

「見えてきたぞ!」

 塩太郎は、3階へと続く階段を見つける。

「そのまま、ベルゼブブか居る最上階へ突き進むわよ!」

 シャンティーが、調子に乗り先頭を突き進む。

「お前、前に出過ぎ!」

 塩太郎が慌てて、シャンティーを捕まえる。塩太郎達は、簡単に異界の悪魔達を斬り裂いてるように見えるが、それは幻想なのだ。実際、下っ端であっても異界の悪魔は強い。

「そしたら、アンタがスピード上げなさい!」

「お前、アホだろ!」

「アンタなら、出来るわよ! アンタは私が選んだ『犬の肉球』のアタッカーなのよ!
 それなのに、助っ人になんかに負けてるのなんて、許さないんだから!」

 確かに、塩太郎の異界の悪魔討伐人数は、メリルとケンジより、少し劣っている。
 それは、一応、シャンティーとムネオを守りながら動いてたからであって、メリルやケンジのように自分勝手に動けば、もっと倒せる自信があるのだ。それを見透かして、シャンティーは塩太郎にハッパを掛けてるのである。

「ああ。そんじゃあ、そろそろ本気を出すぜ!」

「ええ! 私の事はムネオに任せとけばいいから、絶対に、メリルとケンジより討伐数を稼ぎなさいよ!」

「ああ。京の都で、伝説の人斬りと恐れられた俺様の実力を見せてやるぜ!」

 塩太郎は、抜き身の刀を目の前横に構えて、精神集中した後、闘気を漲らせ、敵をゴボウ斬りしながら、一気にメリルとケンジの前まで飛び出したのであった。
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