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137. 火山スライム(2)
しおりを挟む「糞っ!! 火山スライム、すぐに逃げやがる!」
そう。塩太郎達『犬の肉球』の面々は、火山階層に来てから、まだ、1匹も火山スライムを倒していないのだ。
「フヮ~。散々、村正が溶けると騒いでたけど、この調子じゃ騒いだの全く意味が無かったわね。
だって、未だに攻撃の1つも当てれてないし」
シャンティーが、欠伸をしながら塩太郎に嫌味を言ってくる。
「うっせいやい! お前は、火山スライム倒せるのかよ!」
「私は無理だけど、エリスのペガちゃんなら可能よ!
何せ、ペガちゃんは、メタル系のスライムと相性が良い即死魔法が使えるから、その即死魔法で、ペガちゃんは無理矢理乗ろうとする不届き者を、即死魔法で瞬殺してきたんだから!」
「もしかして、俺も、無理矢理ペガちゃんに跨ってたら、即死魔法で殺されてたのか?」
「ええ。瞬殺よ!」
「怖っ……」
「喋ってないで、集中して下さい」
メリルが注意してくる。
「でもよ、火山スライム出てくるには出てくるけど、俺らを見るとすぐ逃げちゃうんだよな……流石に溶岩の中まで追い掛ける訳には行かねーし、どうしろってんだよ」
「コレは、アレじゃないの?私達の中に、物凄い実力者がいて、その者に驚いて逃げてしまうとか?」
シャンティーが、メリルを見ながら指摘してくる。
「エッ? 私ですか?大丈夫です。殺気は疎か、気配まで消してますから」
メリルは平然と言ってのける。
「それは分かってるけど、相手は臆病で有名なメタルスライムの上位種よ。
いくら気配を消しても、気付いちゃうんじゃないのかしら?」
「そんな筈は有りません。私は完璧に気配を消してますから」
メリルは、強めに反論する。
「それは、私にも分かるわよ。でも、試しに私達から少し離れてみては?それで、全て分かるから」
シャンティーは確信が有るのか、少しも引かない。
「そこまで言うなら分かりました。少し離れて見ます」
メリルはそう言うと、塩太郎達から100メートル程離れる。
すると、
ティラリラリラリ~ン!火山スライムが、塩太郎達の前に現れた!
火山スライムは、塩太郎達が身構える前に、いきなり攻撃を仕掛けてきた。
「うおっと!」
塩太郎は、慌てて避ける。
「オイ! さっきまでと違って、メッチャ好戦的だぞ!」
塩太郎はシャンティーに話しかける。
「やっぱり、メリルにビビってたのね。相手が攻撃してくるなら、塩太郎にも倒せるでしょ!」
スカッ!
塩太郎は、シャンティーに言われた傍から、攻撃を躱される。
「攻撃当たってないじゃないのよ!」
「うっせいやい!このスライムが早すぎんだよ!本気に集中すれば、スライム程度倒せるんだよ!」
「どうだかね」
シャンティーは、呆れながら返す。
「黙って見とけや! 俺は、京都でその人有りと言われた伝説の人斬りだぜ。
本気で集中すれば、こんな弱そうなスライムなんぞ一撃だっちゅーの!」
塩太郎は、そう言うと、居合の構えをして集中する。
「ピギッ?」
火山スライムは、突然固まった塩太郎を不思議そうにジッと見ている。
お互い見つめ合う事10分。
「塩太郎! アンタ、いつまで火山スライムと見つめあってんのよ!」
シャンティーが痺れを切らせて、塩太郎に文句を言ってくる。
「うるせぇー! 黙ってろ!集中が切れんだろ!」
「あー! 待ってられないわ。エリス、ペガちゃん呼んで、即死魔法で瞬殺して頂戴!」
「了解!」
「オイ! ちょっと待てよ!」
エリスは、塩太郎の言葉を無視して、ペガちゃんを召還して呼び寄せる。
そして、
「ヒヒン!」
ペガちゃんが鳴くと、魔法陣が発動して、塩太郎の目の前に居た火山スライムが即死した。
その瞬間、頭の中で天の声が響く。
ティティティーン。塩太郎の剣豪レベルがLv.23に上がりました。塩太郎の剣豪レベルがLv.24にあがりました。塩太郎の剣豪レベルがLv.25に上がりました。
「嘘だろ!? いきなり、レベルが3つも上がったぞ!」
「私も、久しぶりにレベルが1つあがったわ。
これは、メリルが言うように火山スライム美味しいわね」
シャンティーがニヤリと笑う。
「ワシも、レベルが2つ上がったようじゃ!」
「私も、1つ上がったよ!」
どうやら、ムネオとエリスもレベルが上がったようである。
「やはり、火山スライムはメタルスライムの亜種だったようですね」
ペガちゃんが、火山スライムを倒した事を確認したメリルが、100メートル先から戻ってきて話に加わる。
「やっぱり、メリルにビビってたんじゃない!
アンタ、邪魔だから、とっとと私達から離れてくんない?レベルアップの邪魔なのよ!」
メリルに負い目があった為、ずっと、よそよそしくメリルと会話していたシャンティーが、邪険に言い放つ。
「えっ?」
「だから、邪魔だって言ってんのよ!アンタが居たら、経験値稼げないでしょ!」
「あ……ハイ……」
シャンティーに怒鳴られて、メリルは肩を落として、塩太郎達から離れて行ったのだった。
恐るべし腹黒シャンティー。自分の利益の為なら、恩も仇で返す女。
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