157 / 166
157. ベルゼブブ攻略レイド(9)
しおりを挟む「フフフフフ。異界の悪魔よ。私に恐れをなしているな」
アホなケンジが、なんか悦に入っている。
まあ、ケンジだけ全く攻撃されてないので、勘違いするのも当然かもしれないけど。
「誰が恐れをなしてるって!」
パティムが、突然左目を閉じてるケンジの死角から斬り掛かったが、ケンジは普通に避ける。
「なっ?!」
「フッ。たわいも無い」
ケンジは増長する。
「クッ! やはり警戒してた通りだったか」
パティムが、勝手に納得してる。
「フフフフフ。私には見えてるのだよ。この左目にシッカリと、お前の動きがな」
ケンジは閉じた左目を触りながら、ドヤ顔で答える。
「魔眼の類いか?」
「フフフフフ。ただ薄目開けてるだけだ」
アホなケンジが、答えを明かしてしまう。
「何?アイツ……本当にアホなの……何で種明かししちゃうのよ!
目が細すぎて、目開けてるかどうか、折角分からなかったのに、何で自分から話しちゃうのよ!」
なんか、シャンティーがアホ過ぎるケンジに相当怒っている。
「クッ! 警戒し過ぎだか……」
完璧に騙されてたパティムも、ちょっと反省してる。もしかしたらパティムもアホなのかもしれない。
「フフフフフ。騙されたな。しかし、私がこの左目をシッカリ見開いた時、私の前に立つ全ての敵は斬り裂かれるのだよ」
ケンジは、勿体ぶって、薄目で見てた左目をカッ!と見開く。
そして、その瞬間。神速で動き、ケンジの目の前にいたパティムを、スパンッ!と、真っ二つに斬り裂いた。
「なっ……」
パティムは、惚けた顔をしたまま、バタリと倒れる。
「今宵の白蜘蛛ver.5も、良く斬れる」
ケンジは、ウットリと白蜘蛛ver.5の刀身を見つめて、股間を膨らますのであった。
「何……アイツ……何者?」
流石に、これはシャンティーもビビっている。ケンジは、ただのアホじゃないのだ。
本気に強い。
「やるな……」
塩太郎も、ケンジの実力に一目置く。
多分、左目を瞑ってたのは作戦だったのだ。
左目を閉じてる事によって、相手の攻撃を死角に限定させて、シッカリと敵の攻撃に対処し。しかも、その種明かしを簡単に明かして、相手を油断させる。
そして、左目を開ける事を勿体ぶって宣言し、敵を左目に集中させたまま、神速の速さで敵をそのまま斬り裂いてしまったのだ。
「やりおる……」
ムネオまで感心してる。
だが、やはりみんな勘違いしてる。
ケンジが左目を閉じてたのは、何度も言うが、ただ左目を閉じてるのが格好良いと思ってるだけで、薄目を開けてる種明かししたのは、話の流れでうっかり話してしまっただけ。
しかも、たまたま左目を開けた時に、パティムが集中してケンジの左目を見ていた為に、有り得ないほど隙だらけだったので、思わず斬り裂いただけであったのだ。
そもそもアホなケンジに、そんな高等な駆け引きなど出来ないのである。
「強いのは認めるけど、たまたまでしょ」
ただ1人。シャンティーだけは、本当のケンジの実力が分かってたのであった。
そして、異界の悪魔パティムを倒したそのままの勢いで、『犬の肉球』の面々プラス、メリルとケンジは2階へと上がる。
そこには、パティムより格下と思われる異界の悪魔がウヨウヨと居た。
「チッ! 多過ぎる」
塩太郎は、舌打ちを打つ。
「任せて」
メリルが、無詠唱巨大魔法を放って、敵をぶっ飛ばす。
そして、塩太郎とケンジもそれに合わして、倒れてる異界の悪魔にトドメを刺して行く。
やはり、メリルも凄い。
というか、魔法がえげつない。
流石は、ガブリエルを元に作られたGデーモンだけの事はある。
塩太郎、メリル、ケンジ3人のアタッカーにより、モブ異界の悪魔を次々に斬り裂いていく。
「見えてきたぞ!」
塩太郎は、3階へと続く階段を見つける。
「そのまま、ベルゼブブか居る最上階へ突き進むわよ!」
シャンティーが、調子に乗り先頭を突き進む。
「お前、前に出過ぎ!」
塩太郎が慌てて、シャンティーを捕まえる。塩太郎達は、簡単に異界の悪魔達を斬り裂いてるように見えるが、それは幻想なのだ。実際、下っ端であっても異界の悪魔は強い。
「そしたら、アンタがスピード上げなさい!」
「お前、アホだろ!」
「アンタなら、出来るわよ! アンタは私が選んだ『犬の肉球』のアタッカーなのよ!
それなのに、助っ人になんかに負けてるのなんて、許さないんだから!」
確かに、塩太郎の異界の悪魔討伐人数は、メリルとケンジより、少し劣っている。
それは、一応、シャンティーとムネオを守りながら動いてたからであって、メリルやケンジのように自分勝手に動けば、もっと倒せる自信があるのだ。それを見透かして、シャンティーは塩太郎にハッパを掛けてるのである。
「ああ。そんじゃあ、そろそろ本気を出すぜ!」
「ええ! 私の事はムネオに任せとけばいいから、絶対に、メリルとケンジより討伐数を稼ぎなさいよ!」
「ああ。京の都で、伝説の人斬りと恐れられた俺様の実力を見せてやるぜ!」
塩太郎は、抜き身の刀を目の前横に構えて、精神集中した後、闘気を漲らせ、敵をゴボウ斬りしながら、一気にメリルとケンジの前まで飛び出したのであった。
3
お気に入りに追加
235
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界の剣聖女子
みくもっち
ファンタジー
(時代劇マニアということを除き)ごく普通の女子高生、羽鳴由佳は登校中、異世界に飛ばされる。
その世界に飛ばされた人間【願望者】は、現実世界での願望どうりの姿や能力を発揮させることができた。
ただし万能というわけではない。
心の奥で『こんなことあるわけない』という想いの力も同時に働くために、無限や無敵、不死身といったスキルは発動できない。
また、力を使いこなすにはその世界の住人に広く【認識】される必要がある。
異世界で他の【願望者】や魔物との戦いに巻き込まれながら由佳は剣をふるう。
時代劇の見よう見まね技と認識の力を駆使して。
バトル多め。ギャグあり、シリアスあり、パロディーもりだくさん。
テンポの早い、非テンプレ異世界ファンタジー!
*素敵な表紙イラストは、朱シオさんからです。@akasiosio

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~
味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。
しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。
彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。
故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。
そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。
これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる