職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました

飼猫タマ

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154. ベルゼブブ攻略レイド(6)

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「オラオラオラオラオラ! どうしたよ!」

「我が神シロ様が打った白蜘蛛ver.5に、斬れぬもの無し!」

『鷹の爪』アムルー支部のラインハルトとケンジが合流して、塩太郎側も息を吹き返す。

 そして、

「遅れて、申し訳ございません」

 スパン!

 聖剣エクスカリバーを持ったメリルも登場する。

「来たわね」

 ガブリエルが、異界の悪魔を叩き斬ったメリルに話し掛ける。

「はい。今度こそ、サイト様を殺したベルゼブブを殺してみせます!」

 メリルの体から、禍々しい赤黒い闘気が燃え上がる。

「チッ! 俺だけ、まだ、異界の悪魔を一匹も殺せてねー!」

 塩太郎は焦る。わざわざ日本から助っ人に来た筈なのに、全て美味しい所は、後からやってきたメリルとラインハルトとケンジにかっ攫われてしまったのだ。

「メリル達が来たお陰で、異界の悪魔達が分散されたわよ!
 相手は、ガブリエルやブリトニーより一段劣るアンタを集中して攻撃してたから、これからはもっと自由に動けるわよ!」

 シャンティーが、冷静に指摘する。
 確かに、塩太郎は、今まで一度に10匹程度と戦っていたのに、今は目の前に3匹しかいない。

 これなら、確かにいける。

 塩太郎は相手に揺さぶりをかける為に、左右に激しい動く。
 そして、盾役のムネオの後ろに隠れた瞬間。ジャンプし、異界の悪魔が左右のどちらかから塩太郎が出てくると思い込んでる隙をつき、異界の悪魔の上空から頭めがけて兜割り!

 ズザン!

「ヨッシャー! やっと1匹目!」

 やっとこさ、塩太郎も1匹異界の悪魔を倒す事に成功した。

「メテオストライク!」

 塩太郎が安心した所で、再びガブリエルが極大魔法を放つ。

 ダンジョンの中だというのに、上空が薄暗くなり、何百もの魔法陣が浮かび上がり、そして、再び巨大な隕石が何百発も地面に向けて降り注ぐ。

「アイツ! 滅茶苦茶じゃねーか!」

「流石に、アレを食らったら、異界の悪魔もノーダメージとはいかないから避ける筈よ! 
 そして、その避けた隙をついて、アンタは異界の悪魔を殺す!」

 シャンティーが無茶な事を言ってくる。

「俺は、アレに当たったら、多分、溶けて消滅しちゃうんだが……」

「当たんなかったら、問題ないでしょ!」

 相変わらず、シャンティーは滅茶苦茶だ。
 というか、多分、ガブリエルの計画も同じなのだろう。

 ガブリエルやブリトニー達も、上空から隕石が落ちると同時に、隕石を避けながら走り回り、異界の悪魔を次々に斬り裂いていく。

「なんちゅースピードしてやがんだ! 化物かよ!」

「アンタも、喋ってないで行く!」

 シャンティーにシリを叩かれ、塩太郎も隕石が雨のように降り注ぐ、地獄絵図のような空間に飛び込み、異界の悪魔をまるで辻斬りでもするように斬り裂いていく。

「ウワッ! チョチョチョ!ストップ! ストップ!」

 一段、スピードが劣るラインハルトは、急いで後退して、ムネオの大盾の下に隠れる。

 そして、メリルとケンジはというと、余裕綽々で、隕石を避けながら、異界の悪魔を倒しまくってる。

「アンタ! 同じ侍として、ケンジに負けて悔しくないの!」

 シャンティーが、ムネオの大盾に守られながら、塩太郎に喝を入れてくる。

「あの侍! どう考えても動きがおかしいだろ!
 京都でも、あんな化物じみた動きと、剣筋を見せる奴、見た事ねーよ!」

 そう。ケンジはヤバいのだ。
 相当修羅場も潜ってると思うが、天性の持ってるモノがまるで違う。天才の中の天才。
 塩太郎も、新撰組の沖田総司や河上彦斎など、剣の天才をたくさん見てきたが、そんな天才達を軽く越える天才。
 思わず見惚れてしまう程、剣筋は美しく、優雅。真っ白な着流しも返り血を浴びる事もない。

「くそー! 上には上がいるという事かよ!」

 塩太郎は、自分の才能の無さに思わずジェラシーを感じてしまう。

「何言ってんの! アンタも十分凄いわよ!」

 そう。塩太郎の目には、ケンジが凄く見えたのかもしれないが、シャンティーや他の者の目から見たら、塩太郎もまた凄まじいのだ。
 剣筋は、少しだけケンジの方が優雅かもしれないが、塩太郎の剣は鋭角的で、ある種の芸術。必殺の居合斬りなどは、あまりの美しさに、みんな暫く見惚れてしまうほど。
 しかも、塩太郎が発する覇気と鋭すぎる殺気は誰にも真似出来ない。
 血生臭い幕末京都で生き抜いて来た、塩太郎にしか出せな鋭さなのであった。

「安心しなさい! 私から見たら、塩太郎! アンタの方が凄いから!
 アンタは、この天才の私が選んだ名門『犬の肉球』のアタッカー!
『鷹の爪』アムルー支部くんだりの、ロートルアタッカーなんかに、決して劣る筈ないんだから!」

 シャンティーは、ムネオの大盾から飛び出し、大声で、塩太郎にもケンジにも聞こえる声で言い放った。
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