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151. ベルゼブブ攻略レイド(3)
しおりを挟む圧倒的な戦力。塩太郎的に、何で冒険者側が負け続けてきたのか全くわからない。
しかし、この流れが、一瞬にして終わる。
ベルゼブブの城から、見覚えのある異界の悪魔と、もう1人どう考えてもヤバそうな闇の魔力を纏う異界の悪魔が現れる。
そして、その闇の魔力を纏う悪魔が、
「第9階位闇属性魔法、ワールドカーズ」
と、唱えると、
上空に巨体な魔法陣が現れ、そして、何やら禍々しいモヤのような霧を発生させた。
すると、
「ギャアアーー!」
「スパン!」
「止めろー!」
「俺は味方だーー!」
レイドに参加してた冒険者達が、同士討ちを始めてしまう。
「おい! なんかやべーぞ……」
「サルガタナスの他にも、大物が出て来たわね……」
シャンティーは、どうやら異界の悪魔サルガタナスの隣にいる、どう考えても禍々しい魔力を纏う異界の悪魔を知っているようである。
「アスタロト……」
エリスが呟く。
「名前は、分かったけど、この状況どうするんだよ!
なんか、同士討ちしてるんだけど!」
「闇属性に耐性の無い者や、聖属性を持たない者達が、味方が敵に見えてしまう呪いに掛けられたのよ!」
「で、何で俺達は大丈夫なんだよ!」
「勇者は、状態異常無効スキルを備えてるのと、私とエリスは、巨大な聖属性そのものだから、全く効かないわ!」
「で、カブリエル達、『犬の尻尾』の連中は?」
「あの子達は、そもそも大魔王だし、何故かゴトウ・サイトが勇者職業も持ってたから、全く効いてないわね……」
「大魔王って、こっちが悪者みたいじゃねーかよ!」
ヨナンは、思わずツッコミを入れる。
「そもそも、異界の悪魔って、ダークエルフのガブリエルの先祖が、この世界に召喚した異界の悪魔達だから、実際の大親玉は、ガブリエルみたいなもんなのよ!」
「カブリエルの先祖が元凶かよ!」
まあ、異界の悪魔アマイモンが、こっちの味方でも有るんで、想像はついてたんだけど。
「エリス!」
シャンティーが声をかける。
「分かってる!」
エリスは、大量のエリスポーションを取り出し、1人1人呪いに掛かってる者に、召喚した翼のある精霊達を使って、エリスポーションを振り掛け呪いを解いていくが、それでも、全然埒があかない。
「人海戦術かよ!」
「仕方が無いでしょ! 異界の悪魔が使う闇魔法は強力なの! 強い光の魔素を凝縮させたエリスのポーションでしか、あの呪いは絶対に解けないわ!」
「じゃあ、どうするんだよ!」
「元凶を叩くしかないわね!」
「だな!」
だが、塩太郎達が動く前に、既に、剣姫ハラダ・ハナと『鷹の爪』が、動いている。
「サルガタナス! 現ジゲン流当主、剣姫ハラダ・ハナが、お前を倒し、先祖の無念を晴らす!」
剣姫ハラダ・ハナは、既に刀を抜き、サルガタナスと向き合っている。
「チッ! サルガタナスは、ハナが殺るって言ってたな。じゃあ、俺達はアスタロトの方か!」
しかしながら、アスタロトの前には、いつの間に出て来たのか、他の異界の悪魔が、わらわら出て来ている。
「やられたわね! アスタロトは狡猾よ!
そう簡単には、殺せないわよ!
一応、異界の悪魔の中では、アマイモンと同格。そして、ベルゼブブの軍団のNo.2に付けてる実力者なんだから!」
物知りシャンティーが、手短に解説する。
「アイツ、アマイモンと同格なのかよ!」
「そうよ!ハッキリ言うと、同格以上ね!」
シャンティーと話してるうちに、既に、混戦になってしまっている。
異界の悪魔を倒せるのは、聖剣を持ってる者達だけ。
そして、聖剣を持ってる者をフォローするのが、それ以外の者達なのだが、既に、アスタロトのカーズ魔法で、大半が呪いに掛けられて大混乱。
現在、必死にエリスが精霊を引連れてカーズ解除に当たってるが、そもそもこのベルゼブブ攻略レイドに参加してる者達は実力者ばかり、簡単にカーズを解かせてくれないのだ。
「塩太郎よ! われらも行くぞ!」
ムネオが、大盾を持ち、塩太郎に声を掛ける。
「ああ!殺ったるぜ!」
塩太郎は、気合いを入れる。
「塩太郎! 分かってる。私達はスリーマンセルで戦うの! ムネオが防御、私が、HP MP管理と、魔法で牽制、そして、聖剣をもってる塩太郎、アンタが異界の悪魔を叩き斬るのよ!」
「分かってるって!」
塩太郎達のチームも、異界の悪魔軍団の中に突撃する。
既に、大混戦。ガブリエルやブリトニーやアン達のような超実力者でも、異界の悪魔達は簡単に倒せない。
しかも、何百人もいる異界の悪魔に致命的なダメージを与えられ者は、聖剣を持ってる者だけ。
つい先程まで、圧倒的有利だったのに、異界の悪魔達の登場で、簡単に戦況を覆えさせられてしまった。
ガキン! ガキン! ズドーン!ガシャン!
「チッ! 簡単に殺せねーのかよ!」
異界の悪魔は、体術、剣術も長けている。しかも、即死級の魔法まで放ってくるのだ。
「塩太郎!もっと、ワシを使え!」
ムネオが、塩太郎に叫ぶように声を掛けてくる。
何故なら、塩太郎は、1人前に出て、異界の悪魔に囲まれて戦っていたから。
「チッ! 分かったよ。ちょっと異界の悪魔の実力を確かめてただけだ」
塩太郎は、一旦、ムネオを大盾の後ろに隠れる。
「アンタ、何やってんのよ! 異界の悪魔を舐め過ぎよ!」
「分かってんよ! ただ、試してみただけだろうがよ!」
「アンタ! ガブリエルを見なさい! カブリエルだって、アンを盾にして戦ってんでしょ!」
確かに、カブリエルもアンを盾にして、ペロの魔法の速射砲牽制代わりにして、異界の悪魔と戦っている。
「アッチは、見習わなくていいのか?」
ブリトニーは、子飼いの『カワウソの牙』の面々を、盾にというか、踏み台にして戦っていた。
完全に、人を消耗品のようにして扱っている。
「あんなの私達に出来る訳ないでしょ!
『カワウソの牙』は、厳しいブリトニーの可愛がりで鍛えられてるのよ!
奴らはゴキブリ並の生命力で、首だけになっても生き残るほどのタフガイ達よ!
アレを、私達にヤレっていうなら、塩太郎、アンタ鬼畜よ!」
「確かに……」
兎にも角にも、現在、異界の悪魔を倒せるのは、聖剣を持ってる塩太郎とガブリエルとブリトニーとハナの4人だけ。
やはり、圧倒的にベルゼブブ軍の方が優位である。
しかも、ベルゼブブ軍の方は、未だに大将のベルゼブブが姿さえも表していない。
「というか、聖剣エクスカリバーをゲットしたメリルは、何でまだ来てねーんだよ!」
塩太郎は、今更ながら、メリルが姿を見せていない事に気付いた。
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