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138. 火山スライムキング
しおりを挟む「ヒヒ~ン!」
ずっと、ペガちゃんのターン。
神獣ペガサスのペガちゃんは、即死魔法で次々と火山スライムを倒していく。
「即死魔法って、反則だよな……こんなの剣の修行する意味無くなんだろ……」
塩太郎は、ペガちゃん無双に驚嘆する。
「流石のペガちゃんの即死魔法も、同じ神獣である赤龍アリエッタや、ガブリエルのペットのケルベロスのペロには効かないわよ」
塩太郎の独り言に、シャンティーが答える。
「でも、人間には効くんだろ?」
「まあ、ガブリエルやブリトニー、アン、メリルとかの強者には効かないけど、普通の人間には効くわね」
「俺に効くかな?」
「アンタの場合は、半々ね。効く時は効くし、闘気で武装すれば、もしかしたら跳ね返せるかもしれないわよ」
「本当かよ!」
「まあ、私がアンチ魔法のエンチャンター掛ければ、闘気も使わなくても弾き返せちゃうんだけど」
「お前のエンチャンターって、何でも有りだな」
「まあ、なんてたって、私は超上級精霊だから当然ね!
伊達に、幾千もの上級精霊を使役して、神獣まで使役してる、精霊アイドル エリスの筆頭使い魔をやってないからね!」
シャンティーは、無い胸を張りエッヘンとする。
「それって、エリスがスゲーて事じゃないのか?」
「エリスは、勿論、凄いけど、私も究極凄いのよ!」
「性格の悪さが凄いのか?」
「アンタ、一度死んどく?」
「遠慮しとく……」
てな話をしながら、簡単にはレベルが上がらなくなってきて、日が暮れて辺りが暗くなってきた頃。離れて行動してたメリルが戻ってきた。
「アチラに見える山に、火山スライムキングという火山スライムの上位種がいましたので、明日は火山スライムキングの討伐をするといいかもしれません」
「いいわね! もう、火山スライムじゃレベルが上がらなくなってきたから、丁度いいわ!」
どうやら、シャンティーも乗り気のようである。
てな感じで、次の日。
メリルを先頭に、火山スライムキングが居るという活火山に登る。
「メリル、お前が居て、火山スライムキングは逃げねーのかよ?」
塩太郎は気になり、メリルに質問する。
「安心して下さい。昨日確かめましたが、火山スライムキングは、私程度が居ても逃げ出しませんでした」
「それは、結構、強いという事じゃねーのか?」
「強いですね」
メリルは、事も無げに答える。
「大丈夫よ! 私達にはペガちゃんが居るから、瞬殺よ!」
シャンティーは、自信満々に言い放つ。
「他力本願だな」
「アンタも、楽できていいでしょ!
アンタなんか、結局、一匹も火山スライム倒してないんだから!」
「うっせいやい! 今のレベルが上がった俺なら楽勝なんだよ!
いつの間にか、火山スライムの動きを目で追えるようになってたし!」
「やっぱり、ペガちゃんのお陰じゃない」
「まあ、それはそうだけどな……」
流石の塩太郎も、それは認めるしかない。
だって、現在の塩太郎のレベルは66。
一気に、三倍近くレベルが上がったのだから。
とか、話しながら歩いていると、
高さにして、2メートル。横幅も2メートル。
ズングリムックリとしたまん丸のスライムが塩太郎達の前に現れた。
「アイツが、火山スライムキングかよ?」
「ですね」
メリルが頷く。
「というか、アイツ、寝てねーか?」
「寝てますね……」
そう。火山スライムキングは、鼻ちょうちんでグッスリ眠っていたのである。
「俺が倒していいか?」
「折角、寝てるんだから、ペガちゃんの即死魔法で殺した方がいいでしょ。
アンタが、刀を突き刺したたら起きるかもしれないし」
シャンティーが、先走りしそうな塩太郎に待ったをかける。
「俺を信用してねーのかよ! あんな図体がデカくて鈍そうな奴なんて、一撃で倒せるちゅーの!」
「私は、もしもの時の事を思って言ってんの!
相手は、メリルが近くに居ても、悠々に寝ている魔物なのよ!
絶対に、簡単に倒せる魔物じゃないと思うし、ミスミス逃して経験値を失うなんて有り得ないわ!」
「分かったよ。だけど、ペガちゃんに任せるのは最初だけだからな!」
「ハイハイ。そういう事だから、ペガちゃん即死魔法で殺しちゃって!」
「ヒヒ~ン」
ペガちゃんは、シャンティーに命令されて即死魔法を唱える。
だが、いつまで経ってと、火山スライムキングの鼻ちょうちんは破裂しないし、グッスリ吐息を立てて気持ちよさそうに寝ている。
「あの……死なないんですけど……」
「これは、あの火山スライムキングが、ガブリエルやメリルと同じように強者という事ね……」
「俺達、倒せるのかよ?」
「アンタ、さっき、あんな鈍そうな奴、余裕で倒せると言ってたでしょ!
さっさと倒して、証明してみせなさいよ!」
シャンティーは、先程と打って変わって、塩太郎に命令する。
「だけどよ……」
「だけども、へったくれもないわよ!
アンタ、京都でその人有りと言われてた最強の人斬りなんでしょ!
今こそ、その実力を見せてみせなさいよ!」
「えっ? 今更、俺に頼るんかよ……。
まあ、ペガちゃんの即死魔法が効かなきゃしょうがねーか。
そんなら見せてやんよ。俺の実力をよ!」
塩太郎は、全集中して、必殺の居合斬りの構えをとった。
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