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140. 火山スライムキング(3)
しおりを挟む「そしたら、今日こそ火山スライムキングを倒すわよ!」
シャンティーが、鼻息荒く指示を出す。
昨日、殺られたばかりだけど、『犬の肉球』の軍師シャンティーには勝ち筋が見えているようである。
「本当に、あんなの倒せるのかよ?」
「多分、アンタの聖剣村正なら倒せるわ!
だって、聖剣は何でも倒せる剣と言われてるぐらいだから!」
「俺の聖剣頼りかよ!」
「なんか文句ある?」
「いや、無いけど」
「今回は、ちゃんとエンチャンターをたっぷりかけて上げるから、スピードに目がついていかないということは無いと思うわよ!」
「目がついてきても、体が火山スライムキングのスピードついていけるかは分かんないけどな……」
「それは、気合いでなんとかしなさい!」
「気合いかよ!」
確かに、気合いでなんとかするしかない。
だって、絶対の自信を持ってた必殺の居合斬りが破られたのだ。
気合い以外に何を頼る?
神にでも頼るのか?
全く、神なんて信じてないのだけど。
まあ、兎に角、やるしかないのである。
「塩太郎居たわよ」
火山スライムキングの縄張り、活火山の中腹辺りで、居眠りしてる火山スライムキングを見つける。
「寝てるな……」
「ああ。寝てるわね」
「前も、寝てる時攻撃して殺られたな……」
「じゃあ、起こしてから戦う?」
「いや、止めとく」
「だったら、ありったけのエンチャンター掛けるわよ!」
「ああ」
シャンティーは、攻撃力3倍、素早さ3倍、防御力3倍、HP3倍、MP3倍、運3倍、力3倍、状態異常無効、アンチ魔法のエンチャンターを掛けてくれた。
「なんか、やれそうな気がしてきた」
「ちゃんと、スピード対応できるように、炎耐性だけじゃなくて、スピードアップの為に風属性の闘気を纏いなさいよ!」
「分かってるって!」
「じゃあ、行ってきなさい!」
「おおよ!ていうか、お前達は行かないのかよ?」
「あんな速い魔物の近くなんかに近付ける訳ないでしょ!あんなデッカイ肉饅頭なんかにぶつかられたら、か弱くて小さい私なんか、ペッチャンコに潰れちゃうわよ!」
「確かに……」
塩太郎は納得する。シャンティーが蚊トンボみたいに潰れる姿が想像できちゃったのでしょうがない。
塩太郎は、昨日、同様に居合いの構えを取り、ジリジリと火山スライムキングとの間合いに近づいていく。
結局は、必殺の居合斬り頼り。
だって、居合斬りが一番自信があって、塩太郎の中で一番速い攻撃手段だからしょうが無い。
「というか、俺が昨日殺られた個体と、同じ個体だよな……コイツ、どんだけ眠ってんだ……」
塩太郎は、この世界に飛ばされて1人でダンジョンでさまよっていた時に身に付けた、得意の独り言を呟きながら、少しづつすり足で、慎重に間合いににじり寄る。
「後、半歩……」
塩太郎が、火山スライムキングとの間合いに入った瞬間!火山スライムキングが、パッ!とまん丸の目を見開く。
塩太郎も、火山スライムキングが、目を見開いた瞬間には、既に居合い斬りのモーションに入っている。
『いつもより速く! そして、いつもより一歩深く踏み込むんだ!』
塩太郎は、村正を火山スライムキングに向けて振り抜きながら、頭の中で呪文のように自分に言い聞かせる。
『速く! より速く! そしていつもよりも、一歩、二歩分より深く踏み込め!』
火山スライムキングは、昨日より鋭く速い塩太郎の踏み込みに気付いて、昨日より、より遠くに下がろうとする。
しかし、塩太郎の踏み込みは、更に速く、更に深く、火山スライムキングのスピードを凌駕し、そのまま、
スパン!
火山スライムキングを、魔核ごと真っ二つに斬り裂いた。
その瞬間、
ティッティティティ~ン!
剣豪レベルがLv.67になりました。剣豪Lv.68になりました。剣豪Lv.69になりました。
「うっひょー! 最近、全く上がんなかったレベルが3つも上がったぜ!」
塩太郎は、あまりの嬉しさに小躍りする。
まあ、殺された相手にリベンジできた事と、レベルが上がった事と相まって。
「私も、レベルが2つも上がっちゃったわ!」
「ワシは3つじゃな」
「私は1つ!」
「私も、1つだけ上がりました。レベルが上がったのは、10年ぶりですね」
どうやら、シャンティーもムネオもエリスも、ついでにメリルも、塩太郎が火山スライムキングを倒した事によりレベルが上がったようである。
「やっぱり、火山スライムキング、美味しいわね!
私のエンチャンターが切れる前に、ジャンジャン、火山スライムキングを倒してしまいなさい!」
何故か、シャンティーが、鼻息高く塩太郎に命令した。
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