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148. 聖剣エクスカリバー

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「そ……そうなのか……」

 アムルー冒険者ギルド長ブルースは、アムルーダンジョンの魔王が、大悪魔アマイモンだと聞いて引き攣る。

「アマイモンさんは、ここの住民達を、自分の息子や娘みたいに思ってるみたいですので、別に、貴方達を殺したり、滅ぼしたりはしないと思いますよ」

 メリルが、先程の話に付け加える。

「なるほど……魔王はもう、この国の事を自分の支配領域と思ってるという訳か……」

 なんか知らんが、ブルースはいいように納得した。

 そんなメリルの話を打ち消すように、アナスタシアが、これからの計画をブルースに伝える。

「まあ、取り敢えず、そんな所ね!
 それから、いつものように私達が聖剣を抜いていくのは極秘事項よ!
 悪魔が抜いていくというのは、体裁が悪いから。
 私達も誰からもみつからないよう夜中に聖剣を抜いていくから、ハルマン王国から何か連絡があったら、この手紙を王に渡すようにお願いしておいて!」

「承知した」

 ブルースは、アナスタシアの手紙を受け取る。

「それじゃあ、用事が済んだから、ハルマン王国の王都まで行くわよ!」

 アナスタシアと塩太郎達は、冒険者ギルドで馬車を借りて、そのまま、ハルマン王都の聖剣エクスカリバーがあるという公園に向かったのだった。

 ーーー

 ハルマン王国の王都に到着したのは夜中。

 聖剣エクスカリバーが刺さってるという公園に行くと、本当に岩に、聖剣と思われる抜き身の剣が刺さっていた。

「じゃあ、大丈夫と思うけど抜いて頂戴」

 アナスタシアが、メリルに目配せする。

「ちょっと待って! 私が抜いてみたい!」

 シャンティーがしゃしゃり出て、聖剣エクスカリバーを引っこ抜こうとするが、ピクリともしない。

「くっ! 本当みたいね……聖剣エクスカリバーは、勇者しか抜けないって……」

 いや、『蚊トンボみたいに小さいお前に、そもそも抜ける訳ねーだろ!』と、塩太郎は思ってても言わない。そう、塩太郎も学習してるのである。ここで騒ぐと、とても静かだから声も響いちゃうし。

「なるほど、これがご先祖様が使ってたとい聖剣エクスカリバーか!」

 ムネオが何気に聖剣エクスカリバーに触ると、何やら聖なる光が輝き、そのまま抜けてしまった。

「ムネオ! ちょっと、何抜いてんのよ!空気考えなさい!」

 シャンティーが、ムネオに対して激怒してる。

「しかし、勇者でもないワシが、抜けるとは思ってなかったので……」

 ムネオは恐縮する。

「ムネオ君は、多分、勇者の末裔で勇者因子を持ってたので抜けちゃったのね。
 取り敢えず、また、元に戻しとけば問題ないわよ!
 取り敢えず、その聖剣エクスカリバーが刺さってる岩は、勇者因子を判定する為だけの岩だから、今現在、勇者かどうかは関係ないのよ!」

 アナスタシアが、簡単に説明する。

「じゃあ、俺も!」

 塩太郎も試しに抜いてみると、普通にムネオより光って抜けた。まあ、本物の勇者だから当然だけど。

「じゃあ、私も……」

 エリスが、聖剣エクスカリバーを触ると、誰よりも強烈に光り輝き、何故か簡単に抜けてしまった。

「アレレレレレレ?」

 エリスは、自分がまさか抜けると思ってなかったようで、気が動転してる。

「まあ、エリスさんは、勇者云々じゃなく、強烈な聖なる魔力を纏ってるようなので抜けちゃったみたいね」

 というか、ムネオや塩太郎が抜いた時より、強烈に光り輝いてたので、きっと、一番、聖剣エクスカリバーと相性がいいのかもしれない。

「この後、私が抜くんですか……」

 メリルはとても嫌そうな顔をしてる。
 だって、何故か『犬の肉球』には、聖剣エクスカリバーの適性者がゴロゴロ居るし、メリルは一応、勇者因子を持っているとしても、そもそも悪魔なので闇属性の魔物なのである。

 案の定、メリルが聖剣エクスカリバーを持っても、ムネオよりも暗く光り、当然、先ほど強烈な光を放ったエリスとは、全く違った。

「まあ、抜けたんならいいじゃない!」
「そうよ!普通は、抜けないしね!」

 アナスタシアとシャンティーが、必死にメリルを励ます。

「多分、勇者因子を持ってるGデーモン族なら、誰でも抜けますから……」

 メリルは、相当いじけてる。
 それもこれも、『犬の肉球』の殆どが抜く事が出来て、その誰もが普通の勇者より聖剣エクスカリバーの適性が高過ぎたのが原因なのだ。

 本来、聖剣エクスカリバーを抜ける者が現れたとしても、メリルぐらいの光が標準なのだが、だがそれは、本来の聖剣エクスカリバーの持ち主であるアナスタシアしか、あずかり知らぬ事であったのだった。
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