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149. ベルゼブブ攻略レイド(1)
しおりを挟む塩太郎達一行は、聖剣エクスカリバーを手に入れると、予定通りアムルーダンジョンを後にした。
帰りは結構楽チンで、アナスタシアだけが知ってる移転ゲートを使うと、普通にアマイモンの居城に転移出来たのである。
「おやおやおやおや!もう帰ってきたのですか! 聖剣エクスカリバーも手に入れたみたいで、良かったですね!」
相変わらず、派手な80年代イタリアスーツを着ているアマイモンが褒めてくれる。
「これで、やっとサイト様を殺した異界の悪魔ベルゼブブを斬れる」
メリルは、アナスタシアから受け取った鞘から、聖剣エクスカリバーを抜く。
その輝きは、何故か、エリスが持つより、全く輝やかないのはお約束。
「まあ、頑張って下さいよ!一応、ベルゼブブは、私の同胞なので、これ以上は助ける事は出来ませんが、私ができうる事はした筈ですから!
ガブリエル姫様にも、アマイモンは頑張ったと伝えて下さい!
そして、トイレ掃除以外の仕事にグレードアップさせて下さいと伝えて下さいね!」
アマイモンは、テンション高めにお願いしてきたのだった。
ーーー
そして、ついに聖剣も数が揃い、全て準備も整い、ベルゼブブ攻略レイドの日がやってきた。
作戦は簡単。聖剣を持つ者達が、異界の悪魔を狙い、『犬の尻尾』『犬の肉球』『カワウソの牙』の3つの冒険者パーティーは、聖剣を持つ者達のフォロー。
それ以外の者達は、異界の悪魔以外の魔物を殲滅。
そして、異界の悪魔サルガタナスに因縁がある、ハラダ家出身の剣姫ハラダ・ハナと、『鷹の爪』だけは、異界の悪魔サルガタナスとその部隊を狙う作戦となった。
ーーー
異界の悪魔ベルゼブブの本拠地、通称666ダンジョン前。
そこに、冒険者ではないメリル以外のベルゼブブ攻略レイドに参加する上位冒険者、冒険者パーティーが勢揃いしている。
「みなさん。今日という日を、私達の悲願を達成する良き日としましょう」
ベルゼブブ攻略レイド大将と任命された『犬の尻尾』団長ガブリエルが、短く、力強く挨拶する。
冒険者ギルドは、今まで約300年の間、異界の悪魔ベルゼブブに敗れてきた。
その戦いで死んでいった者。約8000人。何度も挑戦し、何度も敗れ続けてきた。
元々、ガブリエルの個人的な恨みだったかもしれないが、今や、異界の悪魔ベルゼブブを倒す事こそが、冒険者ギルドの積年の悲願になっているのである。
「それじゃあ、行くニャ!」
切り込み隊長のサディスティックサイコにゃん娘ブリトニーが号令を掛ける。
「「オオオオォォォォーー!!」」
その号令に、このレイドに参加する200人が呼応する。
そして、ガブリエルのペットである神獣ケルベロスのペロが先頭を走り、一気にベルゼブブの居城がある最下層まで、駆け抜ける。
鼻が効くペロは、最短距離で下層を下る階段を探し当て、3つある頭から繰り出す3種類の属性魔法を、それぞれの敵の弱点である属性の魔法をマシンガンのように連射し、高速移動していくのだ。
「シャンティー! あの犬っころ、スゲーぞ!」
「まあ、アレが、黒龍、赤龍アリエッタに次ぐ、3番手に付ける神獣だから当然よ!
あのペロのお陰で、『犬の尻尾』は、何もする事なく、冒険者ギルドランキングを常に5位を保ってるんだからね!」
シャンティーが、必死に飛びながら端折って説明する。
「何だ?それ?」
「最近では、毎日、『犬の尻尾』の一番下っ端のハナが、ペロのストレス発散の為に、ダンジョンに散歩に連れてってるだけだという話だけど?」
「あの犬っころの散歩をするだけで、冒険者ギルドランキング5位になれちゃうのかよ?!」
「まあ、それが今の『犬の尻尾』の実力よ!」
塩太郎は、生唾を飲み込む。
だって、どう考えても塩太郎は、ペロに勝てないし。あのマシンガンのように神級の魔法を飛ばしてくるのは、どう考えても反則だし。
そしてそんな感じで、有り得ない速さで進む事、3時間。
ついに、ベルゼブブの居城がある階段フロアーに到着したのだった。
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