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147. アムルー冒険者ギルド長ブルース
しおりを挟む「似てねー!て、当然だ!
セドリックと、俺は血が繋がってない。いわゆる、義兄弟って奴だ!
俺とセドリックとケンジは、アムルー城塞都市の孤児院が一緒だったんだよ!」
ブルースは、塩太郎の失礼な突っ込みに対して、丁寧に説明する。
「確かに、京都で見たセドリックとかいう奴、目が真っ赤でメッチャ怖かったけど、超絶イケメンだったからな……」
「俺は、ブサメンで悪かったな!」
「あら? ブルースはブサメンじゃないわよ。どっちかというと、ダンディーなおじ様よ。
だけど、同じハゲでも、こっちのハゲちゃんの方が、ブルースよりダンディーで、イケメンだけど」
アナスタシアが、ムネオを見ながら言う。
なんか、褒めてるようで、ムネオに対して、結構失礼な事を言っている。
まあ、ムネオは元『鷹の爪』であるので、後輩として接してるのかもしれない。
「それはそうと、もう1つ驚かせる事が有るわよ。この子達、実は『犬の肉球』なのよ」
「ん? 何だって!? 『犬の肉球』だと?もしかして、あの伝説の『犬の肉球』の事、言ってるのか!」
ブルースは、興奮気味に捲し立てる。
「ええ! そうよ。聖剣エクスカリバーを、王都の公園の岩から抜いた、伝説の勇者が所属していた『犬の肉球』よ!」
「でも、『犬の肉球』て言ったら、300年以上前に存在した冒険者パーティーだぞ?
その伝説のパーティーが、何故、今頃になって現れるんだよ!」
ブルースが、もっともな疑問を口にする。
「何でも、違う大陸で、活動してたみたいね」
アナスタシアは、一応、嘘は言っていない。
「別の大陸って、そんなの本当に自在してたのかよ!」
アムルーダンジョン冒険者ギルド長のブルースが、滅茶苦茶驚愕している。
「でも確か……『犬の肉球』って、勇者と龍の尻尾が生えた女の2人だけの冒険者パーティーだったと聞いてたような……」
「何でも、赤龍アリエッタは脱退して、今は、勇者の末裔であるこのムネオが、団長として活動してるのよ!」
アナスタシアが、ムネオの背中を、ドン! と叩く。
やはり、ムネオに対してだけ、アナスタシアは距離が近い。
「確かに、伝承では、勇者は褐色の肌で、金髪碧眼のイケメンだったと言われてるが、何故、髪が無いんだ?」
「いや、アンタも無いだろ!」
珍しく、いつもダンディーなムネオが、ブルースに突っ込みを入れる。
同じハゲに、ハゲと言われる事だけは、受け入れられないようだ。
そんな話を黙って聞いていたシャンティーが、ほくそ笑む。
「ふ~ん。ここでも『犬の肉球』は、有名なんじゃない。
アリエッタが、この世界で、『犬の肉球』に所属してたというのは、初耳だけど、存在してたのなら思う存分活用するわよ!」
シャンティーはそう言うと、未だに倒れてるアムルーダンジョン所属の冒険者達の前まで飛んでいって、言い放つ。
「アンタ達! 私達は、伝説の冒険者パーティー『犬の肉球』の一員よ!
今回は、この程度で済んで良かったわね!
これに懲りたら、私達『犬の肉球』を崇め奉りなさい!
そして、私は蚊トンボじゃなくて、光の高位妖精のシャンティー様よ!
今度、間違えて呼んだら、『犬の肉球』の天才軍師でもある私が、アンタらを風魔法でミンチにするから、覚えておきなさい!
それから、壊した椅子と机は、自分達のポケットマネーで弁償するのよ!」
シャンティーは普段より高めに飛んで、高圧的に命令?脅迫したのであった。
「で、その『犬の肉球』様が、わざわざハルマン王国に来たって事は、やっぱり聖剣を手に入れに来たのか?」
「そうよ」
アナスタシアが答える。
「で、聖剣を抜く勇者は、その塩太郎とかいう侍なんだろ?
俺の鑑定スキルで、ソイツが勇者ってのは分かってるんだからな」
どうやら、ブルースは、鑑定スキルで塩太郎のステータスも覗き見してたみたいだ。
「違うわよ。聖剣を抜きにきたのは、このメリルちゃんよ!」
アナスタシアは後ろから、メリルの両肩に手を置く。
「ん?そいつはどう考えても抜けないだろ……。どこからどう見ても、そいつは闇属性の悪魔族だぞ?
そもそも、聖剣は、聖属性を持つ勇者じゃなければ抜けないと言い伝えられてるんだからな」
「この子は、一応、勇者因子を持ってから抜けちゃうのよ!」
「俺の鑑定スキルでは、分からんのだが?」
「それは、メリルちゃんが、ステイタス情報を偽証してるのよ」
「俺は、鑑定スキルA級だぞ!」
ブルースは、自分の鑑定スキルに絶対の自信を持ってるのか、アナスタシアに言い返す。
「そのA級スキルで、昔、シロちゃんの本当のステータスが分からなかったじゃない!」
どうやら、過去にブルースは、シロのステータスを覗き見した事があるようだ。
「ん? という事は、俺が今見てるステータスより、このお嬢ちゃんは強いって事なのか?
強いわね。ケンジ以上よ!」
「嘘だろ……ケンジは本物の天才だぞ……」
ブルースは、本気で驚く。
「それも、ケンジを軽く越える大物よ」
「嘘だろ……なんてこった……悪魔が伝説の『犬の肉球』を従えて、聖剣エクスカリバーを奪いに来たって……ハルマン王国を滅ぼす気かよ……。クソー! 何で、こんな時に限って、セドリックとシロちゃんが居ねーんだよ!」
なんか、アムルー冒険者ギルド長のブルースが、盛大な勘違いしている。
「あの……私、ハルマン王国とか興味ないんで……少しの間だけ、聖剣エクスカリバーを借りに来ただけですので……」
メリルは恐縮しながら、ブルースに話す。
「そ……そうなのか……俺はてっきり……」
ブルースは、バツが悪そうに頭を下げる。
「勘違いするのも無理ないですね。私、悪魔ですので。
でも、私は、他の悪魔と違って、どちらかと言うと良い悪魔なんです」
そう。南の大陸で、Gデーモンは全く悪さをしていないのだ。
悪さをするのは、土着の悪魔と、異界の悪魔だけ。
「まあ、見た目は可愛らしいけどな……けど、伝承によるとアムルーダンジョンを支配している魔王は、悪魔だって話だから、その悪魔が、遂に、この世界を滅ぼしに地上に現れたと勘違いしてしまったんだ」
「ああ。アムルーダンジョンに居る魔王は、アマイモンという大悪魔で間違いないですよ!」
メリルは、ニッコリと微笑みながら、サラッと、アムルーダンジョンの魔王が悪魔のアマイモンだと明かしてしまった。
まあ、多分、秘密じゃなかったから、何も問題なかっただろう。
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