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141. 勇者塩太郎
しおりを挟む火山スライムキングを倒し続け、塩太郎の剣豪レベルがLv.99になり、ついでにシャンティーのエンチャンターを使わずとも、火山スライムキングを倒せるようになった頃、ついに全くレベルが上がらなくなった事も有り、次の階層に進む事となった。
「塩太郎さん。どうやら塩太郎さんに、勇者の職業が生えてるみたいですよ」
突然、メリルが塩太郎に指摘してきた。
「嘘だろ! 勇者って、『犬の肉球』初代団長の職業の、あの勇者かよ!」
塩太郎は、滅茶苦茶驚く。
「嘘でしょ! 塩太郎が勇者になってるですって!」
シャンティーも急いで、自分の魔法の鞄の中から、鑑定魔道具を出して、塩太郎のステータスを確認する。
所属ギルド:『犬の肉球』
名前: 佐藤 塩太郎
職業: 剣豪lv.99、勇者Lv.1
スキル: 闘気、居合斬り一撃、斬撃波、状態異常無効、経験値2倍
力 1000
HP 1700
MP 600
「本当みたいね……勇者固有スキルの状態異常無効と、経験値2倍スキルが追加されてるわ。
まあ、勇者は特別な職業で、レベルが上がりにくいから経験値2倍が付随してくると思うけど、兎に角、速く、第一職業を勇者にしてしまいなさい!
最初は弱くなっちゃうけど、その分、剣豪と同じレベルなら、断然、勇者職業の方が強くなるんだから!」
シャンティーが、勇者ウンチクを披露する。
「えっ? 第一職業って、どうやったらいいんだ?というか、俺、勇者になっちゃうと弱くなっちゃうのかよ?」
「弱くなるのは、最初だけよ! 兎に角、第一職業、勇者になりたいな~と、頭の中で念じなさい!
私が、鑑定魔道具で、職業勇者になってるか確認してあげるから!」
「頭の中で念じればいいんだな?勇者になるって!」
「そうよ!」
『勇者になりたい。勇者になりたい。勇者になりたい……』
塩太郎は、頭の中で勇者になりたいと何度も念じる。
所属ギルド:『犬の肉球』
名前: 佐藤 塩太郎
職業: 勇者Lv.1、剣豪lv.99
スキル: 闘気、居合斬り一撃、斬撃波、状態異常無効、経験値2倍
力 55
HP 90
MP 90
「塩太郎!もういいわよ!アンタ、勇者が第一職業にジョブチェンジ出来てるわよ!
これで、やっと、『犬の肉球』の初代団長に並べたわね!」
「おお! やったぜ! だけど、体がメッチャ重く感じるんだけど?」
「それは剣豪レベルMAXのLv.99から、一気に勇者Lv.1になったからよ」
「おい。俺はこれからどうしたらいいんだよ?
というか、このダンジョンで俺が倒せる敵なんて居ないと思うんだけど……」
「大丈夫よ。私達がアンタの為に、暫くの間、姫プレイして上げるから!」
「だな!確かに、火山スライムキングを倒せば、直ぐにレベルなんて上がるよな!」
塩太郎は納得する。丁度、レベル上げしやすい階層にいるのだ。このまま居座って、レベルを上げてから次の階層に行けばいいだけだし。
「火山スライムキングは無理でしょ。聖剣 村正でしか倒せる気しないし。
まあ、ペガちゃんが居るから、火山スライムなら可能だけど」
「あの、シャンティーさん。時間も押してますので、塩太郎さんのレベルアップは、攻略しながらにしませんか?」
メリルが提案してくる。
まあ、メリル的には、早く聖剣エクスカリバーを手に入れたいのだろう。
「だけど、私達だけで大丈夫かな?アタッカーの塩太郎が使えないんじゃ心配だわ」
少しだけ、シャンティーが心配する。
ただ、戦闘を頑張りたくないだけだと思うけど。
「その点は大丈夫です。塩太郎さんと『犬の肉球』の強化はある程度終わりましたから、この後からの戦闘は、私も加わりますので!」
「メリルも戦闘に加わってくれるなら、何も問題無いわね!
という事で行くわよ! 塩太郎! ムネオの大盾の後ろで、しっかりと隠れておくのよ!」
「エッ!? 嘘、本当にこのまま行くのかよ!」
「アンタ、私に口答えする気?今のアンタなら、私の最弱の初級魔法でも瞬殺できちゃうレベルだという事を分かってる?」
「ですね……」
塩太郎は、シャンティーなら本気で殺りかねないと思い、渋々受け入れたのだった。
ーーー
そんでもって、メリルが塩太郎の代わりにアタッカーに加わり、順調にアマイモンのダンジョンを攻略していくと、一際穏やかで、青い空が広がる緑の草原ステージに辿り着いた。
「ハア~。なんか、ここの階層、やたらと空気が爽やかね」
シャンティが深呼吸しながら、草原ステージを見渡す。
「おい! アッチに山も見えるぞ!」
「本当ね。山も湖も見えるわね」
「ていうか、スライムが居るぞ!」
「ええ。それは普通のスライムね」
「何で、いきなり、普通のスライムなんか居るんだ?」
そう、ここは最凶のアマイモンダンジョン。普通のスライムなど似つかわしくないダンジョンなのである。
「アッチには、ポイズンスライムも居るわね」
「毒が面倒臭い奴な。だけど状態異常無効スキルを持ってる、今の俺なら敵じゃないぜ!」
やっとこさ、自分のレベルにあった敵を見つけて、塩太郎はルンルン気分で、ポイズンスライムを一刀両断する。
「やっと勇者になってから、初めて自分の力で敵を倒してやったぜ!」
「ええ。良かったわね! というか、今、メタルスライムが居たわよ!」
「エッ! 嘘だろ!?」
「メタルスライムなら、今のアンタのレベルでもギリギリ倒せるわよ!」
「だな!!」
塩太郎は、メタルスライムが居たという湖が有る方向に走りだす。
「うわ! 今度は激レアのはぐれメタルまで居るわよ!」
「なんだそいつは!」
塩太郎は、走りながらシャンティーに尋ねる。
「火山スライム程じゃなくても、経験値をたくさん稼げるスライムよ!」
「何だと!」
「だけど、アンタの今の実力じゃ倒すのは無理ね!」
「嘘だろ……」
塩太郎は、一気にヤル気を失う。
「てっ!? 今度は、メタルキングが居たわよ!」
「何それ?」
「火山スライムより、少し劣るスライムね。見た目は、火山スライムキングと一緒よ!」
「そいつも、俺が倒すのは無理なんだよな……」
「まあね。だけど、このダンジョンは凄いわよ! 火山階層と同じく、どうやらこの階層はスライムの階層みたね!
しかも、色んなスライムが同居してる階層みたいだから、経験値が稼げる見た事もないスライムが居るかもしれないわよ!」
「また、火山スライムキングみたいなヤバい奴が居るのかよ?」
「アンタ、知らないの、スライムの種類の中には、経験値の他に、お宝を落とすレアなスライムが居るって!!」
「お前、まさか、お宝目当てかよ!」
「え? 何? お宝目当てで何が悪いっていうのよ?
お宝探しが、そもそも冒険者の本文じゃなくて?」
シャンティーは、悪びれることなく、塩太郎に言い放った。
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