職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました

飼猫タマ

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133. メリルの特訓(3)

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「では、エリクサーを飲まずに、そのまま戦って下さい」

 メリルは、塩太郎に指示を出す。

「ゲホッ! 内蔵破裂した状態で、闘気なんて練れねーよ!」

「それでもやって下さい。やらないと死にますよ」

 カキン! カキン! カキン!

 メリルと喋ってる間にも、魔物はお構い無しに塩太郎に攻撃してくる。

「だから、無理だって!」

「分かってます? 闘気を練らないと、例え、聖剣村正でも、この階層の魔物は斬れないですよ。
 この階層の魔物は、どうやらS7レベルの魔物ばかりですから」

「分かってんよ! どんだけ斬りつけても、全然刃が通んーねし!」

「だったら、早く、闘気を練って下さい」

「それができたら、とっととやってるってんの! ゲホッ! 口から、やたらと血が出て、息もしにくいし、マトモに集中できねーんだよ!」

「そうですか……そしたら、暫く頑張って下さい。死んだらエリクサーで生き返らせてあげますので」

「嘘だろ……俺、このまま放置?」

 塩太郎は、まさか放置されるとは思ってなかったので唖然とする。

「ハイ。アマイモン様の依頼は、塩太郎さんと『犬の肉球』の強化ですから」

 メリルは喋りながら、必死にシャンティーとエリスを守るムネオの所まで行き、そしてそのまま腹に蹴りを入れる。

「ゲホッ!ワシまで……」

「エリクサー禁止。致命傷を負った状態でも均一な闘気が練れるまで、精進して下さい」

「ゲホッ。承知しました……」

 そして、メリルは、戦々恐々としてるシャンティーとエリスの元に行く。

「ちょっと、待ってよ! 私達は、脳筋の塩太郎やムネオと違うの!
 致命傷の攻撃なんか受けたら、そのまま気絶するわよ!
 というか、私はエリスの魔力を借りて活動してるだけの使い魔だから、気絶したら、そのまま召喚される前に居た場所に帰って行くだけよ!」

「そうでしたね。シャンティーさんはエリスさんの使い魔でした。死んでも、召喚前に居た場所に戻されるだけでしたね」

「そう。私は、基本、死なないの! なにせ、エリスに召喚された状態は、不死身と同義だから!握り潰されてすり身にされても、ただ、召喚される前に居た場所に戻るだけだからね!」

 シャンティーは、必死にメリルのシゴキを回避しようとする。

「では、エリスさん……」

「ハイ!」

 エリスは、メリルに名前を言われて、直立不動で返事をする。

「エリスさんには……」

 突然、メリルの言葉が止まる。

「エリスさんには?」

 ずっと喋れないメリルに、エリスが聞き返す。

「……どうやら私は、エリスさんに危害を加える事や、修行をつける事はできないようです……」

「えっ!? なんで?」

 エリスは不思議そうに、ビックリした顔をする。

「私は、サイト様の専属メイドです。即ち、サイト様の意志に従うように出来てるんです。
 サイト様がベルゼブブに殺されてしまった、あの時も、サイト様の命令を無視する事ができませんでした……」

「エッ? どういう事?」

「私は、エリスさんに、何も手出しできないという事です。
 それが、サイト様の意思だからです」

「でも、ゴトウ君は、もう死んでしまって、この世に居ないのに?」

「ですね……それでも私には、サイト様が愛していらしたエリス様を、少しでも傷付ける行為はできないように設計されてるのです。
 本当は、貴方を殺してしまいたい程、憎んで居るというのに……」

 メリルは、キッ!と、エリスを睨みつける。
 やはり、メリルは、ご主人様であるゴトウ・サイトが死ぬ原因となった、エリスを心底恨んでいたようだ。

「ひぇーー」

 エリスは、メリルにビビって、尻餅をつきそうになる。

 しかし、

「アレ?」

 メリルが、瞬時に動いて、エリスを助けていた。

「どうやら、私は、エリスさんを助けるようにプログラムされてるみたいです……どんだけ、貴方が憎くても……」

 メリルは、絶望した表情をして打ち震えている。

「あの……ゴメンなさいね……」

 エリスは、申し訳なさそうに頭を下げる。
 死んでまでメリルを縛るゴトウ・サイトが悪い訳で、エリスが悪い訳ではないのだけど。

「エリスさんは謝る必要ないです……これが我が主サイト様の意志なのですから。
 サイト様の専属メイドである私が従うのは、当然の事です」

 ゴトウ・サイトとガブリエルによって作られたGデーモン族のメリルは、主人のゴトウ・サイトが死んだ後も、その呪縛に支配される可哀想な少女だった。

 ーーー

 エリスとシャンティーとゴトウ・サイトとメリルの過去を詳しく知りたい人は、R18ミッドナイトノベルズの『必ずイカせる!異世界性活』の最終回を見よう。
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