職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました

飼猫タマ

文字の大きさ
上 下
138 / 166

138. 火山スライムキング

しおりを挟む
 
「ヒヒ~ン!」

 ずっと、ペガちゃんのターン。
 神獣ペガサスのペガちゃんは、即死魔法で次々と火山スライムを倒していく。

「即死魔法って、反則だよな……こんなの剣の修行する意味無くなんだろ……」

 塩太郎は、ペガちゃん無双に驚嘆する。

「流石のペガちゃんの即死魔法も、同じ神獣である赤龍アリエッタや、ガブリエルのペットのケルベロスのペロには効かないわよ」

 塩太郎の独り言に、シャンティーが答える。

「でも、人間には効くんだろ?」

「まあ、ガブリエルやブリトニー、アン、メリルとかの強者には効かないけど、普通の人間には効くわね」

「俺に効くかな?」

「アンタの場合は、半々ね。効く時は効くし、闘気で武装すれば、もしかしたら跳ね返せるかもしれないわよ」

「本当かよ!」

「まあ、私がアンチ魔法のエンチャンター掛ければ、闘気も使わなくても弾き返せちゃうんだけど」

「お前のエンチャンターって、何でも有りだな」

「まあ、なんてたって、私は超上級精霊だから当然ね!
 伊達に、幾千もの上級精霊を使役して、神獣まで使役してる、精霊アイドル エリスの筆頭使い魔をやってないからね!」

 シャンティーは、無い胸を張りエッヘンとする。

「それって、エリスがスゲーて事じゃないのか?」

「エリスは、勿論、凄いけど、私も究極凄いのよ!」

「性格の悪さが凄いのか?」

「アンタ、一度死んどく?」

「遠慮しとく……」

 てな話をしながら、簡単にはレベルが上がらなくなってきて、日が暮れて辺りが暗くなってきた頃。離れて行動してたメリルが戻ってきた。

「アチラに見える山に、火山スライムキングという火山スライムの上位種がいましたので、明日は火山スライムキングの討伐をするといいかもしれません」

「いいわね! もう、火山スライムじゃレベルが上がらなくなってきたから、丁度いいわ!」

 どうやら、シャンティーも乗り気のようである。

 てな感じで、次の日。

 メリルを先頭に、火山スライムキングが居るという活火山に登る。

「メリル、お前が居て、火山スライムキングは逃げねーのかよ?」

 塩太郎は気になり、メリルに質問する。

「安心して下さい。昨日確かめましたが、火山スライムキングは、私程度が居ても逃げ出しませんでした」

「それは、結構、強いという事じゃねーのか?」

「強いですね」

 メリルは、事も無げに答える。

「大丈夫よ! 私達にはペガちゃんが居るから、瞬殺よ!」

 シャンティーは、自信満々に言い放つ。

「他力本願だな」

「アンタも、楽できていいでしょ!
 アンタなんか、結局、一匹も火山スライム倒してないんだから!」

「うっせいやい! 今のレベルが上がった俺なら楽勝なんだよ!
 いつの間にか、火山スライムの動きを目で追えるようになってたし!」

「やっぱり、ペガちゃんのお陰じゃない」

「まあ、それはそうだけどな……」

 流石の塩太郎も、それは認めるしかない。
 だって、現在の塩太郎のレベルは66。
 一気に、三倍近くレベルが上がったのだから。

 とか、話しながら歩いていると、

 高さにして、2メートル。横幅も2メートル。
 ズングリムックリとしたまん丸のスライムが塩太郎達の前に現れた。

「アイツが、火山スライムキングかよ?」

「ですね」

 メリルが頷く。

「というか、アイツ、寝てねーか?」

「寝てますね……」

 そう。火山スライムキングは、鼻ちょうちんでグッスリ眠っていたのである。

「俺が倒していいか?」

「折角、寝てるんだから、ペガちゃんの即死魔法で殺した方がいいでしょ。
 アンタが、刀を突き刺したたら起きるかもしれないし」

 シャンティーが、先走りしそうな塩太郎に待ったをかける。

「俺を信用してねーのかよ! あんな図体がデカくて鈍そうな奴なんて、一撃で倒せるちゅーの!」

「私は、もしもの時の事を思って言ってんの!
 相手は、メリルが近くに居ても、悠々に寝ている魔物なのよ!
 絶対に、簡単に倒せる魔物じゃないと思うし、ミスミス逃して経験値を失うなんて有り得ないわ!」

「分かったよ。だけど、ペガちゃんに任せるのは最初だけだからな!」

「ハイハイ。そういう事だから、ペガちゃん即死魔法で殺しちゃって!」

「ヒヒ~ン」

 ペガちゃんは、シャンティーに命令されて即死魔法を唱える。

 だが、いつまで経ってと、火山スライムキングの鼻ちょうちんは破裂しないし、グッスリ吐息を立てて気持ちよさそうに寝ている。

「あの……死なないんですけど……」

「これは、あの火山スライムキングが、ガブリエルやメリルと同じように強者という事ね……」

「俺達、倒せるのかよ?」

「アンタ、さっき、あんな鈍そうな奴、余裕で倒せると言ってたでしょ!
 さっさと倒して、証明してみせなさいよ!」

 シャンティーは、先程と打って変わって、塩太郎に命令する。

「だけどよ……」

「だけども、へったくれもないわよ!
 アンタ、京都でその人有りと言われてた最強の人斬りなんでしょ!
 今こそ、その実力を見せてみせなさいよ!」

「えっ? 今更、俺に頼るんかよ……。
 まあ、ペガちゃんの即死魔法が効かなきゃしょうがねーか。
 そんなら見せてやんよ。俺の実力をよ!」

 塩太郎は、全集中して、必殺の居合斬りの構えをとった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界の剣聖女子

みくもっち
ファンタジー
 (時代劇マニアということを除き)ごく普通の女子高生、羽鳴由佳は登校中、異世界に飛ばされる。  その世界に飛ばされた人間【願望者】は、現実世界での願望どうりの姿や能力を発揮させることができた。  ただし万能というわけではない。 心の奥で『こんなことあるわけない』という想いの力も同時に働くために、無限や無敵、不死身といったスキルは発動できない。  また、力を使いこなすにはその世界の住人に広く【認識】される必要がある。  異世界で他の【願望者】や魔物との戦いに巻き込まれながら由佳は剣をふるう。  時代劇の見よう見まね技と認識の力を駆使して。  バトル多め。ギャグあり、シリアスあり、パロディーもりだくさん。  テンポの早い、非テンプレ異世界ファンタジー! *素敵な表紙イラストは、朱シオさんからです。@akasiosio

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

処理中です...